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ナンパなこなた

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hakureikehihi

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 七夕の日にこなたから告白されて、夏休み突入と同時に目出度くこなたの恋人同士となる事が出来た柊かがみです。
告白された時や恋人になった時の話は割愛させていただくわ。
人の惚気話を聞いても面白くないだろうし。

今回は、こなたと恋人同士になってから1ヶ月が経過したにもかかわらず、
何にも進展していない私とこなたの一寸したドタバタ話です。


お盆を過ぎても相変わらず暑い日が続いている、とある土曜日の昼下がり。
冷やしておいた水羊羹を食べようとしたら、こなたが緊急収集を掛けてきた。
この時期に、このタイミングだと目的は一つしかないわよね。
ノート片手に泉家に入ると、こなたがいきなり抱きついて来て『かがみ~、大好きだよー』
とか
『やっぱりかがみは私の嫁だよー』
とか言ってたけど
「宿題見せてほしいなら素直に言いなさい!」
つまり、そういう事である。

私のノートを必死に写しているこなたを見ながら、小さいため息が漏れた。
「高校生活最後の夏休みなんだから宿題くらい自分でやりなさいよ」
「いや~、最初は自分でやるぞって思ってたんだけど」
こなたは、柔らかそうな頬っぺたをポリポリ掻きながら私の事をチラチラ見てくる。
「どうせ徹夜でネトゲでもしてたんでしょ」
「違うよ!」
私の言葉に、全身全霊を使って反論するこなた。なにをムキになってるのかしら。
「それなら、何よ?」
「え・・・と、その」
ポーカーフェースで感情を表に出さないこなたの顔が、どんどん赤くなってくる。
あんた、何考えてるのよ?
「・・・考えてたから・・・」
蚊が鳴くような声で話すものだから、全然聞き取れない。
「ごめん。よく聞こえなかったんだけど」


「かがみの事をいつも考えてたから、何も手につかなかったの!」
さっきとは正反対に、こなたの声が家中に木霊した。
「なっ・・・何言ってるのよ!それが宿題やらない理由にならないでしょ。そ、それだったら私だって・・・」
やばい、超はずかしい。私、絶対顔赤いわよ。
それよりも、ゆたかちゃんとおじさんに聞こえたわよね。
何て事してくれたのよ。ゆたかちゃんと会いづらいじゃないのよ。
1秒か1分か1時間か分からないけど、二人の間に流れた沈黙は、とてつもなく永く感じた。
「そ、そうだかがみ。この前アキバで面白いの売ってたんだよ」
沈黙に耐えられなかったのか、こなたは机の引き出しを開けて御香のような物を取り出した。
「なによ、それ?」
「御香?」
「見れば分かるわよ。何の御香かって聞いてるの」
こなたが持っている御香を見てみると『泡?香』と書いてある。中国語?
「何の御香か分らないけど、点けてみようよ」
おもむろに取り出したマッチで御香に火を点けると、部屋中に何とも形容しがたい香りが充満してきた。
違うわ。香りなんて代物では無い。
「臭い!こなた、臭いわよ」
鼻を押さえながら、部屋の窓を全開にして換気をする私とは正反対に、御香の傍で香りを堪能しているこなた。
あんた、絶対どこかおかしいわよ。
「そんな変な物、捨てなさいよ。それにしても臭いわねー」
「え~、良い匂いなのに」
御香の火を消しても部屋に充満した匂いは中々消えず、それに耐えきれない私はノートをこなたに渡して泉家を後にした。


次の日

「こんちゃーす、かがみ~」
「おーす、こなた。飲み物用意してくるから、つかさの部屋で待ってて」
昨日、泉家に置いていった私のノートを返しに来たこなたから、覚えのある香りがした。
まさかあいつ、あの御香を使っているんじゃないでしょうね。
もし、そうなら辞めさせないと。可愛いこなたが台無しだわ。
そんな事を考えながら、御盆にコップとジュースを乗せてつかさの部屋に入った私の目に、信じられない光景が飛び込んできた。

「つかさは可愛いね~」
「ど、どうしたのこなちゃん」
「私ね、つかさの事好きだったんだよ」
「え・・・えー! 本当?って、ダメだよ。こなちゃんにはお姉ちゃんが居るんだから」
「つかさは私の事、嫌い?」
「そ、そんな事無いよ!」
私の視界が捉えた事を客観的に話すと、こなたがつかさに迫ってて、つかさも満更でなくて、二人とも良い雰囲気で。
「嫌いじゃ無いなら、問題無いよね」
「う、うん。ってお姉ちゃん!」
私が居る事に気付いたつかさが、こなたを突き飛ばして顔を真っ青にしながら
普段見せないマシンガントークを見舞ってきた。
「ち、違うの!こなちゃんと私は何でもなくて。
こなちゃんが勝手に迫ってきて、それで私は断ったんだけど、でも良いかな~とか思っちゃって。
あわよくば、こなちゃんと良い関係になりたいとか」
つかさ、パニックになりながら本音を言うのは止めなさい。
分かってるわよ。つかさがこなたを嗾けるなんてしないハズ。
「ちょっと、こなた。あんた私の事、どう思っているのよ」
「大好きだよ、かがみ」
「へ?」
予想を斜め上に行く返事が来たものだから、間抜けな言葉が出てしまったわ。
「かがみは私の恋人だもん。大好きに決まってるじゃん。かがみは私の事、嫌い?」
な、何言ってるのよ。嫌いな訳ないでしょ!むしろ・・・私も
「むー!」
何?この唸るような重低音は?音源は・・・つかさ?
「こなちゃん!さっき私の事好きって言ってたよね。あれは嘘だったの?」
どうしたのよ、つかさ。目がマジよ。
「嘘じゃないよ、つかさ。大好きだよ」
「本当♪」
待ちなさいって!
「こなた!私達付き合ってるんでしょ。恋人の目の前で他の人を好きとか言うなんて、何考えてるのよ」


「仕方ないよ、お姉ちゃん。こなちゃんは私の事が好きなんだから」
「何ですってー!」
こなたを挟んで壮絶な女だらけのバトルを繰り広げる事、数十秒。
「ちょっとー、うるさいよ」
自分の部屋で昼寝をしていたまつり姉さんが、頭を掻きながら現れてきた。
そうだ、まつり姉さんに仲裁してもらおう。
私が事情を説明しようとした矢先、こなたがまつり姉さんの手を握って
「まつりさん。今日も可愛らしい貴女を見ていると、この貧乳な胸がときめいてしまいます」
な・・・なんですと―――!
「こ、こなたちゃん。どしたの」
戸惑いながらも満更でない御様子のまつり姉さん。なにがどうなっているの?
「「まつり姉さん(お姉ちゃん)、どういう事?」」
まつり姉さんに可及的速やかに状況の説明を求めている最中、なにか大事な事を忘れているような気がしたけど気のせいね。
「私だって知らないよ。こなたちゃんに聞けば良いでしょ」
それもそうね。
「こなた!って、あれ。居ない?」
ドコに行ったのよ?
「こなたちゃんなら帰ったわよ」
洗濯物を取り込んでいたお母さんが教えてくれた。
何故か上機嫌なのが気になるけど、今はそれどころじゃないわ。
「つかさ、追うわよ!」
「う、うん」
つかさは頭を押さえながらボンヤリしていて、まるで今まで夢を見ていたと言わんばかりな顔をしていた。
「どうしたのよ?」
「何か、夢を見ていたみたいで。頭がボーとするの」
ビンゴ!って、そうじゃないでしょ。
「しっかりしなさいよ。ほら、行くわよ」


お盆を過ぎても、まだまだ暑い昼下がりの午後。双子の巫女さんが駅に向かって駆けて行った。













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