藤八沙耶、志島武生、向坂維胡琉、六角屋灼の四人は大学部の図書館へとやってきた。
図書室の受付では眼鏡をかけた司書らしき女性がパソコンに向かっている。
「すみません、斉木さん・・でしょうか?本の整理を頼まれて来たんですが…」
年長の維胡琉が声をかけると女性は顔を上げ、立ち上がった。
「・・・・遅かったわね、私が斉木です。
あまり遅くなると今日中に仕事が終わらなくて困るのよ。
とりあえず、今日返却された本の片付けと、未返却の本のリストアップと棚違いになっている本の整理は・・これがリストよ。
それじゃあ、私は別の仕事があるから、宜しくね。」
若干嫌味交じりにそう言うと、人差し指で眼鏡をくいと持ち上げた。
リストと返却された本の乗ったカートを貴方たちの傍に置いていくと、再びパソコンに向かうのだった。
「なんか感じ悪いっすね…いかにもいき遅れのキャリアウーマン、的な。」
「しっ、志島さんっ、聞こえてしまいますよ!」
武生の言葉に思わず、藤八が人差し指を口元の前に立てながら、眉を下げた。
灼も斉木の態度に眉をピクリとさせたものの、武生がハッキリと口にすればそれ以上何も言うことはなく、首筋を撫でながらリストを片手に眺めれば小さく息を吐きだしていた。
「…実際仕事量多いですし、さっさと始めないと終わらなそうすね。」
「そうね、皆で協力して早く終わらせましょう?」
維胡琉が少し困ったような微妙な笑みでそういえば、全員で手分けをして作業に入るのだった。
◆◇
そうして作業が終了すると、斉木も丁度仕事が終わったところだったようで先ほどよりも少し晴れやかな顔をしていた。
「思ったより早く終わったのね。助かったわ。ありがとう…
ところで、貴方たち七不思議を調べてる、とか言ってたけど、地下の閉架もしらべるのかしら?」
「地下の・・・閉架ですか?」
藤八は思わず、きょとんとした眼差しで聞き返した。
「…あら、知らない?大学部の地階閉架の噂。」
そういうと、斉木は地下閉架にまつわる七不思議の噂を話してくれた。
「もし、調べるな事務局に許可を取ってきて頂戴ね?
私は帰るから、最後に施錠して事務局に鍵を返してきてくれれば問題ないわ。
ただしくれぐれも、本の棚を荒らさないように…」
第一印象とは打って変わって親切な斉木の様子に、武生と灼の二人が「女性って怖いな」などと思ったかどうかは定かではない・・
【依頼:図書室の整理】達成!
【地下閉架】を調べることが出来るようになりました。
最終更新:2015年06月09日 02:00