鬼ヶ原空と鎮守由衞は噂の正面玄関口をくぐり、エントランスへやってきた。
今は人も多く行き交い、恐怖感はないが…

「なーんか面白いこと起きないかな?」

両手を首の後ろに組みながら、だらだらと歩いてくる由衛。

「ん…、む。面白いことならいいんだけどな…………。」

玄関の外に不気味に広がっている紫の霧を眺めると、プルと小さく肩を揺らして。

「へー、もしかして怖い?とか?」

意外、と別段興味を持っている様子ではないくせに、ワザとらしくからかうような物言いをする由衛を一瞥した空は、無視して調査を進めた。
玄関口には特に変わったところはない、傘立てに置き傘らしい傘が数本並んでいるが赤い傘は見当たらなかった。
エントランス正面にはいくつもの石像が並んでいる。

「動き出したり…とかないよな?」

じっと見つめあった後、思わずつんと指でつついてみた空。

「さ・・わ・・っ・・た・・ね・・・・?」
「ひゃ…・・・・・・て、おいこら。」

つついた直後に石像からおどろおどろしい声が響いたかと思えば、背後に見えたのは由衛の姿。
小さく悲鳴に似た声を漏らした直後、その姿に半目で突っ込む空だったが、由衛は相変わらずの飄々とした笑みで「キャー、コワーイ」などと軽い口調で言っていた。

「あの……もしかして、七不思議を調べてる方々ですか?」

いつの間にか二人の傍に立っていた小柄な女性は、大学部の事務員の池田和子と名乗る。

「外の紫の霧のせいで、魔術系の実技補講が出来なくて困ってるんです。
原因を調べてもらえませんか?」

「えー、めんどくさいなー。なんか報酬出るn―・・」
「いいですよ、私たちも困ってましたし。ところで、池田さんは七不思議の噂って何か知りませんか?」
「え、えっと・・・いいんですか?ありがとうございます。」

由衛の自由奔放さに呆気に取られる池田だったが、すかさず空が言葉を遮りながら軽く請け負うとついでに噂について尋ねた。

「えっと、そうですねぇ、、、この石像の噂で、メインエントランスの石像の中で、放課後4時44分44秒に一体だけいつもはいない石像があって、その石像を見た人は、44日後に死ぬとかいうのがあったんですが私が学生の頃の話ですし……もう18時ですものねぇ。
…あ、最近のなら、事務局の傍のエレベーターも何かあったような…」

どうやら、石像の噂はもう廃れた話のようで、事務局近くのエレベーターについては噂があるらしい、ということだけで詳しくは知らないらしい。
事務局に行けば他にも人がいるということなので、何か情報を得ることは出来るかもしれない・・・


【事務局】へ行けるようになりました。
【依頼:紫の霧】を請け負いました。


最終更新:2015年06月09日 01:59