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小春日和

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「最近、いい天気が続いてるよね~」
「そうですね。気持ちのいい小春日和が続いてますね」
「えっ、みゆきさん、今は秋だよ?」
「あんた、ホント馬鹿ね~。
 小春日和って言うのは、秋の終わりの、春みたいな陽気のことを言うのよ」
「「へぇ~、そうなんだ」」
「って、つかさも私と一緒に天気予報とかで聞いてたでしょ?」
「あれ、そうだっけ?」
「おいおい……」


 ―小春日和―   



「かがみ~、つかさ~、遊びに来たよ~」
「あ、こなちゃん、いらっしゃ~い」

今日、私はつかさの家にやってきた。 

「あれ、かがみは? みさきちのところ?」
「うん、そうみたい」

そっか、かがみいないのか……なんか、ちょっと寂しいなぁ。

「こなちゃん、今日は何するの?」
「う~ん、じゃあゲームでも……っと思ったけど、今日は外、歩いていかない?」
「えっ、別にいいけど……どうしたの? 急に」
「いや~、ここ最近いい天気が続いてるし、たまにはいいかな~っと」
「う~ん、うん、そうだね」

というわけで、私たちは外に出ることにした。  



「う~ん、いい天気だね~」
「そだね~」
「ホント、散歩日和だよ」

まずは、神社を歩いてまわってみた。
紅葉がとてもきれいだな~。 

「ここって、秋になるといつもきれいだよね~」
「ホントだよね~、わたしは毎年見てるけど、全然飽きないいんだよね~」

そんな間延びした会話が続いた。
やっぱり、私はこんな風に、のんびり待ったりした感じが好きらしい。
特に、つかさと一緒にいると、気持ちよくなってきちゃって、ついつい……

「こなちゃん、どうしたの?ニコニコしちゃって……」

おっと、やっぱり顔が緩んじゃったか。

「うんにゃ、何も」

そっか、と言って、つかさはまた紅葉に目を戻した。
やっぱきれいだな~紅葉って言うのは。
う~ん、でも何か物足りない……あ、そうだ。

「ねぇ、つかさ」 
「……」 

……あれ?返事がない……

「お~い、つかさ~!」
「ひゃあ! な、何、こなちゃん」
「どしたの?」
「え、えっと……紅葉に見とれてて……」

おいおい……

「で、なに?こなちゃん」
「ん、えっと、これからサイクリング行かない?」
「えっ、どこへ?」
「内緒。さあ、どうする?」
「……うん! 行く行く!」
「んじゃ、私についてきて」
「うん!」




「わぁ~、すごくきれい……」

1時間後、私達は、紅葉並木の下に居た。

「でしょ~。ここは春は桜の花がきれいだけど、秋の紅葉もなかなかきれいなんだよ」
「うん! すごいね~」

ここは、権現堂堤。春は桜の名所となっている。
私も最近まで知らなかったけど、紅葉もなかなかきれいなのだ。
ふと、つかさを見てみた。
この長く続く紅葉並木を見上げて、満面の笑みを浮かべていた。
ここまで満足してくれたら、私も連れてきた甲斐があるってもんだよ。
それにしても、やっぱりつかさの笑顔は癒されるなぁ~。
なんかこう、体がポカポカしてきたと言うか……

「どしたの?こなちゃん」

うおっ、いつの間にかつかさがこっち向いてたよ。

「い、いや、なんでもない……
 それにしても、今日は太陽が気持ちいいね~。まさに小春日和と言うか……」
「こなちゃん。今は秋だよ?」
「ちょ、つかさ……小春日和は春関係ないって、この前かがみが言ってたじゃん」
「あれ? そだっけ?」

つかさ~天然もそこまでくると、さすがにきついよ……
だって、その話したの、1週間前だよ?
ホントもう、どんだけ~って感じだよ。

「そ、それに、今、空、曇ってるんだけど…」

え、そんなはずは……って、本当に曇ってるし。
晴れてるどころか、今にも雨が降り出しそうだ。

「…急いで帰ったほうがいいかな?」
「そうだね。あっ、それよりも、私の家に行ったほうが早いんじゃない?」
「あ、うん。そうだね」
「じゃあ、少し急ごうか?」

すぐに自転車に跨って、私の家に向かった。




「なかなか降り止まないね~。こなちゃん」
「…そうだね」

結局、雨は家に着くまで待ってくれず、ザーザー降り出してしまった。
しかたなく、私達は近くの店の屋根の下に避難することになった。

「さっきまでいい天気だったのに……雨なんて、キライだ~」

と、おもいっきり灰色の空に叫んでみても、雨は降り続くわけで……

「こ、こなちゃん。落ち着いて……」

とつかさが慰めてくれるけど、私の心は晴れなかった。
ぷく~と私がふくれていると、つかさが、

「で、でも、こなちゃんは、昔は雨が好きだったんだよね?」
「ん? ……まあね。昔は屋外球場が多くて、
 プロ野球中継が雨で中止になることがよくあったから、
 アニメの時間がずれなくて嬉しかったんだけど、最近ドーム球場が増えてきたから、
 中止になることが少なくなってね……だから、今はキライのほうに傾いてるわけで……」
「そ、そうなんだ…」

ちょっと引き気味のつかさ。
そうだよね、普通の人の反応って、そんな感じだよね。

「わたしも雨って、あんまり好きじゃないんだよね~。でも……」
「でも?」

私が聞くと、つかさは前を向いて、目を閉じてしまった。

「あの~、つかさ?」

今度は私が聞いても、そのままだった。

「……えっと……」

もう1回聞こうとすると、
「ほら、こなちゃん。こなちゃんも、目を閉じて、耳を澄ましてみて」
とつかさが言ったので、その通りにしてみた。すると、


ザーザー ピチョン ポトッ ポトッ ピッチャンピッチャン ザー ポツッ ピッチャン

……まるで、雨音がオーケストラの演奏のように聴こえてきた。
小気味のいいその音を、私達はしばらく聞いていた……




「ねっ、きれいな音でしょう」

しばらくして、つかさが私に聞いてきた。

「うん。よかった」

私は率直な感想を述べた。

「見てるだけじゃ、鬱陶しい、って思うだけかもしれないけど、
 目を閉じて、耳を澄ましてみると、とってもいい音を奏でてくれるんだよ」 

そう言って、つかさはもう一度目を閉じた。
つかさの表情は、とても嬉しそうだった。
その、陽だまりのような笑顔を見ていると、心の中もポカポカになるような感じがした。

「どうしたの? こなちゃん。顔、真っ赤だよ?」
「ふえっ?」 

え、もしかして、私、つかさに見とれてた?
そして、それをつかさに見られてた? うわっ、恥ずかしい…… 

「い、いや、その……あ、ゆ、夕日がきれいだね~」 
「あ、ホントだ、きれいだね~」 

ちょっと苦しかったけど、何とかごまかせたみたい……
実際、まだ少し雨が降っていたけど、西の空には、夕日が浮かんでいた。
少しぐらいはいいかな、と思って、屋根の外へ出てみた。

「あ、こなちゃん、見て見て~!」 

つかさが後ろを向いて、空を指さしている。
私も振り返ってみると、

「あっ、虹…」
「とってもきれいだね~」 

そこには、2本の虹が、きれいにアーチを架けていた。
つかさは、この虹をまた、嬉しそうに眺めていた。
また私を温めるような、太陽の笑顔で……

「こなちゃん、すっごく嬉しそうだね」

つかさがまた聞いてくるけど、もう気にしないことにした。

「いや~小春日和だな~っと思って」
「え? こなちゃん、まだ雨降ってるし、そんなにあったかくないよ?」
「いいのいいの。さて、雨も弱くなってきたことだし、私は家に帰るとしますか」

困ったような顔をしたつかさを放っといて、私は自転車にまたがった。

「え、あ、じゃあ私もそろそろ帰ろうかな」

つかさの慌てたような声を聞きながら、私は自転車をこぎ出す。
しばらくして振り向くと、つかさが笑顔でこちらを向いて、手を振っていた。

「こなちゃ~ん! また明日ね~!」
「うん、また明日~!」



季節なんて関係ない、天気なんて関係ない、まして、気温なんてもっと関係ない。
つかさが笑ってくれれば、心はいつも“小春日和”なのだ。















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  • ほわほわしていていい話でした -- 名無しさん (2008-10-31 23:14:13)
  • いいのかきましたねぇ作者さんgjです(=ω=、)b
    -- 九重龍太 (2008-03-29 18:36:30)
  • つかさ可愛い~
    -- 名無しさん (2008-01-13 16:19:31)

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