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続 ここにある彼方 その後(6)

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「期せずにまた二人っきりになっちまったな……
もしかしてみんなして気を利かせてくれたのかな?はははは……」
さっきまでの賑やかさから一転、ぽつーんと二人きりになってしまった。
「あっ!そうだ!!いいこと思いついたぞ!!」
と立ち上がると頭大程のクッションを取って戻ってきた。
「?クッションで何をするの?」
かなたが不思議そうに見つめる。
「へへへ……かなた、ちょっとソファーの端っこら辺に座ってくれないか?」
「?」
良くわからぬまま、とりあえずは言われたままに座り直す。
座るといっても実際のところは宙に浮いている状態で見た目座ってるのだが。
「いいか~、ここにクッションを置いて…
ほれ、こうすると膝枕みたいになるじゃないか!」
と言うと、かなたの太腿辺りにクッションを置いてそのままごろんと横になる。
そうじろうがチョイスしたクッションの高さがちょうど太腿と同じくらいで
ぱっと見、膝枕にしか見えない。
「むふふふ~♪」
ゴロゴロとなにやらご満悦なそうじろうと
「…………」
赤くなりそのまま黙り込んでしまったかなた。
「いや~はははは、今は二人っきりなんだし、そんなに照れなくても
いいんじゃないかな~ははは……なんか俺まで照れて来ちゃうな」
(ああ~やっぱりかなただよな~こなたは似てるけどやっぱ似てるんであって
全然違うよな~こうして間近で見ると違いが良く判るってもんだな)
見上げたすぐ近くにある永遠の恋人の顔にどぎまぎし始めてきた。
前回の時は、じっくり見るなんてことしてる余裕はなかったこともあり、
幼い頃から見慣れてるようでその実、久しぶりすぎてちっとも見慣れてない。
妙にドキドキしてくる。
かなたの方は相変わらず、赤くなったまま固まってるというかぼーとしている。
「……よし!そうだ!せっかくなんだから…」
状況を打破しようと膝枕状態で見上げたまま気合いを入れて切り出す。
「…へ?い、いきなりなに?」
はっと我に返ったのか、思わず素っ頓狂な声で返事をする。
「いや~なんだ…その…」
急に赤くなりもじもじしだす。
「…?」
不思議に思いつつもそうじろうが続けるのを待つ。
「…ちゅーしてくれちゅー」
「へ?な?ちゅー?」
(やっとの思いで口にしたかと思えば、『ちゅーしてくれ』だなんて…)
その言葉と『ちゅー』といいつつ口を尖らすそうじろうを見て
かなたが吹き出してしまった。
「ぷくくくく……ちょっと、なにしてるのよそう君ってば…
もうお馬鹿さんなんだから……そうね…今は私たちだけだものね…
ちゃんとちゅーになるかどうかわからないけどやってみますか…」
相変わらず、ちゅーしてくれ、と口を尖らしたままのそうじろうに
少しずつ顔を近づけて行く。
(多分…唇が触れることは出来ないんだろうなぁ)
今までのやり取りから、物理的な接触はできないとの予測は簡単に付く。
だからちょうどいい所になるまでなるべく目を瞑らないで近づけて行く。
(ああ~そう君の顔がこんなに間近に……)
恥ずかしさで顔から火が出そうになる。
そうじろうが目を瞑ったままなのがせめてもの救いだ。
触れるギリギリまで近づいた所でかなたも目を閉じ始めた。
口を尖らせ、目を瞑ったまま。
だが、徐々に近づきつつある気配に期待が膨らむ。
確かに今のかなたに実体はない。
事実、いまこうして太腿がある筈の所にクッションが置けているのだから。
だがしかし、なぜだろうか、先ほどからそうなのだが
妙な存在感というか、圧というか、人間の暖かさとでも言おうか
そんな気配は感じられていた。
そして、今。
明らかに人の気配が目前に迫っている。
目を開けたらすべてが消えてしまいそうで怖くて開ける事ができない。
期待と不安に胸が高鳴る。

ふいに尖らした口先に、むにゅっとした感覚が走る。
(おお!?)
唇に伝わるこの感覚。
間違いない。
ちゃんとキスが出来ている。
「んん……」
思わず声がでる。
そして照れ隠しもあって尖らしていた口先を元に戻す。
だが不思議な事に、これだけ間近なのに呼吸というか、息づかいは伝わってこない。
やはりそこら辺が幽霊というか、
実体を持たないからということなのだろうと一人納得する。
そのまま、舌先を滑り込ませてみる。
するりと侵入に成功する。
二人の舌先が互いの口の中で絡まりあう。
ときたま歯と歯が当りカチカチと音が響く。
(おおお!!理屈は判らんがキスできてるぞ!!しかもディープな方も!!!!)
そうじろうの興奮が高まるが
相変わらず目を開くことが出来ないでいる。
見てしまえば再び触れることが出来なくなりそうで怖いのだ。

同じようにかなたもまた目を開くことが出来ずにいた。
最初に唇が接触してから目を閉じたまま今に至る。
そうじろうと同じように、目を開けた瞬間に今の状態が終わりそうで怖いのだ。

目を閉じたまま、今の時間がこのまま止まれば良いのにと二人して思う。

こなたが珍しく顔を赤らめて硬直している。
晩ご飯ができたから、かなた達を呼びに来たのだが、
二人が濃厚なキスをしているのを目の当たりにしてさすがに戸惑っているのだ。
(うぉあ……ここで声を掛けるのはやぼってものだよね……
よかったよ、何も考えずに『ご飯できたよ~』って部屋に入らなくて)
普段なら、なにも考えずに声を上げながら入室していただろう。
だが、今日はなんというか、先ず様子をうかがってからにしようと
勘というか虫の知らせというか、そんなのが働いた。
だから、せめてノックしてから~と思っていたが
ドアが開いたままだったので、そーっと中の様子を伺ってみたのだ。
そしたら、これだ。
(わたしはニュータイプかもしれないね~)
そのまま足音を立てずにそーっとその場を後にする。
そしてゆーちゃんの部屋へと行ってみる。
(多分、姉さんとゆーちゃんは部屋に行ってるな…ゆーちゃん疲れてたし
姉さんも長距離ドライブの後だから疲れてるだろうし…二人して寝てそう)
足音を立てないように静かにゆーちゃんの部屋へとやってくる。
少しだけ開かれたドアから中の様子を伺ってみる。
明かりの落とされた部屋のなかで二人の寝息が聞こえてくる。
(あらら、やはり寝てますね……)
そのままそーっと台所へと戻っていく。

「いや~みんな食事どころじゃないみたいだから私たちだけで食べちゃお」
戻って来たこなたが静かな口調で切り出す。
「?食事どころじゃないって?」
イマイチこなたの言わんとするところがわからないかがみが聞き返す。
「え?う~ん、なんていうか…姉さんとゆーちゃんは部屋で寝てて
起こすのかわいそうだしお父さんとお母さんはその……」
そこまで言って妙に赤くなる。
「ん!ゆたかちゃん達は寝てるとして、おじさんとおばさんはなに?
なにか、いかがわしいことでもしていたのか?」
幽霊相手にいかがわしいこととはナニを示すのか言ってる本人も判ってはいないのだが
あのそうじろうである。なにか変なことでもしでかしているのではないか?
といらぬ勘ぐりをしだす。
「いやいや、かがみそうじゃなくて……
お母さんがお父さんを膝枕して濃厚なキスをしてたんだよ。
わたしも一回だけ触れたから、もしかすると幽霊に触れるときがあるのかもしれない」
「の、濃厚なキスって……」
ふたりとも話を聞いて顔が赤くなる。
「と、とりあえず、私たちだけで済ませちゃおうか?
皆の分はラップでもして冷蔵庫にしまっとけば後で食べられるし」
つかさがそういいつつ自分たち分以外の物にラップをしだす。
「そだね…手伝うよ」
こなたもラップをしだす。
「コレを冷蔵庫にしまっていけばいいのね」
かがみがラップされた物を冷蔵庫にしまい込んで行く。
「さて、それでは、私たちだけで済ませちゃいますか」
「うんそうね」
「「「いただきます」」」
三人で先に晩ご飯を食べ始めるのであった。

かなり長い時間が経ってるようで、実はまだちょっとしか経ってないのかもしれない。
時間の感覚がよく判らなくなってきている。

いい加減そろそろ目を開けてみようか。

今のこの時間を壊しかねないその行為に対して
でも、終わるなら終わるで仕方が無いか…とも思う。
いつまでもこのままで居られるわけではない。
いつかは終わりにしないといけない。
ああ~でも、このままで居たいよなぁ~
そうじろうの頭のなかでグルグルと同じ思考が回り続ける。

すーっと口元が解放され
「キス…できちゃったね…」
かなたの声が聞こえる。
「…ああ…まさかホントに出来るとは思わなかったよ」
そうじろう的には、終わってしまい残念な気持ちとほっとした気持ちと…複雑な心境。
「…実はな、目を開けるとキスが終わってしまうんじゃないかって思えてな、
怖くて目を開けられなかったんだ。
いつまでも、キスしていたくて…いつまでもやってる訳にもいかないのに
踏ん切りが付かなくってな…」
照れくさそうに語る。
「わたしもね、なんか、そんな感じがして目を開けられなかった…
ずっとこうしてたいってわたしも思ったわ。折角できたんですもの
終わらすのもったいなくて」
くすっと笑う。
「でも、さっきそう君も言ってたけど、ホントにずっとしてるわけにもいかないから
だから、もうそろそろかな?って」
そういってにっこり微笑む。
「かなたは…なんていうか…強いな。俺は今を失うのが怖くて…ダメだったよ」
膝枕な状態のまま、にははと苦笑いをする。
「強いだなんて…ううん、そんなことないわ。私だって怖い。
…一度失ってるだけに、ものすごく怖い…でも、だからこそ今を生きたいの。
いつまでこうしてられるかさえ判らない、不安定な今だからこそ。
だから、先に進もうって。今よりもきっと良い事があるから」
ふふっと微笑むかなたに
「……そうか…そうだな、今という時は既に過去になりつつある。
過去ばかり見ていても仕方がないってか。だから未来に向かって歩くんだって
………そういや、むかーしお前にそういう風に説教されたっけか?」
ん?という表情で記憶を探り出す。
「え?…そうだったかしら?数えきれない程お説教してるからそうかもしれないわね」
くすくすと再び笑いだす。
「いや~ははは…子供の頃から数えれば、数限りなく怒られてるな…はははは」
あははは~と半分は照れ隠しにそうじろうも笑い出す。

「そう君……」
「ん~~~?」
「だぁ~~い好き!!」
「!!な、なんだよ、いきなり」
「んふふ、なんとなくね、言ってみたくなったの」
「俺だってかなたのことはだぁーい好きだぜ。宇宙一な!!」
「うふふ、ありがと、そう君」

















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  • 良かったです。単行本化希望! -- チャムチロ (2012-10-08 14:45:05)
  • 続きが見たい -- 空我 (2010-02-02 23:22:24)
  • ラブラブでござるな -- 名無しさん (2010-01-12 23:36:30)
  • いい・・・ -- kk (2009-12-07 22:15:35)

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