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夕日と月に照らされて

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だれでも歓迎! 編集
※ CAUTION! この話はTS物です。苦手な方はお戻り下さい m(_ _)m ※


 本日の天気は1日中快晴。絶好のデート日和である。
 にも拘らず私の心はどこまでも沈んでいたが、今日だけはこんな不機嫌な顔はしちゃいけないと思い直して近くにあるショーウィンドゥに映る自分のほほを叩いたり揉み解したりする。
 程なくして、待ち合わせの時間よりも早く今日の主賓の姿を見つけるとそちらへ向かう。
 向こうはきょろきょろと私を探しているのだろうが、まぁすぐに見つかる事はないのだから。
「おはよう、みゆき。ずいぶん早いじゃない」
「え? あ……かがみ、さん?」
 私の姿を見て絶句するするのも無理はない。
 なにしろ『今の私』は男の姿になっているのだから……

「ちょ、まっ! なんなのよ、これは~~~~~?!」
 楽しい1日になるはずの今日、朝の目覚めは最悪に近いものだった……
「ど、どうしたの? おねえちゃ……おにいちゃん?」
 私の叫びに目が覚めたのか、休日の朝早い時間なのに起きてきたつかさが放った一言は、これが現実である事を証明していた。
「なんでまた男になってるのよ! もうならないはずでしょ?! つかさ、どう言う事よ?!」
 あまりにも理不尽な私の訴えに対し、つかさはいつもの陽だまりのような笑顔であっさりと告げた。
「う~~ん、よくわからないけど……神様の悪戯?」
「……ふ、」
「ふ?」
「ふざけんなぁぁぁ?! いるなら出て来い神様ぁぁぁぁっ! いっぺんぶん殴ってやるからさぁっ?!」
「お、落ち着いてよ、お姉ちゃん?!」
「これが落ち着いていられるか! なんでよりによって今日なんだよ?! 今日はみゆきとデートなんだぞっ!」
 そう。今日10月25日はみゆきの誕生日で、息抜きを兼ねてデートをする事になっているのだ。
 柄にもなく昨夜はあれこれと洋服を引っ張り出し、どんな服を着て行こうなんて鏡に向かってプチファッションショーをしていたのに……
 肩で息をしながら気持ちを落ち着けて周りを見渡すと、目の前には怯えて半分泣きそうなつかさ、ドアの隙間からこっちを見てニヤニヤ笑っているまつり姉さんと楽しげに微笑んでいるお母さんが目に入り……
「こっち見んなぁぁぁっ!」
 叫びと共に枕をドアに向かって投げつけた。

 そんな今朝の騒動を思い出してうんざりしながらも、横に並んで歩くみゆきを見ると気分が和らぐのは心底この子を好きなんだな、と素直に思える。
「それにしても、本当にまた『こうして』歩けるなんて思いませんでした」
 くすりと笑うみゆきの言葉に、ふと妙な考えが浮かぶ。
「案外、今日の事は悪戯なんかじゃなくてプレゼントなのかもね。神様からの、さ」
 そのまま口から滑り出てしまった私の一言にみゆきは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの柔らかな笑みを浮かべて、
「かがみさんがそのような事を仰るなんて珍しいですね。でも、もしそうなら素敵なプレゼントです」
 そう言って私の腕に自分の腕を絡めてくる。
 服越しにみゆきの体温と柔らかな感触が伝わってきて、心臓が一瞬跳ねるのを感じてしまう。
「こ、こら。みゆき、そんなにくっついたら歩きにくいって」
「ですが、恋人同士ならこうするのは普通の事ですよ? ほら、周りの方もそうしてますし」
 普段は見せない悪戯っぽい笑みを浮かべて周りを示すみゆきにつられて見れば、確かに同じようなカップルが数組目に入る。
 この表情は私の前でしか出さない、私しか知らないもので、そうと気づいた時にはかなり嬉しかったものだ。
 女の子の時でも見る度にドキッとさせられていたが、今の私にとっては相当に破壊力抜群で、今日1日理性が持つか心配になってくる。
「まぁ今日はあんたの誕生日祝いだからそうしたいなら止めないけどさ」
「では今日1日、エスコートお願いしますね♪」
 嬉しそうな笑顔でぎゅっと腕を抱きしめられる事に悪い気がしない自分に呆れつつ、もう現状を受け入れて楽しむ事にしようと覚悟を決めたのだった。

 あちこち買い物をしたり、食事をしたり。疲れたらベンチに腰を掛けて他愛もないお喋りをしたり。
 そろそろ日が落ちるくらいの時間まで、目一杯2人で楽しい時間を満喫した。
 そんな風に1日を過ごすうちに、今まで経験した事のない『ある事』に気づいた。
 道行く人達がチラチラとこちらを見ていたのだ。
 これが男だったらまだ理解出来る。何しろ隣にいる少女は間違いなく美少女と呼ばれる部類に入るし、その笑顔は充分人を惹きつけるものだから。
 前回の時もそうだったのを覚えている。
 だが、なんで女の子までこちらを見るんだ?
「ねぇみゆき。ずっと気になってるんだけどさ」
「はい、何でしょう?」
「何だか妙に視線を感じたんだけど……男ならあんたを見てるって分かるんだけどさ、女の子までこっち見てるんだよね」
 すると笑顔だったみゆきの表情がわずかに曇る。
「……かがみさん、自分の容姿って気にしてないんですか?」
「は? いや、そんな変な服を着てるつもりはないんだけど……」
「いえ、服装ではなく……」
「じゃあ何よ?」
 しまった、うっかり女の子の口調に戻ってしまった。
「『今の』かがみさんは、いわゆる美男子、なんですよ? ですから、女の子が振り向くのも無理ないです……」
 そう言いながら、体をくっつけてくるみゆきの顔は拗ねているようにも見えて……
「え? 嘘? ちょっとみゆき、何言ってるの……?」
「嘘なんかじゃありません。この前の時も同じだったんです。それに、実際に声を掛けようとする人もいましたし……」
 そうだったっけ? あの時は自分を抑えるのと、口調を気にしてばかりで気づかなかったけど、言われてみれば確かに何回か女の子に声を掛けられた気がする。その度にみゆきが受け答えしてたっけ。
 そこまで考えて、みゆきの表情と行動についてある考えが浮かんだ。
 いや。でも、まさか。みゆきに限ってそんな事……
「ねぇみゆき? もしかして……ヤキモチ焼いてる、とか?」
 私の言葉に僅かに肩を震わせて俯くと、ギリギリ聞こえるくらいの声で
「はい。そうですよ……」
 と肯定し、こう言葉を続けた
「かがみさんが、他の人と話すのは嫌です……それが女の人でも、男の人でも」
 それを聞いて、私の中の『何か』が弾け、
 私は考えるよりも先に、みゆきを抱きしめていた。
 みゆきは一瞬体を強張らせたが、すぐに力を抜いて私の腕の中に体を預けてくれる。
「ばか。みゆき以外の子を考える訳ないでしょ? 安心しなさいよ、私の大切な恋人さん」
 と耳元で囁くと、ぎゅっと私を抱き締めて、
「はい。絶対に、離さないで下さいね?」
 と僅かにかすれた声で答えてくれた。

 しばらくして幾つもの視線に気づいて体を離すと、周りには遠巻きながら人垣が出来ていて、2人して顔を真っ赤にしてしまった。
 私はみゆきの手を取ると、走ってその場を離れる事になり、少し離れたところにある公園まで来てようやく一息つく事が出来た。
「こ……ここまで、来れば……平気でしょ。はぁぁ……」
「そうですね……さっきは、変なところをお見せしてすみません」
「いいってば。あんなみゆきは滅多に見れないしね。でも思った以上に可愛いところが見れて嬉しかったけどね」
 まだ赤いほほを突付きながらからかってやると、ポカポカと私の胸を叩いてくる。
「か、かがみさん! そんな風に言わないで下さい! 本当に不安だったんですからぁ!」
 涙目になるみゆきが可愛くて、そのまま抱き寄せて抗議をする唇を自分の唇で塞ぐ。
 驚いたような表情一瞬だけ現れたがすぐに消えて、うっとりとした、どこか艶然とした笑みと共にその身を委ねてくる。
 唇を離して、抱き締めたまま頭を撫でたり髪を指で梳いていると落ち着いてきたのか、いつもの微笑を浮かべてされるがままのみゆきが口を開いた。
「今日は1日お付き合いいただいてありがとうございました」
「何言ってんの。今日はあんたの誕生日だろ? もっと我侭言ったってよかったのに」
「いえ、充分我侭に楽しみましたよ。腕を組んで歩いたり、2人で1つのジュースを飲んだり。女の子同士ではなかなか出来ない事でしたから」
 クスクスと笑うみゆきはきっとあの時の光景を思い出してるんだろう。あの時は私だけ赤面して、みゆきは楽しそうに笑ってたっけ。
 店員が気を遣ってわざわざ写真撮影まで持ち掛けた時のみゆきは本当に楽しそうだったから断れなかったけど。
「ま、まぁそりゃね。それにつかさ達や家族は割とすんなり受け入れてくれたけど、普通はなかなか理解しづらい関係だからね」
「今日の事もかがみさんが嫌と言ったら止めるつもりでしたが、ずっと受け入れてくれてましたよね」
「言ったでしょ。もう吹っ切ったって。あんたが『ありのままを受け入れる』って言ってくれなかったら無理だったけどね」
「ふふ、そう言えばそうでしたね」
 穏やかに笑うみゆきを見ながら、カバンから1つの紙袋を取り出して手渡す。
「かがみさん、これは?」
誕生日プレゼントに決まってるでしょ。そっちが元々のプレゼントなのよ、私からの、ね」
「本当にありがとうございます、かがみさん。開けてもよろしいですか?」
「もちろん。どんな顔するか楽しみにしてるわよ?」
「そんな……あら、小箱ですね。中は……指輪?」
 そう、小箱の中身は1つの銀の指輪。
 雪の結晶をあしらい、鏡のように綺麗に磨き上げられた物だ。
 それを取ってみゆきの指にはめてあげると、驚いた表情になる。
「かがみ、さん? その……いいんですか?」
「みゆきは嫌なの?」
 私が指輪をはめたのは、みゆきの左手の薬指だ。
 みゆきはゆっくり首を振り、指輪に口付けると、
「一生の宝物にしますね」
 と微笑みながら言ってくれた。
 それを確認すると、私はもう1つの小箱をカバンから取り出して、これもみゆきに手渡す。
「お願いがあるんだけど、それ開けてくれるかな?」
 みゆきが小箱を開けると、中の物を目にして驚いたようだがすぐに私の考えに気づいてくれたようで、それを取り出して同じように私の左手の薬指にはめてくれた。
 触れ合う2人の指にはお揃いの指輪が夕日の中で輝いていた。
「ありがとう、みゆき」
 私の思いを受け止めてくれたみゆきを抱き寄せて唇を重ね合う。
 今度は触れ合うだけではなく、お互いの舌を貪るような激しい、情熱的なキス……

 夕日も姿を隠し、代わりに空には白く静かに輝く月が浮かんでいる。
 私達は無言のまま、お互いの手を握り締め、身を寄り添い合わせて歩く。
 言葉はなくても、繋がれた手から温もりと共にお互いを想う気持ちが伝わってくる。
 今の私達にはそれだけで十分だった。
 そんな静かで穏やかな時間もみゆきの家の前まで来ると終わりを告げる、はずだった……
 家の門の前で振り向くと、みゆきはいつもの微笑を浮かべてこう言った。
「今夜は誰もいないんですよ。もう遅いですし、泊まっていかれてはどうですか?」
 と。
 私の答えは……



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コメント:
  • 何かいいわ -- 名無しさん (2009-04-21 06:53:11)
  • (゜Д゜)!!!
    み、みゆきさんが大胆発言を‥‥!!? -- 名無しさん (2008-12-08 13:47:16)
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