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血に潜む欲望 (中編:Kagami-side)

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鉛のように重い身体を引きずりながら、私はなんとか家まで帰ってきた。
どうやって帰ってきたかなんて覚えちゃいない。
大切な人を失ってしまった悲しみと、喪失感と、絶望とで頭の中をぐちゃぐちゃにしたまま身体が覚えた習慣に従って帰ってきただけだ。
「…ただいま~」
「お姉ちゃん、お帰り……」
「遅いじゃないかがみ。どうかし…た…の?」
つかさといのり姉さんが玄関で迎えてくれるが一目で私の異変に気付き、絶句した。
目は泣き腫らして真っ赤になり、死人のように生気のない顔をしていれば当然か…
私は二人を無視して自室に引きこもり、鍵をかけてベットに倒れこんだ。
「……はぁ~~」
ため息をついた。
輝くような幸福も裸足で逃げ出すような暗いため息だった。
目を閉じると浮かんでくるのはやっぱりゆたかちゃんのことだった。
恐怖に満ちた目で私を見るゆたかちゃん。怯えた表情を私にむけるゆたかちゃん。
……どうして、あんなことをしてしまったのだろう…。
あのとき、ゆたかちゃんが欲しいという思いが衝動的に生まれた。それだけならまだいい。
私は純粋で無垢なゆたかちゃんを、私の欲望で汚したいと思った。
ゆたかちゃんの身体を犯したいと思った。
あるとき突然エッチな気持ちになることは別に驚くことじゃない。
衝動的に少し行き過ぎてしまってもそれだけならまだ良かった。
だがあの時、私を満たしていた気持ちは異常だ。
(私には破壊願望や支配願望でもあったのだろうか…大好きな人を壊したり、支配することに快感を感じるなんて、そんなこと…あるハズが……)
ベットに横になってるせいか、徐々に睡魔がおそってきた。
(あれだけ泣いて、走ったからな~疲れたのかな……)
私はおそってきた睡魔に身を任せ、制服のまま眠りにおちた。



カツカツカツカツカツ
コツ…コツ…コツ…コツ…
「はぁっ…はぁっ……っ…はぁっ…」
「……………」
先が見えないほど長い廊下に二人分の足音が響く。
一つは前を走るゆたかちゃんのもので、もう一つはゆっくりと後ろを歩く私のものだ。
「はぁっ…はぁっ…」
ゆたかちゃんは息を切らして必死で走っているのに対し、私は散歩をするようにゆっくりと歩いている。
にもかかわらず、二人の距離は離れるようなことはなくむしろ縮まっていく。
「…っ!…くっ…はぁっ……はぁっ!」
振り向いて自分と私との位置関係を確認し、その表情は恐怖の色をより濃くしていく。
一方私の方は特に歩みを速めることもなく、ただただ冷静に歩を進めていた。
「はぁっ…はぁっ……きゃあっ!」
しばらく走り続けていたゆたかちゃんは足をもつれさせて廊下にその身を投げ出した。
「つぅっ……あっ!」
痛みに呻くゆたかちゃんは自分を見下ろす私の姿に気付いて愕然とし、その表情を絶望が支配していく。
「お願い…ゆるしてぇ…」
ゆたかちゃんは涙声で私に許しを求めた。
だが私の表情は残虐に歪み、ますます彼女の恐怖を加速させた。
私はゆたかちゃんの制服に手をかけ思い切り引きちぎった。
「ああっ!」
全身を覆う制服は思ったよりもあっけなくぼろ布と化した。
身体を隠すものは下着とわずかな布切れのみとなったゆたかちゃんは身体を守るように抱いて後ずさった。
だが私はゆたかちゃんの腕をつかんで後ろにまわし、ポケットから取り出した手錠をかけた。
がちゃっ   がちゃっ
「あ…あ…いやぁ……だれか…だれかぁっ!」
「呼んでも…誰もこないわ…」
恐怖と絶望で泣き叫ぶゆたかちゃんを見下ろして私は舌なめずりをした。
彼女の身体を隠す邪魔なブラとショーツを制服同様引きちぎり、ゆたかちゃんを生まれたままの姿にする。
「ぁ……ぁぁ…」
ゆたかちゃんは恐怖のあまりガクガクと身体を震わせるが、彼女のアソコは表情とは裏腹に濡れていた。
「あらあら、こんなになっちゃって…嫌がってるフリしてるけど、本当は期待したんでしょ」
「ちっ…ちが…」
「どこが違うっていうの?こんなに濡らして……淫乱な女の子ね!」
彼女を貶め、辱めることだけが目的の言葉を浴びせながら、私はゆたかちゃんのアソコに指を突き立てた。
「ああん!」
十分に潤っているゆたかちゃんのアソコは一切の抵抗なく私の指を受け入れた。
「あっ!あああっ!」
「ほらほらぁ、気持ちいいでしょ?気持ちいいって、言っちゃいなさいよ」
ぐちゅっ   ぐちゅっ
指を動かすたびにアソコから卑猥な音が響き渡る。
「うあっ!あ…ああっ!そ、そんなことなっ…ああんっ!」
口答えする生意気なゆたかちゃんにおしおきとしてGスポットを刺激してやる。
「ほらぁ、どんなに上の口で否定したって、下のお口はエッチなお汁の大洪水よ!」
「そんなっ!あ…だめ、身体がいうことをきかないよぉ」
快楽を求めて腰がいやらしく動いている。
断続的に与えられる快感にゆたかちゃんの身体は屈服しかけていると確信する。
「当然よ。ロクにオナニーもしないような主人のいうことなんか、こんなエッチな身体がきくと思う?」
あとは心を屈服させるべく、いやらしい言葉を次々とゆたかちゃんの心に刻み込んでいく。
「そんな…こと…ないです……私の身体は……エッチなんかじゃ…」
「ふぅん…まだそんなこと言うんだ?」
ここにきてもまだゆたかちゃんは快楽に屈するのを拒んでいる。
だがそうでなくては面白くない。
あっさり堕ちるよりも生意気に抵抗されたほうが壊しがいがある。
私は空いてるほうの手をゆたかちゃんの胸へとのばした。
「じゃあ、ゆたかちゃんは見たことがあるの?」
「な、なにを…ですか?ふぁっ!」
彼女の乳房をやわやわと弄びながら私は言い放つ。
「こんなにイヤらしく勃起した、自分の乳首を!」
私は歓喜で表情を歪めながらゆたかちゃんの乳首を摘みあげた。
「ふああぁぁぁっ!」
「ほらほらぁ、ゆたかちゃんの乳首はこーんなに硬くなってる。しかもツンって尖って上を向いてる。どうやったらこんなにイヤらしい形になるのかなぁ?」
口調に残虐な響きが混ざっていくのが自分でもわかる。
あんなに純粋で可愛いゆたかちゃんが淫らに喘ぐ姿に、私の欲望の炎はまるでガソリンでも放り込んだかのように爆発的に燃え上がっていた。
萌え上がっていた、が正しいか?
「ああっ!だめ、だめぇ!私…もう……」
ゆたかちゃんの身体が快感でガクガクと震えだす。
絶頂が近いことは傍目にも明らかだ。
だがここでイカせてしまっては面白くない。
私はゆたかちゃんのアソコから指を抜き、乳首を摘むのをやめた。
「ふぇっ…先輩……どうして…?」
私は何も言わずに立ち上がり、ゆたかちゃんを見下ろした。
「っく…んんっ…」
イク直前で突然快感を止められたゆたかちゃんは後ろ手にかけられた手錠のせいで自ら慰めることもできず、身体の中の消えることのない快感の炎に翻弄されている。
「ん…は…ぁっ……んぁぁっ…」
一刻…また一刻、時間がたつほどにゆたかちゃんの精神が性欲に侵され、理性が消えていくのが手に取るようにわかった。
彼女のアソコからは愛液がトロトロと泉のように湧き出し、肌は桜色に染まり、乳首は痛いほどに勃起し触られるのを望んでいる。
「せ……せんぱぁい…」
ゆたかちゃんは脳が痺れるほど甘ったるい声で私を呼んだ。
「お願いします…イカせてください……」
ゆたかちゃんはついに身も心も快楽に堕ちた。完全なる性の奴隷と化したのだ。
「イキたい?ゆたかちゃん」
私はわざと意地悪に質問してゆたかちゃんを焦らしていく。
「イキたい…イキたいです!」
その必死の表情から、頭の中にはイクことしかないのは明白だった。
「なんでもする?」
「なんでもしますっ!」
即答だった。
私はニンマリと満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ…ここでおしっこをしなさい」
ゆたかちゃんの表情が羞恥に染まった。しかし、湧き上がる快感には逆らえなかった。
「…おしっこしたら……イカせてくれますか…?」
すがるような表情で私を見つめる瞳は、やはり欲情に潤んでいた。
「ええ、イカせてあげるわ。私の指で、ゆたかちゃんのアソコをぐちゃぐちゃにしてあげる」
一言一言、刻み込むようにゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ぁぁ…」
ゆたかちゃんは歓喜にその表情を歪めると、目を閉じ下半身に意識を集中しだした。
「ふぁ……ん…んんっ」
瞼が切なげにヒクヒクと震え、唇からは喘ぎ声とはまた違った趣のある声が漏れ出す。しばらくして、
ちょろ…ちょろろろ……
「んん~んんっ」
ぷしゃああぁぁぁぁ~~
ゆたかちゃんの股間から生温かい黄金の水が勢いよく噴き出した。
おしっこしているときのゆたかちゃんはポーっとした、催眠術にかかったような表情をしていて私の劣情を誘った。
小水はみるみるうちに廊下に広がり、私の足下を濡らしていく。
「ふぁ……ぁぁぁ…」
身体がぶるっと震え、ゆたかちゃんは放尿を終了した。
「先輩…私…おしっこ、しました……」
目はうつろで、瞳から理性の光は消え去り、口からは一筋のよだれを垂らしていた。
「ふふ、よくできました。ゆたかちゃん」
私はもはや淫魔の虜となったゆたかちゃんの前にしゃがんで、自分の指を口に含んだ。
先ほどゆたかちゃんのアソコに入れた指は一本だが、今度は三本入れてやるつもりだ。
「ごほうびよ、ゆたかちゃんのアソコに入れてあげる」
私は唾液でテラテラとイヤらしく光る指を目の前にかざした。
「ぁ…ぁぁ……」
ゆたかちゃんは私が言うより早く、膝を立てて足を開き、M字開脚の姿勢になった。
「先輩…はやく…はやくぅ…」
待ちきれない様子でおねだりするゆたかちゃんには、淫乱という言葉がこの上なく似合った。
これ以上焦らすつもりもなく、指をアソコにあてがう。
「さあ…たっぷり味わいなさい!」



「ふわっ!」
ガバッ!!
私はベットから飛び起きた。
「はぁっ……はぁっ……ゆ、夢?」
見慣れた周囲の景色からここが自分の部屋であることがわかり、さっきまでの出来事が夢であることを悟った。
(な、なんて夢……)
欲望のままにゆたかちゃんを犯した私。
欲望に堕ちていくゆたかちゃん。
(私はあんなコトをしたいと、思っているとでもいうの?)
だが私の中では夢に対する嫌悪感よりも、ムラムラした感情のほうが遥かに強かった。
「あ……っ……」
下半身に違和感を感じ、股間を触ってみると案の定濡れていた。
それも半端な濡れ方ではなかった。
下着が愛液を吸い取りきれず、スカートまでぐっしょりと染みができていた。
「はぁ……こんなに……」
それは自分があの夢で興奮してしまっていることを示していたが、まったく不快ではなかった。
それどころか、私の指はショーツに潜り込み、敏感なところを触り始めた。
「ん…はぁっ…」
クリトリスを軽く弾きながら私はさっきの夢を思い出す。
(私の手で淫らに喘ぐゆたかちゃん…大事なところを自ら差し出すゆたかちゃん…)
「はぁっ…あ…ああっ…」
それは私に強烈な快感を与え、妄想をさらに加速させる。
(ゆたかちゃんを縛りたい…アソコにバイブを突っ込みたい…ローターをアソコに埋め込んで衆人環視の中で悶えさせたいっ!)
どんどん過激になっていく妄想は私に更なる快感を与え、絶頂へと導いていく。
指の動きは加速的に早くなり、クチュクチュとイヤらしい音が響き渡る。
(アソコを弄ってるのがゆたかちゃんの舌だったら…ゆたかちゃんの髪をつかんで無理矢理股間を舐めさせて…)
「ふぁぁっ!あっあっ!だ…めぇっ……ああん!あああぁぁぁぁ~~っ!」
心の中でゆたかちゃんを犯しながら、私はイッてしまった。
「はぁっ……はぁ…はぁ…ぁ」
徐々に身体の疼きが収まっていき、快感も薄れていく。
代わりに強い罪悪感が私を襲った。
心の中でとはいえ、大好きな人を汚してしまったことに対する罪悪感が私を苛んだ。
そして私は思った。
ゆたかちゃんと別れるべきだと。
わかってしまった。
私は異常な性癖をもっていることを。
愛した人を犯して、汚して、支配することに快感を感じてしまう真性のSだということを。
このままゆたかちゃんと付き合い続けたら、今日のように衝動的な欲望に身を任せてゆたかちゃんを傷つけてしまうだろう。
そうなったとき、私は自分を抑えられる自信などない。
ゆたかちゃんと別れて陰から幸せを祈ることだけが、私にできる唯一のことなのかもしれない。
「っあ…っく…ぅ…ああ…」
悲しかった。自分にできる事が、別れることだけだなんて。
私は愛する人を傷つけることでしか快楽を得られない自分の性癖を呪った。
「っ…ゆたかちゃ……ごめ…ごめんね……ぅぅ…ぅああっ!」



翌日、私は登校して真っ先にこなたのクラスを訪れた。
こなたにゆたかちゃんの様子をきくために。
「ゆーちゃんは今日はお休みだよ」
既に登校していたこなたは私に声をかけられるなり素っ気ない口調でそう言った。
ズンと、頭が重くなった。
「こなたは…知っているの?」
「……一応」
こなたは怒っているのか。それとも呆れているのか。
私に対する感情をその表情からは読み取ることはできなかった。
「ご……ごめん」
「どうしてあやまるの?」
(こなたにとって、家族同然の人を傷つけたから…)
その言葉を口に出して言うことはできず、私は自分のクラスへ戻った。
それから私は憂鬱な時間を過ごした。
ゆたかちゃんが恋人だというだけであんなにも色づいて見えた世界は、彼女が学校にも心にもいないというだけでひどく色を失って見えた。
憂鬱な時間は過ぎるのが遅い。
放課後を迎えた頃には私はうんざりするほどに精神力を消耗していた。
恒例のカウントダウンは今日は行われなかった。ゆたかちゃんが学校を休んでいることをみんな知っているのだろう。
ひいらぎ~愛しのお姫様がいないからって呆けすぎじゃね?」
日下部はそれだけ言ってさっさと帰っていった。
(私も帰ろう。これ以上ここにいても意味ないし…)
そう思って鞄をつかんだときだった。
「みさきち、かがみいる?」
「ああ、ひ~らぎなら愛しのお姫様がいないって不貞腐れてたぜ」
廊下からそんな会話が聞こえてきた。
「こなた………みなみちゃん?」
廊下に出てみると、そこにはこなたとみなみちゃんがいた。
「かがみ、このあと時間あるかな?」
こなたはいつもと変わらない調子で私に話しかけてきた。
「特に予定はないけど…」
「かがみ先輩、泉先輩の家に行ってください」
「こなたの家?…でも……」
こなたの家にはゆたかちゃんがいる。
事情を知っているこなたもそうだが、昨日その場に居合わせたみなみちゃんまでが私を呼びにくるとは一体どういう風の吹き回しなのか…
「どうして…」
私は浮かんできた疑問をそのまま口にした。
「それは……」
みなみちゃんは答えづらそうに、そして苛立たしげに目を逸らした。
「さっき、ゆーちゃんからメールがきたんだよ」
みなみちゃんに代わってこなたが私の疑問に答えた。
「ゆたかちゃんから?!」
「うん。かがみに会いたいって」



私とこなたとみなみちゃんは並んでこなたの家に向かった。
後五分もしないうちに着くだろう。
だが私は心の整理がつかないでいた。
(ゆたかちゃんが…私に会いたい?)
こなたが見せてくれた携帯のメールには『かがみ先輩に会いたい』と確かにあった。
ゆたかちゃんは昨日のこと、なんとも思ってないのだろうか?
いや、それなら学校を休んだりはしない。
もしかしたら会いたいという言葉を私が好意的に解釈してるだけで、本当はこなたとみなみちゃんの立会いの下で別れ話でもするつもりではないだろうか…
「かがみ先輩」
私のもんもんとした思考はみなみちゃんによって断ち切られた。
私は…認めません…」
みなみちゃんの口調には少なからず怒気が含まれていた。
「ゆたかにあんなことをして…」
「みなみちゃん」
みなみちゃんの言葉をこなたが遮った。
「よしなよ。かがみだって後悔してると思うし」
「ですが!私は納得できません!」
あくまで冷静なこなたと怒りをあらわにするみなみちゃんの態度はとても対照的だ。
「ゆたかは、泉先輩とは違います!一時の気の迷いで…」
「みなみちゃん。“ゆーちゃんが”かがみに会いたいって言ってるんだよ」
こなたの口調は決して激しくはない。
だが、一言一言かみ締めるような力のこもった話し方にみなみちゃんは抑えられていく。
「…それで、いいんですか?」
「ゆーちゃんがまだ“そう”だと決まったわけじゃないよ。例え“そう”だとしても本人たちが幸せなら、私はいいと思う」
「ねぇ…」
こなたとみなみちゃんの会話には意味がわからない点がある。
最初は私に対して怒りを感じているみなみちゃんをこなたがなだめているのかと思ったが、どうも私が思っていることと二人の会話にはズレがあるように感じる。
ゆたかちゃんが、私に会いたいと言っているのとなにか関係があるのだろうか…
「二人は、ゆたかちゃんが私に会いたがっている理由を知っているの?」
私は思い切って聞いてみることにした。
向かい合っていた二人の視線がこちらを向く。
「まぁ…一応ね」
「……」
こなたは曖昧な言葉を返し、みなみちゃんは沈黙を返した。
「訊いてもいい?」
「ご自分で確かめればいいでしょう!」
私の問いかけはみなみちゃんの辛辣な言葉に切り伏せられた。
「まぁ…そういうことだから……」
どうしてこなたは、この状況下にあってこうも飄々としていられるのだろう。
「ねぇ、みなみちゃん」
そのこなたがみなみちゃんに話しかけた。
「この先も、ゆーちゃんの友達でいてあげてね」
その言葉には強い感情が込められているように思えた。
「当たり前じゃないですか。ゆたかは、私にとって一番の親友です」
「うん、ありがとね」
こなたが立ち止まった。
気がつくとそこはこなたの家の前だった。
考え事と会話に夢中になっているうちについたらしい。
「さ、入って」
こなたに促され、私とみなみちゃんは家へと通される。
私たちはまっすぐにゆたかちゃんの部屋へ向かった。
「あ~言い忘れてたけど…」
ゆたかちゃんの部屋の前まできて、思い出したようにこなたは言った。
「今日、おとーさん仕事の都合でいないんだ。編集さんとの打ち合わせが長引いてるらしくって、帰るの明日になるって」
「…そうなの」
私たちの状況に何の関係があるのかわからないが、一応うなずいておく。
コンコン
「ゆたか…身体は大丈夫?」
みなみちゃんがドアをノックしながら気遣うように声をかけた。
「みなみちゃん?うん、大丈夫だよ」
部屋の中からゆたかちゃんの声が返ってくる。たった一日聞かなかっただけでとても懐かしく思えた。
「ゆーちゃん、かがみをつれてきたよ」
「……入ってもらって」
部屋の主から入室の許可がおりると、こなたとみなみちゃんは玄関へと引き返した。
「えっ?こなたたちは来ないの?」
私は不審に思って呼び止めた。
「うん。かがみ………」
こなたは私を見つめて、何か言いたそうにしていたが、
「ううん、なんでもない。じゃね」
それだけ言い残して二人は行ってしまった。
(なんなんだろう)
追いかけたい気持ちはあったが、それよりも今はゆたかちゃんのことが気にかかった。
「ゆたかちゃん…入るね」
「先輩…どうぞ」
ガチャ
ゆたかちゃん意思を確認して私は扉をあけた。
「っ!これ…は?!」
部屋に入ったとたん、とてつもなく“いい匂い”が私を包み込んだ。
それは例えるならフェロモンとでもいうのか、強烈な性の匂いだった。
「っ…ぁ…」
一瞬にして理性を刈り取られそうになるが、私はどうにか踏みとどまった。
というのも、この匂いには覚えがあった。
それは昨日ゆたかちゃんを襲ったとき、ゆたかちゃんのアソコからした甘い匂いだった。
そして、その匂いの中心で、
「…かがみ……先輩……」
目はトロンとし、息は荒く、頬はピンク色に染まり、誰が見ても発情してしまっているのが明らかな、寝間着姿のゆたかちゃんが私を見つめていた。



















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  • バッドエンドになるかと思いきや、なにやら雲行きが変わってきましたね。誤字が少し気になりますが、お話がサクサク進むので読みやすかったです。GJ! ――後編はさらにエロくなりそう………。 -- 名無しさん (2009-03-24 19:26:37)

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