涼しくなったねぇ……。
セミの断末魔も聞こえなくなった10月上旬。
残暑が遠ざかり、涼しい風が吹く朝。
やわらかな陽光の中、英語の書き取りをするペンも調子よく動く。
かりかり。さらさら。
エアコンの音がなくなった室内にペンと紙の音だけが踊る。
残暑が遠ざかり、涼しい風が吹く朝。
やわらかな陽光の中、英語の書き取りをするペンも調子よく動く。
かりかり。さらさら。
エアコンの音がなくなった室内にペンと紙の音だけが踊る。
「……くぁぁ~っ」
大きなあくびを一発。
暑くなく、寒くもない気温と窓から差し込む陽光。
そして退屈な英語の書き取りは、私を睡魔に誘うには十分な物だった。
暑くなく、寒くもない気温と窓から差し込む陽光。
そして退屈な英語の書き取りは、私を睡魔に誘うには十分な物だった。
「少し休憩しようかな……」
ペンを走らせる手を止めて、ほぅ、と息をつく。
その時、携帯電話が賑やかなメロディを奏で、体を震わせて着信を知らせた。
この着メロは……かがみ。
携帯を手に取ってもどかしい思いで開き、通話ボタンを押下する。
その時、携帯電話が賑やかなメロディを奏で、体を震わせて着信を知らせた。
この着メロは……かがみ。
携帯を手に取ってもどかしい思いで開き、通話ボタンを押下する。
「もしもし、かがみ?」
『あ、こなた。アンタ今日予定ある?』
『あ、こなた。アンタ今日予定ある?』
かがみの声に、思わず頬が緩む。
「ないよ。暇だったから、英語やってた」
『おお……ほんと、去年から比べるとすごい進歩ね?感心、感心』
かがみのためだからね、という言葉が喉まで出かかったが、押し殺した。
『おお……ほんと、去年から比べるとすごい進歩ね?感心、感心』
かがみのためだからね、という言葉が喉まで出かかったが、押し殺した。
「それほどでも。で、どしたの?なんか用?」
『たまには一緒に遊びたくてね』
他意はないのだろう。だけど、嬉しくて、胸が弾んだ。
「ほほぉー、かがみんは私と一緒にいたいのかなぁ」
ふざけた口調でからかうように言う。
『バカ。……ま、一応、親友だと思ってるし……た、たまには息抜きも必要でしょ?』
詰まりながらまくし立てる、ツンデレのかがみ。
「ふふ、かがみんはかわいいねぇ。そろそろ私の嫁にならない?」
……こんな口調じゃ、本気にされないってことはわかってる。
『あー、はいはい。善処しますよー』
思った通り、軽口で返された。何回も、何十回も繰り返した流れ。
『たまには一緒に遊びたくてね』
他意はないのだろう。だけど、嬉しくて、胸が弾んだ。
「ほほぉー、かがみんは私と一緒にいたいのかなぁ」
ふざけた口調でからかうように言う。
『バカ。……ま、一応、親友だと思ってるし……た、たまには息抜きも必要でしょ?』
詰まりながらまくし立てる、ツンデレのかがみ。
「ふふ、かがみんはかわいいねぇ。そろそろ私の嫁にならない?」
……こんな口調じゃ、本気にされないってことはわかってる。
『あー、はいはい。善処しますよー』
思った通り、軽口で返された。何回も、何十回も繰り返した流れ。
私……或いは、かがみが男の子だったらよかったのに。何度もそう思った。
でも現実は。女の子の私に、女の子のかがみ。
もし、私が真面目に告白したとしたら……きっと、かがみは悩むだろう。苦しむだろう。
かがみは、優しいから。
でも、そんな事は私の望むところではない。
……今のこの、何も気兼ねなく一緒にいられる。……そんな距離感でいいんだ。
でも現実は。女の子の私に、女の子のかがみ。
もし、私が真面目に告白したとしたら……きっと、かがみは悩むだろう。苦しむだろう。
かがみは、優しいから。
でも、そんな事は私の望むところではない。
……今のこの、何も気兼ねなく一緒にいられる。……そんな距離感でいいんだ。
『じゃ、今からそっち行っていい?』
「おー、いいよー」
『わかった。じゃあ、多分3、40分くらいで行くから』
「うーい」
プツ。ツー、ツー。繋がりが切れる寂しい音を響かせ、あっけなく電話は切れた。
声が聞こえて、すぐ側にいるように感じても、所詮は回線越しのつながり。
「おー、いいよー」
『わかった。じゃあ、多分3、40分くらいで行くから』
「うーい」
プツ。ツー、ツー。繋がりが切れる寂しい音を響かせ、あっけなく電話は切れた。
声が聞こえて、すぐ側にいるように感じても、所詮は回線越しのつながり。
なんだか寂しくなって。机に突っ伏して独りごちる。
「……会いたいよ、かがみ。」
目を閉じると、瞼の裏にかがみの姿が浮かび上がる。
……重症だな、こりゃ。
でも、この幻を消したくなくて。固く目を閉じ続けた。
秋の優しい空気に包まれて、そのまま微睡みに身を任せる。
「……会いたいよ、かがみ。」
目を閉じると、瞼の裏にかがみの姿が浮かび上がる。
……重症だな、こりゃ。
でも、この幻を消したくなくて。固く目を閉じ続けた。
秋の優しい空気に包まれて、そのまま微睡みに身を任せる。
……夢を見た。甘い甘い、私の願望でできた夢。
夢の中で、私とかがみは恋人同士。
何も懸念のない変わらない日々を、二人で過ごしていた。
普段と同じ、何気ない会話。違うのは、親友か恋人か。その点だけ。
夢の中で、私とかがみは恋人同士。
何も懸念のない変わらない日々を、二人で過ごしていた。
普段と同じ、何気ない会話。違うのは、親友か恋人か。その点だけ。
『ねぇ、こなた……キスしよっか?』
『……うん。私もしたいな』
『……うん。私もしたいな』
夢だということには気づいていた。わかっていたけれど、このぬるま湯から出るのが嫌で。
私は現実から意識を逸らして、夢の世界に浸っていた。
私は現実から意識を逸らして、夢の世界に浸っていた。
この世界がもっと私を縛ってくれれば、この世界から出なくてもいいような気がした。
そんな我侭に応えて、強く抱きしめてくれるかがみ。私の世界のかがみ。
そんな我侭に応えて、強く抱きしめてくれるかがみ。私の世界のかがみ。
『こなた……』
かがみがまっすぐに私の目を見つめる。
愛しい。ただ、愛おしい。
かがみの顔がゆっくりと、近づいてくる。
その距離がゼロになる刹那、私は言った。
かがみがまっすぐに私の目を見つめる。
愛しい。ただ、愛おしい。
かがみの顔がゆっくりと、近づいてくる。
その距離がゼロになる刹那、私は言った。
「かがみ……。大好き。愛してる……。」
瞬間、消えた。私の世界が。
瞼の裏の紅い暗闇を見つめながら、少し苛立たしく思う。
もう少しだけ。もう少しだけ、いたかった。
夢の余韻を味わいたくて、目を閉じたままじっとしていると、人の気配を感じた。
お父さん、かな?だるい体を起こしてそちらを見やると……。
瞼の裏の紅い暗闇を見つめながら、少し苛立たしく思う。
もう少しだけ。もう少しだけ、いたかった。
夢の余韻を味わいたくて、目を閉じたままじっとしていると、人の気配を感じた。
お父さん、かな?だるい体を起こしてそちらを見やると……。
「あ、お、起きた?」
かがみだ。……そか、かがみが家に来るんだっけ。
「あー、ごめんごめん……寝ちゃってたよ」
「や、いいのよ……確かに、こんなに気持ちいい天気だと眠くなっちゃうわよね」
「だよねー。……ふぁぁ……」
「……」
「……ん?」
「や、いいのよ……確かに、こんなに気持ちいい天気だと眠くなっちゃうわよね」
「だよねー。……ふぁぁ……」
「……」
「……ん?」
かがみが私の顔をじっと見ている事に気づく。
あんな夢を見たあとだから、少し気恥ずかしい。
「ど、どしたの?私の顔、なんかついてる?あ、よ、よだれ?」
口元を拭ってみる。何もついていない。
あんな夢を見たあとだから、少し気恥ずかしい。
「ど、どしたの?私の顔、なんかついてる?あ、よ、よだれ?」
口元を拭ってみる。何もついていない。
「あ、いや……なんでも……」
言葉を濁される。どうしたんだろ?
「ふーん……?」
言葉を濁される。どうしたんだろ?
「ふーん……?」
「と、とりあえずなんかゲームでもやりましょうか?」
話を逸らすように、話題を変えられた。
……ま、いっか。
「いーね。……なんかあったかなー……お、これなんかどう?」
ゲームが入っている棚を漁って、取り出したのは2Dの格闘ゲーム。かがみも結構やっているハズ。
「ん、それでいいわよ」
「おし、じゃあやろやろ」
話を逸らすように、話題を変えられた。
……ま、いっか。
「いーね。……なんかあったかなー……お、これなんかどう?」
ゲームが入っている棚を漁って、取り出したのは2Dの格闘ゲーム。かがみも結構やっているハズ。
「ん、それでいいわよ」
「おし、じゃあやろやろ」
画面上のキャラクターが軽快に飛びまわって、攻撃を繰り出す。
操るのは、私とかがみ。
「……ねぇ、こなた」
ゲームに熱中していると、かがみが声をかけてきた。
「ん、なに?」
アーケードスティックをガチャガチャと鳴らしながら答える。
「……アンタね……さっき、寝言言ってたわよ」
操るのは、私とかがみ。
「……ねぇ、こなた」
ゲームに熱中していると、かがみが声をかけてきた。
「ん、なに?」
アーケードスティックをガチャガチャと鳴らしながら答える。
「……アンタね……さっき、寝言言ってたわよ」
うそ?あの夢の?。
心臓が意思を持ったかのように跳ねる。手が動かせなくなる。
画面上の分身も動きを止めた。かがみのキャラクターも止まった。
心臓が意思を持ったかのように跳ねる。手が動かせなくなる。
画面上の分身も動きを止めた。かがみのキャラクターも止まった。
「……なんて……?」
なんでもない一言であって。
なんでもない一言であって。
「……。」
しばらくの沈黙。
タイムアップで、私のキャラクターが勝利した旨を画面が告げる。
かがみが、重そうに口を開いた。
「……私の事……『愛してる』って」
タイムアップで、私のキャラクターが勝利した旨を画面が告げる。
かがみが、重そうに口を開いた。
「……私の事……『愛してる』って」
……これこそ、夢なんじゃないだろうか?
ふとももをつねってみる。
痛い。どこか現実味がなかった意識が覚醒する。
現実。紛れもない、現実。
ふとももをつねってみる。
痛い。どこか現実味がなかった意識が覚醒する。
現実。紛れもない、現実。
「それって……そういう意味って事?」
私を見ずに言う。
「……え、と……」
頭の中がぐるぐる回る。顔が熱くなるのを感じる。
なんて答えればいいの?
どうすればいいのか、全くわからない。
こんなのって……ないよ……。
「……そう、か……」
言いながら、立ち上がるかがみ。
「ごめん……少し、考えさせて」
私から顔を逸らしてそう言うと、振り向かず足早に扉に向かう。
「か、かがみ……」
私を見ずに言う。
「……え、と……」
頭の中がぐるぐる回る。顔が熱くなるのを感じる。
なんて答えればいいの?
どうすればいいのか、全くわからない。
こんなのって……ないよ……。
「……そう、か……」
言いながら、立ち上がるかがみ。
「ごめん……少し、考えさせて」
私から顔を逸らしてそう言うと、振り向かず足早に扉に向かう。
「か、かがみ……」
バタン。扉が閉まる音が無慈悲に響いた。
しばらくして、玄関の開閉音。
その後に残ったのは、キャラクターセレクトの音楽と、呆然とする私。
しばらくして、玄関の開閉音。
その後に残ったのは、キャラクターセレクトの音楽と、呆然とする私。
「……こんなのって……ないよ……」
窓から吹きこんできた風が、やけに冷たい気がした。
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- 読みなおして一つ気づいたのですが、こなたの部屋って引き戸でしたね。
失念してました。保管済みの自作SSは訂正してもいいものなんでしょうか?
↓ありがとうございます。とても励みになります。 -- 名無しさん (2010-10-07 22:52:04) - 続きくださいぃぃぃいいいいい -- 名無しさん (2010-10-03 12:13:35)
- なんという生殺し…
続きを所望します -- 名無しさん (2010-09-26 03:12:05) - 続き激しく希望 -- 名無しさん (2010-09-23 03:19:50)
- うおぃ!!このままでは何とも・・・
作者様、激しく続きを懇願しますぅぅぅぅ。 -- kk (2010-08-26 21:20:03)