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こな☆フェチ ~こなたは私のもの編~

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だれでも歓迎! 編集
 夏
 そこかしこで鳴くセミの声が騒音となって耳に届く
 地面に敷き詰められたアスファルトは、上空にギラギラと輝く太陽の光を受け
 天然の鉄板となって熱気を吹き上げている、さながら私達はお好み焼きだろうか……食べたいな、お好み焼き
 いつも見ているはずの景色が、ゆらゆらと揺れ
 まるで別世界に迷い込んでしまったかのよう
 遠くで朧げに揺れる、電信柱を見据えながら
 なんだか大きな鰹節が踊っているみたい、そんなことを考えていた

 隣で並んで歩く妹は、ピンクの生地にかわいいプリントを施したハンカチで
 ときどき汗を拭いながらこちらに話しかけた
「熱いね~お姉ちゃん」
 この夏に何百回と聞くであろう台詞を口から発する
 それこっちに来るまでに15回目よ
 と、その言葉に突っ込みを入れた
 ずっと数えてたんだ……などと、頬を伝う汗を拭いながら笑うつかさ
 暑さのせいか、口元が引きつっている
 夏の暑さを余計に熱く感じさせる、セミ達の鳴き声をBGMに
 今日のお泊り会のことを考えていた
 確か、みゆきは先に行っているって言ってたわよね
 で、こなた曰く今日と明日にかけておじさんはいないらしい
 なんでも新しい小説の打ち合わせとか何とかで、ちょっとした出張らしい
 おじさんに今日のことを話したら、涙を流しながら地面に拳を打ち付けていたらしい
『ローマ字の小文字で、オー・アール・ゼットなポーズだったよ』
 なんてこなたは言っていたけれど、さっぱり意味が分からなかった
 そんな会話を頭の中で反復させていると、いつの間にか泉家の玄関前に到着
 今となっては見慣れた玄関、その横に備え付けられたチャイムを鳴らした
 ピンポンと、家の中にチャイムが響く、鳴り終わったすぐ後に、玄関へと向かってくる足音が聞こえた
「いらっしゃ~い」
 現れたのは、ノンスリーブにハーフパンツという夏らしい
 ……というか男の子みたいな、ラフすぎる格好の小柄な少女
「あんた、暑いからって……もうちょっと女の子らしい格好にしなさいよ」
「クールビズ、クールビズ」
 いや、それ違うからという私の突込みを無視して、私達を中へと招き入れる
 フローリングの廊下が、ヒヤッと冷たくて気持ちよかった


「おはようございます、かがみさん、つかささん」
 部屋に入ると、先に着いていたみゆきが、ちょこんと腰掛けながら本を読んでいた
 胸元に大きなロゴの入ったTシャツ、それが横にビヨーンと伸びて
 大きすぎる胸を更に強調していた
「おはようゆきちゃん」
 朝のお決まりの挨拶を済ませて、部屋の端へとカバンを置く
 それにしても……何度見てもすごい部屋だな…
「麦茶もって来るねぇ~」
 こなたは、私達を部屋に招き入れると、すぐさま
 1階へ飲み物を取りに向かった
 つかさとみゆきは談笑をしているようで
 私は一人、ちょっと寂しい
「ん?」
 ふと部屋の端に、見慣れたクッションが目に入った
 よくこなたが抱きしめている黄色いクッション
 手を伸ばして掴み取る、フワフワとしていて気持ちいい
 こなたと同じように、胸の中に抱きしめた
「!!」
 つま先から頭のてっぺんにかけて、電流が流れた
 血液が、体中をものすごいスピードで駆け巡るのを感じる
 ……こなたの匂い
 クンクン、クンクン
 スンスン、スンスン
 鼓動が自然と早くなっていく
 こなたの匂い……こなたの匂い……こなたの
「おまたせ~、麦茶のとうちゃ~く♪今日は奮発してケーキもあるよ~♪」
「うひゃ!?」
 突然部屋に入ってきたこなたに驚いて、思わず変な声が出てしまった
 こなたは開け放たれた扉の前で、おぼんをもったまま立ち尽くしている
 きょとんとした顔で……
 みゆきとつかさも、同じような顔で私を見つめていた
「どったの?かがみ……顔、赤いよ?」
「どうかなされたのですか?」
「突然どうしたの、お姉ちゃん?」
「え!?いや、こなたがいきなり入ってきたから、びっくりしちゃって」
 3人同時に同じような質問を投げかけられ、声が裏返る
 クッションを抱える手に、自然と力が入る
「ふ~ん……まぁいいけど」
 こなたはそう言い放ち、おぼんをテーブルへと起いて、3つのコップに麦茶を注いでいく
「ささ、みんなケーキ食べようよ」
 おぼんに乗せたショートケーキを配り、フォークを添える
 ベッドに座っていたつかさとみゆきが、テーブルの前に座る
 私も抱えていたクッションを、名残惜しくも元の位置に戻して
 みんなのところへと移動した
「「「「いただきまーす」」」」


「わーこなちゃん、このケーキおいしいね」
「でしょ~?この前商店街でね」
 こなたとつかさは、このケーキが売っているお店について盛り上がっている
 しかし、私の視線はこなたのフォークに釘付けだった
 こなたの口に…入って……出て…入って、出て
「かがみ?」
「な、何?」
「かがみなんか今日変だよ?」
「え……そ、そんなことないわよ?」
「そお?……あ、そっか!」
 何かに気づいたように、目をキラキラ輝かせると
 ケーキを一口サイズに切り、フォークで刺すと
「はーいかがみ……あ~ん♪」
 あろうことか、私の口元にそれを近づけてきた
「な!!なな、なななな」
「7?お姉ちゃん、7ってなに?」
 つかさは隣で、いつものようなぼけっぷりを発揮している
 私の心情も知らずに
「だってかがみ、食べさせてほしかったんでしょ?私のフォークずっと見てたし」
「い、いや、それは別に」
 顔で無理やり『違うわよ』という表情を作る
「いいの?」
 だめだ、そんなかわいい顔で首を傾げるんじゃない
「あ、あ~ん」
「素直にそうすればいいんだよ♪」
 差し出したフォークにかぶりつく、口の中にとろけるような甘みが広がる
 続いて脳を溶かしてしまうほどの、甘い香りが広がる
 ……いや、『脳が溶けるような』という錯覚を引き起こしたのは、この甘い香りではない
 『これって……間接キスに、なるのよ……ね?』
 そんな妙な考えが脳を支配したためであろう
 一瞬で、顔が熱くなって行く
 まるで体中の血液が、顔面に集まってきているようだ
「ど?おいしい、かがみ……って、なんで顔真っ赤なのさ」
「へ?そ、そそ、そお?」
「ん~……かがみ、ちょっとごめんね」
 ?…なんで謝るんだろうなんて考えていると
 こなたは座ったまま、すすすっと私のほうへ近づいてきた
 ……そして

 ぴとっ

「!?!?!?」
 こなたは、自分と私の前髪をそれぞれかきあげて、おでことおでこをぴたっとくっつけた
 目の前には、私の大好きな顔
 息遣いが聞こえてくるほどの至近距離にある
 こなたのおでこは、私よりもほんのちょっとだけ暖かかった
 少し潤んだエメラルドグリーンの瞳が、私を見据える
 この子、こんなにきれいな眼してたんだ


 ……じゃなくて!!
「ちょ、ちょっとこなたぁ!?」
 ずざざざざっと、正座のまま神速でこなたから離れ(我ながら器用だな)
 壁におもいっきり衝突した
「いいいいいいいいい、いきなり何考えてるのよ!!」
 左手でおでこに触れて、かみまくりながら言った
 いろいろ言いたいがうまく言葉が出てこず、口をパクパクさせている状態……
 たぶん今の私は、餌を求める金魚のような状態だろう
「ん?いや、かがみもしかして熱でもあるのかなって思って……そんなに嫌がらなくてもいいじゃん」
 眉毛をハの字に曲げて、女の子座りのまま寂しそうな顔をするこなた
 ……やばいくらいかわいい
 って、違う違う違う
「別に嫌がってるわけじゃないわよ。ただ、び、びっくりしただけで……それに、熱なんてないから心配しなくても大丈夫よ」
「……なら、いいんだけど」
 こなたは、微妙に納得していないような、安心したようなよくわからない顔で、再びケーキを食べ始めた


 こなたの作った夕飯を食べ終わり、私とつかさとみゆきは、あの子のいうとおりに部屋に戻っていることにした
 漫画を読みふけっていると、ドアから顔だけを覗かせたこなたが言った
「お風呂沸いたよ~、誰から入る?」
「こなた先入っちゃいなさいよ、私はあんたの後に入るから」
「お?かがみそれは『先にシャワー浴びてこいよ』的な発言ですかい?」
「ば、馬鹿なこと言ってんじゃないわよ!!」
 こなたが変なこと言うから、お風呂から上がった後の状況を妄想してしまった
 脳内で『軋むベッドの上で、優しさもちより~♪』なんてBGMが流れている
「じゃあ私は、お姉ちゃんの後に入るね」
「では、私は最後に入らせていただきますね」
 その思考を遮るかのように、2人が私の言葉に続く
 なんとか自己創造した世界から、脱出することができた
「そお?お風呂の掃除とかあるから、私は最後にしようと思ったんだけど」
「それなら私がやっておきますよ」
「ん~、そっか、悪いねみゆきさん……じゃあお言葉に甘えて、一番風呂へとしゃれ込ませてもらいますよ」
「いいから早く入ってきなさいよ」
 ふぁ~い、とやる気のない声を出し、シュルッと顔を引っ込ませて、1階に下りていった


 こなたがお風呂に入ったいるところを想像していると、パタパタと2階に上がってくる足音が聞こえた
「かがみ~、お風呂上がったよ」
「!!!!……そ、そう…じゃあ入らせてもらうわね」
 お風呂上りで湿った髪、上気した頬をしたこなたに興奮しながら
 着替えをもって足早にお風呂に向かった


「はぁ~、今日はなんかいつも以上に意識しちゃうなぁ……どうしてだろう、暑いからかな」
 自分ひとりしかいないお風呂の中で、独り言を呟く
 小声だったが、タイルの壁に跳ね返り、お風呂に反響した
 表面張力の限界を超えた水滴が、私の前髪から滴り落ちていく
 体を洗いながら、またもやこなたに思いを馳せていた
 私、相当依存してるな
「そういえばこれ……こなたも使ったのよね…」
 体を洗っていたスポンジを見つめる
 これは間接洗いっことでも言うのかな……なんだ間接洗いっこって
 頭に浮かんだ変な思考を振り払うかのように、私はシャワーで体中の泡を一掃した
 鼻の下までお風呂に浸かって、ぶくぶくと空気を吐く
 このお風呂にも、こなたが浸かったのよね
 ―――――飲
「だあぁぁああぁあぁぁあああぁあぁぁぁああ!!私は変態かぁああぁあ!!」
 一瞬頭に浮かびかけた、明らかに変態チックな単語……
 それをかき消すように、お風呂にザブンと頭まで潜った


「――み」
 ん?
「か――みってば」
 なんだか聞きなれた声が
「かがみってば!!」
「ひゃぁあ!?」
 眼を開けて、飛び起きた……すると
 恐らく私の顔を覗き込んでいたのであろう、こなたの愛らしい顔がドアップで私の視界を塞いだ
 そして案の定、ゴチンと頭をぶつけ……るのだろう、普通は……
 だが、どう間違ったのだろうか……
 ―――ちゅ
 おもいっきりキスをしてしまった
「んぅ!?」
 驚きのあまり、こなたは限界まで眼を見開いた
 ……うわっ、やわらかい……しかもなんだか甘いようなすっぱいような味がする
 脳髄が融解してしまいそうだ……そういえば、ファーストキスはイチゴ味なんて言葉を聞いたことがあるわね
 ――舌とかいれたらどんな感じなんだろう


「ふぁふぁひ」
「!!」
 一瞬、本当に舌を入れそうになったのを紙一重で止め
 こなたの肩を掴んで、私から引き離した
「ごご、ごごごごごごごごご、ご、ごごごご……ごめんこなた!!」
「ん……いや、いいけども、取り敢えず落ち着こうよかがみ」
「へ?あ、いや……うん、ごめん」
 体中に凄まじい勢いで血液を送る心臓
 張り裂けんばかりだった胸に手を当てて、呼吸を整わせる
 といってもまだバックンバックンいってるけれど
「ふぅ……あれ?私なんでこんなところで……はれ?」
 今気がついたけれど、私はお風呂の前の脱衣所で横になっていた
 しかもバスタオル1枚で
「かがみ、逆上せて気失ってたんだよ、覚えてないの?」
 逆上せた?私が?……そういえば、お風呂に潜った後の記憶がないような
「も~びっくりしたよ、あんまり遅いから見に来たら、土左衛門がいるんだもん」
「ご、ごめんこなた」
「ん、なんともないみたいだから、よかったよ」
 そういいながら、いつもは見せないような優しい微笑で、私の頭を撫でてくれた
 無意識にやってるのか?この理性デストロイヤーめ
 今にも襲ってしまいそうだからやめてほしい……いや、やめないでほしい……
 あ、そういえば
「こなた、ごめんね」
「もう、謝んなくていいってば、無事だったんだし」
「そうじゃなくて、その…キ、キキ……キス、しちゃったこと……」
「ん?あ~、いいよいいよ、うれしはずかし赤裸々ドッキリハプニングだったんだし」
 まったく気にしてないよ~などと、けらけら笑う
 少しは気にしてほしかったんだけどなぁ
 と思ったのだが、よく見るとこなたの頬は仄かに色づいているようだ
 瞳も、ことのほか潤んでいるようにも思える
 本人は気にしていないと言っているが、体の方はしっかりと反応しているようだ
 それがかなりうれしかった
「とりあえずかがみ」
「ん?」
「服着ようか」
「え……あ!!」
 即座に、両手で大事な部分を隠す
 そういえば私、バスタオルしかつけてなかったんだ
 お風呂での熱ではなく、体が火照っていくのを感じた
「いや~今頃隠されても……もう隅々まで見させてもらっちゃったし」
「なぁ!?」
 す、隅々って……
 もしかして、あんなところやこんなところ、はたまたそんなところまで!?
「それじゃあ大丈夫そうだから、先に上で待ってるからね」
「あ……」
 そう言い残すと、足早に脱衣所を出ていってしまった
 心配してくれたなら、体拭いてくれるとか、パジャマ着るの手伝ってくれるとか……
 最後まで付き添ってくれればいいのに…気が利かないんだから
 ……こなたのばか……

「さてと……どう寝ようか」
 みゆきがお風呂から上がってくると、どう並んで寝るかについての小会議が始まった
 こなたの部屋は、テーブルをどかせば、4人が眠れるスペースがある
 なので、今日は4人同じ部屋に寝ることになった
「順番っていうのは大切だよね、このご時世」
 なんで寝る順番くらいで、世の中の話になるのかよく分からなかったが
 私としては、こなたの隣は譲れない……絶対に
「こなた、私、つかさ、みゆきの順でいいんじゃない?」
「かがみさんや、どんな基準でそんな順番になったのかね?」
「いや、なんとなくだけど」
 この順番なら、こなたの寝顔が独り占めできるからに決まってるでしょ
「私もこなちゃんの隣がいいなぁ」
「!?」
 つかさがそんなことを言い出した
 まさかつかさもこなたを狙って……るわけないか
 たぶんなんとなく言ったんだろう、この子の場合
「みゆきさんはどこがいい?」
「私はどちらでもかまいませんよ」
「ん~それじゃあ、かがみ、私、つかさ、みゆきさんの順でいいよね?」
「うん♪」
「はい、大丈夫ですよ」
「……別にいいけど」
 独り占めできないのは残念だけど、まぁ隣に寝られるんならいいか
「布団と枕は、そこの押入れに入ってるから」
「こなちゃん、そこのベッドは使わないの?」
 こなたがいつも寝ているであろうベッドを、つかさが指差す
「ん?せっかくだから、みんなで同じように寝たいかな~って思って」
 そう言いながら、押入れから次々と敷布団、タオルケット、枕を放り投げる
 つかさとみゆきは、それをキャッチしながら寝床の準備をしている
 私はその枕を受け取らずに、例の黄色いクッションを掴んだ
 どうせならこのクッションを枕にして寝たい
 アロマテラピー的な効果があると思うし
 ……コナタセラピー?
「ほらほら、かがみも手伝ってよ」
「あ、うん」
 私達は、こなたが私に投げてきた枕が合図に始まった枕投げをしながら、床に布団を敷いていく
 そして、誰からでもなく眠りに落ちていった


「んぅ」
 不意に眼が覚めた
 夏であっても、この時間帯は少し冷たい風が吹いていて涼しい
 窓が開いているせいか、部屋の中は微妙に肌寒いくらいだった
 そよそよと靡くカーテンの隙間から差し込む月の光が、部屋を濃い青に染めている
 窓の外から流れてくる鈴虫の合唱を聞きながら、こなたが寝ているはずの方向へと顔を向けた
「!!」
 こなたの顔が鼻先にあった
 いつものような、飄々としたにんまり顔ではなく
 あどけなさを残す、子供のような寝顔
 月光の効果もあいまって、それは神秘的な美しさを放つ
 もはや、こなたの発する息遣い以外は、私の耳に入ってこなかった
 すやすやと寝息をたてている唇に眼がいった
 お風呂場での件が、脳内で蘇る
 あのときの興奮が、またぶり返してきて
 ダメだと分かっていても、無意識に、唇がこなたのそれへと近づく
 ……のだが、あと数ミリで触れ合うというところで、この子は反対向きへと寝返りをうってしまった
 そしてそのままころころと転がり、つかさに抱きついた……抱きついた!?
「ちょ……え!?」
 あろうことか、つかさまでそれに呼応するようにこなたを抱きしめる
 この部屋が肌寒かったせいなんだろう、がっちりと密着している
 こなたは、両腕をつかさの背中に回して、右足を腰へと絡ませている
 つかさはこなたの頭を右手で抱えて、左手はこなたの脇を通してお尻へ、股の間で腰に絡んでいない方の足を挟んでいるような状況
 ただ抱きついてるにしては密着しすぎだ
「ふぁ、ん?」
 こなたがもぞもぞと動いたせいだろうか、つかさが眼を覚ましてしまった
 うつろな眼をしながら首を回して、周りを見る
 そして、自分の腕の中に納まっているこなたを見て、動きが止まった
「こなちゃん?……あ、あれ?」
 焦点がはっきりしてきた瞳が大きく見開かれる
 少しだけ慌てた様子で、頬を染めていたが、すぐに落ち着きを取り戻すと
「……こなちゃん、あったかい」
 そう呟いて、さっきよりも少し強くこなたを抱きしめていた

「つかさぁ」
「ふぇ!?お、お姉ちゃん起きてたの!?」
 つかさは、突然のことにビクッと大きく反応する
 こっちを向くような体勢で寝ているにも関わらず
 こなたに集中していたためか、私が見つめていたことに全く気づいていなかったようだ
「その、こなた流石に苦しそうだから……離してあげたら?」
「え?そ、そんなことないと思うけど」
 もちろんそういう意味で言ったのではない
 真意は……ただ単に羨ましかったから
「それに、いま動いたらこなちゃん起きちゃうかもしれないし……せっかく気持ちよさそうに寝てるから」
 まくし立てるように御託を並べ始める
 そんなにその抱き枕が気に入ったのだろうか
「いや、でもほら…やっぱりいろいろと困ることがあるだろうし」
「……お姉ちゃんもしかして、貸してほしいの?こなちゃん」
「え!?」
 核心を突く言葉に、動揺が口から漏れる
 それが悟られないように、できる限り落ち着いて言う
「別にそんなことないわよ、ただその状態で寝たら、朝方寝汗ですごいことになるわよ?」
「私は別にかまわないよ」
 つかさのやつ、あくまでこなたと一緒に寝るつもりなのか
 それなら……
「なんでそんなにこなたと寝たいのよ」
 あえて答えにくい質問で、つかさを動揺させてやろう
 取り合えず私のペースに持ち込んで、つかさからこなたを……
「だって、こなちゃんかわいいんだもん……それに、抱きしめてるとあったかいし気持ちいし」
 あっさりと何でもないように即答されてしまった
 まずい、姉である私がつかさに押されているなんて
 もう対応する手段が残っていない…どうしよう
 どうにかしてこなたを引き離さなきゃ、なんて考えていると
 またもやこなたが寝返りをうった
 そして私のほうへと転がって…
「だ、だめ!」
「んぎゅふ」
 つかさがこなたの襟首をぎゅっと掴んだ、こなたが小刻みに痙攣している……大丈夫なのか?
「ちょっとつかさ、こなたが起きちゃうでしょ!?」
「だってこなちゃん、お姉ちゃんとこに行こうとしたんだもん」
 つかさが拗ねたような顔で、こちらを上目遣いに見ながら
 こなたを後ろから抱きしめた
「今日はこなちゃん、私と寝るんだもん!」
 しまった、つかさの『あれ』が始まってしまったようだ……
 子供の頃からそうだった、いつもは『のほほんぽややんふわふわ』としているつかさだが
 ときどき、ほんとに自分の要求する事・物に関しては、すごく強情になる
 こうなってしまったつかさは、絶対に自分の欲求を曲げない

 だがここで引き下がるわけにはいかない
 こなたは私のものだ!!
 私は寝ている体勢のまま2人に近づき、正面からこなたを抱きしめた
「お、お姉ちゃん!?」
 突然私の態度が変化したことに慌てるつかさ
 それでもこなたから離れようとしない
「つ、つかさ。ほら、こなたが苦しそうでしょ……離してあげなさいよ」
「お姉ちゃんこそ……別にこなちゃんと寝たいわけじゃないでしょ?」
「うんそうよ、つかさがこなたにひっついたままだから、こなたがかわいそうだと思ってね」
「そんなこと気にしなくても大丈夫だよお姉ちゃん、それにこのまま寝ちゃったら寝汗ですごいことになっちゃうんでしょ?」
『むにぅ』
「大丈夫よ、その前につかさが離せばいいんだから」
「それは無理だよ、こなちゃん私と寝るんだもん」
「だからって抱きしめなくてもいいでしょ」
「だってかわいいんだもん」
 こなたの苦しそうな声が、私とつかさの会話に混ざったような気がしたけれど
 今はそれどころじゃない
 つかさと私の攻防は、どちらも引かないので決着がつくこともなく
 刻々と時間だけが過ぎていった


「んぅ……ふぁああ……あれ?体が痛い」
「あ、こなたおはよう」
「おはようこなちゃん」
 部屋を白く照らす、真夏の太陽の光が眩しい
 窓の外では小鳥が囀り、朝を知らせている
 私とつかさの腕の中で、こなたが眼を覚ました
「あ、おはようかがみ、つかさ。清々しい朝だね」
「そうだね」
「そうね」
 そういいつつも、全く清々しいとは思っていなかった
 夜通しつかさとバトルを繰り広げ、スタミナは減り
 一睡もしていないので疲労感と眠気が凄まじい
 更に、あったかいこなたに密着しているため、汗やら熱やらで体が気持ち悪い
 まあそういったマイナス面はすべて、こなたを抱きしめていることで相殺どころかプラスに転じるのだけど

「ところでお2人さん……この状況はいったい?」
「まぁいろいろあってね」
「でも原因は、寝返りが多すぎるこなちゃんなんだけどね」
「そ、そうですか……いや、まぁいいんだけどさ、取り敢えず離れてほしいんだけど……暑いから」
 確かに暑い、そりゃそうだ
 この真夏に3人で抱き合っているのだから、こんなにがっちりと
 だがこの拘束を解くわけにはいかない
 私が離したらつかさが何をするか……
「つかさが離したらね」
「お姉ちゃんが離したら離れるよ」
 顔はニコニコしているが、言いたい事は顔からにじみ出ているつかさ
 『離してしまった方が負け』
 いつの間にか変な意地が私達の間で生まれていた
 最初はこなたの取り合いだったこの勝負も
 もはやこの暑さにどこまで耐えられるかの耐久レースと化していた
「暑いよぉ~2人とも」
「うん、暑いよねぇこなちゃん」
「私だって暑いわよ」
 そんなことは分かっている
 というかもう『暑い』というよりは、『熱い』に近い
 パジャマが体にぴたりと密着している
 流れ出る汗が染みこんで、気持ち悪い
「じゃあ離れればいいじゃ~ん」
「お姉ちゃんが離れたらね」
「つかさが離れたらね」
「あぅあぅ~」
 こなたは汗を吹き出しながら、暑さに悶えている
 恐らく、この3人のなかで一番暑いのはこなただろう
 私とつかさは熱の逃げ場があるけれど、こなたは今密閉されているわけで
 圧力鍋でことこと煮込まれてるような状態だろう
 こなたは私のほうを向くような形で、諸手でわたしの襟部分を掴んでいる
「仕方あるまい、こうなったら……奥義『縄抜けならぬ腕抜け』!!」
 そう叫ぶと、突如こなただけが私達の腕の中から消えた
 結果私達は、こなたの来ていた寝巻きを抱えている状態になった
「え!?な、なんなの!?」
「あれ?こなちゃんが消え?」
「ふっふっふっ、甘いね2人とも」
 声のした方に顔を向ける
 こなたがパンツ1枚で立っていた
 よく見たらその後ろで、みゆきが苦笑いを浮かべている
 どこから見られていたのだろう……
「私を拘束するなんて10年早いね2人とも」


 まずは服を着ろ
 と言いそうになったが、もっと見ていたかったので口内で留めた
 やっぱりこの子は小さいなぁ……いろいろと
 こなたの全身を嘗め回すように見る、それこそ穴が開くほどに
 つかさもみゆきも同じような状態でこなたに見入っている
 仁王立ちのままフリーズしていたこなたが、急にもじもじと恥ずかしそうに服を着始めた……ちぇっ
「ま、まぁみんな、朝ごはんでも食べようよ」
 そそくさと1階へと降りていくこなた
 みゆきも、手早く着替えを済ませるとそれに続いた
「一先ず着替えよっか、つかさ」
「……そうだねお姉ちゃん」
 私とつかさのバトルも終わったところで、身支度を整えてリビングへと向かった


「まったく、今日は2人ともなんか変だよ?かがみは昨日からだけど」
「そんなことないわよ」
「私はいつもと同じだよこなちゃん」
 こなたは目玉焼きに醤油をかけながら、もう片方の手でお味噌汁をかき混ぜる
 あの子目玉焼きには醤油派なんだ、そう考えながら私は塩コショウを振り掛けた
 隣ではつかさが、マヨネーズをかけている
「ふぉうふぁなぁ、ろうふぁんはえへもふぇんらとほもうんだふぇろ」
 箸を咥え、眼をギュッと瞑り、腕を組みながら左右に揺れる
 何言ってるかわかんないんだけど
 ふと、みゆきがこなたの頬に手を伸ばした
「泉さんお弁当、付いてますよ」
 そう言って、こなたの頬に付いたご飯粒を指で掬い、口へと運んだ
「お、ありがとみゆきさん、こういうさり気ないシチュも萌えるねぇ」
 にこにこと満面の笑みでみゆきを見るこなた
 みゆきはそれに天使のような微笑(意味は分かっていないのだろう)で答える
 2人の背景に百合の花が見えたような気がした
 私と変わりなさいよみゆき
「ねぇねぇこなちゃん」
「ん?」
「わー」
 つかさが棒読みな台詞を発しながら、牛乳をぶちまけた
 間違えたように見せかけたのだろうが、どう見てもこなた目掛けてだった……この子は
 ……私は我慢したのに
「……」
 こなたがにこにこ顔のまま固まっている
 みゆきはそれをマリア様のような微笑で見ている……なんで?


「あ、ごめんね?こなちゃん」
「え、いやいいけど……ふえ、牛乳くちゃい」
 そう言って、体にかかった牛乳をぴちゃぴちゃ舐め始めた
 予想外の行動に、つかさが顔を真っ赤にしている
 というか、この光景はなんだか卑猥な感じが……
 そしてみゆきは女神のような微笑でそれを見ている……環境の変化についていけてないようだ
「白濁色の汁は臭いねぇ」
「あんたは、素直に牛乳って言いなさいよ」
「ありゃ~?かがみはな~にを想像したのかにゃ~?」
「う、うるさい!!」
 私を、にやにやといたずらっ子な顔で見るこなた
 ってか、顔にかかった白濁……ぎゅ、牛乳を拭きなさいよ
「私が拭いてあげるねこなちゃん」
 気づけば、つかさがこなたの傍でタオル片手に待機していた
 純粋に、心底うれしそうな笑顔で
「ん、悪いねつかさ」
 いやいやいやいや
 元はといえば、つかさがわざとかけたわけだし
 というかこなたは、わざとっていうのが分かってないのか?
 本当、自分のことに関しては理解力が乏しいわね
 まぁそういうところが逆にいいんだけど

 楽しそうに談笑するこなたとつかさを見ながら、あることを考えていた
 ……昨日今日と、こなたと一緒にいて思ったこと
 ただこなたを見ているだけでも満足だけど、やっぱりかまってほしい、私を求めてほしい
 そして、誰にも取られたくない、つかさにもみゆきにも……
 だから、これからはもうちょっとこなたにアプローチをかけてみたいと思う
 いつか、私のほうを振り向いてもらうために
 ……がんばろう


【 fin 】















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コメント:
  • (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-17 19:14:11)
  • かがみ、暑さにやられて欲望むき出しか?!
    ↓×4、反論の余地は無い☆ -- 名無しさん (2011-04-18 06:25:12)
  • ふぅ やっぱ 萌えるな〜 -- ラグ (2009-02-04 15:35:40)
  • 三角関係、がんばれかがみ! -- 名無しさん (2008-05-21 22:04:11)
  • こなフェチ、最高! -- 名無しさん (2008-03-03 22:32:08)
  • 素晴らしすぎる!!
    これがこなフェチの起源なのか・・・
    個人的なツボをピンポイントで攻撃されすぎて萌え死にそうさ!!
    あ な た が 神 だ !
    異論は認めない。 -- 名無しさん (2007-11-26 14:11:10)
  • いろいろ読みましたが、これは秀逸・・・
    思わずニヤけてしまいますね -- 名無しさん (2007-10-04 13:48:17)
  • とてもGJでした 百合展開が何ともw -- 名無しさん (2007-08-25 13:57:44)

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