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0から始めよう! 5話

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  • 5.反省しよう!


「幽霊?」
「えー、まぁ……正確には生霊、かな」
 ベッドを椅子代わりに座った少女の前に浮き、訳を話す。
 天使のほうは説明もややこしいから伏せておいた、いいわよあんなヤツ。
「うぅ、相変わらず敬ってませんね」
 てめーを敬うやつの顔が見てみてーよ! ん? 何で鏡出すわけよ。
「じゃあ、私にとり憑いたから私には見えるんだ」
 一応そうなるか。宿主には見えるんだっけ? いちいち設定が面倒ね。
「それで、良いことしないと死んじゃうんだ」
 砕いて言うとそんなところね。
 今は-289TP……どん底ね。
「り、理解してくれた?」
「まぁ……一応」
 すり抜けたり浮いたりしてるわけだし、信憑性はあるわよね。
 とりあえずはファーストコンタクトは成功ね、あの天使の馬鹿の所為で前倒しになったけどまぁ結果オーライか。
「そ、それで貴方も手伝ってくれると嬉しいんだけど……」
「……」
 するとふいっと視線を外し、ベッドに仰向けに倒れる。
「嫌だ、めんどい」
 ……はぁ、そりゃそうよね。
 私も多分同じ返事するかも。
「ね、ねぇお願い。ちょっと学校行くだけでいいからさっ」
「ちょっとじゃ駄目ですよ、社会復帰ですから」
 天使から声が飛ぶ。
 くぅう、一日とかじゃ駄目なのか。
「ほ、ほら友達だって皆待ってるだろうし……勉強だって遅れちゃうし」
「……」
 私の必死の説得も、まるで無視。
 しまいにゃベッドの脇の漫画まで読み出しやがった!
 畜生、そっちがそうならいいわよ。とっておきのとっておき出してあげるわ!
「お母さんもそんなの……喜ばないわよ?」
「!」
 読んでいた漫画を落とし、体を起こす。
 ふっ、これは効いたでしょ?
 こちとら天使が味方してんだからね? 死ぬほど役に立たないけど。
 ん? 何よその顔。
 あんたの情報使ったんだからもっと喜んで……。
「……てけ」
「?」
 小さく、声が聞こえた。
 誰の? 目の前の……少女の。

「出てけ!」
「あ……」
 視線が交わった。
 涙で滲んだ、少女の瞳と。
「ご、ごめんっ。私……」
「皆五月蝿い、五月蝿い、五月蝿いぃっ!」
 癇癪を起こし、手元の漫画を私に投げつける。
 もちろん当たらずに通過して、背後に飛び散る。
 でもそれも気にせず、ただ泣きながらその行為を繰り返す。
 私の言葉なんて……届きやしなかった。
「……出ましょう、かがみ」
「えっ、で、でも」
 天使に声をかけられ、私もようやく正気に戻る。
 突然の事態に少し、頭が混乱してた。
 手元の漫画を投げつくし、少女はただ泣き崩れていた。
 ベッドの上にうずくまったまま、嗚咽を漏らす姿は……見ていられなかった。
「……うん」


「不用意でしたね」
「うん……分かってる」
 部屋から一番近い屋根の上で、落ち込む。
 今なら伝わってくる、あの子の悲しみが。
 そうよね……共有してるんだっけ。痛みも、心も。
「まだ、引きずってるんだ。お母さんのこと」
 胸から自然に溢れる感情に少し、心苦しくなる。
 きっと彼女の奥底にはまだ、その女性で溢れてるんだ。
 それを私は……無理矢理引き出してしまった。
 何が慎重よ、何が大胆よって感じね。
「これからどうします?」
「とりあえず……今はそっとしといてあげましょ」
 落ち着いてから説得……ってわけにもいかないか。
 さすが5000、難解ね。
 ……ってそんなこと言ってられないか。
「ひきこもりの件は後回しね。まずは仲良くはならないとさすがにやっていけないわ」
 あいつの行動だってポイント加算されるんだから困ったもんよ。
 エロゲで減算されまくったら元も子もないわ。
「少ししたら落ち着くわ、後で謝りにいきましょ」
 どうせ家からは出ないんでしょ? ひきこもってるんだし。
「はぅあ!」
「な、何。どうかした?」
 もう外も暗い。
 時計は見なかったけど七時ぐらいかな、さっきも父親みたいな男性がご飯だって言ってたしね。
 なのに今更どうしたのよ、そんな慌てて。

「た、大変ですよ!」
 また何を言い出すんだこいつは……。
 さっきもこいつの所為で色々前倒しになったんだが。
「急ぎましょう、時間がありません!」
「だ、だから何なのよ」
「いいからこっちに!」
 と、慌ててまた家の中に入っていく。
 しかしこの慌てよう……本当に何かあったとか?
 そ、そうよね仮にも天使なんだからこんなに慌てるなんてよっぽどの事があったのよ!
 しかも家の中ってことは、宿主の子に何かあったとか?
 あれ、でもそっちはあの子の部屋じゃないんだけど……。
『良い子のみんな! 大きな声で呼ぼう、せぇーの』
「プキンちゃーん!」
 一体またどんな厄介ごとを……。
 ……。
 ん?
『プキンちゃんは南瓜小学校に通う元気な小学5年生!
 でも本当はかぼちゃ王国のお姫様なの(みんなには秘密だよ!)
 わる~い悪の王様カーボと戦うために、マジカル美少女プリンセスプキンに変身して平和を守る無敵のヒロイン!
 悪いかぼちゃは魔法のステッキ「ルシファーズハンマー」でどんどん悪食するよ!』
「……」
「良かったー、間に合いました」
 絶句する私の前で騒々しいアバンが流れる。
 騒がしいOPとともに女の子が画面を飛び回り(金○パース)、それに合わせて手拍子を……。
 って何よこれ!
 アニメじゃねーか! これ見るのに急いでたのかよ!
「はぅぅ、可愛いですねぇ」
 ああもうトリップしてるよ、声が届いてないみたい。
 ってゆーか都合よくテレビがついてたものね……ってうおっ!
「……今日のは、作画がイマイチだな」
 親父ぃいいいいい!
 くぅ、この家はどこもオタクだらけなのか!
 母親の顔が見てみたい!
「ピン☆ポン☆パン☆ポン プキンちゃん~♪」
 OP歌うな! 親父ハモんな!
 あぁ……駄目だ、ついていけない。
 天使のほうはアニメに釘付けだから三十分はテコでも動かないか。
 まぁおじさんみたく作監にまでケチつけない分ましか、つか素で楽しんでるなコイツ。
 いいや、あの子の様子だけでも見に行こうかな。そろそろ我に返ってるでしょ。
 まだ泣いてたら……逃げよう。ああ、面倒な事になった。
 ……まぁ、仕方ないか。私の所為……だもんね。

  • 現在のポイント:-289TP(-)












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