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背徳の宴 前編

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 1.


 沈みかかっている夕陽で空が茜色に染まる頃、ポケットの中に入っていた携帯が震えた。
 私は、教材を鞄にしまっている手をとめてボタンを押すと、『小早川ゆたか』という文字が目に入った。

『5時30分に駅前の喫茶店でお会いしましょう』 
 メッセージの右上に表示されている時刻を見ると、4:50と表示されていた。
 駅までの所要時間を差し引いても、少し余裕がある。
 私は、ゆたかちゃんに『OK』と返信してから、読みかけとなっていたライトノベルの頁を捲り始めた。

「おーい。かがみん」
 30ページ程先に進んだ頃、教室に入ってきた少女に声をかけられる。
「あっ、こなた」
「ちょっとゲマズ寄らない? 」
「今日あんた、バイトじゃないの? 」
「6時からシフト入っているけれど、少し時間あるから」
「そう…… でも悪いけれど、この後、待ち合わせがあるの」
 こなたの誘いはとても魅力的だったけれど、既に私はゆたかちゃんと会う約束をしてしまっている。
 生真面目な自分の性格が嫌になるけれど、こればかりは仕方がない。

「そっか。んじゃ、また今度ね~ 」
 こなたは手を小さく振ると、あっさりと去ってしまった。
 後ろ姿が完全に消えた後、私は大きく息を吐き出した。


 5時25分。待ち合わせ場所に指定されている駅前の喫茶店に入ってぐるりと見渡すと、
ゆたかちゃんが既に窓際の席に座っていた。
 閉店時間が迫っていることもあって、彼女以外に客はいない。
「こんばんは。かがみ先輩」
 ゆたかちゃんが私に気づいて、見た目は無邪気な笑顔をみせながら手を振った。
「こんばんは。ゆたかちゃん」
 挨拶を返してから、彼女の真正面に座る。
 ゆたかちゃんは大きな瞳とふっくらした頬が魅力的な、可愛らしい女の子だ。
 身長は小柄なこなたよりも更に小さく、小学生か、せいぜい中学一年生にしか見えない。

「今日は何の用かしら? 」
 ウエイトレスにホットを頼んでから、私は不機嫌さを隠そうともせずに言った。
「かがみ先輩とお会いしてすることなんて、ひとつしかないと思いますが」
 しかし、ゆたかちゃんは、私のそっけない態度を気にする様子はない。
「そうね…… 聞いた私が馬鹿だったわ」
 今日何度目かの溜息をついた。溜息をついた分だけ幸せが逃げるという言葉は本当かもしれない。
 私は、いらつく気持ちを抑えようと、鞄からたばことライターを取り出した。

「吸ってもいいかしら? 」
 たばこをくわえながら、同席者であるゆたかちゃんの承諾を求める。
「構いませんが…… 先輩、制服ですよ? 」
「誰も見てやしないわよ」
「でも、店員さんが」
 ゆたかちゃんは、可愛らしい顔をしかめながら、カウンター席の向こうで動いている人影をちらりと覗き見た。
「学校に通報したければすればいいのよ」
 私は投げやりに言ってから、ゆたかちゃんに告白された場面を振り返った。 


「かがみ先輩のことが好きです。付き合ってほしいんです」
 ゆたかちゃんから告白を受けたのは、今から1か月前だ。
 9月上旬のやたらと暑い日だったことは、はっきりと覚えている。
「ごめんね。ゆたかちゃんの想いには応えられないわ」
 私は一旦は断ったが、ゆたかちゃんはあきらめてくれなかった。

「かがみ先輩は、やっぱり、こなたお姉ちゃんのことが好きなのですか? 」
「どうして知っているのよ? 」
「見ていればすぐに分かりますよ」
「なっ」
 緊張しまくっていたように見えたゆたかちゃんが、がらりとかわった。
 余裕綽々といった様子で、こなたへの想いを明かされてひどく動揺している私を、じっくりと観察している。

「こなたお姉ちゃんはノンケですからね」
「そんなことは、とうの昔に知っているわ」
 こなたには、私やゆたかちゃんと違って同性愛の趣向はない。
 彼女の口から『私はノンケだ』という言葉を聞く度に、心の中に鋭い槍で貫かれたような痛みに襲われる。
 永遠に届かぬ恋と知ったからには、諦めないといけないと理性では分かるのだけれど、
こなたの笑顔を見てしまうと、どうしても想いを捨てることができない。

「こなたお姉ちゃんに、もう告白したのですか? 」
「できるわけないじゃない」
「そうでしょうね」
 ゆたかちゃんは、袋小路にはまり込んだ私を笑った。
「何がいいたいのよ」
 私は癪にさわって、目の前の少女を睨みつける。

「こなたお姉ちゃんをおかずにしての一人エッチは、とても寂しくありませんか? 」
「うっ」
 全くの図星だ。
 私は、ほぼ毎日こなたの裸を妄想して、自慰にふけっている。
 縄で縛られたり、バイブを入れられたりして、淫らに喘ぐこなたを妄想して愉しむのだ。
 もちろん、友人をオナネタとする最低な行為であり、コトが終わった後には必ず猛烈な後悔に襲われる。
 しかし、本能的な欲求に逆らうことができず、やめることはできなかった。


「だ、だったらどうだっていうのよ。アンタには関係ないでしょ」
 ここまで追い込まれてしまっては、開き直るしかない。
 しかし、ゆたかちゃんは微笑を浮かべたまま近寄って、軽く抱きしめた。
 華奢な身体だけれども、とても柔らかい。
 こなたの抱き心地もたぶん似たような感じなのだろう。

「先輩の切なさ…… 私に癒させてほしいんです」
「ゆたかちゃん? 」
「かがみ先輩の心を頂こうとは思っていません。私、こなたお姉ちゃんの代わりでもいいんです」
 ゆたかちゃんはひどく、私にとって都合の良いことをいってくる。
「愛情とかはいらないの? 」
 彼女は少しだけ寂しそうな表情に変わった。
「もちろん。かがみ先輩が私のことを愛してくれれば嬉しいです。でも…… 」
「でも? 」
「かがみ先輩は、こなたお姉ちゃんしか見ることはできないんですよね」
 一転して真面目な口調になったゆたかちゃんは、しっかりと私の瞳を見据えて言葉を続ける。
「こなたお姉ちゃんは、女の子を愛することができない。だから、先輩の愛情は届かないところも
知っているんです。私は、先輩の心の隙間に飛び込もうとしているに過ぎません」
 夢もへったくれもない、あまりにも現実的な思考方法だ。

「私が欲しいのはこなたからの愛で、ゆたかちゃんの愛ではないわ」
「確かに、私の恋慕はこなたお姉ちゃんの代わりにはなりません。しかし」
 ゆたかちゃんは、大きく息を吸ってから答えた。

「身体への欲求については、代用となると思うんです。こなたお姉ちゃんと同じく小さいですから」
 私は、顔を真っ赤にしながら声を荒げた。
「ゆたかちゃん、アンタ何をいっているのか分かっているの? 」
「分かっています。先輩の寂しさを、身体を使って慰めたいのです」
 ゆたかちゃんは、無邪気で純粋そうな顔だちからは全く似合わない、自嘲めいた笑みを浮かべた。

「分かったわ」
 長い逡巡の後、私は、ゆたかちゃんの告白というよりも提案を受け入れた。


 回想にふけっている私を、ゆたかちゃんは小さく微笑みながら眺めている。
 ゆたかちゃんと私の関係は、セックスフレンドという言葉が一番しっくりくる。
 えっちだけと割り切ることさえできれば、後腐れはないし、性欲も満たされて、良いとこずくめである。
女同士だから妊娠する心配もない。
 私はあの日以来、こなたへの想いを引きずったまま、性欲の赴くままにゆたかちゃんとのエッチを繰り返している。
 このままではいけないと何度も思いながらも、どうしてもやめられない。
 私は、底なし沼にはまりこんでしまい、抜け出すことができなくなっていた。

「今日は、こなたお姉ちゃんの家でしましょう」
 ゆたかちゃんが紅茶で喉を潤しながら提案する。
「お姉ちゃんも、おじさんもいませんから」
 こなたはコスプレ喫茶のバイトだが、おじさんは出版社主催のパーティだそうだ。
「そうね…… 」
 私は、半ば上の空で相槌を打っていた。

 喫茶店を出てから、最寄駅まで電車を使い、頭上に明るい星が瞬くのを眺めながら夜道を歩くと、
こなたの家が見えてくる。
 玄関先で、ゆたかちゃんが鞄を開けて鍵を取り出した。
 ゆたかちゃんの部屋はクッションやぬいぐるみが置かれてあり、ゲームやフィギュア類で占められている
こなたの部屋と比べて、女の子らしい部屋という感じがする。
「かがみ先輩…… 大好きです」
 ゆたかちゃんが、早速といった感じで抱きついてくる。
「どうして…… 私なんか? 」
 私は、日頃から思っていた疑問を口に出した。
「先輩がとても優しいからです。気分が悪くて廊下でしゃがみこんでいた時に、
保健室まで連れて行ってくれたことは、決して忘れません」
「そりゃあ、具合の悪い子を介抱するのは当然だからね」
「でも、とても嬉しかったんです」
「そ、そう」
 ゆたかちゃんは微笑みを浮かべながら、背中にまわした腕に力をこめる。
 私より、いつものことながら思ってしまう。
 こなたを抱きしめたら、こんな感じなのかしら?


「やっぱり、こなたお姉ちゃんの身体と比べていますね」
「え…… あっ、ごめん」
「ふふ。良いですよ。代わりで十分ですから」
 ゆたかちゃんは、私の制服のスカーフを抜き取りながら薄く笑った。
「そんなこと…… 」
「コトの最中に、こなたお姉ちゃんの名前を連呼しなければそれでいいです」
 ゆたかちゃんが歌うように言うと、私のセーラー服を脱がせた。
 肌が外気に直にさらされて紅く火照る。
「先輩の肌って凄くきめ細かいですね。羨ましいです」
 ゆたかちゃんが私の素肌を触りながら、うっとりとした表情で呟いている。
「ゆたかちゃん。このままで本当に良いの? 」
 私は、情欲に溺れてしまった後輩を見下ろしながら問いかけた。

「何をおっしゃるんですか? 」
 ゆたかちゃんはきょとんとした顔をしたまま、小首をかしげた。
「ゆたかちゃん…… 想いの通じていない相手とえっちして楽しいの? 」
「先輩こそ、性欲処理の為にここまで来たのではありませんか? 」
 全くもってその通りだから反論できない。
「こなたお姉ちゃんは、よく脳内補完って言葉を使いますが、それと同じです」
 ゆたかちゃんによってブラのホックが外されてベッドに落ちる。

「あまり、難しいことは考えない方が良いですよ」
 ゆたかちゃんが呟くように言ってから、ゆっくりと唇を重ねてくる。
「ん…… くぅ」
 弾力性のある唇を吸っていると、頭を回転させることに疲れてしまう。
 ゆたかちゃんがえっちだけの関係で良いと言っているのだから、割り切って楽しむことに専念すれば良いではないか。

「ん…… んくぅ」
 ゆたかちゃんの舌端によって、口腔内がいやらしく掻き回される。
 私は口の端から唾液を漏らしながら、くぐもった声をあげた。

「ん…… んぐ、くぅん」
 頬の裏の粘膜や、歯の裏側までも執拗にねぶられて、頭が真っ白になっていく。
「く…… くぅ…… んあっ」
 何度か喘いだ後に、ゆたかちゃんが唇を離した。
 とろとろとした唾液が口の端から漏れて、頬にいやらしい跡をつける。


「かがみ先輩…… だいすき」
 蕩けるような表情を浮かべて、ゆたかちゃんは私に覆いかぶさるように倒れこみ、乳首を吸い始める。
「んんっ! 」
 とても敏感なところを強く刺激されて、私は背中をそらした。
「先輩の乳首、桜色でとても綺麗です」
 うっとりとした表情をして、ゆたかちゃんは舌を伸ばして突起を押し潰す。
「いや…… 」
 私は、身体を震わせながら悲鳴をあげてしまう。
「先輩、ちょっと尖ってきましたね」
「そんなこと」
「くすっ」
 ゆたかちゃんは少し笑うと、何度も乳首をつついた。
「んあっ、そこ…… だめっ」
 甘酸っぱい刺激が伝わってきて、私は淫らな喘ぎ声を洩らしてしまう。
「先輩…… とってもエッチです」
「余計なことをいわないで」
 ゆたかちゃんの手がいやらしく伸びて、スカートがめくられる。
「先輩、今日は白なんですね。可愛らしいです」
「そ、そんなこと言うなっ」
 ゆたかちゃんは、私の下着を触りながら愉しそうに囁いた。
「かがみ先輩の下着、シミができていますよ」
「う、うるさい」
 真っ赤になる私の顔をみながら、ゆたかちゃんは下着をいやらしく触りまくる。
「ん…… ひゃう」
 ショーツの上から執拗になで回されると、たまらなくなってしまう。

「そろそろかな」
 唐突に、ゆたかちゃんは時計を見ながら小さく呟いた。
「な、何が? 」
「すぐに分かりますよ」
 ゆたかちゃんは笑っただけで答えず、濡れてしまった下着の端に手をかけて止める。
「さっさと脱がしなさいよっ」
「ふふ…… 本当に良いのですか? 」
 ゆたかちゃんは、私のショーツをぎりぎりのところまで脱がして、またとめる。
「じ、じらさないでよ」
 私は赤くなりながら顔を横に向ける。
「そうですね。ご要望がありましたので、脱がしちゃいますね」
 ゆたかちゃんが宣言して、私の下着が膝のあたりまで下げられた時、下の方で微かに物音が聞こえた。まさか!?

「かがみ先輩…… キスしましょうね」
 ゆたかちゃんが唇を差し込んでくるが、一度生まれた胸騒ぎは収まらない。
「ゆたかちゃん。待って! 」
 高まる不安に耐えられなくなった私は、唇を強引に離して叫ぶ。
 ほぼ同時に、けたたましい物音が立て続けに鳴ったかと思うと、ドアが開き――

 血相を変えたこなたが、部屋に飛び込んできた。


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背徳の宴 後編へ続く




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  • かがみんが 煙草を…
    -- ラグ (2009-01-08 12:12:42)
  • かがみがタバコを吸うなんて… -- かがみ厨 (2008-09-08 19:23:14)
  • おおぅかがみんとゆーちゃんピンチ!! -- クドリャフカ(九重龍太) (2008-09-08 19:20:24)

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