kairakunoza @ ウィキ

Cosmos 1話

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
夢を見た
いままでにも何回か見たことがある夢
絶対に忘れることのない夢

ワンピースを着た小さな少女
吹き抜ける風に髪を靡かせて、そこに立っている
どこまでも広がる花畑
一面に咲く色とりどりの花達
中心に佇む少女を取り囲むようにして揺れている

――あなたはだあれ?

問いかけても、少女は笑ってこちらを見つめるばかり
近くに行こうと歩いてみる
でも、その距離は縮まない
どんなに走っても、どんなに叫んでも
「私」が彼女に届くことはない

夢は……いつもそこで終わる


「う…ん」
――朝
 夢のせいか否か、自然と目が覚める
「オハヨウゴザイマス」
 最初に聞く声はいつも決まっている
「おはようギョッピ」
 私の世話をしてくれているメイドロボ通称「ギョッピ」
 私達の世界では、1人につき1体の世話係(主に無機質のロボット)が付いている
 この子は、私が小さい時に『宇宙祭り』の出店で見つけた、一目見て気に入ったのか
 ほしいほしいって駄々をこねて…やっと買ってもらえたのを覚えている
 今思い出すと、すごく恥ずかしいことをしたな…なんて、恥ずかしくなる
 でも、この子がいてくれて、本当によかったと感謝しているので、後悔はしていない
「今日の朝ご飯は何?」
「今日ハ、先日購入シタ、宇宙ウコッケイノ卵ヲ使ッタ目玉焼キデス」
「つまり目玉焼きでしょ?別に材料まで言わなくてもいいわよ」
「スミマセン」
「別に責めてるわけじゃないんだから謝んなくていいわよ」
「ハイ」
 この子はなんかつかみ所がないのよねぇ……じっと顔を見つめている
 にっこり笑顔をこちらに向けてくる、わかってやってるのだろうか

 制服に着替え、身だしなみを整えて部屋から出る
 すると、向かい側から、いつも通りのやり取りが聞こえる
つかさ、あなたはどうしていつも一人で起きられないの!?」
「だ、だってぇ」
「だってじゃない、17歳にもなって一人で起きられないなんて、だらしなさすぎるよ!!」
「ふぇえぇ……」
 まったくいつもいつも、同じやり取りばっかりで飽きないのかしら
 ドアノブに手を掛けて、ドアを開く
「その辺にしておいてあげたら?」
「あ、かがみ姉さん」
「お姉ちゃ~~~~ん!!」
 つかさが徐に抱きついてきた
「ちょ、苦しいってばぁ」
「だってぇ、バルサが……バルサがぁ」
「つかさがだらしないのがいけないんですよ」
 つかさの世話係「バルサ」、どこから持ってきた名前なのかは言わなくても分かるだろう

 私のギョッピと同じメイドロボなのだが、その性能は全く違う
 思考能力だとか、言語力だとか、学習能力、そしてなぜか戦闘能力も
 昔、お母さんに聞いたのだけれど
 『つかさはちょっと頼りないから、少しいいのをつけようと思うの。だからかがみは
  あの子だけで我慢してね』
 ん~、まぁ仕方ないって言ったら仕方ないし
 私はギョッピで満足していたから反論はしなかった
「オファヨウ、バルサァ」
「おはよう、ギョッピ。相変わらず滑舌悪いわねぇ」
 傍から見ると姉妹のようなギョッピとバルサ
 そんな二人を微笑ましく眺めながら言う
「ほらほら、こんなところで突っ立ってないで下行きましょう」
 4人で1階にあるリビングへと向かう
 階段のところは、乗ると勝手に動き出すエスカレーター式
 本当、便利な世界になったものだ
 でも、家中機械むき出しというわけじゃない
 外から見ると……
 私は実際に生えているところを見たことがないが、「木」というもので作られたという壁や屋根。
 内部も、フローリング?だったと思う。エアーコンディションやテレビジョンのようなもの以外は
 目にやさしい作りになっている
 『人に最も快適に暮らしていただけるような家造りを!!』みたいなキャッチフレーズで
 建設業者が騒いでいたと思う
「おはよ~」
「おはよう」
 リビングから最初に聞こえてきたのは、私の上の二人の姉、いのりお姉ちゃんとまつりお姉ちゃんの声
 家族全員+α(全員の世話係)が揃っている
 ただでさえ大人数の我が家
 それに咥えて個々に1人づつ世話係が付いているので……計12人
 正に壮観としか言いようがないだろう
「おはよう」
「オハヨウゴザイマス」
「おはようございます」
「おふぁよ~…ふぁ~」
「つかさ、いつも眠そうね」
 次女のまつりが呆れた顔でそう言った
「つかさ、何回言っても寝坊癖が直らないんです」
 バルサが半分諦めたような顔ではき捨てる
「ふぇ!!み、見捨てないでバルサ~」
 そう言って、よろよろとバルサに抱きつくつかさ
 バルサは困った顔をしている
「いや、見捨てないけどさ…もうちょっと直す努力をしてほしいんだけれど」
「ど、努力はしているんだよ?…でもね、お布団があまりにも気持ちよくて…その…」
「……はぁ、もういいわよ」
「私ノカガミハイイコイイコナノデ、オ寝坊サンシマセンヨ」
「いや、聞いてないから」
 ギョッピに対して、長年組んできたかのような突っ込みを返すバルサ
 もう漫才コンビとか結成してしまえばいいのに
「あ、そうだかがみ、ちょっとGCのレベルを0.8まで落としてきてくれない?」
「ん?なんで?」
 長女いのりのお願いに質問で返すかがみ
「うん、なんか体が重くて」
「年寄りかあんたは!!」
 そう突っ込みつつも、GCがある裏庭へと足を進める私は、お人好しだと思う
 ちなみにGCとは「Gravity Control」の略。重力制御のことである、なぜそんなものが必要なのかというと……

 ガチャッ
 扉を開けて、外を見る
 360度全てが宇宙。満天に輝く星が綺麗だ
 私達……というか、この宇宙に住むほとんどの人が小さな惑星の上に住んでいる
 いや、惑星というには小さすぎるだろうか
 13m×10m×8m…1040リッポウ程度の、引力すら存在しない小さな岩石の塊の上に、私達の家は立っている
 なんでこの位置から動かないんだろ、なんで私達息が吸えるんだろ、何度も思った
 普通なら、私の家を乗せたこの岩石は、宇宙空間を漂ってどこか知らない場所へ……一般人はそう思うはずだ
 空気だってそう、こんな草も水もない小さな岩石に、空気が存在するはずもない
 専門家は座標指定がどうとか、空間隔離がなんたらかんたら言っていたけれど
 私には難しすぎてちんぷんかんぷんだった
 ……あ、少し話がそれちゃったかも
 そんなわけで、重力がなければ私達は満足に生活できないわけで……
 無駄に重くて頑丈な外殻を開けて、GCの『Down』ボタンを押して数値を下げる
「え~っと…0.8っと…わっ」
 急に体が軽くなる、この感覚は何度経験しても慣れない、そんな感想を頭の中で反復させていると
「あら、かがみちゃんおはよう」
「あ、おはようございます」
 私達の隣の家……というか、隣の隕石?に住んでいるおばさんがゴミを捨てに庭に出ていた
「GCの点検?えらいわねぇ」
「い、いえ…そんなたいそうなものでは…」
 勘違いだとしても、褒められるのは慣れていない私
「あ、そうだ…確か今日だったわよねぇ?例のあの日。おばさんも気をつけなくちゃ」
 あの日?……あ、そうか
「かがみ、終わったんだから、早く朝ごはん食べちゃいなさい」
 開け放たれた扉の向こうから、お母さんが急かすように声を出す
「あら、引き止めちゃったみたいねぇ…ごめんなさいね」
「いえ、お話を途中で切ってしまって申し訳ありません」
「そんなそんな、おばさんは少しだけでも楽しかったわよ」
「はい、ありがとうございます」
 少し軽くなった体でお辞儀をする
「それじゃあ、気をつけてね」
「はい」
 会話を切り上げて、小走りに家の中に駆けていった

 後ろ手にドアを閉めながら、リビングへと戻る
 お父さんが、テレビを真剣な眼差しで見つめている
「あ、そういえば今日だっけ『流星群』」
 テレビで流れる『流星群特集』を横目に見つつ
 ハフハフとトーストをかじりながら、思い出したように次女のいのりが言う
「うん、だから私達の学校午前中で休みなのぉ♪」
 目玉焼きにマヨネーズをかけながら、つかさがのほほん顔で言う
 隣ではつかさのために、焼きたてのトーストへ、次々とマーガリンを塗りたくるバルサ
 ……バルサ…つかさは5枚も食べられないと思うんだけど
「その話は今ので7回目よ」
 つかさの前に、牛乳を並々と注いだコップを置きながら、お母さんが言う
「そ、そうだっけ?えへへ…」
「この子は…そんなに学校が早く終わるのが嬉しいの?」
 そういいつつ、8枚目のトーストにマーガリンを塗ろうとしていたバルサに
 お母さんのストップが入る
「帰りは気をつけて帰ってくるのよ?」
「大丈夫よお母さん、運転は私なんだから」


 学校までの道のりはもちろん宇宙空間…なので、行き来には小型の宇宙船を使う
 13歳になると、宇宙船の運転免許が取れるようになる
 13歳は早すぎるような気もするが、この世界の構造上仕方がないことなのだろう
 それにほとんどがオートで動いてくれるので、運転はあってないようなものだ
 そんなわけで、学校の行き来のための宇宙船の運転は、私とつかさが1日づつ交代交代で行っている
 今日は私の番
「あれ?お姉ちゃん昨日やったから、今日は私じゃないの?」
「つかさは一昨日、事故起こしたばっかりでしょ…少し運転は控えなさい」
 目を瞑ってつかさに言い放つ
「で、でも…運転…したいなぁ……」
 事故…というほど大きなものではないのだが、オート制御がかかっているにも関わらず
 つかさは機体を、宇宙に浮かぶ岩石にこすり付けた……しかも私が乗っていた助手席側を
 同乗している側としてはたまったものじゃない…だからしばらくは運転させないようにする
「自業自得でしょ」
 そんな憎まれ口を叩きつつ、オムレツにありえないほどの、ケチャップをかけていたバルサに
 またもやお母さんのストップが入る
 テレビはどこのチャンネルも、流星群の話題で持ちきりだった
「それじゃあ、いってきまーす」
「……いってきます」
「いってらっしゃい」
 つかさが沈んでいる、そんなに運転したいのか
「ほら、行くよつかさ」
「う、うん」
「「いってらっしゃいませ(イッテラッシャイマセ)」」
 世話係の仕事はここまで、学校には連れてきてはいけないというルールがある
 登校下校の時が、世話係が一番必要な時のような気がするんだけど…なにかあった時のために
「ねぇお姉ちゃん」
「運転はさせないわよ」
「はぅう……」
 なんでそんなに運転したいのかが分からないわ…
 運転席に乗り込み、シートベルトをかける
 エンジンをかけると『おはようございます』と声が聞こえた
 『行き先はどちらでしょうか』…無機質で感情のない声の通りに
 学校への行き先を入力、後は適当にハンドルを操作していれば大体は
 このナビがやってくれる
 車体が前に進み始めた
 真空に出る瞬間の、後ろに引っ張られるような感触が、ひそかに好きだったりする
「……」
 家から少し離れたころ
 無言で、自分達の家のほうを見る
 数多の岩石がひしめき合って構成している住宅街
 はたして街と呼べるのかどうかは定かではないが…
 なぜ今のような、バラバラにわかれた星の破片の上で暮らさなければならなくなったのか
 仮説はいろいろある、もともと1つだった大きな星が、内部分裂や、外部からの衝撃によって砕け散ってしまったとか
 磁場の影響でまとまりきれなかった星の出来損ないが今のこの状態をつくってしまったとか
 でも私はそんな過程はどうでもよかった…ただ頭に浮かぶのは、現在の姿
 いくつもの家族が集まって形成される集落は、通称「住宅群」と呼ばれている
 真空という壁を隔てたそれは、『群』という言葉が、本当に適切なのだろうか……
 毎日この光景を見ながら、同じことを考えて登校する
 まるで止まっているかのような私達の世界……いや、実際止まっているのかもしれない
 毎日毎日同じことの繰り返し、朝起きて、学校行って、帰って、寝る
 何年経っても、何一つ変わらない日常……

―――のはずだった
――そう、今日を境に…私達の日常が、普通ではない方向へと、進んでいくことになるなんて
  この時はまだ、知る由もなかった

――*――*――*――*――*――*――*――


「おっはよ~柊~」
「おはよう柊ちゃん、それから妹ちゃんも」
「おはようございます、かがみさん、つかささん」
「おはよう三人とも」
「おはよ~♪」
 学校に着くと、つかさの機嫌はすっかりよくなっていた
 まったく、現金なんだから
 峰岸、みゆきと楽しそうに話すつかさを見ながら、ふと今朝の夢のことを考えていた
「な~に考え込んでんだよ柊!!」
 バンッと私の背中を叩く日下部、空気が肺の中で、変なふうに回って咳き込む
「ゴホッゴホッ!ちょ、ちょっと日下部!何するのよ!!」
「柊が辛気臭い顔してたから活いれてやったんだろ」
 なんだか今日のこいつは、異様にテンションが高い
「なんで今日は一段と元気なのよ」
 日下部は腕を組みながら語り始めた
「だってよ~流星群だぜ?流星群!これが落ち着いていられるかっての!!」
「子供かあんたは…」
「柊だって気になるだろ?流星群」
 そりゃあ気になる、気にならないといったら嘘になる……
 星は私達にとって最も身近な存在だし、私達の学校生活にまで影響を及ぼす流星群は
 もちろん、すごく興味のあることだ……しかし
「あんたねぇ、流星群は遠めに見れば綺麗だけど…今回のはこっちに向かってるんだからね?」
 そう、朝から流星群流星群と騒いでいたのは、決して見たいがため、などではない
 今回の『第327号流星群』の通り道に、私達の住宅群が位置してしまっているんだ……
 対策はしっかりとられている、数百もの自衛艦隊を最前線に配備し
 その前方には、γ線すら通ることのできないといわれる、特殊なシールドが張られるらしい
 防御確立は99.99%、もし0.01%の確立で隕石が中に入ってきても
 自衛艦隊が待ち構えている、防御確立はほぼ100%だろう…でも……
 いくら安心だと言われていても、怖いものは怖い
 もし、0.01%の確立で隕石が通り抜けてきて、それに自衛艦隊が対応しきれなかったら
 そしてその隕石が、私の家に落ちてきたら…そんなネガティブな考えばかりが浮かぶ
「そのスリルがいいんじゃん♪」
 こいつはそんな男の子みたいなことを言う、人の気も知らないで……
 ニコニコと私と日下部のやり取りを見つめる私の妹
 いまこそ笑ってはいるが、内心つかさも怖いんだと思う
 流星群のニュースが流れ始めた頃なんか、1週間毎日私のベッドにもぐりこんできた
 つかさは怖がりだし甘えん坊だからね……
 そんな思考を巡らせていると…
「ほら~みんな席に着け~、HR始めるでぇ」
 黒井先生が勢いよく扉を開けて入ってきた、クラス名簿をバンバンと教卓に叩きつけながら言う
 毎日叩いているせいか、名簿の端っこが丸くなってきている
 黒井先生の服装が少し乱れてしまっているのは、走ってきたからだろう
「え~みんなもう知っとると思うけどぉ、今日は流星群の影響で、午前中授業で終わりや」
 当然のようにクラスが沸く、昨日も一昨日もおんなじような光景を見たような気がする
「お前ら同じことで何回も興奮するんやない」
 ごもっともです
「まあ今のところ連絡事項はそれだけや、詳しいことはまた帰りのHRで話す、以上」
 黒井先生はそういい残すと、足早に教室から出て行った
 やっぱりこんな事態のせいか、忙しそうだ
 私は、1時間目の『恒星学』の授業に備えて教科書を出しながら
 また、今朝の夢のことを考えていた…
――あの、青い髪の少女のことを


 学校からの帰り道、宇宙船の中でこんな言葉を耳にした
『流星線付近のお住みの方は、大至急、避難所への移動をお願いします』
 流星線とは、流星群が通る主軌道のこと
 この軌道上に住む人は、万が一に備えて避難所へ移動するみたい
「うわー、なんか大変そうだねぇお姉ちゃん」
 けたたましいサイレンの音、ザワザワという話し声
 いつもよりかなり多い交通量
 そんな騒音をBGMに、つかさが話しかけてきた
「そりゃあ流星群は、『宇宙第5災害』として認知されてるしね
 できる限りの安全策はとっておかないといけないんでしょ」
 50年くらい前だったと聞く……ろくすっぽ対策もとらずに、当時の軟弱なシールドを張っただけで
 流星群の到着を迎えた街があった
 その街がどうなったのかは……言うまでもないだろう…
「お姉ちゃん、あれなぁに?」
「ん?」
 助手席で大人しくしていたつかさが、不意に椅子の上に膝立ちになり
 目をキラキラさせて指を指す
「なんかきれい」
「あ~、あれがシールドの発生装置よ」
 黄色を基調としたデザイン、宇宙船や軍隊艦とは違う、一見人の形にも見える独特のフォルムは
 周囲を行く人たちの目を、釘付けにしていた
 その隣を、水や食料などを積んだコンテナ船が通り過ぎていく
 この住宅群に無料で配られるらしい
 1週間に配布される水の量は限られているため、こちらとしてはすばらしいプレゼントだ
 っと、船内の時計に目をやる
 家族に知らせていた到着予定時間を、1時間もオーバーしていた
 そういえば、流星群から発せられる特殊な磁場のせいで
 電子機器類になんらかの異常が現れる可能性があるとか、今朝のテレビで言っていたような気がする
「わ!!し、しまった…つかさ、少しとばすから捕まってなさい!!」
「ふぇ!?う、うん」
 アクセルを少しだけ強く踏んで、帰路を急いだ

――*――*――*――*――*――*――*――


「遅い!!」
「「ご、ごめんなさい……」」
 案の定、待っていたかのように、次女まつりからの怒号が降り注ぐ、まるで流星群のように
 なんだかこっちの流星群の方が怖い
「あれほど早めに帰ってきなさいって、何度も何度も言ってたのに!!」
「「ごめんなさい」」
 私達を心配してのことなので、反論はできない
 だまってお叱りを受けているしかないだろう
「まぁまぁ、まつりそのくらいにしておきなよ、2人共反省しているみたいだし」
「……むぅ…ブツブツ、ブツブツ」
 まつりお姉ちゃんは、何かブツブツ言いながらリビングへと戻っていった
「あの子も心配して言ってることだから、かがみもつかさも親身になって受け止めてね?」
「うん、分かってる」
「ほ、本当にごめんね?お姉ちゃん」
 長女いのりに対して、眉毛をハの字に曲げて何度も謝るつかさ
「いいわよ、私はそんなに怒ってないし……
 でもつかさ、バルサがかんかんだったから、小一時間絞られるのは覚悟しておいた方がいいかもね」
「ふぇ!!……う、うん」
 一気にテンションの下がるつかさ、この子は感情の起伏が激しいな……
「ギョッピの方は、なんかよく分からない状態だったけど」
「いや、まぁあの子はそういう子だから……」
 ネジが抜けているというか…いや実際、1年位前に頭部のネジが、2本ほどどこかにいってしまった、と言っていた
 旧タイプのギョッピと同タイプのものは、製造が中止されているから、新しいネジを取り寄せるのは無理
 似たようなネジを探してはみたものの、結局見つからずに今に至っている
「まぁ取り合えずあがりなさい」
「うん」
 脱いだ靴を揃えて、3人でリビングへと向かった

「おかえり、かがみ、つかさ」
「ただいまお父さん」
「…ただい」
「つーーーかーーーさーーー!!」
「うひぃ!!」
 お父さんの隣には、白いオーラ(興奮しているせいか、背中から湯気がモクモク上がっている)を纏った
 バルサが、瞳のレンズをギュルギュル回転させながらつかさを睨んでいる、まるで鬼のような形相だ
 オーバーヒートとかしないといいんだけど
「……つかさ、部屋に来なさい」
 下顎を突き出し、親指を突きたて上を指す
「ハイ」
 恐怖からか、つかさがいつもの8分の5スケールくらいに見える
 とぼとぼと、バルサの後を追って自室に向かうつかさ
 扉を閉める音がして0.1秒も経たないうちに、バルサの怒鳴り声が響く
 防音効果のおかげで、こちらにまでは聞こえてこないのだが
 明らかに家が揺れているのがわかる、最音量で説教しているのだろう
 揺れる我が家でバランスをとりながら、台所にいたお母さんが、リビングへと戻ってきた
「遅かったじゃないかがみ、みんな心配してたのよ?」
「まったくよ」
 興奮冷めやらぬ状態のまつりが会話に加わる
「ごめんなさい、帰る途中になんか1号の調子が悪くなっちゃって」
 1号とは私達が乗っていた宇宙船のこと、ちなみに命名まつり
 この上なくシンプルな名前だ
「そお、それじゃあ仕方がないわね」
 お母さんはそのことを軽く流す、らしいというか私は、この人が怒ったところを見たことがない
「だとしても、待ってる側のことを考えてほしいもんだわ」
 おやつの宇宙チップス(海苔塩味)を、まるで早回しで見ているかのように、次々と口に放り込みながらまつりが言う
「まぁ、無事に帰ってきたし、そろそろ許して上げるわよ」
「うん、本当にごめん」
「いいわよ、もう謝んなくても」
 ニコッとこちらに向けて笑顔を見せる、歯の間には海苔がびっしりとくっついていた

――*――*――*――*――*――*――*――


「だよね~くさいよねぇ~」
 つかさが切り出した宇宙ドリアンのことで話が盛り上がっていると
『お知らせいたします、7時25分32秒より2分11秒の間、流星群第一波が到達します。
 その際は、手すりなどに捕まり、衝撃に備えるようにお願いします……繰り返します、7時……』
 大きなスピーカーをつけた放送センターの宇宙船が、ゆっくりと住宅群の間を回っている
「7時25分か……あと1時間半くらいね」
 リビングのテレビの上に飾ってある、紺と水色のツートンカラーの時計を見ながら長女が呟く
「皆、倒れそうなものとか、割れやすいものは大丈夫?」
「うん、ちゃんと補強してあるよ」
 頭の中で、補強したリストにチェックマークをつけながら言った
「ふぇ!?私まだやってない……」
 つかさが口元に手を添えながら、叱られる前の子供みたいな顔で言う
「ちょっと、なにやってるのよ」
「ご、ごめんなさい!叱るのに夢中で完全に忘れていました!!」
 バルサが、私に何度も頭を下げながら言う
 動きが早すぎて見えない
「いいっていいって、まだ時間はあるんだし、私達も手伝うわよ。ね?ギョッピ」
「ハイ、モチノロンロンデス」
 そんな言葉どこで覚えたんだ……
「そうと決まればちゃっちゃとやっちゃおう?」
「う、うん…ごめんねお姉ちゃん」
「申し訳ありません、かがみ姉さん」
 空っぽになったフルーツの受け皿を片付けて、4人でつかさの部屋へと向かう

「つかさの部屋は、ぬいぐるみだらけで、補強するものが少なくて簡単ね」
「うん♪」
 つかさの部屋は、私の部屋と違ってファンシー率が高い
「つかさぁ、このタンス、ここだと倒れちゃうから、向こうに持ってくね?」
「うん、ありがとうバルサ」
 大きなタンスを片手で持ち上げて、部屋の奥のほうへと持っていく
 流石はロボットというべきか、馬力が違う
「コノ花瓶ハ、ドウシマスカ?」
「それは補強しないといけないわね、この補強材使って補強しておいて」
「了解シマシタ」
 ギョッピは、私の手から補強材を受け取ると、部屋の隅に行って作業をし始めた
「それじゃあ私達は、この辺のものでも補強しようか」
「う、うん」
 2人で、まずは机の補強にとりかかる
「「……」」
 2人で黙々と作業を続けていると
「ねぇお姉ちゃん」
 なぜかバルサとギョッピを気にしながら、つかさが私に話しかけてきた
「ん?……てかなんで小声なのよ」
「あの2人には……聞かれたくないから…」
「そお」
 補強の作業の方に全神経の8割を持っていき、残り2割でつかさの話を聞く
「私ね…最近夢を見るの……同じ夢」
「ふーん……」
 私はつかさの方を見ずに、上の空な返事を返す
 今は作業が優先だからね……つかさは手が止まってるけど
 えっと、角の補強の仕方は…こうっと
「どんな夢?調理師になった夢とか?」
 他愛もない話だと決め付けて、いつものような返し方をする私……
 でも、つかさの様子はいつもと違かった
「……どこまでも続く大きなお花畑の真ん中に…青い髪の女の子が立ってる夢なの」
――――え?
 作業8割、話2割だった私の神経が、全部話のほうへと持っていかれる
「声を出してるはずなのに、届かなくて……近くに駆けていっても、全然距離が縮まなくて」
 つかさの言う夢の話は、すんなりと脳内で、映像として再生された
 あたりまえだ、私が何度も見た夢と、全く同じ内容なのだから
「それでね?……いつもそこで夢は終わるの」
「……つかさもその夢見たんだ…」
「え…『も』ってことは……お姉ちゃんも!?」
 驚いた、まさか自分と全く同じ夢を見てる人が他にも、しかもこんなに近くにいるなんて
「お姉ちゃん……なんなんだろう、あの夢」
「私が…知りたいくらいよ」
 完全に作業が止まり、私達の耳に届くのは、時計の針が進む音くらい
 私達は顔をあわせることもできなかった
「つかさ、タンスの補強終わったよ」
「コチラモ完了イタシマシタ」
 静寂を破るように、私達の世話係がこちらに戻ってきた
「……どしたの?」
 不思議そうに首を傾げるバルサが、すごく場違いでかわいらしかった
「なんでもないわ、取り合えず補強終わらせちゃいましょう」
 『了解』と、2人は返事をして、いつもの3倍の速さで作業に取り掛かる
 つかさもいつの間にか作業に戻っていた
「……ふぅ、私もやるか」
 近くにあった、猫の形をした、小さなガラスの置物を手に取る
 私は、補強の作業へと戻った…しかし……
「……」
 頭の中は、『夢』のことでいっぱいだ
「なんだか…気味が悪いわね……」
 なぜ私達姉妹だけ、こんな夢を見るのだろうか
 あの夢にいったいどんな意味があるのだろうか
 あの少女は……いったい何者なのだろうか
 そんなこんなで、全くと言っていいほど、作業が進まなかった
「あ」
 気がついたら、フワフワとした、どう見ても割れ物じゃない人形にまで、補強をしてしまっていた


「あと10分くらいね……まつり、テレビとかエアコンとかの電気器具類、明かり以外全部消してくれる?」
「りょうか~い」
 お母さんがまつりお姉ちゃんに指示を出す
 お姉ちゃんは、ちゃっちゃと部屋の娯楽機器の電源を落としていく
「……」
 私とつかさはそれを目で追いながらも、頭の中は別のことでいっぱいだった
「カガミ、ツカサ…ドウカシマシタカ?」
「本当、なんか2人とも様子がおかしいよ?」
 ギョッピとバルサが心配そうにこちらを覗き込む
「別に何でもないわよ、ちょっと第1波のことが気になっちゃって」
 頭の中とは別の、それらしい答えを言う
 うまくごまかせただろう
「私が、コスモネットに接続して情報検索しますか?かがみ姉さん」
 コスモネットは、この銀河全域を繋いでいる巨大な宇宙ネットワークのこと
「大丈夫よバルサ、そこまでしなくても」
 最高の作り笑いで返答する
「私ハ、ネット接続ハ出来ナイノデス」
「いきなり落ち込むんじゃないわよ、反応に困るから」
 2人の微笑ましいやり取りのおかげで、少し気が楽になった
「ほらみんな、第1波が来るわよ。どこかにつかまりなさい」
 長女が、家族全員に対してそう告げる
 皆が、壁やら手すりやらに掴まっているさなか
「……ギョッピ…何してるの?」
 ギョッピが私の肩に掴まっていた
「ア、ゴメンナサイ、誤作動デス」
 そういって手を離し、今度はバルサに掴まる…なにやってるんだあんたは
 2人がキャイキャイやっているのを見ながら、近くの固定テーブルに掴まる
 そのすぐ後に…

 カタカタカタッ
 小さな揺れが我が家を襲う
 カタカタカタカタカタカタカタカタカタッ
 ……あれ?こんなもんなの?なんだか拍子抜けだ
「なんだ、こんなもんなら、どこかに掴まってなくても大丈夫じゃん」
 次女が、調子に乗って、手すりから手を離す
 その矢先
 ガタンッガタガタガタガタガタガタガタガタガタッ
 強烈な振動が我が家を揺らす
「うっひゃあ!!」
 どこにも掴まっていなかった次女まつり
 足を滑らせ尻餅をつき、そのままゴロゴロと階段の方まで転がって行った
 ゴツンッ
 ……階段の角に、思いっきり頭をぶつけた
 ガタガタッ……ガタ…カタカタカタ…
 揺れが収まる、第1波が通り過ぎたようだ
 家の中には対した被害はないけれど
 一人だけ甚大な被害を蒙った人がいた
「いったーーーーい!!」
 頭を抱えて転げまわる次女、涙目
「だ、大丈夫?まつり」
 長女が心配そうに駆け寄る、思いっきりぶつけたであろう後ろ頭を、やさしくさすってあげている
 こぶが出来ちゃってるわね、と台所に氷を取りに向かう
「お姉ちゃん、第2波ってどのくらいの時間差でくるんだっけ?」
 つかさが首を傾げながらこちらに質問を投げかける
 流星群による被害は1度では終わらない、全部で3つの波があり
 第1波、第2波、第3波と続いてやってくる
 第3波は、人間には感じられないほど微小で綺麗な波のため何の影響もない、だから心配することはないだろう
 第1波も、たった今過ぎて行ったので大丈夫
 ……問題は第2波だ、衝撃事態は第1波ほどではないのだが…
 2波には有害な光線が混じっている
 それこそ、細胞レベルにまで影響を与えるほどにミクロなものだ
 ニュートリノと同レベルの貫通力を備えているため、防ぐのは不可能
 住宅群にたどり着く前に、特殊な物質を当てて、無害なものへと変化させることで
 人への被害をなくす対策をとっているらしい……詳しいことは私にも分からないんだけど
「確か……10分後くらいじゃなかったっけ?」
 第1波と第2波の到達する間隔は、ほとんどない
 いや、距離自体はこの銀河系の端から端くらいの距離があるらしいけど
 スピードが速いため、ほとんど同時に到着する
 第3波だけは遅いために、到着するのは2年後くらいらしいけど
「揺れるのかなぁ?」
 つかさは心配そうな顔で、バルサにがっちりと掴まっている
「第2波は、さっきよりも衝撃が弱いから大丈夫だよ、つかさ」
 震えるつかさの髪をやさしく撫でてあげるバルサ
 いざという時には、ちゃんとつかさのことを心配してくれるのが、バルサのいいところだ
「でも、取り合えず離してくれる?動けないから」
「ふぁ!!ごめんバルサ……」
 名残惜しそうに諸手を離すつかさ
 私は、窓の外を見る
 あっちから第2波が来るのかな?なんか宇宙の色が違うから…
 暗い青をしている宇宙の一箇所だけ、少し赤みがかった部分がある
 その部分を見つめていると…なんだか胸騒ぎのようなものを感じた
「ソロソロデスネ」
 ギョッピが呟く
 刹那
 ここから見てビー球程度の大きさだった宇宙の赤い部分が、一瞬で、宇宙全域を真っ赤に染めた
 この住宅群が、第2波に覆われたみたいだ
 その直後に、先ほどよりは小さいが、家を揺らす衝撃がやってきた
 ガチャガチャと、食器棚のグラスやお皿を揺らす
 まつりお姉ちゃんは、今度はしっかりと手すりに掴まっているようだ

 すぐに揺れは収まった、宇宙の色も、元の濃い青色に戻っている
「ふぁ~終わったぁ~」
 次女が、足を投げ出して床に横たわる
 家族全員が、ワイワイガヤガヤと雑談を始めた
 なんだか短時間だったのに、異様に疲れた気がする
「ふぅー…」
 深い息を吐いて、フローリングにペタッとお尻をつける
 一息ついてつかさに声をかけようと、顔を向ける
「……つかさ?」
 窓の外を向いて固まっているつかさとバルサ
 いったい、どうしたというのだろうか
「どうしたの?2人共……」
 窓の近くに寄って、2人の目線の先へと自分の目線を交差させる
 私達の家まで一直線に向かってくる物体が、もう目の前まで迫ってきていた

ズドォオォオオオォォオォオォン

 突如、家が建っている地盤そのものに衝撃が走り、家が30度ほど傾く
 うちまでまっすぐ飛んできたものが、庭に落ちたみたいだ
「うわぁああぁあ!!」
 寝転んでいたまつりは、その衝撃で直立姿勢になった
「ちょっとぉ!!第2波には隕石は含まれてないんじゃなかったの!?っていうか艦隊は何をしてるのよ!!」
 長女いのりは、いつのまにかテーブルの下に隠れていた
「つかさ!!」
「ふぁ!!」
 先ほどの衝撃で浮き上がり、地面に叩きつけられそうになっていたつかさを
 ギリギリのところでバルサが受け止めていた
「カガミ大丈夫!?」
 バランスを崩していた私を支えようとするギョッピ
 ……しかし私はその手を掻い潜り、外へと向かう
「ちょっと見てくる!!」
「ちょっとかがみ!?落ちたばかりの隕石は危ないって!!」
 そんな静止の言葉を無視して、走り出す

――違う
 あれは隕石じゃない
 落ちる瞬間に見たその形状、綺麗な楕円型をしており、銀色に輝いていた
 ……あれは人工的に作られたものだ
 不安と恐怖の入り混じった気持ちで、とても動けるような状態ではなかった、私の体を無理やり動かしたもの
 『行かなければならない』
 使命感というのだろうか、今行かなければ、何かが終わってしまう、そう感じてならなかった

 外に出て最初に確認するのはGCと生命維持装置、この2つが動いていなければ大変なことになる
 しかし、物体はその2つとは逆の方向に落ちていた
 ひとまず安心、そして駆け足で、その落ちた何かの元へ向かう
 落ちたそれの周りには、炎がゴウゴウと燃え上がっていた
 今は非常事態だ、そう自分に言い聞かせて、一家族に対して配られる限られた水を
 頭の中で家族全員に謝りながら、ホースで噴射
 あっという間に炎は鎮火した

 ホースを元の場所に戻して、クレーターの中心へと降りていく
「やっぱり……」
 落ちてきたその物体は、人工的に作られた『カプセル』のようなものだった
 銀色に輝く、楕円形に模られた物体、中央にはハッチのようなものが見える
 あれだけの衝撃で追突したにも関わらず、凹みどころか、傷すら見当たらない
 おそらく何かを入れてあるのであろう『カプセル』、白煙を上空へと吐き出しながら横たわっていた
「これ、どうやって開けるんだろ…」
 こんなもの、見たこともないのだから、触ったこともない
 恐る恐る触れてみる、冷たい…さっき撒いた水のせいだろうか
 それは、無機質独特の冷たさを取り戻しているようだ
 しばらくカプセルの周りを、ぺたぺたと探っていると
「あ……これかな…」
 ハッチの横、目立たないところにスイッチのようなものがある……2つも
「ん~…どっちだろう」
 赤と青、2色のスイッチが私を押せ、っと誘惑する
 スイッチを見ると無性に押したくなる現象に襲われる
「……ん?」
 ふと、赤いボタンの下に『緊急時』と書いてあるのを見つけた
「こっちね」
 今は緊急…に入るわよね
 そう決め付けてボタンを押した、そのボタンが後に、未来を大きく変えることになると、知らずに
プッシューーッ
「うひゃぁ!!」
 突然何かが吹き出るような音がした
 カプセル内部に、何かが充満したようだ
 ……そういえば、宇宙機械学の立木先生が
 『カプセルなどの小型のものを開ける場合、先に内部と外部の圧力を等しくする必要がある
  …でなければ、中のものがぺしゃんこに潰れてしまったり、破裂してしまう場合が多いんだ』
 ってことは今のは、外部と内部の圧力を同じにした時の音なのだろう
 押しておいてよかった……でもなんで『緊急時』なんて書いてあるんだろう
 緊急じゃなくても重要だと思うんだけど
「まぁいいか、取り合えず開けよっと」
 もうひとつの青いボタンを押す
カチッ
 またもやプシューっという音が聞こえて、ハッチが開く
 さて、一体何が入って……!!
「お姉ちゃーーん!」
 つかさとバルサ、ギョッピが駆けてくる
「もう、お姉ちゃんいったいどうし……お姉ちゃん…それ…」
 つかさが驚くのも無理はない、もちろん驚いているのはカプセルに対してではない、その中身だ
 私なんか喉から心臓が飛び出そうになった……
 そう、見間違うはずもない
 頭の上から飛び出た、アンテナのような髪の毛
 目尻にちょこんと座る、泣きボクロ
 そして……青髪
 服装こそ違っていたが、カプセルの中で眠っていたその子は、紛れもなく
 夢の中で何度も手を伸ばした……青い髪の少女そのものだった
「……ん」
 少女はゆっくりと目を開ける
 吸い込まれてしまいそうなエメラルドグリーンの瞳
 その瞳と、目が合った……

2735/May/28
 柊 かがみ
     少女と出会う 



――――止まっていた世界が

            動き出した―――

To be continued …





コメントフォーム

名前:
コメント:
  • やたらポワポワでメルヘンチックな世界観だな~。
    と思ったら、劇的に主役登場で緊張感が出て参りました -- 名無しさん (2011-04-14 02:27:19)
  • とても期待しています -- 名無しさん (2008-03-23 23:47:28)
  • 続き期待してます -- 名無しさん (2008-03-23 14:13:02)
  • うん、気になる -- 名無しさん (2008-01-24 18:32:21)
  • 続き・・・気になる・・・ -- 名無しさん (2007-12-16 22:25:44)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
添付ファイル
記事メニュー
ウィキ募集バナー