白神凪、行成ハナ、深海将己は屋上にやってきた。
扉を開けた正面のベンチの下にしゃがみこんでいた一人の少女を見つけると、まず凪が近づいていく。
「水島さん、、ですか?」
その声に気づくと少女は立ち上がり貴方たちを見つけて、静かに頭を下げた。
彼女が水島七恵でまちがいないようだ。
「・・・えっと、探すのを手伝ってくれる方ですか?」
七恵はしばらくなくし物を一人で探していたのか、疲れた様子ながら微笑み首を僅かに傾ける。
「そうで、、あっ、えっと行成ハナです!探し物のお手伝いにきました!」
元気よく声を響かせるハナの紹介に合わせ、凪と深海も簡単に挨拶をし頭を下げた。
「…で、どんなピアス?
落としたのが片方だけなら、もう片方見せて欲しいんだけど?」
深海が自分の耳をトントンと指で叩きながら聞くと、
七恵はハッとしたようにポケットからハンカチに包まれたピアスを取りだし、指につまんで見せた。
金の細い金具の先に、ピンクの貝殻が花びら型に切り取られたごく小さなモチーフがゆらゆらと揺れている。
小指の爪ほどのそれは、一人で探すのは困難だろう。
凪が僅かに息を吐きながら口を開く
「……どのあたりで落としたか、記憶にはないんですか?」
すると七恵は申し訳なさそうに眉を下げながらも、屋上を見渡した。
「たしか、このベンチでお昼を食べて、フェンスのあそこからあそこまで友達と景色を見たりしてました。それで屋上から出るときにピアスが片方ないことに気がついて…。
一緒にいた友達にもらった大事なピアスなので、失くした事を知られたくないしずっと一人で探していたんです。」
「思ったよりも範囲が広いな…」
「…そうですねー、、でっ、でもでも!皆で探せばきっと見つかるのです!
皆で一緒に頑張りましょう!」
「そうだな、心配ないですよ、必ず見つけますから。」
面倒くさそうに髪をかきあげながら、広い屋上を眺める深海に対し両手でぐっと拳を握りつつ明るく気合いをいれるハナ、そして七恵の肩に優しく手を乗せる凪は日が傾く前に、と手分けしてピアスを探し始めるのだった…。
◆◇
それから一時間ほど経ったろうか…
「あっ!ありましたっ!!!!これ、これですよね!?」
紫の空が夕日でさらに不気味に赤く染め上げられた頃、コンクリートの地面にはいつくばっていたハナが飛び上がるように体を起こすと指でつまんで持ち上げてみせる。
夕日に照らされきらきらと光る桜の花びらを見て、七恵は安堵の笑みを浮かべながらそれを受け取った。
「暗くなる前に見つかってよかったな。
ところで、あんた、美術部の中谷彩について…でなくてもいいんだが、七不思議についてなんか知ってるか?」
「…中谷さん、、ああ、あの噂の…すみません、詳しくは知らないです。
ただ、噂で七不思議の被害にあった、とかいうのは文学部の間では有名ですね。
…友達が同じ美術部らしいんですけど、中谷さん本人も記憶がはっきりしないとか…。
…あの、もし美術部にいくようでしたら、私も一緒に探索に参加してもいいですか?
実は私、小説とか読むのも書くのも好きなので、七不思議の噂気になってたんです。」
こうして思いがけない仲間を加え、貴方たちは霧深い屋上を後にするのだった・・・
依頼【大事な落し物】達成!
噂【みゆきちゃんの傘】のヒントを得ました。
【美術部室】へ行けるようになりました。
【水島七恵】が探索に加わりました。
最終更新:2015年06月09日 01:59