イベントチャット日程

第一回:6月13日11時(2時間予定/第二回とどちらか片方のみ参加可能)
第二回:6月13日16時(2時間予定/第一回とどちらか片方のみ参加可能)
第三回:6月13日22時(2時間予定)
第四回:6月13日0時(3時間予定)
第五回:6月14日13時(1時間予定)

※第四回、第五回以外、定員は6名です。第四回、第五回は8名で、第四回は抜けた方がいればその都度補充します。

イベントコンテンツ


ストーリー概要&報酬


※このイベントのPC時間は、6月22日となります(BBSとの兼ね合いもあるため)


エピローグ

<1>
イーストセントラルタワー、最上階。
そこには宮廷魔術師が集まっており、目の前の鏡のような魔術により下の様子を見ていた。
ちょうど25階で、悪魔ベレトがハンターの者達と戦っている最中だ。

東十常一「フン…賊がもうそこまで来ておるか。剣、対処の方は出来ているのか?」
東十常剣「は、はいお義父さん。有力な者を護衛に雇っていますので…」
姫神百合「尸黄泉に槐志度、それともう一人、名前はわかりませんが、スラムの者だという噂を聞いていますが?」
神崎信「包帯の男もそれらの人物と組んで、ハンターを襲ったと聞いたこともある。そこらへんはどうなのですか?」
剣「そ、それは…。根も葉もない噂ですよ。現に尸も槐も、ハンターとして活躍しているではありませんか」
姫神「私が知る限り、天城宗次郎が処理をしただけで、他ギルド長は承認していない。そのため正式な手続きは行われいないと思われますが?」
神崎「ついでに、先程私の部下が、東十常司君と共にタワー中層から降りてきた烏丸麗子が、ハンターカード偽造の件も告白したと電話連絡が入った。それについても今、聞かせてもらってもよろしいですか?」
一「私の部下からも、つい先程その話題を聞いた。どうなっておる?剣」

三人に追求される剣を、やれやれと言った感じで他の宮廷魔術師は見ている。

30代後半の女「まったく、神崎ちゃんも百合さんも、こういう時は派閥関係なしに仲良しになるんだからよー」
40代半ばの男「しかし、このままでは剣さん、貴方の嫌疑は晴れぬ、ということですな」
姫神百合「聞かせてもらえるかしら?どういう事なのかを」

姫神百合は、鏡の魔術の発動を消し、剣へと向き直った。

剣「ぐう…くっ…」
一「剣!答えんか!!」

養父である一にまで追い詰められると、剣は滝のような汗をかきつつ「それは…」と呟く。
その時だった。

水鏡「その必要はないぜ」

空間を割いて出現した、ベレトの鎧を着た水鏡が剣の背後へと降り立つ。
槍を構え、閃光のような突きを放つが、それを防いだのは佐治だった。
佐治は魔力で作り出した刀で、それを受け止める。

水鏡「佐治…どけよ、あんたを殺すつもりはない」
佐治宗一郎「はいそうですか…って退けると思ってんのか!」

佐治は馬鹿力で槍を押し返す。が、押し返したものの刀の刃の部分はボロボロになっていた。

水鏡「ランスにただの刀が通じるかよ。邪魔するなら…容赦はしない」
神崎「佐治先生!」

神崎が助太刀し、水鏡の動きを風の鎖で縛る。
が、すぐにそれは弾かれ、無効化された。

水鏡「今の俺に状態異常なんて効くかよ」
神崎「今のは、我が盟友であるそこの女の魔術だ」

と、30代後半の女を視線で指す神崎。
すると水鏡の体から血飛沫が飛び散る。

水鏡「くっ…抵抗した時に追加効果が発動する魔術か…!」
神崎「もっとも、捉えたら捉えたで四肢切断レベルまで切り刻むことが可能だが…私の劣化複写ではこの程度が精一杯だな」
水鏡「邪魔をするならまずは、お前からだ神崎!」

空間移動し、神崎の前に一瞬で間合いを詰める水鏡。
神崎も驚き防御体勢を取るも、それも間に合わなかった。
そして、誰よりも早く、佐治がその間に入り槍を受け止めた。

佐治「ぐうっ…!」
神崎「佐治先生!」
水鏡「佐治…!ぐはあっ!」

一瞬の隙、そこを見逃さなかったのは東十常一だった。
光の剣を構え、閃光のような一撃を水鏡に放つ。その威力は凄まじく、壁に激突した水鏡の鎧がところどころ壊れていた。
先ほどのハンター達との戦いもあり、起き上がるのがやっとな水鏡に止めを刺すべく、一が詰め寄る。

佐治「へへ…水鏡よぉ、予定が狂ったな…。てめぇに、ハンターにそう簡単に人を殺らせるかっつの…」
神崎「佐治先生、もう喋らないでください…。傷口に触ります」

神崎が佐治を抱え起こし、姫神がその治療を行う魔術を使っていた。
が、姫神はゆっくりと首を振る。
佐治の体の真ん中に、巨大な穴ができているためだ。

一「安心するがいい佐治殿。賊の始末は東十常の名に賭けて、私が行おう」
佐治「あんまり手荒にやらんでやってくださいよ…」
水鏡「…っ!」

一が光の剣を振り下ろそうとした瞬間、爆発が起きた。
しかも、1階下の辺りでだ。

一「なにっ…!?」
水鏡「クク…魔法使い相手に、何の用意もなしに玉砕するような真似なんかするかよ…。なあ?東十常剣」
剣「くっ…貴様!」
水鏡「今回は見逃してやる。せいぜい残りの余生、俺たちに殺される悪夢にうなされるがいい」

再度、空間転移で水鏡は逃亡した。

40代半ばの男「今伍代と連絡が通じました!上にハンターを連れて向かってくるそうです!」
一「…仕方がない、皆の者、ここから離れるのだ!…剣、話は後で聞く。今は貴様も共に脱出するがいい」
剣「…はい…」

全員が逃げていく中、一人神崎は佐治を見下ろしたままでいた。
それに気づいた30代の女が、戻ってきて声をかける。

30代後半の女「神崎ちゃん、そのおっさんのことは諦めろ。もう死んでる」
神崎「…ああ、わかっているさ」

そして、神崎もその30代の女と共に去っていった。
爆破がひどくなり、ちょうど宮廷魔術師達が26階くらいに降りた時に、29階から上で大爆発が起こった。
仕掛けられた爆弾は下層よりも遥かに強力なもので、かなりの衝撃が辺りに響く。

佐治宗一郎の遺体は、30階の一室に取り残されたまま、イーストセントラルタワーの崩壊が始まった――。

<2>
カーネリア大聖堂。
その大聖堂の地下には、封印された間がある。
もちろん封印、といっても聖水による結界を張っているだけで、特に人が入れないような場所ではないし、入ったところで何もないのだ。
その最奥には、白き城のような景観と装飾が施された一室がある。

「…剣よ、私の力はもっと崇高な目的のためにある。お前のくだらない考えに使わせはしない」

玉座のような場所に、一人の金髪の青年が座っており、呟いた。
白銀の鎧に身を包み、その姿はまさに中世の騎士と言った風貌だ。

「さて…フェルゼ嬢のように人間につくか、それともロノウィ殿のように悪魔としての誇りと共に生きるか…」

目を閉じ、すぐに開ける。
青年が目を開けた瞬間、部屋のあちこちから巨大な目が開き、その瞳には大和各地の様々な出来事が写っていた。

「見極めさせてもらうぞ、人間」

<3>
23日の夜遅く。
ちょうどハンター達が撤去作業を終え、帰ってから1時間後。日付が変わりそうな夜更けに、一人の男が立っていた。
屈強な肉体を、ボロのマントで体を包み、頭にはフードを被っている。
男はそれを見つめながら、右手を前に出した。
すると、地面がぽうっと光りだし、その光りが浮き上がり男へと吸収されるように吸い込まれる。

「…成る程。事の顛末はそうなったか」

彼の背後には、包帯を巻いた男が立っていた。

「よう、来たな出来損ない」
「殺すぞ」

包帯の男は、マントの男へと右手で掌底を放つ。
しかしそれはただの掌底ではなく、手のひらに炎を纏わせていた。

「相変わらず血気盛んだ」
「!?」

マントの男はそれを受け止めると、植物のような蔦で包帯の男の足を捉えた。

「残念だが、今のお前では俺に一矢報いることすらできん」
「フン…ようやく『成った』か」

そういって、面白くなさそうに包帯男は瓦礫の上に腰掛ける。
マントの男も同じように腰を下ろした。

「…スラム第三の奴らはどうだ?使えそうか?」
「それなりに、だ。水鏡の奴らと比べたら、落ちるだろうな」
「そういえば、向こうの出来損ないは今は水鏡と名乗っていたのだったか。面白い、悪魔の力、魔導の力とどれだけ渡りあえるか見てみるとしよう」
「一度あっているだろう」
「あんなの、ただの脅しにしか過ぎん。俺はもっと戦いを求めているのでな。物足りないんだよ」

そういって、フードを取った男の顔は、傭兵団のリーダー格だった男、ランツィラーだった。

「すっかり傭兵に染まったんじゃないか?ランツィラー。いや、フィーア」

ランツィラーは包帯の男の話を無視し、辺りを気にするように見渡す。
包帯の男はいつもとは違い、キレることもなく彼に教えた。

「『もう一人』なら、今日は来ない。諦めるんだな」
「そうか。ならば久しぶりに、暴れるか。ストッパーもいないなら、存分にやれるだろう」
「いや…俺は遠慮しておく。少し、気になる事があってな」
「なら俺も今夜はやめておこう。『統率者』に会いにいく。いや、魔法使いって言っておくか?奴らに習って」

勝手にしろ、と興味をなくしたように包帯男は去っていく。
そして、ランツィラーは瓦礫の山に背を向けながら笑った。

「お前が死ぬまでの最後の悪足掻き、少しは俺を楽しませて見ろよ?出来損ないの水鏡流星」

END



オープニング

<1>
紅、イーストセントラルタワー。
別名、東十常タワーと呼ばれている、つい先日完成した30階建てのこの建物は、その名の通り東十常家が所有するタワーとなる。
最上階・屋上が東十常家の住まいとなり、その下は各地の様々な高級ブランド、有名ブランドのテナントが入る予定だ。

6月22日、午前11時。
完成披露セレモニ-が、この東十常タワーで開かれる。

<2>
イーストセントラルタワー、屋上。午前11時12分。

佐治宗一郎「ふあぁ…」

今回の警備長である、神風学園ギルド長の佐治宗一郎は欠伸をしていた。
何事も起こらない方がいいとは思っているが、それでも、特に貴族の要人警護となると、礼儀作法がうるさいので苦手だった。
しかも今回はこの30階建ての屋上で、ほぼ宮廷魔術師だけのお食事会が開かれている。
なにかあったとしても、下に指示を送るくらいで佐治本人は体を動かせないのが歯がゆかった。

神崎信「暇そうですね、佐治ギルド長」
佐治「お?おう神崎じゃねぇか。そういや宮廷魔術師になってから会うのは初めてか」
神崎「ええ、相変わらず元気なようで」
佐治「まあそれだけが取り柄みたいなもんだしな。てめぇも早く結婚しろ!娘と嫁はいいぞ~!?人生薔薇色だ!」
神崎「人生の墓場の間違いでは?」
佐治「うるせぇこの野郎、そういや宮の奴は来てんのか?」
神崎「黒塚は、今日はちょうど仕事と重なり来れないみたいで」
佐治「へー、あいつも宮廷魔術師になって忙しくしてんのなぁ」

と、そこにもうひとり。新たに宮廷魔術師の仲間入りを果たした

土御門伍代「お久しぶりです佐治ギルド長。お邪魔しても?」
佐治「ああ、構わねぇよ」
神崎「それでは、私はこれで」
伍代「もう少しいてもいいじゃありませんか。神崎先生と佐治ギルド長のお話、同じ宮廷魔術師として興味がありますし」
神崎「…まあそうだな。さすがに無関係の者を挟めてまで、いつものような皮肉をぶつけてくる非常識な人間はそうそういないだろうしな」
伍代「おや?自己紹介をされているのですか?神崎先生は外面はそれなりにしていらっしゃるので、ボロを出さないほうがいいのでは?」
神崎「おっと、私の言葉のレパートリーが足りないばかりに、勘違いをさせてしまうとは…申し訳ない。頭がお花畑の人間に説明するには、もう少しわかりやすく言ってやったほうがよかったな」
東十常剣「はいはい、そこまで。すまないが今日の主役は君達ではなく、この私、東十常剣だ。いつもの口論はまた、宮廷に戻ってからにしてくれないだろうか」

口論、というよりは子供の喧嘩になりかけた二人を割って入るように、東十常剣がやってくる。
伍代と神崎は、ため息を一つついて元いた場所へと戻っていく。
神崎は他の若い(といっても40代くらいだが)宮廷魔術師がいる方へ。
伍代は宮廷魔術師である東十常一、姫神百合の方へと。

佐治「まぁわかりやすいわな。しっかしこうして見ると、貴族派はそんなにいねぇみたいだな」
剣「そうでもありませんよ。今日ここに来ていない黒塚、国木田さん以外の方は、どちらかといえば貴族派寄りになるでしょうね。中立ではありますが、神崎の派手なアクションは気に入らない年配の方ばかりですから」
佐治「そんなもんかね」
剣「ええ。あ、今日は警備の方、よろしくお願いしますよ。佐治ギルド長」
佐治「ああ、任せとけ。いつも多額の援助してもらってる東十常剣様の頼みとあっちゃあ、無碍に断れねぇしな」

と、その時剣の秘書の女が、慌てて駆けてくる。
そして剣へ耳打ちすると、剣の表情が真剣になる。

剣「わかった。下がっていい。…すみませんが、少し席を外します。ごゆっくり…とはこの空気で行かないとは思いますが、美味しい料理も用意しているのでぜひ楽しんでいってください」
佐治「おう、サンキュな」

こうして、慌ただしく去っていく剣の後ろ姿を、お偉いさんはやっぱり時間との勝負だな、と呑気なことを思いながら見送ったのだった。

<3>
秘書と共に1階下の30階にある自分の部屋へ戻る東十常剣。

剣「…意外と早いな。数は?」
秘書「正面ホールに5、裏口方面の外に5です」
剣「ふむ…ならばあいつらに頼もう。そのために、わざわざスラム第三エリアから連れてきた人材だ」
秘書「…尸黄泉と、槐志度ですか?私は、奴らはその、あまり…」
剣「確かに、君の思っていることは私も感じている。あまり私の志に賛同してくれている者達ではないからね。しかし、実力は間違いない。彼らなら傭兵の足止めになるだろう」
秘書「それはそうでしょうが…」

言いよどむ秘書を余所に、剣は電話をかける。
2,3言葉を交わすとすぐに電話を切った。

剣「…しかし面倒なタイミングで放火なんてしてくれたものだ」
秘書「あっ…あれはその、三田部と盛岡が勝手に…!」
剣「言い訳はいい。君も私の秘書なら、今はその時ではないのが分かっていたはずだ。君は、このセレモニーが終わったら荷物を纏めたまえ」
秘書「えっ…!?ま、待ってください剣様!私の話も…!」
剣「必要無い。さて、主賓があまり席を外すわけにもいかないのでね」

そう言って剣は秘書を部屋に置き、出て行った。

秘書「…すべて、全てハンターのせいだ…。剣様が私を見限ったのも、全て、全て!!」

剣の部屋に飾ってある細剣を手にすると、秘書は剣とは逆に、下のフロアへ向かうべくエレベータに乗ったのだった。
最終更新:2015年06月16日 06:39