「ええーっ!!」
あり得ないぐらい大きな声が響き渡る。
「な、何っ?」
部屋で早朝までネトゲに打ち込んでいたこなたはその絶叫にいち早く反応し、急いでリビングへと降りる。
するとそこには、涙目になってへたりこんだゆいが居た。
手には携帯を持っている。
……既にオチは見えたが、話を先に進めよう。
するとそこには、涙目になってへたりこんだゆいが居た。
手には携帯を持っている。
……既にオチは見えたが、話を先に進めよう。
「ど、どうしたのゆい姉さん!? 一体何があったの!?」
その様子からただ事では無いことを察知したこなたは、ゆいに事情を訪ねる。
「ううう……。こなたぁ~。お姉さんの話を聞いとくれよ~」
「だから何が……ってのうわっ!」
「だから何が……ってのうわっ!」
ゆいは涙をドバドバと滝のように流しながら、がっしりとこなたにしがみついた。
そしてその状態のまま、ゆいは号泣していた理由を話し始めた。
そしてその状態のまま、ゆいは号泣していた理由を話し始めた。
――――
「なるほどねえ……」
一通り話を聞き、感心して頷くこなた。
加えて、後からゆいに話を聞いたゆたかとそうじろうも同じように感心する。
ゆいが泣いていた理由は――もうお分かりとは思うが――夫であるきよたかの仕事のせいであった。
加えて、後からゆいに話を聞いたゆたかとそうじろうも同じように感心する。
ゆいが泣いていた理由は――もうお分かりとは思うが――夫であるきよたかの仕事のせいであった。
「せっかくきよたかさんとあんま~い1日を過ごすつもりだったのにぃ~! 単身赴任のバカ~!」
「あははは……。まあまあ、ゆいちゃん落ち着いて」
「これが落ち着いていられるかってゆーんですか!」
「あははは……。まあまあ、ゆいちゃん落ち着いて」
「これが落ち着いていられるかってゆーんですか!」
そう愚痴を吐いて、手に持っているコップの飲み物を煽るゆい。
ちなみにコップの中身はノンアルコールドリンクである。
お酒は二十歳から!
ちなみにコップの中身はノンアルコールドリンクである。
お酒は二十歳から!
「う~。大体、単身赴任って何なのよ! 単身赴任の何が偉いってゆ~のか!」
「単身赴任は偉くないよ、ゆい姉さん」
「そうだよゆいお姉ちゃん。仕方無いよ」
「他人事みたいに言わないでよ~。大体、二人は彼氏とか要らないの~?」
「単身赴任は偉くないよ、ゆい姉さん」
「そうだよゆいお姉ちゃん。仕方無いよ」
「他人事みたいに言わないでよ~。大体、二人は彼氏とか要らないの~?」
その質問に、二人はこう答えた。
「かがみは私の嫁。以上!」
「私は……みなみちゃんが居てくれれば、それでいいかな……」
「私は……みなみちゃんが居てくれれば、それでいいかな……」
二人とも彼氏は居ないが彼女は居たようである。
「……なんかズルい」
「ははは……」
「ははは……」
それを見て苦笑していたそうじろうがふと、目をテレビ画面に表示されている時刻に向ける。
気がつけば、二人が学校に登校する時間になっていた。
気がつけば、二人が学校に登校する時間になっていた。
「二人とも、そろそろ時間じゃないのか?」
「あ、本当だ」
「あ、本当だ」
こなたとゆたかはテーブルの横に置いた鞄を手に取り、玄関へと向かう。
「んじゃいってきまーす。あと、今日は帰るの遅くなりそうだからよろしくー」
「私も遅くなりそうだからよろしくお願いします、おじさん。えっと……お姉ちゃん、元気出してね! いってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
「ううう……。姉を見捨てないでおくれ~」
「私も遅くなりそうだからよろしくお願いします、おじさん。えっと……お姉ちゃん、元気出してね! いってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
「ううう……。姉を見捨てないでおくれ~」
しっかり見送りの言葉を言うそうじろうと、未だに涙を流し続けるゆい。
。
そしてドアが閉じられる音が、二人が家を出たことを告げる。
。
そしてドアが閉じられる音が、二人が家を出たことを告げる。
「はぁぁぁぁ……」
その瞬間、途端に魂が抜けそうなぐらいに大きなため息をつくゆい。
実際口から魂が出かかっている。
その様子を気の毒そうに見ていたそうじろうがある提案をする。
実際口から魂が出かかっている。
その様子を気の毒そうに見ていたそうじろうがある提案をする。
「そうだな……どっかで気でも紛らわしてくるのはどうかな」
「はぃ~。そうします~……」
「はぃ~。そうします~……」
ゆいはそれに即答し、そしてそのままフラフラと玄関を出て、車の運転席へと乗り込んだ。
「とは言われたものの……」
ゆいは悩んでいた。
こんなに朝早く散策出来る場所などねーのですよ、と。
まだ早いが、下手に街になど出てみればそれこそバレンタインデーを楽しむカップルによってブロークンハートされてしまうに違いない。
公園なども同じ理由で却下となる。
ゆいの心は硝子なのだ。血潮は鉄ではないが。
かと言って、そのまま家でだらりと過ごすのも、損をしているような気がしていた。
こんなに朝早く散策出来る場所などねーのですよ、と。
まだ早いが、下手に街になど出てみればそれこそバレンタインデーを楽しむカップルによってブロークンハートされてしまうに違いない。
公園なども同じ理由で却下となる。
ゆいの心は硝子なのだ。血潮は鉄ではないが。
かと言って、そのまま家でだらりと過ごすのも、損をしているような気がしていた。
「んー。やっぱりあそこしか無いっかなぁ……」
そんなゆいに、一つ心当たりの場所があった。
「でもなあ……。行っても良いのかなあ……」
ゆいは車中でしばらく考えた挙句、
「ま、いっか! 別に知り合い居るし!」
なんだか根拠になるのかならないのか分からない理由を付け、車のエンジンのキーを回した。
――――
「で、そういうわけだからここに来た……と」
「そうなんですよ……ぐすっ」
「そうなんですよ……ぐすっ」
時は過ぎ、只今3時半。場所は変わって、陵桜学園。
ゆいが選んだ場所は、よりによってそんな場所だった。
そしてゆいは、学校の保健室のベッドに居る。
本来怪我人が寝るべき場所を一つ占領していたのだ。
もちろん保険医であるふゆきは、困った顔をしている。
ゆいが選んだ場所は、よりによってそんな場所だった。
そしてゆいは、学校の保健室のベッドに居る。
本来怪我人が寝るべき場所を一つ占領していたのだ。
もちろん保険医であるふゆきは、困った顔をしている。
「聞いてくださいよ! バレンタインデーに起こった悲しい女性警察官の悲劇をぉぉぉぉ!!」
「それはもう20回ぐらい聞きましたって」
「それはもう20回ぐらい聞きましたって」
呆れた様にぼやくひかる。
それに続くようにななこもゆいを励ます――と言いたかったが、生憎ななこは激安チョコを漁りにデパートを東奔西走している最中である。
仕事はどうした。
それに続くようにななこもゆいを励ます――と言いたかったが、生憎ななこは激安チョコを漁りにデパートを東奔西走している最中である。
仕事はどうした。
「あの、そろそろベッドを空けて戴けると助かるのですが……」
「私も怪我人ですっ! 丁重に扱ってやってくださいっ!」
「私も怪我人ですっ! 丁重に扱ってやってくださいっ!」
ガバッと布団を頭まで被るゆい。
とても既婚者がやるような事には見えない。
と、その時廊下から保健室のドアをノックする音が聞こえた。
とても既婚者がやるような事には見えない。
と、その時廊下から保健室のドアをノックする音が聞こえた。
「すみませーん。天原先生居ますかー」
「あ、はい。どうぞー」
「あ、はい。どうぞー」
ふゆきは一瞬迷って、入室の許可を出した。
正直今のカオスな婦警を見せるのは憚られたが、怪我をしているだろう生徒をわざわざ待たせるなど、それこそ出来ない。
そしてふゆきの返事に応じて生徒が入ってきた。
正直今のカオスな婦警を見せるのは憚られたが、怪我をしているだろう生徒をわざわざ待たせるなど、それこそ出来ない。
そしてふゆきの返事に応じて生徒が入ってきた。
「しっつれいしまーす」
「……」
「ん、峰岸と日下部じゃないか?」
「……」
「ん、峰岸と日下部じゃないか?」
驚きの表情を見せるひかる。
そう、その視線の先に居たのはみさおとあやのだった。
そう、その視線の先に居たのはみさおとあやのだった。
「どうした、こんなところに。怪我はしてないようだが……」
ひかるが言った通り、保健室に来た二人に外傷は見られなかった。
「えっと……あやのが……」
みさおはそう言ってあやののほうを見る。
「……」
あやのは何も反応せず、ずっとうつ向いたままだった。
「どうされたんですか、峰岸さん? どこか具合が悪いんですか?」
ふゆきは峰岸にそっと尋ねる。
そして峰岸から驚愕の答えが返ってきた。
そして峰岸から驚愕の答えが返ってきた。
「心が……痛いです」
……
……
「あの、もう一度よろしいでしょうか?」
「少し……精神的なダメージが大きくて……」
「少し……精神的なダメージが大きくて……」
それだけ言うと、あやのは再びうつむいてしまった。
「ほ、ほらあやの! 元気出せって! たかが兄貴の一人や二人――」
そしてみさおが峰岸を励まそうと涙ぐましい努力をしていたが、逆効果に終わりそうである。
この状況をどうしたらいいのか分からないひかるとふゆきは、とりあえずひそひそと臨時会議を始めた。
この状況をどうしたらいいのか分からないひかるとふゆきは、とりあえずひそひそと臨時会議を始めた。
(えーと、今日は心理カウンセラーの先生はいらっしゃいましたっけ?)
(いや、確か今日は水曜日だから来ないはずだな)
(どうしましょう……)
(お前養護教諭だろ。何とかならないのか?)
(すみません、心の傷に関しては専門外なんです……)
(じゃあどうするんだ?)
(どうしましょう……)
(……まずは話を聞こう。対処方法を考えるのはそれから、というのはどうだ?)
(そうですね。事情が分からない事にはどうしようも無いですし)
(いや、確か今日は水曜日だから来ないはずだな)
(どうしましょう……)
(お前養護教諭だろ。何とかならないのか?)
(すみません、心の傷に関しては専門外なんです……)
(じゃあどうするんだ?)
(どうしましょう……)
(……まずは話を聞こう。対処方法を考えるのはそれから、というのはどうだ?)
(そうですね。事情が分からない事にはどうしようも無いですし)
こうしてとりあえずひかるとふゆきの臨時会議は終了した。
ふゆきは峰岸のほうに近づき、再びそっと話かける。
ふゆきは峰岸のほうに近づき、再びそっと話かける。
「あの、良ければ何があったかお話いただけますか?」
ふゆきの提案に、こくんと頷くあやの。
普段の彼女から想像もつかない返答の仕方だ。
普段の彼女から想像もつかない返答の仕方だ。
「えっと、あの……。実は――」
――――
「どうしましょう……」
「どうしような……」
「どうしような……」
あやのの話が終わると同時に、ひかるとふゆきはまた困り果てていた。
峰岸が告げた原因は、今日のバレンタインデーのことであった。
本当は彼氏と仲良く聖夜を過ごすはずだったのだが、急に泊まりの仕事が入ってしまったせいで、一人になってしまうことになったらしい。
非常に羨ましい悩みだが、本人にとっては大問題だ。
しかも、今ここに居る二人には恋愛経験など無く、相談に乗ることの出来る者も必然的に居ないということになる。
峰岸が告げた原因は、今日のバレンタインデーのことであった。
本当は彼氏と仲良く聖夜を過ごすはずだったのだが、急に泊まりの仕事が入ってしまったせいで、一人になってしまうことになったらしい。
非常に羨ましい悩みだが、本人にとっては大問題だ。
しかも、今ここに居る二人には恋愛経験など無く、相談に乗ることの出来る者も必然的に居ないということになる。
「本当にどうしましょう……」
今日何回言ったか分からない台詞を呟くふゆき。
ひかるはそれに反応せず、脳内で解決案を模索していた。
その時だった。
ひかるはそれに反応せず、脳内で解決案を模索していた。
その時だった。
ガバッ。
「「「!?」」」
突然ベッドから起き上がるゆいにビビるひかるとふゆきとみさお。
そしてスタスタとあやのの前に立ち止まると、がっしりと手を握って言った。
そしてスタスタとあやのの前に立ち止まると、がっしりと手を握って言った。
「仲間!」
「……え?」
「……え?」
急に保健室のベッドから現れた怪しい女性Aにそんなことを言われたら、普通そういう反応をするだろう。
「えっと……仲間、ですか?」
「そう同じ! 君も私と同じ失恋仲間さっ!!」
「そう同じ! 君も私と同じ失恋仲間さっ!!」
失恋仲間ではない。
たまたま都合が悪かっただけである。
たまたま都合が悪かっただけである。
「いやーまさかおんなじ境遇の人に出会うとは思って無かったよ! お姉さん感動っ!」
アクセル全開であやのに一方的にまくし立てるゆい。
その目は盟友(獲物)を見つけ、キラキラと希望に満ちていた。
その目は盟友(獲物)を見つけ、キラキラと希望に満ちていた。
「あなた、お名前は? 私は成実ゆい!」
「峰岸……あやのです」
「よし、あやのちゃん! 今夜は二人で飲み明かすよ!!」
「峰岸……あやのです」
「よし、あやのちゃん! 今夜は二人で飲み明かすよ!!」
あるあ……ねーよ
保健室に居る傍観者ならそう思っただろう。
だがしかし、
保健室に居る傍観者ならそう思っただろう。
だがしかし、
「……はい!」
はっきりと答えるあやの。
その顔に元気が戻っていた。
何 故
その顔に元気が戻っていた。
何 故
「よーし、それじゃあ早速祝杯だ!」
「はい、成実さん!」
「はい、成実さん!」
あやのの返事を合図に保健室という名の戦場を縦横無尽に駆け回る二人。
最早キャラの原型を留めていない。
最早キャラの原型を留めていない。
「あ、あやのが壊れた……」
そんなあやのを、みさおが呆然と見ていた。
するとみさおにふゆきがある提案をする。
するとみさおにふゆきがある提案をする。
「日下部さんは先にお帰りになってもいいですよ?」
「え? で、でも……」
「私がちゃんと家までお送りしますから。 今は冬ですから、まだ暗くなるのは早いですし」
「……分かりました」
「え? で、でも……」
「私がちゃんと家までお送りしますから。 今は冬ですから、まだ暗くなるのは早いですし」
「……分かりました」
ふゆきの説得に、みさおは素直に従う。
そして、とぼとぼと保健室から去ろうとし――立ち止まる。
そして、とぼとぼと保健室から去ろうとし――立ち止まる。
「天原先生」
「はい」
「あやのを……お願いします」
「はい、努力します」
「はい」
「あやのを……お願いします」
「はい、努力します」
その返事を聞いたみさおは、そのまま保健室から出ていった。
……結局、こちらもこちらでキャラの原型を留めていなかった。
……結局、こちらもこちらでキャラの原型を留めていなかった。
「ふゆき。私も今夜の準備があるから、先に帰りたいんだが……大丈夫か? お前一人で」
「はい、これでも保険医ですから。頼りにしてください。桜庭先生」
「ふっ、頼もしいな。それじゃあ頑張ってくれよ。あんまり遅くならない程度に」
「はい、分かりました。それではまた夜に」
「うむ。頑張ってくれ」
「はい、これでも保険医ですから。頼りにしてください。桜庭先生」
「ふっ、頼もしいな。それじゃあ頑張ってくれよ。あんまり遅くならない程度に」
「はい、分かりました。それではまた夜に」
「うむ。頑張ってくれ」
そうしてひかるも、保健室から退室した。
これで状況は人数的に2対1、完全に不利になってしまったことになる。
これで状況は人数的に2対1、完全に不利になってしまったことになる。
(さて、本当にどうしましょう……)
心の中で更にその台詞を復唱するふゆき。
そのふゆきを困らせている原因――ゆいとあやのは、水道水を保健室にあったコップに入れて、天に向かって突き上げ叫んでいた。
そのふゆきを困らせている原因――ゆいとあやのは、水道水を保健室にあったコップに入れて、天に向かって突き上げ叫んでいた。
「バレンタインなんてコノヤローっ!」
「このやろーっ!」
「きよたかさんなんてコノヤローっ!!」
「お兄さんなんてコノヤローっ!!」
「このやろーっ!」
「きよたかさんなんてコノヤローっ!!」
「お兄さんなんてコノヤローっ!!」
……そしてその後、校舎にはバレンタインデーを嘆く2人の泣き声が響いたとか響かなかったとか。
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- 先生たち 何気に百合百合ですね!
GJ -- 名無しさん (2009-11-06 07:26:53) - 彼氏はいないが彼女はいる。
まさに百合!!! -- コメント職人U (2009-10-23 23:50:31) - 何て言うか・・・
かなりのシンクロ率だなww -- 名無しさん (2008-07-24 02:17:25)