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━━ Distance


夏休みの合間の登校日
いつもと変わらずに登校する
もちろん、お姉ちゃんやこなちゃんもいっしょに

でも、あの日のもやもやはまだ私の中から消えてくれない
それどころか、もやもやはどんどん大きくなっているような気がする

「おはようございます」
「あ、ゆきちゃん おはよう」
「先日はすいませんでした、どうしても抜けられない予定がありまして……」
「うぅん、大丈夫だから気にしないで」

久しぶりに入る教室
久しぶりに会うゆきちゃん
久しぶりに見るゆきちゃんの笑顔は、もやもや悩んでる私を少しだけ忘れさせてくれる気がした

「………なんだか、顔色が優れないようですが」
「うぅん、大丈夫だよ ごめんね、ゆきちゃん」
「でしたらいいのですが……」

お決まりの全校集会
夏休みの注意を改めて繰り返すお決まりの行事
何週間か前の焼き直しのような話を真面目に聞く気にはなれなかった

だって、私の頭の中はこなちゃんの事でいっぱいだったから

でも、それも長くは続かない
こなちゃんだらけだった頭の中が、だんだん白く塗り潰されていって
ついには真っ白になって
そこで私の意識は途切れた





『ごめんね、つかさ

なんだろう
こなちゃんの声がする

『もう、つかさの側にはいられないんだ』

なんで?
私たち、友達じゃないの?

『だって、つかさと私はもう友達じゃないんだから』

やだ
そんなのやだ

『じゃあね、つかさ』

いっちゃやだ
ねぇ、戻って来てよ


「こなちゃん………いっちゃやだよ」
「つかささん? 気が付きましたか?」
「………………あれ?」

気がつくと、そこは保健室のベッドの上だった
確か、体育館で集会をしてたはずなのに………

「つかささん、倒れたんですよ 覚えありませんか?」
「私が、倒れた?」
「軽い熱射病みたいです、今日も暑いですから……」

全く分からなかった
こなちゃんの事ばかり考えていたら、急に意識が遠くなったのだけ微かに覚えてた

「ずいぶんうなされていたみたいですけど、何か悪い夢でも……」
「悪い夢………」

そう、あれは悪い夢だ
こなちゃんが私の前からいなくなるだなんて
冗談でも考えたくない

「…………………」
「つかささん、ちょっとよろしいでしょうか………」

ゆきちゃんが控え目に話し始めた
今までに見たことがないくらい真剣なまなざしで

「つかささんは、泉さんのことが好きなのですか?」
「えっ!? あの、そんなんじゃなくて………」
「慌てなくても大丈夫ですよ、その反応で大体の答えはいただきましたから」

?????
頭の中に『?』が五つくらい並ぶ
そんな感じで私が混乱してる間に、ゆきちゃんの表情はいつもの柔らかい笑顔に戻っていた

「つかささんは、きっと不安なんですね 泉さんとの今までの関係が崩れてしまうことが」
「こなちゃんとの、関係?」
「はい つかささんが自分の気持ちを伝えることで、泉さんがつかささんから離れてしまうのではないかと」

確かに、多少はそんなことを考えているのかもしれない
こなちゃんがいなくなるって、そう考えただけで胸の中がすごく苦しくなる

「でも、本当の気持ちを伝えるくらいでギクシャクするほど、狭くて浅い繋がりしかないのでしょうか」
「ほんとのキモチ?」
「気持ちが変わったとしても、お二人が築いた絆は変わらない そうは思いませんか?」
それくらい、ゆきちゃんに言われなくても分かってる
ただ、怖いんだ
ほんとのキモチを伝えることで、友達じゃいられなくなるのが怖いんだ

「大丈夫です きっと」
「ゆきちゃん………」

怯えた私を安心させるかのように、ゆきちゃんは私のことをギュッて抱きしめてくれた
フワッとした笑顔とおんなじくらい、ゆきちゃんの腕の中はフワッとして暖かかった

「かけがえのないつかささん自身の気持ちなんですから、もっと信じてあげて下さい」
「ゆき、ちゃん………」

あとは、もう泣く事しか出来なかった
ゆきちゃんがあまりにも優しかったから
今は、その優しさに甘えていたかった


「もう、大丈夫ですか?」
「うん ありがとう、ゆきちゃん」

気がつくと、もう太陽はずいぶんと西に傾いていた
差し込む西日が夕暮れの到来を告げていた

「もう、行かれるんですか?」
「うん ちょっと、用事もできちゃったからね」
「そうですか 頑張って下さいね」
「うん!」

自分の気持ちは分かった
あとは、その気持ちを伝えるだけだ
グズグズしてたら、日が暮れてしまう

「じゃあ、もう行くね」
「はい、お気をつけて………」

ゆきちゃん、ありがとう
心の中でもう一度だけお礼を言って、私は保健室を出た

決心もついた
背中も押してもらった
あとは、向き合うだけだ
私と私の大好きな人のために





「あ、みゆき こんなとこにいたの?」
「かがみさん………」
「もう委員会始まるよ………って、みゆき?」
「………………」
「あんた、泣いてるの?」
「…………しばらく、このままでいさせてもらえませんか」

思わず、かがみさんの胸に飛び込んでしまいました
押し殺した気持ちも、もう抑えられそうもありません

「私は、嘘をついてしまいました」
「みゆき………」
「口では気持ちに正直にいるべきだと言いながら、私は自分の気持ちに嘘をついてしまいました」
「…………」
「でも、好きな人には笑顔でいてほしかったから つかささんには、ただ笑っていてほしかったから………」

秘めた想いと伝えられなかった気持ちを吐き出す私を、かがみさんは優しく抱きしめてくれました

「なんか、つかさが迷惑かけちゃったみたいね」
「そんなことありません、そんなことは………」
「みゆきがあの子のこと好きだったって気持ち、私が覚えておいてあげる」
「かがみさん………」
「みゆきは誰にも嘘なんかついてない、みゆきのほんとの気持ちは私がちゃんと覚えているんだから」
「はい、ありがとう………ございます」
「だから、もう泣かないで……ね」

でも、今だけは泣かせて下さい
涙が枯れるくらい泣けたら
明日からはいつもの私に戻れそうだから
だから、今だけは………




Crossへ続く














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  • こなた「みゆきさん→つかさ→わたし→かがみん→みゆきさん
    …これで時間の輪が閉じられるんだよね?」
    かがみ「時間の輪ってなんだよそれ…」 -- 名無しさん (2011-04-15 03:11:56)
  • まさかみwikiさんがつかさを思ってたなんて・・。

    -- 九重龍太 (2008-03-28 23:24:18)

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