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恋はバーミリオン -Pink-

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 正門に入ったところで、見慣れた長身の姿が目に入る。
 ショートカットの後姿を駆け足で追いかけて、ポンッと肩を叩く。
「みなみちゃん、おはようっ」
「……おはよう」
 私に気がついたのか、視線を下に。
 はぁ、羨ましい。
 私もこれぐらい高かったらなぁ。
「すぐ、大きくなるよ」
 と、いつもの言葉で慰められながらゲタ箱へ。
 そこで靴から上履きへと履き替えようとした時、事件は起きた。
「あ……」
「どうかした?」
 みなみちゃんの動きが固まる。
 見ると顔は真っ赤。
 そしてその手にあるものを見て、私も固まる。
 それは何とも形容しがたい、封筒。
 もしかしなくてもそう。
 それは……所謂普通の、ラブレター、とかいうやつ。
 ……。
 その瞬間、私の胸の奥のほうで……軋んだ音が聞こえた気がした。



『恋はバーミリオン -Pink-』



 休み時間になっても、みなみちゃんの様子はおかしかった。
 いつもに増して気もそぞろというか、もう放心に近い。
 私も少し、そんな気分。
 自分でも理由はよく分からないけど、なんかこう……心の中がモヤモヤしてる。
 だから、勇気を出して聞いてみた。
「あ、あの手紙さっ。何が書いてあったの?」
 昼休みの事だった。
 本当にさりげなく。
 自然に言ったつもりだったけど、口から心臓が出てくるかと思った。
 うう、だから何でそんなに気になるんだろ。
「……」
 返事を待つ間にも、自分の動悸が耳に響いて五月蝿い。
 何て言葉を期待してるのかも分からない。
「読んで……みる?」
「ふぇ?」
 突然だった。
 突き出されたのは、今朝見たはずの封筒。
 よ、よよ読んでいいものなのかな? こういうの。
 とか否定する心とは裏腹に、私は封筒から中身を取り出していた。
『放課後、体育館裏に来てください』
 そこには何ともベタな、ありがちな一文が添えてあった。
 今時体育館裏てっ! って問題はそこじゃなくて。
 これは所謂……呼び出し。
 男性の字なのだから、待っているのは告白……と考えていいのかも。
「す、凄いねっ。ラブレターなんて私、初めて見たよっ。告白とかだねきっとっ」
 自分でもよく分かんないことを口走ってる気がする。
 だから、何でこんなに焦ってるんだろう私。
「でも……断る、つもり」
「えっ」
 ……。
 今、何でだろう。
 私……ほっとした。
「そう、なんだ……」
「……うん」
 うう、なんでほっとしたんだろ。
 分かんない。
 分かんないっ。
「や、やっぱりその……他に好きな人でも、居るとか?」
「……!」
 逡巡する私の口から出た言葉に、みなみちゃんの表情が変わる。
 驚いたような。
 それでいて、頬は朱に染まっていた。
 その反応だけで分かる。
 ……居るんだ、好きな人。
 あ、どうしよう。
 また……軋む音が聞こえてきた気がする。


「はぁ……」
 家に帰り着くと、着の身着のままでベッドに突っ込み枕に顔を埋める。
 まだ心の奥がモヤモヤしてる。
 今頃、みなみちゃんは告白されてるのかな。
 でも、断るんだっけ。
 そう……他に好きな人が居るから。
 ……。
 枕に顔を埋めたまま、足がバタバタと布団を叩く。
 おかしい。
 おかしいおかしいおかしい。
 どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
 みなみちゃんの事を考えるだけで、今も顔が熱を持つ。
 もしかして、私……。
「ゆーぅちゃーんおかえりぃー」
「ひゃわっ!」
 喧しく扉が開き、私の体が驚きで跳ね上がる。
「こ、こなたお姉ちゃん……た、ただいま」
「ゲームしよーよゲーム」
 そのまま腕を引っ張られ、ゲームをすることに。
 あまり気乗りはしなかったけど、気分転換には良かったのかもしれない。
 あのまま悩んでいたら、自分でもどうなっていたか分からないし。
「こなたお姉ちゃんってさ」
「んー?」
 コントローラーでブラウン管の奥の金髪の女性を操りながら、不躾に聞いてみる。
 初めてやった時は全然分からなかったこのゲームも、最近は慣れてきたかも。
「す……好きな人とか、居ないの?」
「いるよー」
「ふぇ?」
 まっすぐ帰ってきた返事に拍子抜けし、思わず操作をミスる。
 その隙にガトリングコンビネーションからのループ・ザ・ループ!
 結局反撃も出来ないまま、月に飛ばされた。
「えと、その……どんな人?」
「んーとね、すっごいツンデレ」
 ……。
 いつもの事だけど、こなたお姉ちゃんの使う言葉は難しい。
「何、ゆーちゃん好きな人でも出来た?」
「んなぁっ!」
 声と共に顔から蒸気が吹き出る。
 それと同時にまたゲームが再開。
 狼狽する私に、こなたお姉ちゃんが襲い掛かる。
「あぁー、だからさっきから顔赤いんだ。どっか具合でも悪いのかなって心配したよー」
 ケラケラ笑いながらも、コントローラーを捌いていくこなたお姉ちゃん。
 うぅ、からかわれてる。
「そ、そんなことないもんっ!」
 私も負けずに反撃。
 DからのエアリアルにFRCからのガトリングコンビネーションからの覚醒必殺技!
「ぬはぁっ! や、やるねゆーちゃん……」
 こなたお姉ちゃんの男だか女だか分からないキャラが沈む。
 これで一勝一敗のイーブン。
 勝負は最終戦に。
「あはは、ゆーちゃんもそんなお年頃なんだねー」
「だ、だから違うもんっ」
 顔が熱くなるのを感じながら、画面の中では死闘が繰り広げられる


「どんな子ー? やっぱ背が高くてかっこいいとか?」
「う……っ」
 図星といえば、図星なのかもしれない。
 おかげで忘れていた彼女の顔が頭一杯に広がる。
 そんな頭で集中できるはずもなく、結局巨大な熊のぬいぐるみに押しつぶされて負けた。
「うぅ……酷いよ、こなたお姉ちゃん」
「あはっは、ごめんごめんっ」
 と、後ろから羽交い絞めにされる。
 そのまま二人でじゃれ合う。
「でも駄目だよ、ゆーちゃん」
「ふぇ?」
「好きならちゃんと好きって言わなきゃ、誤魔化すのは良くないんだよー?」
「ご、誤魔化してなんかないよ!?」
 また顔に火がつく。
 でも、だって、そしたら、結局。
 やっぱり……そういう事になるのかな、これ。
 私、みなみちゃんの事……。
 あっ、どうしよう。
 今顔が、茹蛸のほうがマシな状態。
 そうだ、気がついてしまった。
 私はみなみちゃんの事が、えと。その……。
 好き、なのかも。
 ……。
 考えただけで、頭に右から左へ衝撃。
 まるで銀髪似非忍者に色即是空で脳みそに30hit極められてる気分。
 ……お寿司でも食べたいなぁ。
 って現実逃避しちゃ駄目じゃん私っ!
 ど、どうしよう。
 気がついたらもう駄目、逃げられるはずもない。
 自分の認めた事なのに、それが波のように襲ってくる。
 あぁ……もう、駄目。
「あ、あれ? ゆーちゃん? ゆーちゃーんっ!?」
 こなたお姉ちゃんの声だけが、遠くに響いてた。



















  • GGネタ入れすぎw -- 名無しさん (2007-09-04 13:50:12)
  • GGはSLASHで卒業したなぁ~


    しかしあのこなたを相手に1勝1敗にまで持ち込むとはゆーちゃんもやるね!! -- 名無しさん (2014-12-02 23:51:49)
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