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妖精のいたずらと少女たち

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 妖精のいたずらと少女たち――【Kagami side】

 私、柊かがみは今大変な問題を抱えている。
 それは妹のつかさ、友人のこなたと日下部の三人のことである。
 最近、この三人が一緒にいるときの空気が異様に重い。
 そして、その原因となっているのが私である。
 この三人は、みんな私のことを好きになってしまったのだ。
 好きといっても、友達とかそんな関係などではない。
 謂わば、性的な意味で『好き』になってしまったというのだ。
 そして、その三人が互いの気持ちを知っているというのが問題となっている。
 表面上はいつも通りの間柄なのだが、どこか空気が重くて辛い。
 私に甘えっぱなしのつかさに、私にぺたぺたとひっつくこなたと日下部。
 もし私が三人の気持ちを知らないでいられたなら、今よりもずっと気楽にいられただろう。
 しかし、私は三人の気持ちに気付いているのだ。
 この前つかさと一緒に寝た時も、つかさは布団の中でどこか切なそうな顔をして私を見つめていた。
 こなたや日下部も、日々元気を失っていくのが分かる。
 私はそれに気付いていながら、何もできないでいるのだ。
 以前と同じように接し、以前と同じように振舞おうとしていた。
 三人の気持ちなど、気付いていないかのように。

 それから少し経ったころ。
 私が何もできないでいるうちに、また問題が出てきてしまった。
 あの三人が私のことで苦しむ一方で、また別に苦しむ者がでてきたのだ。
 みゆき、峰岸、それから一年のゆたかちゃんである。
 みゆきは、つかさが私しか見ていないのに苦しんでいる。
 峰岸は、日下部が。
 ゆたかちゃんは、こなたが。
 三人とも、自分の想いを寄せる相手が私しか見ていないのに苦しんでいるのだ。
 そのせいで私たち七人の間柄は今、とても不安定な状態にある。
 七人を安定した人数へと揃えるならば、一人が余計となる。
 みゆきたちにとって、それは当然私。
 そして、三人は苦しみや怒りを私にぶつけるようになった。
 閻魔のような業火を纏って私にあたるみゆき。
 鬼神のような気迫を私に向ける峰岸。
 悪魔のように暗闇へと私を追い込むゆたかちゃん。
 私たちの関係は、もう崩れてしまったかのようだった。
 そして、全ての原因は私なのだという事実。
 それが私にとって非常に辛いものだった。


 私のもとに救いがやってきたのは、ある日のお昼休みのことである。
 午前の授業が終わったころに『それ』はやってきた。
 キラキラと光を振りまく小さな体に、透きとおるような薄い羽根。
 それは、幼い頃に絵本で見た妖精だった。
 私も初めは目を疑ったが、それは確かに存在している。
 そして、いかにも妖精らしい可愛い声で私に話しかけてきた。
「はじめまして、柊かがみ。私は見ての通り、いわゆる妖精よ。よろしくね」
 そう自己紹介する妖精。
 妖精というと、さまざまなイメージがある。
 人間に好意的で、願いを叶えてくれるもの。悪戯好きで、人間をからかおうとするもの。
 しかし、実際はどうなのかは私も知らない。
 そもそも本当に妖精がいるなんて、考えたこともないし。
 しかし、どうしても期待せずにはいられなかった。
 この妖精が私の悩みを解決してくれることを。みんなの関係を元のようにしてくれることを。
 そして、
「妖精さん、あなたはどうしてここへ現れたの?」
 と、そう尋ねてみた。
 そして、帰ってきた答えは
「それはね、貴女の悩みを解決するためよ。どうする?貴女の友達との関係を良くすることならできるけど」
 というものだった。その答えに、私は喜びを感じたのだ。。
 そして、私は妖精にお願いをした。
「それじゃ、いくわよ。そーれっ! か が ☆ ふ ぇ ち 発動!!」
 次の瞬間、どたばたとこちらへ向かうみんなの足音が聞こえてきた。
「かがみだぁ~」「おねえちゃ~ん」「ひいらぎぃ~」
 と、私を取り囲む三人。
 三人ともかなり元気にはなっているが、これじゃ本質的に変わってないんじゃないか?
 そう思っていると、周りにはみゆきたちもいた。
 一瞬恐怖を感じたが、みゆきたちも同様に私に飛びついてきた。
 大勢を相手に逃げることもできず、私はみんなの餌食となったのだ。

 放課後。私は追いかけてくるみんなを撒いて、家へと向かっていた。
 妖精はまだ私についてきていたので、文句をぶちまけた。
「どういうことよ!アンタ、何してくれてんのよ!!」
「いや、その……みんなの争いを止めるには、こうするのが良いかと思って……」
「良くないっ!!もっと他の方法があるでしょうが!!」
「だって、私にはこれしか能力がないんだもの。少なくともこの状態でいる限りはみんな元気でいられるし、
 お互いに苦しむこともないんだから良いんじゃないの?」
「ふざけるなっ!!毎日あんなんじゃ、身体が持たないわよ!!」
 まったく、こんな妖精、信じた私がバカだったわ。
「……あ、そうだ。言い忘れてたけど、これってね、貴女の体にかかる魔法なの。
 つまりね、みんなが貴女を好きになるんじゃなくて、貴女がみんなに好かれるってことね」
 私は妖精の言いたいことが良く分からなかった。
 しかし、家に着くとすぐに分かった。
 姉さんたち、それにお母さんまでもが同じ状態だったのだ。
 これから先に起こることを考えると、私は頭が痛くなるのだった。

 妖精のいたずらと少女たち――【Fairy side】

 先に言っておくわ。私は非常に疲れた、と。
 私はあの後、かがみにさんざん怒られてちゃったの。
 もう、せっかく助けてあげたのにね!
 そして長い説教の後、かがみがある提案をしたの。
「ねえ、私以外の誰かをさっきみたいにすれば良いんじゃない?」
 つまり、みんなの気を誰か一人に向けさせるのなら、自分でなくても良いんじゃないかと思ったみたいね。
「そうするとかがみ、貴女もその子に対してはみんなみたいになっちゃうのよ?」
 と一応言ったんだけど、かがみは別にいいって答えたの。
 まったく、勝手なものね。
 で、その候補になったのがクラスメイトの泉こなたという子なの。
 私ね、この子が対象者になるのは何回も見てるんだけど。
「そしたら私、その子のところにつくことになるけど、いいの?」
「いいわよ、別に。それじゃ、あとよろしく」
 そして私は、泉こなたのところへ行き――
「こ な ☆ ふ ぇ ち 発動!!」

 次の日。こなたちゃんはしっかりと役目を果たしていたわ。
 先日までのドロドロとした雰囲気は消えて、みんな元気にこなたちゃんを追いかけていたの。
 かがみも、先日のことなど忘れたかのように追いかけてたわ。
 でもね、この子はいつもこうなっているし、少し不憫に思えたの。
 そして、提案してあげたわ。
「ねえ、他の誰かに移しても良いのよ」
 って。
 そしたらね、こなたちゃんはすこし考えて言ったの。
「うーん、みんなに追いかけまわされるなら、みゆきさんかなぁ……?
 あの人、『歩く萌え要素』だし。とにかく、私はもう疲れたよ。
 ところで何だったんだろ、あの感じ?以前も感じたような……デジャヴかな?」
 それは、きっと他の話のせいね。
 でも、みんな立ち直れてよかったわ。私が来るまではあんなに元気がなかったのに、もう元気になってるみたいだし。
 この子だけじゃなくて、つかさちゃんやみさおちゃんも。
 うん、やっぱりふぇちの力は素晴らしく平和的よね。
 自分の仕事にやりがいを感じたところで、私はその高良みゆきって子のところへ行ったの。

 翌日。今度はみんな、みゆきちゃんを一日中追いかけまわしていたわ。
「み、みなさん、どうしたのでしょうか……?」
「戸惑うゆきちゃん、かわい~」
「ほんとにな~」
「みゆきさん、昨日はさんざん私を追いかけまわしたんだから、今日は覚悟してね」
 まったくね。この子、他の子よりも壊れかたが激しいんだから。
 それはいいんだけどね。
 その夜。私はその子に言われたの。対象を変えろってね。
 できない、って言ったんだけど
「それ、嘘ですよね?一昨日はかがみさん、昨日が泉さんだったのですから、
 変えるのができないなんてことはないはずです」
 と答えてきて。
 凄いわね。あそこまで壊れておいて、しっかり記憶があるなんて。
「イヤだと言ったら?」
 そう言ったら、あの子はものすごい怒りのオーラを纏って……
 言えないっ!!これ以上は思い出すだけで恐ろしいっ!!
 それでね、誰のところへ行けばいいって聞いたら、峰岸あやのちゃんっていう子のところに行けっていうの。
 その子なら、また自分のところへ送り返したりしないだろうからって。
 そして私は、逃げるようにしてそのあやのちゃんの家へ向かったの。

 でもね、そのあやのちゃんもすぐに私を追い出そうとしたの。
 みんなして、ひどいわね。普通みんな妖精が来ると喜んでくれるのに。
 やだっていったら、この子もみゆきちゃんと同じくらい怖い表情をして……
 やだっ!!この先、言いたくないっ!!
 でね、その子は岩崎みなみちゃんっていう子のところへ行ってって言うの。
 なんでも、少し知ってるぐらいの子だから自分に送り返すはずがないってね。
 まったく、ずるいわね。
 それで今度は、みなみちゃんのところへ。
 みなみちゃんは、優しくて良い子だったなぁ。
 私の知る限り、いつもゆたかちゃんのことを心配しているし。
 それで、私はつい言っちゃったの。
「他の人のところに行ってもいいのよ」
 って。
「え……いいの?それじゃ……ゆたかはあんなの、絶対に無理だし……パティかな?」
 なんか私、いろんなところを回ってるなぁ。最初の目的とだいぶズレてきてるし。
 と、そんなことは気にせずにパティちゃんのところへ。
 パティちゃんは、ふぇち状態をかなり楽しんでくれたわ。
 なんでも、最近のみんなの様子から、今度は自分にも回ってくるんじゃないかと期待してたんだって。
「ワタシ、ホカのハナシではキホンテキに『受け』をタイケンしたことがナイですから、とてもオモシロかったデス」
 ってさ。
 今度はしばらく落ち着けるかと思ったけど、
「それじゃツギはもちろん、ヒヨリのところデスね!!」
 って言われちゃって。
 ……なにか勘違いしてるわね、絶対。
 私は別に毎日ふぇち対象者を探してるわけじゃないのに。
 まあ面白そうだし、とその子のところへ行って。
「うう……ヒドイ目にあったッス……恨むッスよ、みんな……
 特に今回、日下部先輩とかって基本的につらい思いをしてないじゃないッスか……
 妖精さん、次はまだこれをくらってない人のところにでも行ってくださいッス……」
 って、また他所へ行かされて。
 そして、いろいろと回ってきて。

「……で、また私のところへ来た、と」
「そ。もう、疲れたわ……」
 そう。私の目の前にいるのは、柊かがみ。
 かがみってば、私のことなんか忘れてたみたい。
 まあ、それもそうか。毎日いろんな人を追いかけ回してたもの。
 というか、最初に私が来たときの理由なんかも忘れてるみたい。
 みんなもう、誰ひとり暗い表情なんかしてないし。
 自分の扱えるふぇちパワーのすごさを改めて知る。
「でね、もう次の人で最後にしたいと思うの」
「ふーん、それじゃ……一年生はかわいそうだし……みゆきだと何か悪いし……」
 で、結局。
「なんでいつもこうなるのさ」
 いつもの通りというかなんというか。かがみが向かわせたのは、こなたちゃんのところ。
 なんか、このふぇち状態が一番しっくりくるんだってさ。
 ごめんね、こなたちゃん。でもね私、もうそろそろ帰るから。
 それじゃまた、今度会う時までね。




















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  • フェチのパワーは素晴らしいですね。 -- 無垢無垢 (2008-12-09 21:25:49)

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