ただいま、
といっても誰もいないことくらい分かってる。
今日は言いたい気分なんだから、勝手にさせてよね。
といっても誰もいないことくらい分かってる。
今日は言いたい気分なんだから、勝手にさせてよね。
2月14日。
今日は街がハートに埋まる日。
どこでもここでもチョコの匂いがする。
愚かな女子たちは、その戦略にまんまと引っかかって
愛しのあの人に渡す手作りチョコなんぞを
今日は街がハートに埋まる日。
どこでもここでもチョコの匂いがする。
愚かな女子たちは、その戦略にまんまと引っかかって
愛しのあの人に渡す手作りチョコなんぞを
「ああああむかつくっ!今日はあたしの誕生日なのっ!!!」
なんで誰も気づいてくれないんだろう、
せっかくあたしの誕生日なのに、
バレンタイン優先にしやがってあぁむかつく。
せっかくあたしの誕生日なのに、
バレンタイン優先にしやがってあぁむかつく。
『ばれんたいん☆みっしょん』
時計は、短い針が5の場所にたどり着いたところだった。
・・・・・・暇だ。今日は仕事も入ってないし、ママもいない。
家に一人でいるわけだ。…ということはご飯も作らなきゃならない。
これだからこういうときは面倒臭い。冷蔵庫を開けてみても何もなかった。
・・・・・・暇だ。今日は仕事も入ってないし、ママもいない。
家に一人でいるわけだ。…ということはご飯も作らなきゃならない。
これだからこういうときは面倒臭い。冷蔵庫を開けてみても何もなかった。
「仕方ないからなにか買ってこよ…」
こういう生活になってから思ったことなんだけど、
独り言が増えたかもしれない。
やだ、ハゲる。迷信?だよね?
独り言が増えたかもしれない。
やだ、ハゲる。迷信?だよね?
とりあえずコートと制服を脱ぎ捨てる。
家の中では身軽な格好をするのが基本だ。
ボーダーの長袖Tに黒いふりふりのスカート。
ここ最近のお気に入りの一品。
ほら、ここ、レースがついてる、って見えないから関係ないか。
テレビをつけてからボーっとする。
特に見たいテレビもない。けれどもつけないと寂しい。
そんな義務感に駆られてつけてしまうあたしも、どうかと思うんだけどね。
家の中では身軽な格好をするのが基本だ。
ボーダーの長袖Tに黒いふりふりのスカート。
ここ最近のお気に入りの一品。
ほら、ここ、レースがついてる、って見えないから関係ないか。
テレビをつけてからボーっとする。
特に見たいテレビもない。けれどもつけないと寂しい。
そんな義務感に駆られてつけてしまうあたしも、どうかと思うんだけどね。
「はぁ…」
いつも以上に寂しいのは、きっと気のせいじゃないんだ。
今日は、あたしの誕生日なんだもん。
寂しくないわけ、ないじゃない。
学校のコートをもう1回着る。
風邪を引かないように、ってマネージャーに言われた。
仕事に支障がないようにね、ということなのは分かってる。
誰もあたしの心配はしてくれないのかな、
と寂しいことを思ってみたりする。
今日は、あたしの誕生日なんだもん。
寂しくないわけ、ないじゃない。
学校のコートをもう1回着る。
風邪を引かないように、ってマネージャーに言われた。
仕事に支障がないようにね、ということなのは分かってる。
誰もあたしの心配はしてくれないのかな、
と寂しいことを思ってみたりする。
「本日はーバレンタインデー!」
知ってるがな。あたしの誕生b
「本日に限りましてー、手作りキットがー、なんとー半額ー」
知ってるがな。あたしの誕生b
「本日に限りましてー、手作りキットがー、なんとー半額ー」
半 額 ?
これは買わない手はない。
と思ってしまったが最後、あたしの手には、
夕食のお弁当と、生チョコ手作りキットが握られていた。
会計を済ませて、帰ってきてから気づいたことが一個だけある。
と思ってしまったが最後、あたしの手には、
夕食のお弁当と、生チョコ手作りキットが握られていた。
会計を済ませて、帰ってきてから気づいたことが一個だけある。
「…誰に作るって言うのよ。」
ここまできてどうかとも思うんだけど、
手作りキットを買ってしまったからには、
誰かに作ってあげたい気がしないでもない。
いや待てよ、でも学校の子はどうかと思うし
パパだっていないんだし。
そして最後の選択肢があたしの目の前に提示される。
手作りキットを買ってしまったからには、
誰かに作ってあげたい気がしないでもない。
いや待てよ、でも学校の子はどうかと思うし
パパだっていないんだし。
そして最後の選択肢があたしの目の前に提示される。
「なんで、あんたになんか…」
仕方ないから、仕 方 な い か ら
あいつに作ってあげることにした。
バレンタインなんて縁もなさそうな、あいつに。
あいつに作ってあげることにした。
バレンタインなんて縁もなさそうな、あいつに。
「はいもしもし、」
「あ、白石。」
「あ、白石。」
聞きなれてしまった、あいつの声がする。
あんたは、あたしに何か言うことないの?
あんたは、あたしに何か言うことないの?
「あ、あきら様。今日ってお仕事ありますか?」
「はぁ?」
「はぁ?」
なんだそれ。
そんなこと聞いて何になるの。
そんなこと聞いて何になるの。
「ないけど?あんたは?どうせバイトでしょ?」
「ち、違います、けど、やることがあるんですよ!」
「ほー、じゃぁ今日の晩御飯に『チョコカレー』とかやるの?」
「やりません!ってかあきら様はそんなの食べてみたいですか?!」
「ううん」
「思いつきで提案しないでください!」
「今度白石がやってよ」
「嫌です!あまったるーいカレーなんて嫌でしょ?」
「ち、違います、けど、やることがあるんですよ!」
「ほー、じゃぁ今日の晩御飯に『チョコカレー』とかやるの?」
「やりません!ってかあきら様はそんなの食べてみたいですか?!」
「ううん」
「思いつきで提案しないでください!」
「今度白石がやってよ」
「嫌です!あまったるーいカレーなんて嫌でしょ?」
確かにいやだ。絶対食べたくない。
「あ、じゃあきら様、ずっと家にいるんですよね?」
「そうよ」
「そうよ」
なによ、寂しい子とか思ったら吹っ飛ばす。
そしたらあいつは、ちょっと嬉しそうな声でこう言った。
そしたらあいつは、ちょっと嬉しそうな声でこう言った。
「わかりましたっ!ではまた!」
「ちょっと、白石っ」
ぴっ
「ちょっと、白石っ」
ぴっ
切られた。
なに?ではまた、って?
まぁ良いや、ちょうどいい。
あいつに、義理チョコでも作ろっか…
なに?ではまた、って?
まぁ良いや、ちょうどいい。
あいつに、義理チョコでも作ろっか…
家に生クリームがあったのが不思議でならないんだけど、どういうことだろう。
ママが彼氏に作ろうと思ったんだろうか、良い歳こいて…。
ママが彼氏に作ろうと思ったんだろうか、良い歳こいて…。
「チョコ100に生クリーム50……」
こういう時の独り言は良いの。
独り言じゃなくて確認なんだから。
しっかし、手作りキットは楽で良いわ、チョコを量る必要ないんだもん。
独り言じゃなくて確認なんだから。
しっかし、手作りキットは楽で良いわ、チョコを量る必要ないんだもん。
「2:1か…案外簡単なのね…あっ」
チョコをボール代わりの丼に入れて、生クリームを入れてから気が付いた。
「あ、チョコ、湯煎してないや…」
あたしはその失敗に気付くまで随分の時間を必要としたのにはびっくりだった。
面倒なので、丼ごと、レンジに突っ込む。
というか、それしか方法が思い付かなかった。
面倒なので、丼ごと、レンジに突っ込む。
というか、それしか方法が思い付かなかった。
とりあえず、チンッ
「………あるぇ?」
生クリームが沸騰してしまったらしい。
なんかチョコの匂いが強すぎる。
…まぁ大丈夫だろう、と菜箸で丼をかきまぜ
なんかチョコの匂いが強すぎる。
…まぁ大丈夫だろう、と菜箸で丼をかきまぜ
「あっつい!!!」
うっかり丼を持ってしまったよ…
水道の蛇口をおもいっきりひねり、火傷した左指を水に晒す。
水道の蛇口をおもいっきりひねり、火傷した左指を水に晒す。
「ぎゃっ」
指を水に当てた瞬間、水がはねて、あたしにかかる。
服に、顔に、冷たい水がかかる。
あわてて蛇口を閉める。
服に、顔に、冷たい水がかかる。
あわてて蛇口を閉める。
「なんで、」
思わず口から漏れる愚痴の言葉。
自分が悪いのは分かってる。
でもあいつのせいにしてやりたい。
こうもうまくいかないのは、あんたのせいなんだ。
そういうことにしておいてやる。
自分が悪いのは分かってる。
でもあいつのせいにしてやりたい。
こうもうまくいかないのは、あんたのせいなんだ。
そういうことにしておいてやる。
「なんで白石に義理チョコなんて作っているんだろう?」
途中で通り投げるのも癪だから、
なべつかみでどんぶりを掴んで、
菜箸でチョコをかき回す。
付属の型に入れて冷やす。
こんなんで本当に美味しい生チョコなんてできるんだろうか?
なべつかみでどんぶりを掴んで、
菜箸でチョコをかき回す。
付属の型に入れて冷やす。
こんなんで本当に美味しい生チョコなんてできるんだろうか?
「まぁどうせ白石にあげるんだから、大丈夫…」
スーパーで何故手作りキットを買ったのかは分からない。
いや、半額だったからなのであって、
決してあいつにあげるためじゃない。
型に入れたら冷蔵庫に放り込む。
冷えたらココアパウダーをかければいい。
いや、半額だったからなのであって、
決してあいつにあげるためじゃない。
型に入れたら冷蔵庫に放り込む。
冷えたらココアパウダーをかければいい。
「…眠い。」
時計を見たらいつの間にか7時になっていた。
まだご飯も食べてないのに。
まだご飯も食べてないのに。
…本当にあいつにあげられるか分からないのに、
何で作ってるんだろう?
今日あいつに会えるとも限らない。
それなのに、なんでだろう?
何で作ってるんだろう?
今日あいつに会えるとも限らない。
それなのに、なんでだろう?
何で作ってしまったのだろう?
今は何も考えたくなかった。
考えてしまったら、自分が嘘をついていることを
自覚してしまうのが怖かった。
だからあたしは、
コタツの中にともぐりこんだ。
疲れた…ちょっと、遅めの昼寝をすることに決めた。
考えてしまったら、自分が嘘をついていることを
自覚してしまうのが怖かった。
だからあたしは、
コタツの中にともぐりこんだ。
疲れた…ちょっと、遅めの昼寝をすることに決めた。
ぴんぽーん。
遠くで音がする。
正解したときの音だったか、はて、なんだったか…
きっとハワイ旅行が当たったんだ、誰と行けば
正解したときの音だったか、はて、なんだったか…
きっとハワイ旅行が当たったんだ、誰と行けば
ぴんぽんぴんぽん。
ん?2連続で鳴ったよ?
それからちょっとして、今度は携帯がなり始めた。
あたしは亀みたいにコタツから首を出す。
もう8時になってる…。
うるさい携帯をひっつかみ、発信者を確認。
あたしは亀みたいにコタツから首を出す。
もう8時になってる…。
うるさい携帯をひっつかみ、発信者を確認。
白石みのる
どっかで見たことのある名前だったので、
通話ボタンを押してみる。
通話ボタンを押してみる。
「あ、あきら様!」
「ん…なによ白石、五月蝿いわね…」
「良かった、お家にいるんですね?」
「ん、そうよ、ふぁぁ…」
「ん…なによ白石、五月蝿いわね…」
「良かった、お家にいるんですね?」
「ん、そうよ、ふぁぁ…」
電話から嬉しそうな声がする。
なんなのよ、白石のくせに。
今まで何も言ってこなかったくせに。
なんなのよ、白石のくせに。
今まで何も言ってこなかったくせに。
「とりあえず…開けて頂けますか?」
「なにを」
「ドアを…」
「なにを」
「ドアを…」
どうやらさっきのぴんぽんは、ドアホンだったらしい。
せっかくハワイ旅行があたったと思ったのに…。
ちっ、白石め。
せっかくハワイ旅行があたったと思ったのに…。
ちっ、白石め。
「おはようございます、あきら様…寝てましたね?」
「寝てないわよ」
「ほっぺにたたみじわ、ついてますよ?」
「半田っち、うるさい」
「………?」
「寝てないわよ」
「ほっぺにたたみじわ、ついてますよ?」
「半田っち、うるさい」
「………?」
さすがにこのネタはわかって欲しかった!
あたしはほっぺをさすさすしながら、そのにやけ面に聞いてみる。
あたしはほっぺをさすさすしながら、そのにやけ面に聞いてみる。
「なにしにきたの?」
「え、っと……はい、あきら様…」
「………なぁに?」
「え、っと……はい、あきら様…」
「………なぁに?」
あたしの目の前には、ピンク色の大きめの箱。
白石はあたしにこれをくれるらしい。
白石はあたしにこれをくれるらしい。
「初めて作って…なので、あんまり、自信ありませんけど、良かったら…」
「?」
「?」
箱をあけろ、ということらしい。
台所で開けようにも、
まだお弁当とチョコ作りの後片付けが終わってなかったから、机の上であけてみる。
台所で開けようにも、
まだお弁当とチョコ作りの後片付けが終わってなかったから、机の上であけてみる。
「…ん?………ケーキだぁ!すごぉい!」
「あきら様のリクエスト通り、ホワイトチョコのケーキです…」
嬉しさのあまりに3回転してみた。くるくるっと。ばんざーい☆
ラジオでそんな話をしたことを、ちゃんと覚えていてくれたらしい。
ホワイトチョコのケーキでいちごも乗ってる。
あたしの、リクエスト通りだ。
「あきら様のリクエスト通り、ホワイトチョコのケーキです…」
嬉しさのあまりに3回転してみた。くるくるっと。ばんざーい☆
ラジオでそんな話をしたことを、ちゃんと覚えていてくれたらしい。
ホワイトチョコのケーキでいちごも乗ってる。
あたしの、リクエスト通りだ。
「すごい!すごいよ白石!」
「良かったぁ、喜んでもらえたぁ…」
「良かったぁ、喜んでもらえたぁ…」
白石がちょっと涙目になってるのはなんでだろ?
あ、でも食べないともったいない…
あ、でも食べないともったいない…
「食べて良い?」
「うぐっ…そうしましょうか…自信ないなぁ…」
「うぐっ…そうしましょうか…自信ないなぁ…」
あたしは包丁とお皿とフォークを準備。
白石は、買ってきたジュースを準備。
さ、準備万端、というところで、白石に声をかけられた。
白石は、買ってきたジュースを準備。
さ、準備万端、というところで、白石に声をかけられた。
「あの、あきら様…ちょっと良いですか?」
「なに?」
「なに?」
白石が自分のかばんをいじっている。
ぱ、とだしたのは…猫?の、頭?帽子?
ぱ、とだしたのは…猫?の、頭?帽子?
「これ、かぶってて下さいっよいしょ!」
「ひょえ?!」
「ひょえ?!」
なに?なんか被された!
前が見えないんだけど、はやくとって!
しばらくばったばったとしていると、ぱちり、と電気を消す音がした。
前が見えないんだけど、はやくとって!
しばらくばったばったとしていると、ぱちり、と電気を消す音がした。
「もう、良いですよ?」
「なんなのよ!なに被せて…」
「なんなのよ!なに被せて…」
やっと被されていたものを自分で取る。
猫の着ぐるみ(頭だけ)をとると、
息苦しさはきえて、
あったかい光が飛び込んできた。
猫の着ぐるみ(頭だけ)をとると、
息苦しさはきえて、
あったかい光が飛び込んできた。
白いケーキに赤いいちご、
オレンジ色の蝋燭の火が、
あたしの気持ちを落ち着かせる。
オレンジ色の蝋燭の火が、
あたしの気持ちを落ち着かせる。
「うわぁ…」
「あきら様!お誕生日、おめでとうございます!」
「あきら様!お誕生日、おめでとうございます!」
白石は、にっこにこしてる。
あたしもそれにつられてにこにこ…。
あたしもそれにつられてにこにこ…。
「あ…あきら…様?」
「ふぇぇ…」
「ふぇぇ…」
今あたしは気付いてしまった。
なんでこんな気持ちになったのか。
どうして白石になんかチョコを作ろうと思ったのか。
気付かないフリをしていただけかもしれない。
認めたくなかったその気持ちから、あたしは逃げていた。
なんでこんな気持ちになったのか。
どうして白石になんかチョコを作ろうと思ったのか。
気付かないフリをしていただけかもしれない。
認めたくなかったその気持ちから、あたしは逃げていた。
「あ、あ、あきら様?どうしたんですか?な、なんか悪いことしました?」
「ううん…」
「ほら、蝋燭短くなっちゃいますよ?」
「あのね、白石。」
「は、はい…」
「ううん…」
「ほら、蝋燭短くなっちゃいますよ?」
「あのね、白石。」
「は、はい…」
心配そうにあたしの顔を見てる。
言うなら今しかないんだよ、あたし。
言うなら今しかないんだよ、あたし。
「ずっとね、待ってたの。あたし、あんたに祝ってもらえるの、待ってたんだよ?」
「あきら様…」
「なのになんなのよ!遅いったらありゃしない!」
「すいません、これ、作るの時間かかっちゃって…」
「知ってるわよ!」
「あきら様…」
「なのになんなのよ!遅いったらありゃしない!」
「すいません、これ、作るの時間かかっちゃって…」
「知ってるわよ!」
問題はそんなことじゃないのに、
このわからずや…!
このわからずや…!
「あたしはあんたに、一番最初に祝って欲しかったの!」
「それは」
「ばかっ!さみしかったんだよ!怖かったんだよ!」
「あきら様、」
「あんたに、忘れられちゃったかと思ったじゃない!!」
「……っ!」
「いい加減気づきなさいよ!」
「それは」
「ばかっ!さみしかったんだよ!怖かったんだよ!」
「あきら様、」
「あんたに、忘れられちゃったかと思ったじゃない!!」
「……っ!」
「いい加減気づきなさいよ!」
もう我慢できなくなって蝋燭を消してやった。
ここから先の顔は、もう見られたくなかったから。
ここから先の顔は、もう見られたくなかったから。
「ちょ、あきら様?!あれ?どこ、にっ…」
突然暗くしてやったから、白石にはあたしのことは見えてない。
でもあたしには分かる。
だから、思いっきり、白石に抱きついてやった。
でもあたしには分かる。
だから、思いっきり、白石に抱きついてやった。
「あ、あきら様っ!」
「いい、耳の穴よーくかっぽじって聞きなさい。」
「いい、耳の穴よーくかっぽじって聞きなさい。」
なんでだろ、白石の体が、ものすごくあったかい。
「なんで、気づかないのよ。」
言ってしまえ、もう、こんなチャンスは、二度と、こない。
「あんたのこと、こんなに好きなのに!!」
しばらく、沈黙が続く。
何で何も言わないの?
何か、言ってよ。
あたしがちゃんと言ってやったのに、何も言わないわけ?
何で何も言わないの?
何か、言ってよ。
あたしがちゃんと言ってやったのに、何も言わないわけ?
す、と、息をすう音がする。
「先に、言われちゃいました、ね…」
「え?」
「え?」
する、とあたしの腰に、あったかい腕が回ってくる。
ぎゅ、と、その腕に抱きしめられる。
ぎゅ、と、その腕に抱きしめられる。
「あきら様のこと、大好きですよ…」
なに、言ってるの、
「誰にも負けないくらい、僕は、あきら様のことが、好きです。」
誰も何も言わない。
あたしも、白石も。
なんだか不思議な感じだった。
あたしも、白石も。
なんだか不思議な感じだった。
「・・・・・・・・・ふ、」
沈黙を先に破ったのはやっぱりあたしだった。
「ふ、ふふふふ、白石があたしのこと好きだって言ったー!」
「な、なんですか!ダメでしたか?!」
「ううん、大好きだよ!負けないもん!負けないくらい、大好きだもん!」
「な、なんですか!ダメでしたか?!」
「ううん、大好きだよ!負けないもん!負けないくらい、大好きだもん!」
だって、正直怖かったんだもん、
なんだ、両思いだったんだって、知らなかったよ、あたし。
なんだ、両思いだったんだって、知らなかったよ、あたし。
「ね、ケーキ、食べよ?電気つけてきていい?」
「だめ。」
「え?」
「だめ。」
「え?」
直後、優しく落ちてきたキスに、
どう応えていいか分からなかったから、
こういってやった。
どう応えていいか分からなかったから、
こういってやった。
「ばーかっ!」
電気をつけてからなんだか恥ずかしくなってしまって、
さっさとケーキを食べてしまった。
さっさとケーキを食べてしまった。
まだあたしの作った生チョコは冷蔵庫にいる。
でもまだ、当分、そのチョコに出番はなさそうだ。
でもまだ、当分、そのチョコに出番はなさそうだ。
あたしの誕生日は、まだ始まったばっかりなんだから。
おわり☆
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- アマ~い!小沢さん甘過ぎるよ‼
(安達◯実の元旦那の声で) -- 名無しさん (2010-06-13 22:48:46)