板垣勝猛、桐石登也、烏月揚羽、桜木有布、天瀬麻衣は守衛棟で郷田に会って話を聞いてくると、駐車場にやってきた。
「えーっと、とりあえずこの車の下から猫を見つけて捕まえていけばいいんだよねっ!」
「そうっすね。特に難しいこともないし、すぐに終わるんじゃないですかね?」
「だな!この人数いれば30分くらいで終わっちまうかもしれねーな。その辺の調査もしっかり出来るし、ちゃちゃっとやっちまおうぜ。」
揚羽が腕まくりをする様子を横目に、有布が楽観的に伸びをしながら、登也も余裕綽々で声を上げていた。
「・・・甘く見てると痛い目みるかもわからんよ?」
三人の様子を可笑しそうに少し離れたところで眺めていた麻衣は緩やかに目を細め、冗談か否かそんなことを言って。
「…天瀬先輩も人が悪うござんすね。さて、まず手分けして探しましょうか。
猫が何匹いるかも分からないということですし、驚かさないように静かに…」
天瀬の言葉に小さく笑った後、しーっと指を立てながら賑やかな三人に向けて指を立てて微笑んだ。
◆◇
それから数十分後……
「…ぃだっ、、そっちいったそっち!きりしー!」
「…ぉぃ待てコラ!…いや、ホラ、怖くないぞー、おいでー…」
「来た来た!・・・っ・・・あいたた・・天瀬先輩、いったっ!」
「あ。」
「流石先輩、ナイスキャッチ。」
予想通りの展開、というべきか、現実は甘くなく車の下にいた猫たちは総勢10匹の大所帯。
運動部から借りてきたボール籠にネットを張り、簡易的なケージを作ると、捕獲した猫を入れていくのだが・・
最後の一匹が揚羽、有布、登也、と華麗に切り抜け、飛び跳ねると見事麻衣の胸にすっぽりと着地、うにゃん♪と喉を鳴らしながら収まるのだった。
ボロボロになった三人をよそにあくびをする猫をみて板垣は思わず小さく笑っていた。
◆◇
「いやあ助かったよ、ありがとう、ご苦労さん。」
泥と傷だらけになった(主に、揚羽と有布)を見て苦笑いを浮かべた郷田は、ケージに入った猫たちを受け取りながら言った。
「こいつら、もともと紅天神社に住み着いてる猫なんだ。
月に一回くらい気まぐれに駐車場に遊びに来るんだが、どうやらかくれんぼでもしてるつもりみたいなんだよな。困った奴らだよ…」
ふぅっと息を吐くものの、猫たちの顔を見ると怒る気も起きないようで困ったように笑って。
「にゃーん・・・」
悪意など微塵も感じられない愛くるしい眼差しで見つめてくる猫の頭をくいと一度撫で、
「悪いことしたらあかんよ。」
と小さく笑った、麻衣だった。
「これは怒るに怒れんな……あ、ところで郷田さん。
七不思議の噂って何か知りませんか?」
麻衣と猫の様子を眺めれば、頬の傷が痛むものの自然と表情が緩む登也だった。
思い出したように、噂のことを聞けば、郷田は「ああ」と小さく頷き口を開いた。
「高等部の屋上に時計棟があるだろう?それと和風庭園の桜の樹あそこにまつわる有名な噂があるんだが、俺はこの手の話は苦手でな、あまり詳しくは知らないんだ。
多分、この話は両方管理してる用務員さんの方が詳しいんじゃないかな?」
過去に七不思議を調べたことがある報告書があり、高等部に通うものなら殆どのものが少しは耳にしたことがあるだろう『時計棟の亡霊』『桜の下で眠るもの』この二つの噂を入手した。
依頼【野良猫の捕獲】達成!
噂【時計棟の亡霊】、【桜の下で眠るもの】の情報を入手!
【時計棟】へ行けるようになりました。
最終更新:2015年06月09日 02:29