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つかさの、姉への想い

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 二年の三学期を迎え、高校生活もあと一年ちょっととなったころ。
 つかさの中では、ある種の不安が芽生えていた。
 つかさは今まで小学校、中学校、そして高校の間、ずっと姉のかがみのそばにいた。
 しかし、あと一年ちょっとの高校生活が終われば、かがみとはいままでのようにいつも一緒ではいられなくなる。
 志望する進路が違う限り、同じ大学へ進むことはできない。
 仮に二人とも近くの大学に入学すれば、少なくとも家では一緒にいられる。
 しかし、それでも一緒にいられる時間は今よりも確実に少なくなる。
 いつまでも一緒にいてほしい。
 ずっとそばにいてほしい。
 かがみへの想いは、つかさの心を大きく占めるようになっていた。


 ~つかさの、姉への想い~


 ある寒い日の帰り道。その日、つかさは一人で家へと向かっていた。
 新学期になったばかりだが、かがみとみゆきは委員会の仕事で忙しいようで、今日も学校に残っている。
 明日も学校に残るようなので、クッキーでも焼いて持って行こうかと考えながら歩いていた。
 そして、つかさが家の近くの公園のそばを通った時、
「そこの、あなた」
 と呼びかける声が聞こえた。
 振り返ると、小説や漫画で魔法使いが着るようなローブに身を包んだ人物がいた。
 顔もフードで隠れていて、見ることはできなかった。
「えっと、私?」
 周りには自分しかいない。どうやら呼びかけられたのは、自分のようだ。
「そうよ」
 低めの声で、答えが返ってきた。声からすると、その人物は女性のようだ。
 聞き覚えのあるような声だが、誰かはわからない。
 その奇妙な格好に、つかさは
「あなたは、どういう人なんですか?」
 と尋ねた。

「私のことは、とりあえず魔法使いとでも思ってくれればいいわ。
 私はね、あなたの気持ちを知っているの。
 お姉さんへの気持ちをね。
 いつまでも一緒にいたい、ずっとそばにいてほしい。もっと甘えていたい。
 それだけじゃないわね。
 お姉さんに対して、姉妹以上の感情を抱いてすらいる。
 私は、そんなあなたの手伝いをしたいのよ。あなたに、これをあげるわ」
 そう一気に言うと、彼女はガラスでできた小瓶を差し出した。
 受け取って見てみると、中には透明な液体が入っている。

「これは、なんですか?」
「それは、媚薬よ。それを飲んだ人は、しばらくの間性欲の虜になるの。
 その薬は一時的に感情を昂らせたり、理性を奪ったりするだけ。
 そして、その間に目の前の人物に対する強烈な執着心を引き起こすの。
 その執着心は、薬の効き目が切れた後も愛着心となってのこるものなの。」
 つかさは、彼女の言葉をなんとか飲み込んでいるようだ。

「もちろん、それだけであなたの望みをすべて叶えられるわけじゃない。
 そのうち一緒にいられる時間が減る、というのは仕方ないこと。
 でも、もっと甘えたいとかいう願いを叶える手助けにはなるわ。
 ほんの1~2滴飲ませれば十分よ。そうすれば、すぐに薬は効いてくるわ。
 そうすれば、お姉さんの中のあなたへの愛着心はより強いものとなるの。
 もっと一緒にいてあげたい、もっと甘えてほしいといった気持ちが強くなるはずよ。
 お姉さんがあなたのことしか考えられなくなるくらいにしたいなら、もっと多くてもいいかもね。
 でもね、これだけは覚えておいて。この薬はとっても危険なものなの。
 絶対に一度に一気に飲ませすぎないようにしてね。
 盲目的な愛ほど怖いものはないわ。
 それを使うかはあなた次第。それじゃ、私の用事はこれだけだから」
 そう言うと、彼女は立ち去ろうとした。
「あ、待って…」
 つかさは後を追うが、曲がり角まで来ると彼女の姿はもうなかった。



 その日。家に帰り、夕食を食べた後つかさはクッキーを焼いていた。
 明日も委員会の仕事があるというかがみとみゆきに、仕事が終わったら食べてね、ということで
 持って行こうと考えていた。
 そして、もうひとつ。『魔法使い』さんがくれた薬を試してみよう、と。

 焼きあがったクッキーは、とても美味しそうだ。
 つかさは、そのうちの何枚かに二滴ずつ小瓶から雫を落とした。
 一滴、二滴とクッキーに染みこんでいく薬。
 そして、薬をかけたクッキーを小皿に分け、残ったクッキーを袋に詰めた。
 袋に詰めたクッキーは、明日持っていく分。
 そして、小皿に乗せたクッキーは――


 コンコン。
「お姉ちゃん、クッキー焼いたんだけど、食べない?」
 そう言いながら、かがみの部屋へ入るつかさ。
「明日も委員会の仕事があるんでしょ。だから、明日お姉ちゃんとゆきちゃんに持っていこうと
 思って焼いたの。よかったら、少し食べない?」
 委員会の仕事で疲れた後に食べるつかさのクッキーは、とてもおいしい。
 仕事で忙しい自分たちを気遣ってくれるつかさに、かがみは感謝する。
「悪いわね。それじゃ、少しもらおうかしら」
 そう言ってかがみは、クッキーをひとつつかみ、口に入れた。

 薬はすぐに効いてきた。
 かがみの顔は、見てわかるほどに上気している。
 かがみも自身の変化に気づく。
 体が、熱い。どうしたんだろう。
 息遣いが荒くなる。そして、急に目の前の妹が愛おしく見える。
 つかさが欲しい。
 どうしてだろ。妹なのに。
 かがみは、昂る感情を抑えるのに必死だった。

「お姉ちゃん、どうしたの?顔、赤いよ?」
 そう言いながら、かがみの顔を覗き込むつかさ。
 ああ、もうだめ。
 顔を近づけるつかさにかがみはついに耐えきれなくなり、つかさの唇に自分の唇を重ねる。
 そして、つかさの口内に舌をねじ込み、そのままつかさの舌に絡ませた。
「ん…」
 奪うかのように舌を絡めるかがみ。
 しばらくすると、かがみは唇を離した。
「つかさ、ごめんね。私、なんか変なの。急に体が熱くなってきて。
 変だよね、姉妹同士なのに。でも、我慢できないの。だから…」
 そう言ってつかさを自分のベッドへと連れて行こうとするかがみ。
「お姉ちゃん…」
 つかさは、手を引かれるままにかがみのベッドへと向かった。


 ベッドの上で、かがみはつかさの体を抱きしめながら先ほどのような熱いキスを交わした。
 つかさの口内に舌を這わせ、夢中で舌を絡ませるかがみ。
 しばらくそうすると、唇を離し、つかさの服を脱がせた。
 そして、かがみは欲望のままにつかさをただひたすらに愛し続ける。
「お、お姉ちゃ…んっ」
 かがみのするままに身をゆだねるつかさ。
 ずっと、こうしてほしかった。
 思えば、いつでもそばにいてくれた姉。
 困った時には、いつも助けてくれる姉。
 そんな姉に、いつの間にか姉妹以上の感情を抱いていた。
 しかし、いつかは一緒にいられる時間は減ってしまう。
 本当は、ずっとこうしていたい。
 かがみに愛されながら、つかさはそう思っていた。


 このとき、つかさは自分の失敗に気づいていなかった。
 そして、その失敗は翌日に親友であるこなたやみゆきを巻き込むことになるのだが、
 それはまた別のおはなし。


 その日から、いままで以上に仲の良いかがみとつかさ。
「お姉ちゃん、一緒に寝てもいい?」
 あの日以来、かがみのベッドへ潜り込むことが多くなったつかさ。
 いままでも怖いものを見たときにはこうしてもらっていたが、
 今は甘えたいというだけですぐにかがみのところへと向かう。
 いつまでも一緒というのは無理。だけど、今はこうして甘えていたいから。
「もう、この前も来たでしょ。また少し甘えんぼになってきたんじゃないの?」
 そう言いながらも、かがみは内心では一緒に寝たいと思っている。
 つかさもそんなことは知っている。

 あの日、『魔法使い』さんがくれた薬。
 また今度、少し使ってみようかな。
 かがみの体から伝わるぬくもりを感じながら、つかさはそう考えていた。





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  • とても素晴らしい名作!!
    かが×つか最高! -- チャムチロ (2012-09-11 20:41:31)
  • 全部使ったらどうなるんだろう? -- 金武 (2011-01-17 20:02:53)
  • 二人はいつまでも一緒ですよ -- 名無しさん (2010-09-12 11:16:17)
  • 媚薬ってイイネ!! -- 名無しさん (2010-06-20 10:49:51)
  • もっとつかえ!! -- 名無しさん (2010-06-13 12:48:37)

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