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Elope後日談

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匿名ユーザー

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「うーん・・・」
私、柊かがみは今悩んでいた。その理由は机の上にある本である。
「私、こんな本買ったかな?」
表紙にはただ『友情』と書いてあるだけの本、それ以外はいたって普通の本だった。
「・・・見てみようかな」
受験も終わりやることがない現状、本があるなら読むのが道理じゃないだろうか?
という訳で中を見ることにした。

内容は1人の男が主人公で、彼には女の友人が2人いた。
彼はそのうち1人に恋心を持っていたが、打ち明けぬまま、ある日その女の友人の片方から相談された。
相談内容は「2人で好きだけどどうしたら良いんだろう?」とのことであった。

「・・・」

ここまで読んで私はこなたとゆたかちゃんの事を思い出した。
2学期の終業式の日、2人は駆け落ちし、私達とは連絡が取れなくなった。
その後2人を追って行ったけど、色々あり、失敗に終わった。
「つかさやみゆきはもう吹っ切れたみたいだけど・・・」
私はまだ諦めきれない部分があるのは事実。そう思いつつ続きを見るため本のページをめくった。
「え?」
次の瞬間私の目に止まったのは男が言った一文である

「2人が好き同士なら応援するってのが友達だろ、駆け落ちでも何でも2人が決めたことなら俺は応援するぜ」

応援するのが・・・友達・・・
私は本を置いていのり姉さんの部屋に向かった。
「いのり姉さん、いる?」
「あれ?かがみどうしたの」
「ちょっと聞きたい事があって・・・」
そしてこなたとゆたかちゃんのことを私の立場に立った場合どうするかを聞いてみた。無論名前等は出してない
「私としては・・・好きな気持ちもあるとしても応援してあげるかな。でも親とかから勘当されたりすると色々辛いだろうし・・・でも2人がそれで幸せなら・・・」
その後いのり姉さんは色々考え込んでいたので一言お礼だけいい、部屋を出た。そして次はつかさの部屋に
「つかさ、いる?」
「あれ?お姉ちゃん。どうしたの?」
「つかさ、私達とこなたって友達・・・だったよね?」
「え?あ、う、うん。友達・・・だったね」
突然の私の質問に色々慌てるが、つかさの答えを聞く事が出来た。
「でも何で急に?」
「うん、ただ・・・」
「もしかして、まだこなちゃんのこと?」
「今になって思うと・・・認めてあげてよかったんじゃないかな・・・」
そう言ってあの追跡のことを思い出す。最後まで探す事を続けていたのは私やみなみちゃんだ。
「それなら手紙を書いてみたらどうかな?」
「手紙?」
「手紙なら実際に会うわけじゃないけど思いを伝えれるんじゃないかな?」

「あ、それなら・・・でも、住所はどうするの?」
「あ・・・」
やっぱり1つ抜けてる所がつかさらしい、でも手紙ってのはいい案かも。
「住所に関しては後で何とかするとして、手紙なら大丈夫かも。ありがとうつかさ」
私はそう言って自分の部屋に戻り、ノートを1枚破り、ペンを持った。
「でも・・・何て書こう・・・」
書きたいことは色々ある、でも・・・と、そこでふと気づいた。
「そうだ、みなみちゃんにもこのこと伝えておかなきゃ」

翌日、私は1年の教室へと赴いた。
「あれ?かがみ先輩じゃないっスか。どうしたんですか?」
その途中、ちょうど田村さんと会った。
「あ、田村さん。みなみちゃん呼んでくれるかな?」
「いいっスよ、ちょっと待ってください」
田村さんにそう言ってしばらくその場で待った。数分後、みなみちゃんを連れて田村さんがやってきた。
「柊先輩・・・用事ですか?」
「うん、あ・・・ここだとちょっと・・・どこか人気のない所行きましょ、校舎裏とか」
みなみちゃんは黙って頷いた。後ろで田村さんが何やら「ツンデレとクーデレの2大巨頭・・・」なんて呟いてるけど・・・

「それで・・・どんな用事ですか?」
私は昨日の事をみなみちゃんに話した
「手紙・・・」
「うん、昨日読んだ本を見て少しずつ思ったの、私もみなみちゃんも、自分のことばかり考えてて。友達の恋を・・・応援するのが友達じゃないかって」
でも、みなみちゃんは・・・あの騒動を引き押した張本人でもある。同意してくれるかな?
「一晩・・・考えさせて下さい」
「判った。後これ、みなみちゃんも読んでみて」
そう言って私は昨日見た『友情』と題された本を渡した。
「この本・・・柊先輩も?」
「も?もしかしてみなみちゃんも?」
「ええ・・・少し前に見つけて、まだ読んでないけど・・・」
「判った。今日これを読んで、明日答えを聞かせてくれるかな?」
みなみちゃんは頷いて答えた。これは肯定でいいのかな?
「それじゃ、戻りましょ」
「はい・・・」
戻った後パトリシアさんに色々言われたがこの際これは何も考えないことにしておいた。

翌日の放課後、私とみなみちゃんは再び校舎裏で会った。
「それで、答えはどっち?」
「ずっと考えた・・・でも、私はまだゆたかが諦めない心があると思う・・・」
「そう、それじゃあ・・・」
「でも・・・柊先輩と同じように・・・私も・・・友達としてゆたかを祝福したい・・・だから、手紙を送りたい」
みなみちゃんの表情は悲しいけど・・・でも、決意が篭っていた。
「今なら多分誰もいないし、3Cの教室に行きましょ」

みなみちゃんは頷き、私と共に3Cの教室へ歩き始めた。

「多分みなみちゃんも色々伝えたいことがあると思うけど・・・」
私とみなみちゃんは教室でペンを持って紙と対峙していた。
「色々言うよりは・・・多分・・・少ない言葉の方がいいと思います・・・」
みなみちゃんの言葉に頷き、私も書き始めた。伝えることはただ1つだけ・・・幸せに

手紙を書いた私達はそのまま泉家へと向かった。色々悩んだ末、こなたのお父さんに渡すのが一番いい手段だと思ったからだ。
「かがみちゃんにみなみちゃん、こんばんは。どうしたんだ?」
「こんばんは・・・」
「えっと、手紙を・・・」
私はそう言って2人分の手紙をこなたのお父さんに渡した。
「・・・読んだみたいだね」
多分、あの本のことだろう。
「はい、あの本・・・」
「ちょっといろんな人に頼んで部屋に置いてもらったんだ。俺が昔書いた話だが、言いたい事は判るね?」
私もみなみちゃんも頷いた。
「確かにまだ諦めきれない部分もあるかもしれない、だけど、認めてやって欲しいんだ」
「はい・・・」
「手紙は預かっておくよ。今日は冷えるから早く帰った方がいい」
「ありがとうございます、それじゃあ・・・」
私とみなみちゃんは手紙を渡し、一礼して歩き出した。

「柊先輩・・・ありがとうございます」
帰りの途中、みなみちゃんがふと口を開いた。
「え?」
「柊先輩が声をかけてくれなかったら・・・まだ断ち切れなかったと思います・・・」
「いや、私もそうだし・・・だから」
「でも、ありがとうございます・・・」
「こっちもつき合わせちゃって悪かったわ。それじゃ、また明日」
私がそう言って帰ろうとすると、みなみちゃんの小さな呟きが聞こえてきた。
「あの話の男の子みたいに・・・なれるといいですね」
あの男の子・・・そういえば私、最後まで読んでなかったな・・・

家に戻り、本を開いてみる。私が読んだのは相談後、2人が駆け落ちした所までだった。
続きを読む。その後、様々な困難があるも、2人は幸せに暮らしていると男が報告を受け、1人夜道を歩いてる時に呟いた。
「初恋は適わない物か・・・また新しい恋を探そう」
初恋・・・そうか、私も・・・みなみちゃんも・・・あれが初恋だったんだ・・・
「結局私やみなみちゃんに足りなかったのは積極性かな・・・ゆたかちゃん、大人しそうに見えて大胆な行動取っちゃうから。それに負けたかな」
そう呟いて私は携帯を取る。私も少しは積極的に行ってみようかな。
『もしもし、岩崎です』
「もしもし、みなみちゃん?」
『柊先輩?』
「うん、明日一緒にお弁当食べない?そっちが無理なら別に良いけど」
『大丈夫です』
「ありがと、それじゃお休み」
『お休みなさい』
短い会話だけどこれが大きな1歩になることを信じて・・・明日のお弁当は自分で作ろう。












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  • 全作品読んだが……久々に面白い作品に巡り逢えたと感じたよ。
    こなたの逃亡劇、そしてこのおまけ……実に面白かった!
    あなたの作品をもっと読みたいぜ! -- 名無しさん (2008-04-26 07:34:17)
  • かがみとみなみフラグ立つか?!
    -- ウルトラマンガイア (2008-03-19 02:03:14)
  • 本音を晒け出し合えたなら、この二人は絶対に良い友達関係築けると思う。
    GJです -- 名無しさん (2008-02-20 03:30:21)
  • 救いの無いシリーズだなあ、と思いつつ読んでいたが、
    これは、ちょっと救われた感じがした。
    -- 名無しさん (2008-02-07 20:35:19)
  • もう2人くっついちゃえよ -- ジン汰 (2008-02-03 16:37:27)
  • いい仕事してるなそうじろう -- 名無しさん (2008-02-02 11:48:23)

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