今やほとんどの日本人にとって、クリスマスという奴は物心ついた頃にはもうすでにそこらじゅうにはびこっていて、子供の時分には「プレゼントをもらえる日。ケーキが食べられる日」くらいに認識していたことだろう。人によっては、そのまま今日に至っているかもしれない。そして年を経るに従って「恋人と一緒にロマンチック(ローマ人のようにと言う意味ではない)に過ごす日」に変貌し、いわば勝ち組と負け組を分かつ運命の日にでもなっているといったところだろうか。
ある調査によると、日本人の結婚適齢期の独身者は、男女とも7割以上が交際相手がおらず(いる割合……男24% 女28%。ただし、結婚適齢期を17歳~34歳としている点に何か問題がありそうな調査である。なお、対象を24歳以上にした場合も、やはり6割がいない派だった)、民主主義の原則に則れば、いない派の方が多数派であり、よって正しいという事になる……多数派たる事に負い目を感じている場合は、そう抗弁するのもまた一興であろう。
とはいえ、一般的には少数派に対する憧れは強く、嫉妬心はさらに強い。それは適齢期の下限たる17歳の女子高生においても例外ではない。
ある調査によると、日本人の結婚適齢期の独身者は、男女とも7割以上が交際相手がおらず(いる割合……男24% 女28%。ただし、結婚適齢期を17歳~34歳としている点に何か問題がありそうな調査である。なお、対象を24歳以上にした場合も、やはり6割がいない派だった)、民主主義の原則に則れば、いない派の方が多数派であり、よって正しいという事になる……多数派たる事に負い目を感じている場合は、そう抗弁するのもまた一興であろう。
とはいえ、一般的には少数派に対する憧れは強く、嫉妬心はさらに強い。それは適齢期の下限たる17歳の女子高生においても例外ではない。
そういうわけで、陵桜高校2-Eの教室の一角にほぼ休み時間ごとに結成されるカルテット、またはシュヴァルム(四機編隊)。その内輪において泉こなたが、クリスマスは帰りが遅くなるという旨を親に話したという事を聞いた時の三人の反応は、驚きに満ちたものだった。真相はもちろん、コスプレ喫茶でのバイトで聖夜の無駄遣い、というものである。
「てっきり男でも出来たのかと思ったわよ」
かがみは何故か無駄に大げさに胸を撫で下ろす。こなたに対して優位に立ちたいという、彼女の矜持の現れであろうか。
「お客さんはほとんど男の人だからね~。特に24日は」
「確かに、イヴの夜に、親子連れやカップルがコスプレ喫茶に殺到するとは思えないわね」
「お……」
こなたはかがみに顔を近づけて、満足気に言う。
「かがみ、良いとこ突いてるね」
「へ?」
褒められたらしいのだが、その理由が判然とせずきょとんとする。
「つまり、商売だよ」
こなたは以前、ある議論を「愛だよ」で押し切った時と同じ口調で言った。
「この場合商業って言った方がいいのかな? ……かがみん、他二名」
「な、何?」
誕生日を祝ったときとは逆に、自分だけ略されなかった事にどぎまぎしてしまう。
「なあに?」
「なんでしょう?」
「みんなは毎年、どんなきっかけでクリスマスが近付いた事を知る?」
「えーと……」
「うーん……?」
「そうですね……」
三者三様に思案する様子を楽しそうに眺めながら、こなたは言う。
「カレンダーに印をつけながら、もういくつ寝ると……じゃないよね?」
「小学生の頃のつかさ、そうだったわよ」
かがみが妹の若気の至り(?)を思い出すと、つかさは赤面した。
「お姉ちゃん……恥ずかしいよ」
「いや、つかさらしくて萌えるよ」
こなたのフォローにみゆきも肯く。可愛いと思うのはいいが、萌えるのはやめてくれと思うかがみである。
「デパートとかお店が、それっぽい装いになることによって、クリスマスが近い事を知るようになってないかな?」
「「あ……」」
つかさとみゆきは虚を突かれた様な顔になった。パン屋やケーキ屋がクリスマス・ケーキの予約受付を開始し、敷地内にツリーを飾り、従業員が赤服と赤帽子を纏うようになってなるほど、今年もこんな時期か、なんて感じている自分がいる……ような気がする。
「クリスマス商戦という言葉がありますが、商業イベントに徹しすぎている嫌いはあるかもしれませんね……」
「それでいて2月14日に比べると、陰謀だって言われる事あまりないよね」
「お菓子会社の陰謀だ、っていうアレ?」
「12月24日の方が、よっぽど陰謀めいてない? 企業はもちろん、教会までもが一枚噛んでそうで」
「教会にとってクリスマス・ミサは、神社にとっての初詣みたいなもので公式行事よ。参加だって無料のはずだし、サンタクロースの起源がキリスト教の聖人にあるとはいえ、商業主義に加担していると見なすのは可哀想じゃない?」
かがみは肩をすくめる。
「ですが……」
みゆきがおずおずと口を挟む。
「確かにヴァレンタインと比べると、商戦としての規模ははるかに大きいでしょうね。若いカップルやカップル未満の人たちばかりでなく、プレゼントを贈る大人、贈られる子供と、幅広い年齢層を巻き込んでいる分擁護する力が強く、それに比べて反発する人はまだまだ少数といえるかもしれませんね。……あ」
「あ……」
みゆきとかがみは何かに気付いたようで、思わず顔を見合わせる。
「な、なになに??」
つかさは気付いていないようなので、かがみが説明してやる。つまりかがみが挙げた「子供連れやカップル」というのは、ことごとくクリスマス商戦のメインターゲットなのだという事を。
「商売だよ」
こなたはなおも言う。
「どこまでも貪欲なそれは、一緒に過ごす相手のいない人までクリスマス商戦に巻き込んでいるんだよ」
「結局、あんたも陰謀側の人間じゃない……」
「そういえば……」
みゆきはまたもおずおずと言う。。
「結婚適齢期の日本人の6割から7割は、交際相手がいないそうです。商売と割り切るなら、多数派であるそういう人たちを相手にした方が、理に適っているといえるのかもしれませんね……。ちなみにその結婚適齢期には、私たちも含まれる場合があるようですよ」
「ちょ、まだ17よ。民法上いちおう出来る歳だけど……」
法学部志望のかがみが、それに相応しい言い方で指摘する。
「高校で出会って、卒業後すぐではないにしても、最終的に結婚に至るという例が少なくないのでしょうね……」
「うんうん、そういうギャルゲーがあった」
こなたが肯く。
「6割から7割がいないって事は、3割から4割はいるってことよね」
理論上、カルテットないしシュヴァルムが一つ出来れば、一人は該当者がいる数字である。理論上は。でも実際は……。
「全滅、よね……。私たち」
「てっきり男でも出来たのかと思ったわよ」
かがみは何故か無駄に大げさに胸を撫で下ろす。こなたに対して優位に立ちたいという、彼女の矜持の現れであろうか。
「お客さんはほとんど男の人だからね~。特に24日は」
「確かに、イヴの夜に、親子連れやカップルがコスプレ喫茶に殺到するとは思えないわね」
「お……」
こなたはかがみに顔を近づけて、満足気に言う。
「かがみ、良いとこ突いてるね」
「へ?」
褒められたらしいのだが、その理由が判然とせずきょとんとする。
「つまり、商売だよ」
こなたは以前、ある議論を「愛だよ」で押し切った時と同じ口調で言った。
「この場合商業って言った方がいいのかな? ……かがみん、他二名」
「な、何?」
誕生日を祝ったときとは逆に、自分だけ略されなかった事にどぎまぎしてしまう。
「なあに?」
「なんでしょう?」
「みんなは毎年、どんなきっかけでクリスマスが近付いた事を知る?」
「えーと……」
「うーん……?」
「そうですね……」
三者三様に思案する様子を楽しそうに眺めながら、こなたは言う。
「カレンダーに印をつけながら、もういくつ寝ると……じゃないよね?」
「小学生の頃のつかさ、そうだったわよ」
かがみが妹の若気の至り(?)を思い出すと、つかさは赤面した。
「お姉ちゃん……恥ずかしいよ」
「いや、つかさらしくて萌えるよ」
こなたのフォローにみゆきも肯く。可愛いと思うのはいいが、萌えるのはやめてくれと思うかがみである。
「デパートとかお店が、それっぽい装いになることによって、クリスマスが近い事を知るようになってないかな?」
「「あ……」」
つかさとみゆきは虚を突かれた様な顔になった。パン屋やケーキ屋がクリスマス・ケーキの予約受付を開始し、敷地内にツリーを飾り、従業員が赤服と赤帽子を纏うようになってなるほど、今年もこんな時期か、なんて感じている自分がいる……ような気がする。
「クリスマス商戦という言葉がありますが、商業イベントに徹しすぎている嫌いはあるかもしれませんね……」
「それでいて2月14日に比べると、陰謀だって言われる事あまりないよね」
「お菓子会社の陰謀だ、っていうアレ?」
「12月24日の方が、よっぽど陰謀めいてない? 企業はもちろん、教会までもが一枚噛んでそうで」
「教会にとってクリスマス・ミサは、神社にとっての初詣みたいなもので公式行事よ。参加だって無料のはずだし、サンタクロースの起源がキリスト教の聖人にあるとはいえ、商業主義に加担していると見なすのは可哀想じゃない?」
かがみは肩をすくめる。
「ですが……」
みゆきがおずおずと口を挟む。
「確かにヴァレンタインと比べると、商戦としての規模ははるかに大きいでしょうね。若いカップルやカップル未満の人たちばかりでなく、プレゼントを贈る大人、贈られる子供と、幅広い年齢層を巻き込んでいる分擁護する力が強く、それに比べて反発する人はまだまだ少数といえるかもしれませんね。……あ」
「あ……」
みゆきとかがみは何かに気付いたようで、思わず顔を見合わせる。
「な、なになに??」
つかさは気付いていないようなので、かがみが説明してやる。つまりかがみが挙げた「子供連れやカップル」というのは、ことごとくクリスマス商戦のメインターゲットなのだという事を。
「商売だよ」
こなたはなおも言う。
「どこまでも貪欲なそれは、一緒に過ごす相手のいない人までクリスマス商戦に巻き込んでいるんだよ」
「結局、あんたも陰謀側の人間じゃない……」
「そういえば……」
みゆきはまたもおずおずと言う。。
「結婚適齢期の日本人の6割から7割は、交際相手がいないそうです。商売と割り切るなら、多数派であるそういう人たちを相手にした方が、理に適っているといえるのかもしれませんね……。ちなみにその結婚適齢期には、私たちも含まれる場合があるようですよ」
「ちょ、まだ17よ。民法上いちおう出来る歳だけど……」
法学部志望のかがみが、それに相応しい言い方で指摘する。
「高校で出会って、卒業後すぐではないにしても、最終的に結婚に至るという例が少なくないのでしょうね……」
「うんうん、そういうギャルゲーがあった」
こなたが肯く。
「6割から7割がいないって事は、3割から4割はいるってことよね」
理論上、カルテットないしシュヴァルムが一つ出来れば、一人は該当者がいる数字である。理論上は。でも実際は……。
「全滅、よね……。私たち」
はあ……
溜息が出る。
「陰謀説じゃないけど、自分はキリスト教徒じゃないからクリスマスは関係ない、って言って背を向けるのもいるよね」
気を取り直したかがみが思い出したように言った。
「ああ、よく言うよね。って、かがみは違うの?」
こなただけでなく、みゆきも不思議そうな顔をかがみに向けていた。
「いいのよ」
かがみはうんざりしたように答えた。適齢期下限に達するまでの人生で、繰り返し為された質問なのだろう。つかさも苦笑している。
「プレゼントをもらってた頃もあるし、ケーキだって毎年楽しみにしてるもの」
「ケーキに関しては予想通りだけどね」
「それは宗教的な寛容のため、ですか?」
みゆきが聞く。
「寛容というよりは、適当って言った方が近いんだけど……。うちは娘ばっかり四人だから、少なくとも三人は他家に嫁ぐ事になるわけでしょ」
「相手が見つかればね」
「そうなのよ。目下それが大問題でね……って、やかましいわっ!」
「The ノリツッコミ」
「出来てたの、今の? ……まあいいや。そんなわけだから、あんまり神道に染まりすぎていると、色々不都合も出てくるか知れないでしょ」
「The 親心」
「それに、そういうのって日本古来の宗教観に反しているわけでもないのよ」
かがみは仏閣を参拝した事も、教会で賛美歌を歌った事もあるという。
「やおよろずの神を祀っているからね」
「やお……?」
こなたは趣味ゆえに、同人誌の世界でよく聞かれる「やおい」と「よろず」の合成語を想像してしまった。
「『八百万』と書いてやおよろず、ですよ。厳密な数字ではないそうですが」
最も単純かつ素朴な形で、みゆきが解説した。
「ものすごくたくさんて意味だよ」
つかさがつかさのくせに付け加えた。
「だから、後から神や仏が一つ二つ増えても、大して変わらないのよ」
「なにげに大問題発言だね」
みゆきは、英語の「god」が一神教の神を指す言葉だという事を思い出したが、割り込めそうにないので黙っていた。
「そういうあんたはどうなの? おうち、仏教でしょ?」
「ああ、うん。お母さんの位牌が仏壇に置いてあるから、一応はそうかな」
「学校行事とか億劫がるあんただし」
「ん~、否定はしないよ」
「クリスマスも面倒がって、『私は仏教徒だからクリスマスは関係ない』って言っても驚かないわよ?」
「それだとプレゼントがもらえないじゃん」
「詰まるところそれか! プレゼントさえもらえれば、何教でもいいでしょ?」
だとすれば、カーゴ・カルト(積荷崇拝)に近いのではないでしょうか、とみゆきは思ったが黙っていた。
「プレゼントの代償として、チャックモールに心臓を捧げろって言われたら考えちゃうけど」
「すぐ断れよ!」
「貧乳は希少価値でステータスな上、心臓を取り出すのも簡単なんだろうなあ」
「ていうか、チャックモールって……」
みゆきはアステカの人身御供についての知見があったのだが、心臓を取り出すのが難しそうな胸を押さえて苦笑しただけだった。
気を取り直したかがみが思い出したように言った。
「ああ、よく言うよね。って、かがみは違うの?」
こなただけでなく、みゆきも不思議そうな顔をかがみに向けていた。
「いいのよ」
かがみはうんざりしたように答えた。適齢期下限に達するまでの人生で、繰り返し為された質問なのだろう。つかさも苦笑している。
「プレゼントをもらってた頃もあるし、ケーキだって毎年楽しみにしてるもの」
「ケーキに関しては予想通りだけどね」
「それは宗教的な寛容のため、ですか?」
みゆきが聞く。
「寛容というよりは、適当って言った方が近いんだけど……。うちは娘ばっかり四人だから、少なくとも三人は他家に嫁ぐ事になるわけでしょ」
「相手が見つかればね」
「そうなのよ。目下それが大問題でね……って、やかましいわっ!」
「The ノリツッコミ」
「出来てたの、今の? ……まあいいや。そんなわけだから、あんまり神道に染まりすぎていると、色々不都合も出てくるか知れないでしょ」
「The 親心」
「それに、そういうのって日本古来の宗教観に反しているわけでもないのよ」
かがみは仏閣を参拝した事も、教会で賛美歌を歌った事もあるという。
「やおよろずの神を祀っているからね」
「やお……?」
こなたは趣味ゆえに、同人誌の世界でよく聞かれる「やおい」と「よろず」の合成語を想像してしまった。
「『八百万』と書いてやおよろず、ですよ。厳密な数字ではないそうですが」
最も単純かつ素朴な形で、みゆきが解説した。
「ものすごくたくさんて意味だよ」
つかさがつかさのくせに付け加えた。
「だから、後から神や仏が一つ二つ増えても、大して変わらないのよ」
「なにげに大問題発言だね」
みゆきは、英語の「god」が一神教の神を指す言葉だという事を思い出したが、割り込めそうにないので黙っていた。
「そういうあんたはどうなの? おうち、仏教でしょ?」
「ああ、うん。お母さんの位牌が仏壇に置いてあるから、一応はそうかな」
「学校行事とか億劫がるあんただし」
「ん~、否定はしないよ」
「クリスマスも面倒がって、『私は仏教徒だからクリスマスは関係ない』って言っても驚かないわよ?」
「それだとプレゼントがもらえないじゃん」
「詰まるところそれか! プレゼントさえもらえれば、何教でもいいでしょ?」
だとすれば、カーゴ・カルト(積荷崇拝)に近いのではないでしょうか、とみゆきは思ったが黙っていた。
「プレゼントの代償として、チャックモールに心臓を捧げろって言われたら考えちゃうけど」
「すぐ断れよ!」
「貧乳は希少価値でステータスな上、心臓を取り出すのも簡単なんだろうなあ」
「ていうか、チャックモールって……」
みゆきはアステカの人身御供についての知見があったのだが、心臓を取り出すのが難しそうな胸を押さえて苦笑しただけだった。
「でもまあ」
こなたは腕組みをして言った。
「天才だよね」
「はあ?」
「天才でしょでしょ」
「主語か目的語を入れてくれないか?」
「最初に『自分は仏教徒だから(ry』って言った人だよ。初めて聞いたとき、なんて画期的な意見だって思ったもん」
「まあ、目新しかったかもしれないけど、天才というほどか?」
「そういうのってさ、みんなが真似して猫も杓子も『自分は仏教徒(ry』ってなると、逆に胡散臭くならない? じゃあ、キリスト教的なクリスマスって何? って」
みんながみんなそういう疑問を抱かなかったからこそ、クリスマスは日本に定着したんだろうな、かがみは思った。
「みゆきさん」
こなたは教師のようにみゆきを指名した。だが、みゆきは教える立場である。
「イエス・キリストは、クリスマス・ケーキを食べたことはあるのかな?」
「どうでしょう……? ケーキは、家庭へのオーブンの普及に伴ってポピュラーな食べ物となって行きましたが、それは19世紀以降の事ですし……」
みゆきはその道の専門家といっても差し支えないつかさに、「そうですよね?」という視線を投げかけたが、「え、そうなの??」という視線を返されてしまった。
「ですが、例え食べたとしても、現代のものとは味は大きく異なるはずです」
「どうして?」
「まだ砂糖が伝わってませんから……」
「つまり、イエスが食べた事のないような甘~いケーキを食べて、キリスト教的に過ごしているつもりでいる、と?」
「言いがかりだし……屁理屈だし……」
ケーキ擁護派(?)のかがみはそっぽ向いて、槍だか匙だかを投げるように呟いた。
「イエスはクリスマスにクラッカーを鳴らした?」
「火薬も紙も伝わってませんね……」
「イエスは『メリー・クリスマス』って言った?」
「当時まだ英語は存在しません」
「イエスはサンタ・クロースにプレゼントをもらったかな?」
サンタさんに関して早くに夢破れたみゆきであり、その点は非常に詳しい。要約するとこうである。
こなたは腕組みをして言った。
「天才だよね」
「はあ?」
「天才でしょでしょ」
「主語か目的語を入れてくれないか?」
「最初に『自分は仏教徒だから(ry』って言った人だよ。初めて聞いたとき、なんて画期的な意見だって思ったもん」
「まあ、目新しかったかもしれないけど、天才というほどか?」
「そういうのってさ、みんなが真似して猫も杓子も『自分は仏教徒(ry』ってなると、逆に胡散臭くならない? じゃあ、キリスト教的なクリスマスって何? って」
みんながみんなそういう疑問を抱かなかったからこそ、クリスマスは日本に定着したんだろうな、かがみは思った。
「みゆきさん」
こなたは教師のようにみゆきを指名した。だが、みゆきは教える立場である。
「イエス・キリストは、クリスマス・ケーキを食べたことはあるのかな?」
「どうでしょう……? ケーキは、家庭へのオーブンの普及に伴ってポピュラーな食べ物となって行きましたが、それは19世紀以降の事ですし……」
みゆきはその道の専門家といっても差し支えないつかさに、「そうですよね?」という視線を投げかけたが、「え、そうなの??」という視線を返されてしまった。
「ですが、例え食べたとしても、現代のものとは味は大きく異なるはずです」
「どうして?」
「まだ砂糖が伝わってませんから……」
「つまり、イエスが食べた事のないような甘~いケーキを食べて、キリスト教的に過ごしているつもりでいる、と?」
「言いがかりだし……屁理屈だし……」
ケーキ擁護派(?)のかがみはそっぽ向いて、槍だか匙だかを投げるように呟いた。
「イエスはクリスマスにクラッカーを鳴らした?」
「火薬も紙も伝わってませんね……」
「イエスは『メリー・クリスマス』って言った?」
「当時まだ英語は存在しません」
「イエスはサンタ・クロースにプレゼントをもらったかな?」
サンタさんに関して早くに夢破れたみゆきであり、その点は非常に詳しい。要約するとこうである。
サンタ・クロースの大元となった聖ニコラウスは4世紀の人であり、イエスを直接は知らない。サンタ・クロースの原型が出来上がったのは16世紀、現在とほぼ同じになったのはようやく19世紀である。
サンタ・クロースの故郷とされるフィンランドがキリスト教化されるのは12世紀で、イエスの時代はまだカレワラ(フィンランドの民族叙事詩。キリスト教の伝来によって物語の幕を閉じる)の世界……か、それさえも成立しておらず、当時はキリスト教との関連は希薄ないし皆無。
サンタ・クロースの故郷とされるフィンランドがキリスト教化されるのは12世紀で、イエスの時代はまだカレワラ(フィンランドの民族叙事詩。キリスト教の伝来によって物語の幕を閉じる)の世界……か、それさえも成立しておらず、当時はキリスト教との関連は希薄ないし皆無。
「……というわけで、サンタ・クロースは……その、なんと言いますか……」
一方的な意見にならないようみゆきが言葉を選んでいると、こなたがこう纏めてしまった。
「1500年かけて形成された、同人的派生キャラって事でFA?」
「どうじんてきはせいきゃら……??」
即座に理解できずポカンとするみゆき。こうなるとかがみの出番なのだが、それは巧妙な罠であって……。
「あんたな……」
「だって、サンタ・クロースは聖ニコラウスその人じゃないんでしょ? あくまで元ネタってだけで」
「だからって、もっと別の言い方もあるでしょ。キリスト教徒の多くをオタクみたいに言って」
「おやおや?」
こなたはずいと顔を寄せてほくそ笑む。
「かがみは『同人的派生キャラ』の意味が分かるんだ?」
「なっ……うぅ……」
かがみは反駁を試みたが、点目のつかさと必死に理解に務めようとしているみゆきが目に入ってしまいすぐに諦めた。
「夏の有明でそれっぽいのが目に入っちゃったのかな?」
「う、うぅ……」
「いやー、話が分かる仲間は貴重だよね。その上ツンデレで巫女で私の嫁で……」
こなたは列挙しながらかがみに擦り寄っていき、セーラー服のリボンに手をかけたりする。道ならぬ恋が生まれそうな雰囲気である。
……なお元ネタこと聖ニコラウスは、異端とされるアリウス派の提唱者と殴り合いの喧嘩を演じ一時破門された事があるというが、これもこれで聞く人が聞いたら、道ならぬ恋をでっち上げてしまいかねないエピソードである。
かがみはといえば、聖ニコラウスに範をとって殴りはしなかったが、こなたのアホ毛目掛けてチョップを振り下ろし(ノリツッコミではない)、怯んだ拍子に引き剥がす事に成功した。
「ですが……」
みゆきがやんわりと割って入り、道ならぬ恋の障害となろうとする(??)。
「クリスマスにも元ネタがある、と言ったらどう思いますか?」
「「「え?」」」
こなたとかがみは道ならぬ恋路を中断し、つかさは可哀想になるくらいうろたながらみゆきを見る。
「残念ながらあるのですよ……」
みゆきは過ぎ去りし永遠の日々を懐かしむような遠い目になって、溜息をつく。
「夢を壊してしまうかもしれませんが……?」
続けてもよろしいですか? と、表情で問う。
「まだ夢を見ていたいなぁ……かがみと一緒に」
チョップ(ノリツッコミではない)のおかわりが炸裂した。
「続けていいわよ。これは放っておいて」
これ呼ばわりされたこなただが、頭を押さえつつ耳を塞がないのはやはり興味があるかららしい。
「では……」
みゆきは続ける。
「結論から言ってしまいますと、クリスマスはキリストの誕生日ではないようです」
「……元も子もないわね」
「というのも、聖書にはキリストの誕生日に関する記述は一切ありません」
「だからって、12月25日というのも故なしというわけじゃないんでしょ?」
かがみが聞く。
「今じゃ師走って言うけど、昔の人はきっと、作家みたいに年末に暇を持て余していたんだよ」
年明けに出る出版物の締め切りは12月20日前後であるため、作家の年末はよほどの売れっ子でもない限り暇ある。そんな父、年末の有明にも出現するそうじろうを見て育ったこなたならではの意見であろうか。
「冬至が近いですよね」
「ああ……12月22日だっけ」
「キリスト教がヨーロッパに広がる上で、宣教師たちが対峙するとになったのは、ミトラ教という多神教と、その世界観と言うべきものでしょうか。ミトラ教徒は冬至を、最高神で太陽神のミトラが生まれ変わり復活する日として、盛大な冬祭りを行っていたそうです」
「ミトラ教徒に取り入っていくために、キリストの誕生日をそのあたりにするのが都合良かったってことね」
「はい。それに『復活』という属性でも被っていますからね」
「だってさ」
かがみはこなたを見て感想を求める。こなたは真剣に悩むような表情を見せた。何を悩んだかと言うと……。
「もしかしてミトラってさ、ミスラっていう別名があったりしない?」
「よくご存知ですね」
「やっぱりそうか……」
「……」
「……」
「……」
「って、それだけかよ!?」
本日三杯目のチョップが炸裂するが(ノリツッコミではない)、みゆきは苦笑しながら続ける。
「仏教はミトラを弥勒として受容していますから、もし誰かが『自分はキリスト教徒じゃないからこそクリスマスを祝う』と主張すれば、それは『自分は仏教徒だからクリスマスは関係ない』と同じく、一定の説得力を持つかもしれませんね」
「そこに日本人としての独自色と出すとすれば、拝む対象がミトラじゃなくて、天照大神だったりしてもいいのね」
かがみの手前味噌ぶりをこなたが突っ込もうとした時、突如爆発音がした。
一方的な意見にならないようみゆきが言葉を選んでいると、こなたがこう纏めてしまった。
「1500年かけて形成された、同人的派生キャラって事でFA?」
「どうじんてきはせいきゃら……??」
即座に理解できずポカンとするみゆき。こうなるとかがみの出番なのだが、それは巧妙な罠であって……。
「あんたな……」
「だって、サンタ・クロースは聖ニコラウスその人じゃないんでしょ? あくまで元ネタってだけで」
「だからって、もっと別の言い方もあるでしょ。キリスト教徒の多くをオタクみたいに言って」
「おやおや?」
こなたはずいと顔を寄せてほくそ笑む。
「かがみは『同人的派生キャラ』の意味が分かるんだ?」
「なっ……うぅ……」
かがみは反駁を試みたが、点目のつかさと必死に理解に務めようとしているみゆきが目に入ってしまいすぐに諦めた。
「夏の有明でそれっぽいのが目に入っちゃったのかな?」
「う、うぅ……」
「いやー、話が分かる仲間は貴重だよね。その上ツンデレで巫女で私の嫁で……」
こなたは列挙しながらかがみに擦り寄っていき、セーラー服のリボンに手をかけたりする。道ならぬ恋が生まれそうな雰囲気である。
……なお元ネタこと聖ニコラウスは、異端とされるアリウス派の提唱者と殴り合いの喧嘩を演じ一時破門された事があるというが、これもこれで聞く人が聞いたら、道ならぬ恋をでっち上げてしまいかねないエピソードである。
かがみはといえば、聖ニコラウスに範をとって殴りはしなかったが、こなたのアホ毛目掛けてチョップを振り下ろし(ノリツッコミではない)、怯んだ拍子に引き剥がす事に成功した。
「ですが……」
みゆきがやんわりと割って入り、道ならぬ恋の障害となろうとする(??)。
「クリスマスにも元ネタがある、と言ったらどう思いますか?」
「「「え?」」」
こなたとかがみは道ならぬ恋路を中断し、つかさは可哀想になるくらいうろたながらみゆきを見る。
「残念ながらあるのですよ……」
みゆきは過ぎ去りし永遠の日々を懐かしむような遠い目になって、溜息をつく。
「夢を壊してしまうかもしれませんが……?」
続けてもよろしいですか? と、表情で問う。
「まだ夢を見ていたいなぁ……かがみと一緒に」
チョップ(ノリツッコミではない)のおかわりが炸裂した。
「続けていいわよ。これは放っておいて」
これ呼ばわりされたこなただが、頭を押さえつつ耳を塞がないのはやはり興味があるかららしい。
「では……」
みゆきは続ける。
「結論から言ってしまいますと、クリスマスはキリストの誕生日ではないようです」
「……元も子もないわね」
「というのも、聖書にはキリストの誕生日に関する記述は一切ありません」
「だからって、12月25日というのも故なしというわけじゃないんでしょ?」
かがみが聞く。
「今じゃ師走って言うけど、昔の人はきっと、作家みたいに年末に暇を持て余していたんだよ」
年明けに出る出版物の締め切りは12月20日前後であるため、作家の年末はよほどの売れっ子でもない限り暇ある。そんな父、年末の有明にも出現するそうじろうを見て育ったこなたならではの意見であろうか。
「冬至が近いですよね」
「ああ……12月22日だっけ」
「キリスト教がヨーロッパに広がる上で、宣教師たちが対峙するとになったのは、ミトラ教という多神教と、その世界観と言うべきものでしょうか。ミトラ教徒は冬至を、最高神で太陽神のミトラが生まれ変わり復活する日として、盛大な冬祭りを行っていたそうです」
「ミトラ教徒に取り入っていくために、キリストの誕生日をそのあたりにするのが都合良かったってことね」
「はい。それに『復活』という属性でも被っていますからね」
「だってさ」
かがみはこなたを見て感想を求める。こなたは真剣に悩むような表情を見せた。何を悩んだかと言うと……。
「もしかしてミトラってさ、ミスラっていう別名があったりしない?」
「よくご存知ですね」
「やっぱりそうか……」
「……」
「……」
「……」
「って、それだけかよ!?」
本日三杯目のチョップが炸裂するが(ノリツッコミではない)、みゆきは苦笑しながら続ける。
「仏教はミトラを弥勒として受容していますから、もし誰かが『自分はキリスト教徒じゃないからこそクリスマスを祝う』と主張すれば、それは『自分は仏教徒だからクリスマスは関係ない』と同じく、一定の説得力を持つかもしれませんね」
「そこに日本人としての独自色と出すとすれば、拝む対象がミトラじゃなくて、天照大神だったりしてもいいのね」
かがみの手前味噌ぶりをこなたが突っ込もうとした時、突如爆発音がした。
ボンッ
つかさが頭の回路が話についていけずショートして、噴煙を上げ始めたのである。
「まあ……」
「大変!」
とりあえずつかさを座らせ、窓を開けてかがみとみゆきは排煙に努める。つかさの頭のすぐ上を二人の手に占位されて、こなたは身長的理由で加われなかったので、仕方なく今感じたふとした疑問をみゆきにぶつけてみる。いや、手で扇ぐという動作で胸が揺れて痛くないのか、とかではない。
「聖槍ってさ」
「キリストの血を浴びたとされる槍ですね」
みゆきは扇ぎながら答える。
「あれって投げ槍かな? 長槍かな?」
「そういえば……お恥ずかしながら、考えたこともないですね」
「いやー、私もだよ」
「ローマのレギオン(軍団)では、ギリシアのファランクスと異なり、長槍を装備しているのは重装歩兵の三分の一だけで、残り三分の二と軽装歩兵は投げ槍を装備していて、ローマ軍の戦法は、投げ槍によって敵の盾を破壊して防御力を削いだ後、グラディウスという剣を抜いての白兵戦でした」
「グラディウス……。ここにも元ネタが……!?」
「??」
「ローマ兵がイースター島で、グラディウスを振り回してモアイと戦ってたらどう思う?」
「元ネタ」がどう変容したか分かってしまったかがみが、扇ぎながらげんなりとした顔になった。翌年の修学旅行時、その時のやり取りを苦々しく思い出したとか出さないとか……。
「それは、そのー……カ、カオス、ですね」
「カオスだね~」
こなたは言い回しも含めて、みゆきの答えに満足したようである。
「やっぱりモアイとの戦闘は、宇宙空間に限るよ」
「それもそれでカオスだと思いますが……」
みゆきは扇ぎながら続ける。
「投げ槍を使い切らなかった場合、白兵戦に用いたそうですよ」
「とすると、やっぱり聖槍は……」
「投げ槍である可能性が高いのではないかと……」
「なるほど。さすがみゆきさん」
「泉さんはローマ時代に興味がおありですか?」
「いやー、聖槍を手にした者は世界を征服できるって言うじゃん」
「ナポレオンやヒトラーも捜し求めたと言われますね」
「欲しいとか言うなよ」
かがみが釘をさす。ゲームの中で何本も手に入れたからもういいよ、とでも言うかと思いきや……。
「長槍だったら例え世界征服できても、置き場所に困りそうだなって思って」
「5メートルほどあるそうですからね」
「あー、つかれた」
かがみが肩をさすりながら言った。
「こなた、替わってよ」
「いいよ」
こなたはかがみと入れ替わり、みゆきと一緒につかさの噴煙を扇ぐ。
「頑張りましょう」
みゆきが意気込む。
「つかささんが、ヴェスヴィオ火山のように噴火されたら大変です」
キリストの死からおよそ半世紀後に噴火した火山である。
「糟日部がポンペイみたいに埋まっちゃうかもね」
そんな事を言いながら、ナポリ湾越しに見たつかさを想像してみるかがみだが、どうにもイメージし切れなかった。つかさはつかさである。
クリスマスをロマンティックには過ごさないが、何やら取り巻く状況が少しだけローマ人めいているようなシュヴァルムであった。
「まあ……」
「大変!」
とりあえずつかさを座らせ、窓を開けてかがみとみゆきは排煙に努める。つかさの頭のすぐ上を二人の手に占位されて、こなたは身長的理由で加われなかったので、仕方なく今感じたふとした疑問をみゆきにぶつけてみる。いや、手で扇ぐという動作で胸が揺れて痛くないのか、とかではない。
「聖槍ってさ」
「キリストの血を浴びたとされる槍ですね」
みゆきは扇ぎながら答える。
「あれって投げ槍かな? 長槍かな?」
「そういえば……お恥ずかしながら、考えたこともないですね」
「いやー、私もだよ」
「ローマのレギオン(軍団)では、ギリシアのファランクスと異なり、長槍を装備しているのは重装歩兵の三分の一だけで、残り三分の二と軽装歩兵は投げ槍を装備していて、ローマ軍の戦法は、投げ槍によって敵の盾を破壊して防御力を削いだ後、グラディウスという剣を抜いての白兵戦でした」
「グラディウス……。ここにも元ネタが……!?」
「??」
「ローマ兵がイースター島で、グラディウスを振り回してモアイと戦ってたらどう思う?」
「元ネタ」がどう変容したか分かってしまったかがみが、扇ぎながらげんなりとした顔になった。翌年の修学旅行時、その時のやり取りを苦々しく思い出したとか出さないとか……。
「それは、そのー……カ、カオス、ですね」
「カオスだね~」
こなたは言い回しも含めて、みゆきの答えに満足したようである。
「やっぱりモアイとの戦闘は、宇宙空間に限るよ」
「それもそれでカオスだと思いますが……」
みゆきは扇ぎながら続ける。
「投げ槍を使い切らなかった場合、白兵戦に用いたそうですよ」
「とすると、やっぱり聖槍は……」
「投げ槍である可能性が高いのではないかと……」
「なるほど。さすがみゆきさん」
「泉さんはローマ時代に興味がおありですか?」
「いやー、聖槍を手にした者は世界を征服できるって言うじゃん」
「ナポレオンやヒトラーも捜し求めたと言われますね」
「欲しいとか言うなよ」
かがみが釘をさす。ゲームの中で何本も手に入れたからもういいよ、とでも言うかと思いきや……。
「長槍だったら例え世界征服できても、置き場所に困りそうだなって思って」
「5メートルほどあるそうですからね」
「あー、つかれた」
かがみが肩をさすりながら言った。
「こなた、替わってよ」
「いいよ」
こなたはかがみと入れ替わり、みゆきと一緒につかさの噴煙を扇ぐ。
「頑張りましょう」
みゆきが意気込む。
「つかささんが、ヴェスヴィオ火山のように噴火されたら大変です」
キリストの死からおよそ半世紀後に噴火した火山である。
「糟日部がポンペイみたいに埋まっちゃうかもね」
そんな事を言いながら、ナポリ湾越しに見たつかさを想像してみるかがみだが、どうにもイメージし切れなかった。つかさはつかさである。
クリスマスをロマンティックには過ごさないが、何やら取り巻く状況が少しだけローマ人めいているようなシュヴァルムであった。
「つまり……どうしたいわけ?」
つかさの火山活動が収束したので、改めてかがみが、こぶしを振り上げながら訊ねる。つかさを噴火させたかったと答えたら、それをギロチンのように振り下ろす予定である(ノリツッコミではない)事は、誰の目にも明白だった。こなた、危うし……。
「んー、つまりね……。『自分は仏(ry』とは反対に」
「(ry が前過ぎて、ガウタマ・シッダールタの自己紹介みたいになってるわよ」
「キリスト教徒じゃないけど、キリスト教徒のようにクリスマスを過ごすというのが新しいんじゃないかな、って思うんだけど」
キリスト教徒なので、それに相応しくイエスの誕生を祝うクリスマス。
キリスト教徒ではないので、そっぽ向くクリスマス。
キリスト教徒ではないが、なんとなく祝うクリスマス。
となると残るは、キリスト教徒ではないからこそ祝うクリスマス、という事になろうか。。
「どうしたらいいかな?」
「またしょうもないことを……」
かがみは呆れて肩をすくめるが、根が真面目なつかさとみゆきは「うーん」と考え始める。つかさの火山活動再開を懸念するより早く、みゆきがある案に思い当たった。
「宗教音楽はいかがですか?」
「え、と。ミサ曲、って言うんだっけ?」
「はい。クリスマス・ミサ用の作品も数多く書かれています」
聞き流すだけでもいいのだから、存外こなた向きかもしれないのだが、当人は「うーん」と首を捻った。
「今は音楽はちょっと、ね……」
勤め先のコスプレ喫茶には小さなステージがあり、従業員がコスプレ姿のまま、主にアニメ・ソングを披露するショーが行われるのだという。
「クリスマスともなれば、やっぱクリスマス・ソングかな~、ってわけで今色々練習しててね」
「ラテン語やドイツ語のミサ曲が入る余地はありませんか……」
「そんなことしたら、私の頭がヴェスヴィオ火山。秋葉腹が火砕流で埋まっちゃうよ」
あの街は一度埋めた方がいいという意見もあるんじゃないかとかがみは思ったが、口には出さなかった。代わりに口にしたのは、こんな提案である。
「じゃあ、聖書でも読んだら?」
「聖書を?」
こなたがきょとんとするのも無理はない。クラッカーについての質問の際、髪はまだ伝わってないとみゆきは言っていたのだ。
「あ、そうか。原作回帰ってわけだね!」
「原作?」
かがみがきょとんとする番である。
つかさの火山活動が収束したので、改めてかがみが、こぶしを振り上げながら訊ねる。つかさを噴火させたかったと答えたら、それをギロチンのように振り下ろす予定である(ノリツッコミではない)事は、誰の目にも明白だった。こなた、危うし……。
「んー、つまりね……。『自分は仏(ry』とは反対に」
「(ry が前過ぎて、ガウタマ・シッダールタの自己紹介みたいになってるわよ」
「キリスト教徒じゃないけど、キリスト教徒のようにクリスマスを過ごすというのが新しいんじゃないかな、って思うんだけど」
キリスト教徒なので、それに相応しくイエスの誕生を祝うクリスマス。
キリスト教徒ではないので、そっぽ向くクリスマス。
キリスト教徒ではないが、なんとなく祝うクリスマス。
となると残るは、キリスト教徒ではないからこそ祝うクリスマス、という事になろうか。。
「どうしたらいいかな?」
「またしょうもないことを……」
かがみは呆れて肩をすくめるが、根が真面目なつかさとみゆきは「うーん」と考え始める。つかさの火山活動再開を懸念するより早く、みゆきがある案に思い当たった。
「宗教音楽はいかがですか?」
「え、と。ミサ曲、って言うんだっけ?」
「はい。クリスマス・ミサ用の作品も数多く書かれています」
聞き流すだけでもいいのだから、存外こなた向きかもしれないのだが、当人は「うーん」と首を捻った。
「今は音楽はちょっと、ね……」
勤め先のコスプレ喫茶には小さなステージがあり、従業員がコスプレ姿のまま、主にアニメ・ソングを披露するショーが行われるのだという。
「クリスマスともなれば、やっぱクリスマス・ソングかな~、ってわけで今色々練習しててね」
「ラテン語やドイツ語のミサ曲が入る余地はありませんか……」
「そんなことしたら、私の頭がヴェスヴィオ火山。秋葉腹が火砕流で埋まっちゃうよ」
あの街は一度埋めた方がいいという意見もあるんじゃないかとかがみは思ったが、口には出さなかった。代わりに口にしたのは、こんな提案である。
「じゃあ、聖書でも読んだら?」
「聖書を?」
こなたがきょとんとするのも無理はない。クラッカーについての質問の際、髪はまだ伝わってないとみゆきは言っていたのだ。
「あ、そうか。原作回帰ってわけだね!」
「原作?」
かがみがきょとんとする番である。
サンタ・クロース=同人的派生キャラ
クリスマス=キリストの誕生日という設定を後付け
クリスマス=キリストの誕生日という設定を後付け
とすれば……なるほど。
「……原作ってことになるのかな」
腑に落ちないものを感じながらも、かがみは肯く。
「よーし、じゃあ放課後に……」
こなたは財布を取り出して、中を確認する。とはいえ、放課後に本屋で聖書を買って帰ろうというわけではない。
「あ……学生証持って来てないや」
学生証は、学校の図書館で本を借りる際の貸し出しカードを兼ねている。
やっちまったぜと舌を出したこなたの視線は、みゆき、つかさを経由してかがみで停まった。その期待するところはというと、言うまでもなく……。
「分かったわよ。代わりに借りてあげるから」
「おお! さすがは嫁」
「嫁言うな! あんたが空気嫁……もとい読め」
つかさの噴火をきっかけに、四人のクリスマス談義はクラス中の注目を浴びるに至っていたのである。
「染まってきたね。色んな意味で」
その注目の的から微妙に外れた場所で、つかさは身震いした。また噴火するのかと、みゆきが心配そうにつかさを見る。
「大丈夫ですか?」
「う、うん、平気。きっと……」
つかさは聞こえないくらいの小声で、「気のせい」と付け加えた。
「……原作ってことになるのかな」
腑に落ちないものを感じながらも、かがみは肯く。
「よーし、じゃあ放課後に……」
こなたは財布を取り出して、中を確認する。とはいえ、放課後に本屋で聖書を買って帰ろうというわけではない。
「あ……学生証持って来てないや」
学生証は、学校の図書館で本を借りる際の貸し出しカードを兼ねている。
やっちまったぜと舌を出したこなたの視線は、みゆき、つかさを経由してかがみで停まった。その期待するところはというと、言うまでもなく……。
「分かったわよ。代わりに借りてあげるから」
「おお! さすがは嫁」
「嫁言うな! あんたが空気嫁……もとい読め」
つかさの噴火をきっかけに、四人のクリスマス談義はクラス中の注目を浴びるに至っていたのである。
「染まってきたね。色んな意味で」
その注目の的から微妙に外れた場所で、つかさは身震いした。また噴火するのかと、みゆきが心配そうにつかさを見る。
「大丈夫ですか?」
「う、うん、平気。きっと……」
つかさは聞こえないくらいの小声で、「気のせい」と付け加えた。
底知れぬ何か……。
きっとつかさにしか検知できないそれが、かがみが何かを企んでいると告げていた……。
きっとつかさにしか検知できないそれが、かがみが何かを企んでいると告げていた……。
つづく
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- らき☆すた関係無しにおもすろい………… -- 名無し (2010-05-12 19:56:40)
- 続くんだ‥‥あの展開からどうなるのか期待 -- 名無しさん (2009-01-03 00:54:14)
- みゆきさん大活躍だね。
珍しい話題だったけれど面白かった。続きに期待。
-- 名無しさん (2008-12-27 12:53:56) - キャラが名前借りた別物にしか見えんな -- 名無しさん (2008-12-27 09:21:14)
- なんというか‥‥‥カオスな話題だ
-- 名無しさん (2008-12-26 02:34:36) - 俺も噴火しそうに(ry -- 名無しさん (2008-12-25 23:40:12)