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匿名ユーザー

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携帯を持つ。
短縮の番号。
呼び出し音。
あのこの声。
他愛ない話。
またあした。

いつからなんて覚えてはいない。
いつからなんてのに意味はない。
いつもいつでもいまこの瞬間も。

私は、柊かがみが好きだった。


(さっきまで…話してたんだよなぁ…)
携帯電話を握ったまま幾度も寝返りを打つ。どうしたことか落ち着かない。落ち着きがないのはいつものことであったが。
「…はやく、明日になんないかな」
思わず零れた胸中は、開いた窓から夜空へ消える。
会いたいのだ、あのこに。

「んんっ…」
あぁ、だめだ。
また自分を慰めてしまう。
「ぁあ、う」
声を噛み殺す。家人に聞かれては乙女の立場はない。
それにしても、ここ連日この調子だ。身体が疼いて仕方がない。なにかよくないものでも食べただろうか。
おそらく、食べただろう。食べている。それも、夢の中で。
柊かがみという溺れてしまいそうなくらいあまい果実を。
それはなんと甘美な夢だろうか。
同性で。ともだちで。
そんなあのこを私が好き放題に貪るのだ。
夢の中のあのこは何度も私の名前を呼んでくれる。切ない声で何度も、何度も。
「んあぁっ…!」
思い返して指に勢いがつく。止まらない。たまらない。
かがみ、かがみ、かがみ、かがみ。
「か、かがみぃ…!」
私はびくん、と小さく震え絶頂を迎えた。
そうしてまた呟く。

かがみ。
一人のときになら、そう呼べるのに。





不意に、強く握り締めていたままの携帯が鳴った。驚いて思わずズボンを穿く。
ディスプレイに映る『柊』の文字。
心臓がどきりと、痛く跳ね上がった。
「も、もしもし!?」
《おーっす日下部ー》
「ど、どしたんだよ、ついさっき電話したばっかじゃんか」
《それがさっき言い忘れてたことあってさ、ごめん》
「なんだしっかりしろよなー」
《あんたには言われたくないっ!でさ、明日遊ぼっかって言ってたけど、実はこなたたちと出かける予定あったのよね…》
「……………」
《で、ほんとごめんなんだけど、明日無理なのよ》
「……………」
《だから…日下部?聞いてる?》
「…ぁ、おう、聞いてるってヴぁ!まーたヒイラギはちびっこかよー。愛されてるよなちびっこはー」
《馬鹿なこと言うなって。じゃあ峰岸にも謝っといて。今度また遊びましょ》
「そだな、わかったぜ!」
《それじゃ、おやす…》
「あ、ヒイラギっ!」
《な、なによ急に…?》
「………や、なんでもねーわ。おやすみな」
《なによ気になるわね。ま、日下部らしいけど》
じゃあおやすみ。そういってあのこは電話を切った。
また、言えず終いだ。

携帯を持つ。
短縮の番号。
呼び出し音。
あのこの声。
他愛ない話。
またあした。

私にあしたは来なかった。
泉こなたに、訪れるのだ。


それでもいい。
きっといつか。

いつもいつでも今この瞬間も。
たぶんおそらくこの先ずっと。
私は、柊かがみが好きだろう。




















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コメント:
  • 悲しすぎだってヴァ。
    -- アオキ (2012-01-28 02:36:49)
  • いいね☆。こんな」話も大好きさ^^ -- taihoo (2008-08-07 10:29:33)
  • こういうせつない話も好きです。激しく続編希望します -- 名無しさん (2008-08-07 08:59:20)
  • ・・・なぜ気付かないかがみんや・・・。(悲) -- ブロッ●ンjr (2008-08-06 17:34:28)
  • 何かみさおかわいそうだな
    -- 九龍 (2008-05-27 21:15:41)

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