パタン、と小さな音をたてて私は自室のドアを閉めて廊下へと出た。
少し喉が渇いたから飲み物でも持ってくるよ、という言い訳の元に。
実際の理由は『いきなり襲われて結構驚いたから』とか『かがみに地獄車かけそうになって申し訳なくて』とか
『さっき物音立てちゃったからお父さんとゆーちゃんにばれてないか確かめるため』だとか色々ある。
ドアに寄りかかって誰もいない廊下を見回す。
よくある展開みたいに、ドアを開けたら誰かが覗いてましたってことはないみたいだった。誰もいないし。
さっき時計を見ると12時だったから、ゆーちゃんはすでに寝ている可能性も否定できない。
起こさないようにそっと裸足で廊下を歩く。ペタペタと音がするのはしょうがない。
台所まで行くとリビングに人影があった。どうやらお父さんはまだ起きているらしい。
少し喉が渇いたから飲み物でも持ってくるよ、という言い訳の元に。
実際の理由は『いきなり襲われて結構驚いたから』とか『かがみに地獄車かけそうになって申し訳なくて』とか
『さっき物音立てちゃったからお父さんとゆーちゃんにばれてないか確かめるため』だとか色々ある。
ドアに寄りかかって誰もいない廊下を見回す。
よくある展開みたいに、ドアを開けたら誰かが覗いてましたってことはないみたいだった。誰もいないし。
さっき時計を見ると12時だったから、ゆーちゃんはすでに寝ている可能性も否定できない。
起こさないようにそっと裸足で廊下を歩く。ペタペタと音がするのはしょうがない。
台所まで行くとリビングに人影があった。どうやらお父さんはまだ起きているらしい。
「まだ起きてるんだ、お父さ」
中途半端に声が途切れてしまう。
そこにはお父さんと、なぜかその向かい側にゆーちゃんが、一緒にお茶を飲んで座っていた。
ゆーちゃんがこの時間まで起きてる事は珍しい。明日が休みとはいえ大抵この時間には眠っているはずなのに。
もしかしてさっきの床蹴った音で目が覚めちゃった……とか?
そこにはお父さんと、なぜかその向かい側にゆーちゃんが、一緒にお茶を飲んで座っていた。
ゆーちゃんがこの時間まで起きてる事は珍しい。明日が休みとはいえ大抵この時間には眠っているはずなのに。
もしかしてさっきの床蹴った音で目が覚めちゃった……とか?
「どうしたの、お姉ちゃん」
「あ、いや……珍しいなーって思って」
「ちょっと喉渇いちゃって。お茶飲みに来たらおじさんが居たからちょっと話してたんだ」
「あ、いや……珍しいなーって思って」
「ちょっと喉渇いちゃって。お茶飲みに来たらおじさんが居たからちょっと話してたんだ」
もうお茶は飲み終わったらしく、それを示すためのジェスチャーかゆーちゃんはコップを揺らした。
カラン、と氷の音が響く。お父さんの方はまだ半分ぐらいお茶が残っていた。
話を続けようとも思ったけど、かがみを待たせているし正直何を話せばいいのか分からない。
だから早く部屋に戻ろうと、ゆーちゃんとお父さんが使っている透明のコップを棚から二つ取り出し氷を入れる。
それにお茶を注いでいると後ろから声が掛かった。
カラン、と氷の音が響く。お父さんの方はまだ半分ぐらいお茶が残っていた。
話を続けようとも思ったけど、かがみを待たせているし正直何を話せばいいのか分からない。
だから早く部屋に戻ろうと、ゆーちゃんとお父さんが使っている透明のコップを棚から二つ取り出し氷を入れる。
それにお茶を注いでいると後ろから声が掛かった。
「お姉ちゃん、さっきベッドから落ちた?」
「え?」
「え?」
どう反応すればいいのか考え込んだせいで、思っていたよりお茶を注いでしまった。こぼれなかっただけよかったけど。
多分、あの床を蹴った音を聞かれたんだろう。
ゆーちゃんじゃなくてお父さんにならばれてるんだしまだオープンに話せるけど、ゆーちゃんには刺激が強すぎるんじゃないだろうか。
だったら曖昧に誤魔化したほうがいいかもしれない。
嘘をつくことに罪悪感を感じるけど、一から十まで説明するのは恥ずかしすぎる。
多分、あの床を蹴った音を聞かれたんだろう。
ゆーちゃんじゃなくてお父さんにならばれてるんだしまだオープンに話せるけど、ゆーちゃんには刺激が強すぎるんじゃないだろうか。
だったら曖昧に誤魔化したほうがいいかもしれない。
嘘をつくことに罪悪感を感じるけど、一から十まで説明するのは恥ずかしすぎる。
「うん、寝返りうったら落ちちゃって」
振り向かず、二つ目のコップにお茶を注ぎながら返事をする。
だからゆーちゃんの表情は分からないけど。
だからゆーちゃんの表情は分からないけど。
「ベッドじゃ狭いの?」
後ろから飛んできた声は、妙に心配そうだった気がする。
その質問をされる理由がわからない。お茶を注ぎ終わり、冷蔵庫に片付けて。
その質問をされる理由がわからない。お茶を注ぎ終わり、冷蔵庫に片付けて。
「そんなに私寝相悪くないって」
両手でコップを持ってゆーちゃんの方を見る。
私の返事に『?』という表情を返してきた。
上手くキャッチボールが成立してないのだろうか。お父さんだけが苦笑している。
この空気がいまいち理解できずに「おやすみ」とだけ言って自分の部屋に向かった。
ペタペタと廊下を戻り、両手が塞がっているのでかがみに中からドアを開けてもらう。
私の返事に『?』という表情を返してきた。
上手くキャッチボールが成立してないのだろうか。お父さんだけが苦笑している。
この空気がいまいち理解できずに「おやすみ」とだけ言って自分の部屋に向かった。
ペタペタと廊下を戻り、両手が塞がっているのでかがみに中からドアを開けてもらう。
「はい、ちょっと量多いけど」
「さんきゅ。……って、本当に多いし」
「さんきゅ。……って、本当に多いし」
表面張力が働くほどじゃないけど、何も考えずに歩くとこぼれるぐらいに注いでしまった方をかがみに渡す。
布団の上でお茶を飲むのはどうかと思い、だからと言って机を出すのも面倒でそのまま床にコップを置いて座った。
スペースの都合上、隣同士ではなく向かい合わせで。スピードの時と同じように。
そう言えば散らばっていたトランプが片付けられている。かがみが片付けてくれたんだろう。
布団の上でお茶を飲むのはどうかと思い、だからと言って机を出すのも面倒でそのまま床にコップを置いて座った。
スペースの都合上、隣同士ではなく向かい合わせで。スピードの時と同じように。
そう言えば散らばっていたトランプが片付けられている。かがみが片付けてくれたんだろう。
「そうそう。さっきゆーちゃんに、ベッドから落ちた? って聞かれたよ」
「えっ……ってことは、床を蹴った音聞かれたって事?」
「うん。一応そうだよって言っておいたけど。だから今からあんまり音立てないようにしよ」
「そ、そうね……」
「えっ……ってことは、床を蹴った音聞かれたって事?」
「うん。一応そうだよって言っておいたけど。だから今からあんまり音立てないようにしよ」
「そ、そうね……」
なぜか焦っているかがみがコップを傾けて一気に半分ほどお茶を飲んだ。
別にゆーちゃんにはばれてないんだし、ただ聞かれただけだろうからそこまで焦る必要はないと思うんだけどな。
もし寝てるときに起こしちゃったのなら悪いけど。
問題はお父さんの方だ。あの苦笑はどういう意味なんだろ。
私もコップを傾けて一口だけ飲む。色々あって少し熱かった体に冷たいお茶が五臓六腑に染み渡った。
別にゆーちゃんにはばれてないんだし、ただ聞かれただけだろうからそこまで焦る必要はないと思うんだけどな。
もし寝てるときに起こしちゃったのなら悪いけど。
問題はお父さんの方だ。あの苦笑はどういう意味なんだろ。
私もコップを傾けて一口だけ飲む。色々あって少し熱かった体に冷たいお茶が五臓六腑に染み渡った。
「ねえ、こなた。ゆたかちゃん、他に何か言ってた?」
「ん? えっと……ベッドじゃ狭いの? とか聞かれたよ」
「あうぅ……」
「ん? えっと……ベッドじゃ狭いの? とか聞かれたよ」
「あうぅ……」
かがみがコップを両手で握り締めて俯いた。何をそこまで困惑しているのか、理由がわからない。
それよりもお父さんのあの苦笑が心配だ。大方、お父さんは私たちの関係を知ってるからさっきの音の理由も勘付いてるかもしれない。
からかってこなかったのは単にゆーちゃんが居たからだろう。
それよりもお父さんのあの苦笑が心配だ。大方、お父さんは私たちの関係を知ってるからさっきの音の理由も勘付いてるかもしれない。
からかってこなかったのは単にゆーちゃんが居たからだろう。
「かがみはさ、何でああいう事するの?」
そもそも、私が床を蹴った原因はかがみに押し倒されて……耳とか、舐められたからで。
理由を尋ねても明確な答えが返ってくるとは期待してないけど思わず尋ねてしまった。
理由を尋ねても明確な答えが返ってくるとは期待してないけど思わず尋ねてしまった。
「ああいう事って?」
「キ、キス以上の事、とか。最後襲ってきたりしたし」
「キ、キス以上の事、とか。最後襲ってきたりしたし」
他にどう言えばいいのやら。
気恥ずかしさから、私はお茶を飲みつつコップで顔を隠した。
かがみも返答に困ったのか、お茶を一気に飲みほしている。
飲みほしたついでに小さくなった氷も口に入ったらしく、ガリッと噛み砕く音が聞こえた。
気恥ずかしさから、私はお茶を飲みつつコップで顔を隠した。
かがみも返答に困ったのか、お茶を一気に飲みほしている。
飲みほしたついでに小さくなった氷も口に入ったらしく、ガリッと噛み砕く音が聞こえた。
「……好きだから……だと思うんだけど?」
「質問に質問で返すのは関心せんな」
「質問に質問で返すのは関心せんな」
ちょっと偉そうにあるキャラの口癖を真似てみる。
かがみが眉間に眉を寄せたけど、私が納得できる答えなんて多分誰も持っていない。
持っているとしたら、それは私自身のはず。どんな理由にせよ私が納得したらそれが正解なんだから。
かがみが眉間に眉を寄せたけど、私が納得できる答えなんて多分誰も持っていない。
持っているとしたら、それは私自身のはず。どんな理由にせよ私が納得したらそれが正解なんだから。
「好きだからそういうことする……ってことなら、私がかがみを襲ってもいいの?」
まずありえないだろう事を聞いてみる。
驚いたようだけど、私の顔を見て声を飲み込んだみたいだった。
驚いたようだけど、私の顔を見て声を飲み込んだみたいだった。
「こなたが私を、私と同じ理由で襲うって事はないと思う」
「好きだからって理由で襲わないってこと? 私だってかがみのこと好きだよ」
「好きだからって理由で襲わないってこと? 私だってかがみのこと好きだよ」
自分だって襲わないとは思っているけど、ちょっと言い方が気に入らなかった。
私の口調が少し強くなったからか、かがみは急に言葉に詰まって顔を手で隠す。
言葉を選んでいるのか数秒停止していた。
私の口調が少し強くなったからか、かがみは急に言葉に詰まって顔を手で隠す。
言葉を選んでいるのか数秒停止していた。
「えっとね……私がこなたに触れる理由は好きだから。それはOK?」
「分かるよ。私だってかがみに触れる理由は好きだからだし」
「分かるよ。私だってかがみに触れる理由は好きだからだし」
またかがみが言葉に詰まる。
その間に私はお茶を飲みほした。床にコップを置く。ゆーちゃんがコップを揺らしたときのように氷の音はしなかった。
私の内側から鳴る心臓の音の方が大きすぎて、氷の小気味いい音はかき消された。
その間に私はお茶を飲みほした。床にコップを置く。ゆーちゃんがコップを揺らしたときのように氷の音はしなかった。
私の内側から鳴る心臓の音の方が大きすぎて、氷の小気味いい音はかき消された。
「……私は、普通に触れる以上のことを望んでこなたに触れてる。それは……分かる?」
分かるも何も、さっき身を持って経験した。
小さく頷く。床に置いていたコップの表面の結露が一滴床へと垂れ落ちた。
それがよく漫画にある大きな冷や汗みたく、自分の心理を表しているようでタイミングのよさに内心驚く。
小さく頷く。床に置いていたコップの表面の結露が一滴床へと垂れ落ちた。
それがよく漫画にある大きな冷や汗みたく、自分の心理を表しているようでタイミングのよさに内心驚く。
「こなたも前に比べてスキンシップ多くなったけど……私と同じ感情で私に触れてる?」
何かを求めるように私の目を見てくる。
でも心の内を見透かされているようで、罪悪感とまではいかないけどそれに似た感情が湧いてきた。
かがみの瞳に僅かながらも諦めの感情が揺らいでいる気がしたから。
でも心の内を見透かされているようで、罪悪感とまではいかないけどそれに似た感情が湧いてきた。
かがみの瞳に僅かながらも諦めの感情が揺らいでいる気がしたから。
かがみが聞いてきたことは、回りくどいけど端的に言ってしまえば簡単。
『最後までしてもいい?』
つまりは、多分、そういう事を聞いているんだと思う。
喉が乾燥しているようで上手く声が出せない。何でさっき全部お茶飲みほしたんだろう。
しょうがないから唾を飲み込んだ。
私がかがみのことが好きだと言うのは間違いない。
つかさやみゆきさんに抱きつくことも出来るけど、かがみに抱きつくときの感情とはやっぱり違うと思う。
恋愛感情込みの好きという感情を持っているのはかがみに対してだけだ。
そうじゃないとキスとかしないだろうし、押し倒されて流されたりはしない。
ちゃんとそこまでは自信をもって言えるのに。
喉が乾燥しているようで上手く声が出せない。何でさっき全部お茶飲みほしたんだろう。
しょうがないから唾を飲み込んだ。
私がかがみのことが好きだと言うのは間違いない。
つかさやみゆきさんに抱きつくことも出来るけど、かがみに抱きつくときの感情とはやっぱり違うと思う。
恋愛感情込みの好きという感情を持っているのはかがみに対してだけだ。
そうじゃないとキスとかしないだろうし、押し倒されて流されたりはしない。
ちゃんとそこまでは自信をもって言えるのに。
「……分からない」
私は最後までしたいのか? かがみに泊まりにくるように言った時は、そう言われたら流されて頷けると思っていた。
嫌だってわけじゃない。ただ、まっすぐ目の前に質問を突きつけられてすぐに頷けるほど私は単純じゃない。
だからと言って絶対に拒否したいほどじゃない。自分が何を望んでいるか『分からない』
嫌だってわけじゃない。ただ、まっすぐ目の前に質問を突きつけられてすぐに頷けるほど私は単純じゃない。
だからと言って絶対に拒否したいほどじゃない。自分が何を望んでいるか『分からない』
「でしょ?」
かがみが、私の答えを予想していたかのように聞き返してくる。
頷く事も出来なかった。その動作すら、余計にかがみを傷つけるんじゃないかと思って出来なかった。
頷く事も出来なかった。その動作すら、余計にかがみを傷つけるんじゃないかと思って出来なかった。
「かがみは――私に触れたいの?」
回答は声ではなく、かがみの指が頬に触れたことで伝わった。
その指の温度は私たちの心情に反して若干冷たかった。
氷が入ったコップを持っていたからかもしれない。
だけど、その冷たさで私は指から逃げた。
もしかしたら原因はそれだけじゃないかもしれない。いや、きっとそれだけじゃない。
氷が入ったコップを持っていたからかもしれない。
だけど、その冷たさで私は指から逃げた。
もしかしたら原因はそれだけじゃないかもしれない。いや、きっとそれだけじゃない。
「……ね?」
かがみが薄い笑みを浮かべながら呟いた。
その一言に、どれだけの感情を乗せたのか私には到底わからない。
その一言に、どれだけの感情を乗せたのか私には到底わからない。
「コップ、下に持っていくよ」
私は逃げた。自分とかがみの分のコップを、中身がないから片手で持って。
再び小さな音をたててドアを閉める。ドアに寄りかかる。体が重かった。
ナイフで刺されるような痛みではなく、針で刺されつづけているような痛みが胸にありつづける。針はきっと罪悪感なんだろう。
かがみが私のことを好いていてくれるのは、それこそ痛いぐらいに分かった。
でも、受け入れられなかった。どうしてもすぐには頷けなかった。
かがみの事を好きだって胸を張って言えるなら受け入れるべきだったんじゃないのか。
台所へと向かう。足が重たいのはちょっとでも部屋に帰る時間を遅らせるためなんだろうか。
だとしたら私はどれだけかがみを傷つけているんだろう。
謝るべきか、でも謝ってもかがみを傷つける。謝るって事は、完全に拒絶するって言う事と同じ気がする。
リビングにまだお父さんはいた。ゆーちゃんはいないから、きっと部屋に戻ったんだと思う。
流しにコップを置くと、今度はお父さんが後ろから声をかけてきた。
再び小さな音をたててドアを閉める。ドアに寄りかかる。体が重かった。
ナイフで刺されるような痛みではなく、針で刺されつづけているような痛みが胸にありつづける。針はきっと罪悪感なんだろう。
かがみが私のことを好いていてくれるのは、それこそ痛いぐらいに分かった。
でも、受け入れられなかった。どうしてもすぐには頷けなかった。
かがみの事を好きだって胸を張って言えるなら受け入れるべきだったんじゃないのか。
台所へと向かう。足が重たいのはちょっとでも部屋に帰る時間を遅らせるためなんだろうか。
だとしたら私はどれだけかがみを傷つけているんだろう。
謝るべきか、でも謝ってもかがみを傷つける。謝るって事は、完全に拒絶するって言う事と同じ気がする。
リビングにまだお父さんはいた。ゆーちゃんはいないから、きっと部屋に戻ったんだと思う。
流しにコップを置くと、今度はお父さんが後ろから声をかけてきた。
「『どうしよう』って顔してるぞ」
「だって、まさしくそう思ってるもん」
「だって、まさしくそう思ってるもん」
コップを置いたけど、足が部屋に戻ろうとしない。
何となく自分の指で頬に触れてみた。
かがみに触れられたときと同じく指の冷たさを感じる。
何となく自分の指で頬に触れてみた。
かがみに触れられたときと同じく指の冷たさを感じる。
「好きだから触りたいっていうのは当然なのかな」
心の中で呟くつもりだったのに、お父さんに尋ねるように言ってしまった。
どこかで相談したいと思っていたからだろうけど、ちょっと驚いた。
どこかで相談したいと思っていたからだろうけど、ちょっと驚いた。
「だろうな。度合いは人それぞれだろうけど」
「好きなら相手にあわせるべきかな」
「無理にあわせる必要はないだろ。
こなたは『キスぐらいなら許してもいいけど、プラトニックをつらぬいて』と思ってるのか?」
「お父さんネタの選曲古いよ」
「好きなら相手にあわせるべきかな」
「無理にあわせる必要はないだろ。
こなたは『キスぐらいなら許してもいいけど、プラトニックをつらぬいて』と思ってるのか?」
「お父さんネタの選曲古いよ」
それに関連してか、私はじゃじゃ馬の方も思い出した。
こういう時でもそういう事言うんだねお父さん。そしてこういう時でもちゃんとツッコむんだね私。
わざとらしく笑うと、痛みが少し引いた気がした。
こういう時でもそういう事言うんだねお父さん。そしてこういう時でもちゃんとツッコむんだね私。
わざとらしく笑うと、痛みが少し引いた気がした。
「そういうことをまったくしないでほしいとは思ってないんだよ。抱きつくと暖かくなるし、居心地がいいし。
ぶっちゃけちゃうと……キスだって嫌じゃないもん」
「ホ、ホントにぶっちゃけるなぁ……悩んで二人で決めた事なら、俺は何も言う事はないんだが」
ぶっちゃけちゃうと……キスだって嫌じゃないもん」
「ホ、ホントにぶっちゃけるなぁ……悩んで二人で決めた事なら、俺は何も言う事はないんだが」
苦笑交じりの声が届く。
今の私は答えを探すためじゃなくて、この重さから逃れたくて胸にある針を吐き出してるだけにすぎない。
恥ずかしいけど、言ったほうが楽になった気がした。
まぁ、お父さんとはエロゲのキャラ攻略の話なんかもしてるんだから、今更恥ずかしいもなにも無いような。
今の私は答えを探すためじゃなくて、この重さから逃れたくて胸にある針を吐き出してるだけにすぎない。
恥ずかしいけど、言ったほうが楽になった気がした。
まぁ、お父さんとはエロゲのキャラ攻略の話なんかもしてるんだから、今更恥ずかしいもなにも無いような。
「……お父さんは反対しないんだね」
「ん? 何をだ?」
「私とかがみが付き合うこと」
「ん? 何をだ?」
「私とかがみが付き合うこと」
そこでようやくお父さんの方を向いた。テーブルの上に置かれているコップの中にお茶はないし、氷もほとんど溶けかけていた。
コップに手を添えたままお父さんもこっちを向いている。
けど、ふいに視線を逸らして別方向を見た。
コップに手を添えたままお父さんもこっちを向いている。
けど、ふいに視線を逸らして別方向を見た。
「好きあってるのに、周りから賛同されないのは悲しい事だろ。特に身内からってのはな」
お父さんの視線の先には、仏壇がある。お母さんのことを考えてるのは明白だった。
二人のなれ初めなんて少ししか知らない。でも、お父さんのセリフからは私が想像できない重さがあった。
お父さんが立ち上がり、コップを持ってこっちに近づいてくる。流しにコップを置いて、そのまま私の頭に手を置いた。
二人のなれ初めなんて少ししか知らない。でも、お父さんのセリフからは私が想像できない重さがあった。
お父さんが立ち上がり、コップを持ってこっちに近づいてくる。流しにコップを置いて、そのまま私の頭に手を置いた。
「かがみちゃんが好きなんだろ?」
私は頷く。
「一緒にいたいんだろ?」
頷く。
「なら、それを伝えればいい。想ってる事をそのまま伝えるのはむずかしいけどな」
頭から手が離れて「おやすみ」と言われて頷いた。お父さんが手を振りながら部屋へと戻っていく。
自分の想いをすべて相手に包み隠さず言える人って、いるのだろうか。
勝手に足が動く。自室ではなく、仏壇の方へ。
仏壇に飾られた写真の中、お母さんが微笑んでくれている。
自分の想いをすべて相手に包み隠さず言える人って、いるのだろうか。
勝手に足が動く。自室ではなく、仏壇の方へ。
仏壇に飾られた写真の中、お母さんが微笑んでくれている。
正座をして、線香をあげる。すでにすべて灰になりかけの線香があった。お父さんがあげたんだろう。
かがみと付き合った事を最初に報告した人はお母さんだった。『好きな人ができたよ』って。
そのカミングアウトに関して、漫画みたく夢枕にお母さんが立ったり……なんて事は一切無かった。
鈴をならし、目を閉じて手を合わせる。
かがみと付き合った事を最初に報告した人はお母さんだった。『好きな人ができたよ』って。
そのカミングアウトに関して、漫画みたく夢枕にお母さんが立ったり……なんて事は一切無かった。
鈴をならし、目を閉じて手を合わせる。
――ねぇ、私はどうすればいいかな?
瞼の裏に、お母さんの困った顔が浮かんだ。そりゃあいきなりこんな事聞かれても困るよね。
鈴の音が収まり、目を開いてうっすらとのぼる線香の煙を見つめ続けた。
立てた線香が燃えていく。我に返ると灰が落ちそうになっていて慌てて立ち上がる。
かがみはずっと待ってる。私だけじゃなくてかがみも罪悪感を感じている可能性もある。
鈴の音が収まり、目を開いてうっすらとのぼる線香の煙を見つめ続けた。
立てた線香が燃えていく。我に返ると灰が落ちそうになっていて慌てて立ち上がる。
かがみはずっと待ってる。私だけじゃなくてかがみも罪悪感を感じている可能性もある。
「……やっぱり、ちゃんと言わないと伝わらないよね」
心の中で「おやすみ」とお母さんに言ってリビングと台所の電気を消す。
深呼吸をしながら、かがみが居る場所へと戻った。
一緒に寝ることになってるんだから、話す時間はたっぷりあるし、焦らずに伝えられるはず。
深呼吸をしながら、かがみが居る場所へと戻った。
一緒に寝ることになってるんだから、話す時間はたっぷりあるし、焦らずに伝えられるはず。
「ごめんかがみ、ちょっと遅くなったよ」
時計を確認すると、ちょっとどころじゃなかった。
それでも時間に対する訂正はされなかった。かがみはこっちを向いていなかった。
向こう側のカーテンと窓を開けて空を見上げていた。
まだ電気が付いていて明るい部屋の中でも微かに柔らかな光を感じる。
それでも時間に対する訂正はされなかった。かがみはこっちを向いていなかった。
向こう側のカーテンと窓を開けて空を見上げていた。
まだ電気が付いていて明るい部屋の中でも微かに柔らかな光を感じる。
「か、かがみ、そろそろ寝よっか」
返事を確認して電気を消すつもりだったのに、スイッチに手を置いたら手元が狂って電気を消してしまった。
廊下の電気も消していたから、部屋の中へ差し込む月光だけが物の輪郭をうつしている。
月明かりだけでも結構明るくてベッドまではすんなり到着した。
廊下の電気も消していたから、部屋の中へ差し込む月光だけが物の輪郭をうつしている。
月明かりだけでも結構明るくてベッドまではすんなり到着した。
「―――こなた」
かがみが振り向く。
月光を背負ったかがみは、かっこよくて、それでいて綺麗で。
なんだろう、高潔っていうのかな。
とにかく……場違いかもしれないけど、息も吸えなくなるほど見とれた。
ただ、逆光ゆえに表情がよく見えない。
かがみが近づいてくる。使われない、敷かれているだけの布団を迂回して。
そこでようやくかがみの表情を認識した。
思いつめた表情。考え込んで結局答えが出せないような、もっと酷く言えば助けを求めているような表情で。
月光を背負ったかがみは、かっこよくて、それでいて綺麗で。
なんだろう、高潔っていうのかな。
とにかく……場違いかもしれないけど、息も吸えなくなるほど見とれた。
ただ、逆光ゆえに表情がよく見えない。
かがみが近づいてくる。使われない、敷かれているだけの布団を迂回して。
そこでようやくかがみの表情を認識した。
思いつめた表情。考え込んで結局答えが出せないような、もっと酷く言えば助けを求めているような表情で。
「かが」
後に続くもう一文字は、その名を持つ人の左肩で塞がれて紡げなかった。
抱きしめられ、押し倒されたと言うよりは体重をかけられてそのままベッドに腰掛けてしまう。
それでもまだ体重をかけられて、後頭部を壁でうちそうだったから反射的に体をよじると、ちょうど枕の下に頭が落ちた。
さっき押し倒されたときより唐突なのに、私は比較的冷静だった。
完全に圧し掛かられたわけではなく、馬乗りされた状態。
重力にしたがって垂れているかがみの髪がカーテンのようで、月光に照らされて純粋に綺麗だった。
起きようと思えば起きれるけど、それはしようと思わなかった。
抱きしめられ、押し倒されたと言うよりは体重をかけられてそのままベッドに腰掛けてしまう。
それでもまだ体重をかけられて、後頭部を壁でうちそうだったから反射的に体をよじると、ちょうど枕の下に頭が落ちた。
さっき押し倒されたときより唐突なのに、私は比較的冷静だった。
完全に圧し掛かられたわけではなく、馬乗りされた状態。
重力にしたがって垂れているかがみの髪がカーテンのようで、月光に照らされて純粋に綺麗だった。
起きようと思えば起きれるけど、それはしようと思わなかった。
「私の方が、こなたに甘えてる」
懺悔のような響きをもったかがみの声が降ってくる。
遮って私の思っている事を言うよりも、全部吐き出させたほうがいいと思って無言で続きを促した。
遮って私の思っている事を言うよりも、全部吐き出させたほうがいいと思って無言で続きを促した。
「精神的に甘えてる。これぐらいなら大丈夫だろうって、変な風に楽観視してる。
こなたが嫌がってるかもって思うのに、そう言われないから大丈夫だって思ってる。
だからお願い。一緒に寝るのとか、暴走するのとか、嫌なら言って。傷つける前にやめるから」
「……かがみはネガティブすぎるよ」
こなたが嫌がってるかもって思うのに、そう言われないから大丈夫だって思ってる。
だからお願い。一緒に寝るのとか、暴走するのとか、嫌なら言って。傷つける前にやめるから」
「……かがみはネガティブすぎるよ」
言っておきながら、私も人のことは言えない気がした。
でも、そうなったのは私にも原因がある。
曖昧に受け入れてばっかりで、思っている事は伝えていないんだから。
私が考えていることがかがみに伝わらないように、かがみの考えている事だって言ってくれなきゃ分からない。
お父さんやお母さんには言えるけど、本人に伝えるのがむずかしい、なんて。
それが一番大事なのに。
でも、そうなったのは私にも原因がある。
曖昧に受け入れてばっかりで、思っている事は伝えていないんだから。
私が考えていることがかがみに伝わらないように、かがみの考えている事だって言ってくれなきゃ分からない。
お父さんやお母さんには言えるけど、本人に伝えるのがむずかしい、なんて。
それが一番大事なのに。
「私はかがみの事好きだし、キスされるのだって嫌じゃないよ。……むしろ好き」
今だけでいいから羞恥心を遠くに投げ捨てる。
こういう事を言える機会なんてほとんど無い。後でもう一回言ってと言われても絶対に言えない。
かがみが呆然と私を見下ろしている。結構恥ずかしい事言ってるんだから照れるとか反応して欲しい。
……いや、照れられたらこっちにも伝染するからきょとんとしてる方がいいかも。
こういう事を言える機会なんてほとんど無い。後でもう一回言ってと言われても絶対に言えない。
かがみが呆然と私を見下ろしている。結構恥ずかしい事言ってるんだから照れるとか反応して欲しい。
……いや、照れられたらこっちにも伝染するからきょとんとしてる方がいいかも。
「なんと言うか、一緒に居るだけで満足しちゃうのかな。最後までって言うのは正直分からなくて……
そういう事を求めてると言われてもすぐに頷けない。完全に嫌だってわけじゃなくて」
そういう事を求めてると言われてもすぐに頷けない。完全に嫌だってわけじゃなくて」
この先が自分でもよく分かっていない。
自分の中でしっくりくる言葉を頭の引出しを片っ端から開けて探し出す。
かがみは私がすべて言い終わるのを待ってくれているようだった。
自分の中でしっくりくる言葉を頭の引出しを片っ端から開けて探し出す。
かがみは私がすべて言い終わるのを待ってくれているようだった。
「―――たぶん、怖いんだと思う」
完全に合致するわけじゃないけど、きっと一番近い答え。
何が怖いのかと言われるとそれすらも分からないけど。
何が怖いのかと言われるとそれすらも分からないけど。
「私が怖いってこと?」
「そ、そうじゃなくて!」
「そ、そうじゃなくて!」
かがみが、ではないことは確実なので否定する。
説明しにくい。頭の中で整理整頓しながら言葉を租借する。
口に出しながら自分で納得させていく。
説明しにくい。頭の中で整理整頓しながら言葉を租借する。
口に出しながら自分で納得させていく。
「行為そのものに対する恐怖心というか……したことないから分かんないし」
「私だってあるわけないじゃない」
「そうだろうけど! 経験うんぬんじゃなくて、感覚的に分からないってこと!」
「私だってあるわけないじゃない」
「そうだろうけど! 経験うんぬんじゃなくて、感覚的に分からないってこと!」
思わず声をあげてしまって、慌てて声のトーンを落とす。
かがみが少し考え込んで言いにくそうに口をもごもごさせていた。
かがみが少し考え込んで言いにくそうに口をもごもごさせていた。
「どしたの?」
「いや……その、ちょっと変な事聞くけど……こなたって、自分でしたことある?」
「ないよ!!」
「いや……その、ちょっと変な事聞くけど……こなたって、自分でしたことある?」
「ないよ!!」
さっき声のトーンを落としたばかりなのに思わず大声で返した。
かがみが意外そうな顔をする。なにその顔。
かがみが意外そうな顔をする。なにその顔。
「成人向けのゲームとかしてるから……こなたもてっきり」
「きっとゲームで発散してるんじゃないかな。そういう気分になることがあんまないし。
そういうシーンの時はあるけど、イベント終わったら拡散してるし」
「きっとゲームで発散してるんじゃないかな。そういう気分になることがあんまないし。
そういうシーンの時はあるけど、イベント終わったら拡散してるし」
……こなた『も』?
なんかさっきのかがみのセリフだと、かがみはしたことあるって言ってるようなもんだよね。
詳しく聞かないけど。ネタは何? って冗談で聞いて「こなた」なんて返ってきたらどう反応していいのか。
なんかさっきのかがみのセリフだと、かがみはしたことあるって言ってるようなもんだよね。
詳しく聞かないけど。ネタは何? って冗談で聞いて「こなた」なんて返ってきたらどう反応していいのか。
「ひ、ひとまずそれは置いといて、話戻すよ?」
お互い咳払い。
かがみは未だ私に馬乗り状態だ。なんと言うか、退くタイミングを逃しまくってる気がする。
かがみは未だ私に馬乗り状態だ。なんと言うか、退くタイミングを逃しまくってる気がする。
「んーと、どこから脱線したっけ?」
いきなり変な事聞かれた所為で完璧に話の内容飛んじゃってた。
かがみが記憶を少し逆戻しして思い出そうとしてる。
かがみが記憶を少し逆戻しして思い出そうとしてる。
「……逃げる理由は、感覚的に分からずに怖いから……とかじゃなかったっけ」
「あ、それそれ」
「あ、それそれ」
ようやく合点がいって、それを伝えれた事で落ち着いた。
かがみがそんな私の頭を撫でる。からかいを含まないこういうスキンシップは純粋に気持ちいい。
何か今なら大丈夫な気がしてきた。
かがみがそんな私の頭を撫でる。からかいを含まないこういうスキンシップは純粋に気持ちいい。
何か今なら大丈夫な気がしてきた。
「――なら、無」
「――だから少しずつ慣れようと思う」
「――だから少しずつ慣れようと思う」
上がかがみのセリフ。下が私のセリフ。
綺麗に出だしがかぶって、しかもかがみは途中で区切った所為で何を言おうとしたのかは分からないけど。
かがみが私の頭を撫でて微笑んでる状態で石化した。金の針なんてないよ。
自分でちゃかしをいれて恥ずかしさを吹き飛ばす。
そうでもしないと自分の言った事を撤回したくなる。
目の前のかがみをそろそろ直視できない。かがみだって、私が今言った事を理解したはず。
綺麗に出だしがかぶって、しかもかがみは途中で区切った所為で何を言おうとしたのかは分からないけど。
かがみが私の頭を撫でて微笑んでる状態で石化した。金の針なんてないよ。
自分でちゃかしをいれて恥ずかしさを吹き飛ばす。
そうでもしないと自分の言った事を撤回したくなる。
目の前のかがみをそろそろ直視できない。かがみだって、私が今言った事を理解したはず。
「えっ……と、こなた。今の意味、端的に言ってみて」
かがみって時々言葉攻めするね。
なんて切り返しの文句も口をつかない。ほんのちょっとだけ時間を戻したくなった。
自然の摂理に反する事は無理なので、観念してかがみが望むように『端的に』言う。
なんて切り返しの文句も口をつかない。ほんのちょっとだけ時間を戻したくなった。
自然の摂理に反する事は無理なので、観念してかがみが望むように『端的に』言う。
「――して、ほしい」
もしかしてこれって誘い受けになるんだろうか!?
いや待って実際は『してほしい』と言うか『してもいい』と言うか!!
微妙なニュアンスの違いはあるんだけど今更それをどう説明すればいいのさ!!
かがみ、何かに堪えるようにプルプル震えないで!
いや待って実際は『してほしい』と言うか『してもいい』と言うか!!
微妙なニュアンスの違いはあるんだけど今更それをどう説明すればいいのさ!!
かがみ、何かに堪えるようにプルプル震えないで!
「こっ、こな」
「で、ででもやっぱり怖かったらストップかけるよ!?」
「……寸止めされるときついのに。まぁ、ストップかかるって言うのは余程嫌なんだろうし、ちゃんと守るわよ。
一緒にいて、こうやって寝れるだけでも幸せもんだしね」
「で、ででもやっぱり怖かったらストップかけるよ!?」
「……寸止めされるときついのに。まぁ、ストップかかるって言うのは余程嫌なんだろうし、ちゃんと守るわよ。
一緒にいて、こうやって寝れるだけでも幸せもんだしね」
こつっと額を合わせてくる。
こういうプラトニックな一言でほだされて嬉しさを感じる辺り、自分って単純だなーなんて思いながら。
こういうプラトニックな一言でほだされて嬉しさを感じる辺り、自分って単純だなーなんて思いながら。
「……かがみ」
いつものルールで、珍しく私から名前を呼ぶ。
かがみは優しい笑顔でいつも以上にゆっくりと、かみ締めるように私の名を呼んで。
重ねられる唇と、上着の中に入ってきて腰に触れた手の感覚に微電流が流れるのを感じる。
その感覚にすぐに慣れることはなく、若干の恐怖心が沸いているのを理解しながらも抵抗せずにかがみの上着を握り締めていた。
かがみは優しい笑顔でいつも以上にゆっくりと、かみ締めるように私の名を呼んで。
重ねられる唇と、上着の中に入ってきて腰に触れた手の感覚に微電流が流れるのを感じる。
その感覚にすぐに慣れることはなく、若干の恐怖心が沸いているのを理解しながらも抵抗せずにかがみの上着を握り締めていた。
ああ、素晴らしきお泊り会 心情整理 B面(かがみ視点)へ続く
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- 自分でしたことがない、と言う純粋すぎるこなたに萌え。
なんたる不意打ち! でも超満足です。 -- 名無しさん (2007-10-03 13:43:19)