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破局の足音

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だれでも歓迎! 編集
 お昼休みに入ってすぐに、あまり話をしたことがないクラスメイトが声をかけてきた。
「泉さん。1年の小早川さんが呼んでいるわよ」
「あ、ありがと」
 鞄から弁当箱を取り出した時に、リボンをつけた少女と目があって慌てて逸らす。
「こなちゃん…… 」
「ごめん。つかさ
 私は、辛そうに顔を歪める少女から目を逸らして立ちあがった。

「泉さん…… 」
 捨てられた子犬ような眼差しから逃れて、数歩も進まないうちに、
物憂げな表情をしたみゆきさんに声をかけられる。
 頼むから連続攻撃は勘弁して欲しい。
「ごめんね。みゆきさん」
「泉さん。お願いですから、待ってください」
 みゆきさんは瞼に涙を潤ませながら、真摯な表情で私を見つめてくる。はっきりいって反則だ。
「だから…… ごめん」
 私は、みゆきさんの制止を振り切って、なんとか教室から逃れ出る。

「こなたお姉ちゃん」
 背後の扉を閉めると、廊下の端で待っていた、女の子がほっとしたような表情に変わる。
「ごめんなさい。教室まで押しかけちゃって」
「ううん。いいよ」
 私は、傍らに佇む少女の髪をぽんぽんと叩くと、小さな掌を握り締めて歩き出した。
「やっぱり、3年生のいる階は緊張するかな? 」
「みんな大きな人ばかりだから」
「それは私も同じだよ」
「くすっ」
 全てを魅了するような微笑みをゆーちゃんは浮かべた。


 廊下を真ん中辺りまで進んだところで、ツインテールの少女が前に立ちはだかる。ラスボスだ。
「こなた。どこにいくのよ」
「いや、ちょっとお昼をね」
「ふうん」
 かがみは軽く息を吐くと、私の隣にいる少女を、全ての元凶を見るかのように睨み付けた。
「ゆたかちゃん。どこまでこなたをたぶらかせれば気が済むの? 」
「そんなっ、私はっ! 」
 いきなり激しく非難されたゆーちゃんがひどく動揺してたじろく。
「無垢なフリして、とんでもない女狐なんだから」
 かがみの瞳は、ゆーちゃんに対する敵意に染まっている。

「こなた、アンタもアンタよ」
 いつにも増して機嫌がよろしくないようで、私にも非難の言葉を向けてくる。
「ねえ、こなた。ゆたかちゃんがそんなに大事? 」
 私の後ろにかくれた少女が制服の袖をつかんだ。細かい震えが伝わってくる。
「かがみは、私の嫁だよ」
 冷や汗をたらしながら、私は、はぐらかす。
「そんなこと、分かっているわよ」
 しかし、かがみは頬を紅く染めながらも、あっさりと頷いてしまう。
 いつの間にツンデレを返上したのだろうか?
「だからこそ、私の『オムコさん』についた、悪い虫は追い払わないといけないわ」

「あ、あの。悪い虫って私のことでしょうか? 」
 私の背後に隠れていたゆーちゃんが、恐る恐るといった感じで反論する。
「あんた以外に誰がいるのよ」
「いくら先輩だからといっても、そんな言い方はないと思います」
「なんですって!? 」
 かがみが激発した。
 只ならぬ雰囲気を感じとったのか、廊下に出ていた生徒達が立ち止まる。
「かがみ。お願いだから…… ここではやめてよ」
 私は、目前に迫った破局から逃れるように言うと、ゆーちゃんの手をひきながら、
前を塞いでいる少女の脇を強引に通りぬける。

「ちょっと、こなた。待ちなさい! 」
「ごめん。かがみ」
 私は辛うじて謝罪の言葉を口にすると、俯きながら前に進む。
 廊下の角を曲がり、階段を降りたところでようやく深い溜息をついた。


「ごめんなさい。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんは、蚊の鳴くような声を出した。
「ううん。気にしなくていいよ」
「でも、私のせいで、お姉ちゃんが…… 」
 既に泣き出しそうな顔になっている。
「だから、気にしないで」
 私が強く言うと、ゆーちゃんは押し黙った。
 私は、ゆーちゃんの掌の温度だけを感じながら無言で歩き続け、目的地である空き教室に入った。

 初夏の日差しが眩いくらいに部屋に差し込み、運動場からは生徒達の喚声が聞こえてくる。
「落ちついた? 」
 私は、お弁当箱を机の上に置きながら、あどけない顔をした少女を見つめる。
「うん。もう大丈夫だよ。こなたお姉ちゃん」
 声に力が戻ってきたことを確認してから、私は、柔かい頬に掌をあてた。
「あんまり、かがみのことは気にしないでいいよ」
「でも…… 」
「かがみは大切な親友だけど、愛しているのはゆーちゃんだから」
「こなたお姉ちゃん…… 」
 私は、身体を寄せてくる華奢な雛鳥を包み込むように、優しく抱きしめた。

 高校に入ってから、かがみ、つかさ、みゆきさんという、とても仲の良い友達ができた。
 しかし、私がゆーちゃんの告白に応じて、付き合い始めたことによって、
彼女達と安定的な関係を維持することが難しくなってきた。
 身体は二つに割ることはできないから、ゆーちゃんと付き合いつつ、
かがみ達と一緒にいることができない。
 お昼休みの度に教室を抜け出す私に不審を覚えた、かがみの厳しい追求によって、
ゆーちゃんとの関係はあっさりと知られてしまった。

 つかさやみゆきさんは、とても哀しそうに見つめてくる。
 かがみは露骨にゆーちゃんに敵意をみせる。
 日々悪化していく状況に、焦燥感を募らせながらも、私はどうすることもできないでいた。


 二人だけの食事を終えると、昨日と同じようにゆーちゃんが身体を寄せてくる。
「こなたお姉ちゃん…… キスして」
 ゆーちゃんは瞼を閉じて、唇を心持ち上に向ける。
「うん。いいよ」
 私は、羞恥に震える少女の首の後ろに手を回して、ゆっくりと唇を重ねた。

「ん…… んくぅ」
 微かな吐息にくすぐったさを覚えながら、私は、少しづつ唇を動かしていく。
 ゆーちゃんの唇は、とても柔かくて弾力性があって滑らかだ。
「ん、んんっ」
 触れるだけのキスを堪能してから、私は、ゆっくりとゆーちゃんの唇をこじ開ける。
「んんっ! 」
 くぐもった悲鳴があがり、少女の身体が大きく震えた。

「くちゅ…… ぐちゅ…… 」
 舌で口の中を掻き回す度に、くちゃくちゃと唾液がはねる音が卑猥に聞こえる。
「ん、んくぅ…… んあっ」
 ゆーちゃんの可愛らしい喘ぎ声が断続的に響く。
 私はもっと深くゆーちゃんを貪りたくて、頬の内側の粘膜や、歯茎を執拗に舐め取っていく。
「くちゅ、…… んくっ…… んんっ! 」
 ゆーちゃんも懸命に舌端を伸ばして、私の愛撫を受けとめる。
 鼓動の速度が増し、身体の芯が熱くなる。
 しかし――


「ぷはっ」
 私は、何かを断ち切るように、ゆーちゃんから離れる。
「お、おねえちゃん!? 」
 強引にキスを中断されたゆーちゃんは、きょとんとした顔で私を見つめている
「これ以上は…… ヤバイから」
 いくら空き教室とはいえ、今は昼休みだ。
 何時、知らない人が教室に入ってくるか分からない。
 私は、辛うじて理性を呼び戻すことができたことに安堵しながらも、
思考の冷静な部分は、警鐘を鳴らし続けている。
 触れるだけのキスから、ディープなキスに進んでも満足できない。
 次は、もっと過激な事をしなければならない。

「ゆーちゃん。キス、上手くなったね」
 心の動揺を隠すために、敢えて軽い口調で言う。
「こなたお姉ちゃんが教えてくれたから…… 」
 羞恥に顔を赤らめる姿はやっぱりいじらしい。
「ゆーちゃんの事が好きだから」
「私もこなたお姉ちゃんのことが大好き! こなたお姉ちゃんさえ傍にいれば何もいらない! 」
「ありがと。ゆーちゃん」
 素直で純粋すぎるゆーちゃんの想いを、拒絶することは絶対にありえない。
 私は、迫り来る破局の足音を確かに聞きながら、壊れそうなくらいに華奢な身体を強く抱きしめた。

(終)


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コメント:
  • ↓それはこな☆フェチwwww -- 名無しさん (2010-02-22 16:27:32)
  • かがみが爆発した。に見えた。ごめん。 -- 名無しさん (2009-12-10 01:01:51)
  • 出だしにこなフェチの匂いがした自分は病気。 -- 名無しさん (2008-05-21 18:57:59)
  • おおやはり23-351氏の書くこなゆたはとても面白い。ひきこまれてくし

    -- 九重龍太Й (2008-05-19 05:50:04)

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