桐石登也、甚目寺禅次郎、福良練の三人は実習棟に駆けつけた。。

「おおおおおおおっ!!!」

実習棟に入ったとたん、練と禅次郎には聞き覚えのある声が響いていた。

「随分派手にやってるみたいだな…もしかしなくても、アレか?」

走りながら、桐石が苦笑いを浮かべると二人に視線を向けた。

「そうみたいです…。」
「騒ぎが大きくなる前に何とかしないとな、急ごう。」

禅次郎の言葉に頷くと、三人は声のするほうへと足を速めた。

「きゃああっ!」

部長が柔道着の入った袋を振り回していると、危うく彼女らしき女子生徒にぶつかりそうになる。

「おっと、女に暴力はよくねえな。」
「危ないな、ちょっと大人しくしてようか…」

ぶつかりそうになった袋を、片手で受け止めながら女子生徒の前に立つ桐石。
そして怯んだ部長を背後から抑える甚目寺。
すかさず、距離をとるために女子生徒の肩を支えながら後ろに下がる練。
三人の連係プレーでとりあえずの暴走は止められたようだった。

「なんだテメエら!まさか、男がもう一人…いや二人も居たのか!?…くそ、動けねえ。。」

部長は甚目寺を振り払おうとするも、後手をしっかりと締め上げられた状態で、経験を積み重ねた先輩ハンターの力に敵う筈もなかった。

「(きゅんっ)、、ありがとうございます!
…や、止めてよ。そうやって直ぐ勘違いしてキレるところが嫌いなのっ!
B君だって、私を心配して相談に乗っててくれただけなのに…」

男前な登場の桐石に思わずときめく女子生徒だったが、部長の言葉を聞くときっとにらみつけながら言い返した。
どうやらB君といわれる浮気相手らしい男性は既に逃げてしまったようだ。

「相談だぁ?あっちこっち男ばっか作りやがって!」

「あ…あの失礼ですけど、彼女さんが、浮気したっていうのは本当でしょうか?
…なんだか、お話を聞いていると部長さんの勘違いのような気がするんですが…」

再び怒鳴りだす部長にストップをかけるように、恐る恐る練が片手を挙げ女子生徒と部長の両方に問いかけて。

「は?浮気?そんなのしてないわよっ!!ただ、目が合った、とか重いものを持ってもらった、とかその程度で度々コイツが一人で嫉妬してるだけよ。
そもそも、あたし先週コイツに告白されたけど、”付き合ってない”わよ?」

いい迷惑、と言わんばかりに両腕を組みながらふいっとそっぽを向いてしまった女子生徒。

「なーーーーーーにーーーーーーっ!?
…だ、だってお前あの時、『柔道で汗を流してるところがかっこいいと思ってたの☆』とか言って赤くなってたじゃねーか!!!!」

「それは、本当にかっこいいと思ったからいっただけでしょ?
かっこいいって言うなら、柔道部部長を軽々締め上げちゃうそっちの男性の方がずっとかっこいいわぁー…(きゅん)」

動揺する部長に追い討ちをかけるように、禅次郎を見ながら両手を合わせて頬を染める女子生徒。
どうやら、勘違いしやすい男、と思わせぶりな女のすれ違いな事情だったようだ。

「えっと……どうしましょう?部長さん泣いちゃいました…」

「とりあえず、桐石に任せようか…なんか熱い男同士上手くいきそう」

「あー、、まぁ、しょうがねえな。汗でも流して忘れろや。」

がっくりと項垂れ、膝をつく部長の肩を桐石はぽんと叩いた。

「アニキーーーっ!」

叩かれた手をぎゅっと握りながら涙を流す部長の姿に若干引きつつも笑顔で受け止める桐石だった。

「ねえ、あたしかえってもいーい?」

「あ、すみません!聞いておきたいことがあって…あかずの間とか部室棟から校舎への渡り廊下のうわさについて知りませんか?あとあと、この霧のこととか!」

練は帰ろうとする女子生徒にすかさず七不思議について尋ねると、その勢いに若干困惑する相手だったが助けてくれたこともあり、知っていることは全て話してくれた。

「あかずの間っていうのはね、実習棟三階の一番突き当たりの女子トイレにあるのよ。
確か一番奥の個室の扉を開けるとナントカっていう…場所も人があまり来ないところだし、噂を知ってる子は殆ど行かないわね。

渡り廊下のって……ああ、大学部の映研が去年撮影してたアレ?
かっこいい先輩の知り合いがいるのよー、、で聞いたんだけど、撮影って知らないで高等部の子が居合わせちゃって悲鳴上げながら帰ったって話。
面白いから噂のまま残しとこうって言ってたんだけどね?確か…―」

そういってガセではあるものの、噂として流れていた真夜中の来訪者の全貌を聞かせてくれるのだった…


依頼【暴れ出した部長を止めてⅡ~三角関係の大修羅場~】
噂【真夜中の来訪者】を完成、真相を解明!
噂【あかずの間】のヒントを入手!
【実習棟三階女子トイレ】にいけるようになりました。
最終更新:2015年07月01日 16:43