格組
格組とはそれぞれの動詞が取る格の組み合わせである。言い換えれば動詞となる述語が取る必須項である。たとえば
bad-eは「叩く」であるが、叩く動作には「叩く人」と「叩かれる物」が必要で、主格と対格が必要である。こういった最低限必要な格が何であるかというのが、その動詞の格組である。したがって
bad-eの場合、格組は
ulが動作主で
onが対象になる。
動詞は格組を持つ。アルカの格組は、大まかに4つの種類に分けられる。
※
koiは「あそこ」という場所なので、本来は場所格の
kaを取り、
ka koi(場所格+名詞)になるはずである。だが、
ke-e(行く)という動詞の性質上、
onになるのは「場所」に決まっている。よって
onが
kaの代替格となる。
xa-e(居る)も同様に場所を
onに取る。
onが
kaの代替になるのはなぜか。それは
onは省略できるが
kaは省略できないためである。省略が効かない
kaを必須項にするより、省略可能な
onを必須項にしたほうが労力が少ない。
尚、強調用法として代替格が元の格に戻ることがある。下記は家という場所を強調した言い方である。
[
ova ]
ti xa-a ka ra?(君は家に居たの?)
ulが~する。
onは
ulと同一、つまり再帰の場合。このとき
onには
orという再帰名詞が来る。ちょうどフランス語のse coucher(自分を寝かせる→寝る)と同じタイプである。仏語ではseは省略しないが、アルカの
orは省略するのがふつうである。尚、再帰動詞は姿勢動詞などに多い。
[
ova ]
an skin-in (
or) (私は座っている←私は私自身を座らせている)
an kond-a (
or)
al lop (電車に乗った←私は私自身を電車に乗せた)
尚、
onが必ず再帰である必要はない。私は彼を座らせたという場合、
an skin-a laといえば良い。この場合、
onは再帰ではない。
4
ul onが
em
ulも
onも4人称
emである動詞の格組。自然現象に多い。英語のIt rainsやフランス語のIl pleutのような形式主語を取らない。中国語の下雨のように、動作の方向性を指す語と共起させるということもない。
[
ova ]
esk-ip (雨が降りそうだ)
teez-a (風が吹いた)
以上、おおまかな格組を述べた。共通して言えることは、基本的にどの動詞も
ul,
onの2項を取れるということである。その後に他の格を取るかは任意である。代替格を取る動詞だとしても元の格にすることができる。再帰動詞といっても
or以外の
onを取れる。自然現象といってもやはり
ul,
onが取れる。なので、どの格組であっても
ul,
onの2項を取ることは間違いない。
したがって、アルカには自動詞・他動詞の差がなく、他動詞しかない。生まれるとか死ぬという動詞でさえ、
ulが死ぬ人で
onがその様態を取るので2項述語であり、形式的に他動詞になる。必ず2項述語になるので、少なくとも動詞の自他を覚える必要はない。また、述べる必要がない格は自然現象の動詞のように省略できるので、運用時も便利である。
全ての動詞の格組を覚えずとも良い。自然現象だとか姿勢動詞だとかいった分類に大きく分けてあるので、同じタイプの動詞には同じ格組を当てはめれば良い。英語ではwatch,seeは他動詞だが、lookはatを取る。また、hearはそのままで良いが、listenはtoを取る。同じタイプの動詞なのに英語では格組が異なる。この煩雑さはアルカにない。また、marryは他動詞なのでmarry withは誤り――といった受験に頻出するような動詞の自他の問題もない。
最終更新:2007年11月11日 22:30