甚目寺禅次郎、鬼ケ原空、祠堂統、桐石登也の四人は和風庭園にやってきた。
「庭園、真っ暗で何も見えないな。…どうする?」
「…職員室で懐中電灯でも借りてくるか?」
「ん?お前たち、七不思議を調べてるやつらか?まだ居たのか。」
庭園にやってくるも、暗くて探索どころじゃないと空と祠堂が話しているところにレインコートを着た兼田が現れた。
どうやら傍の倉庫で後片付けを済ませ、帰ろうとしているところ貴方たちの声に気づき寄って来たらしい。
「この霧が前にも庭園で発生したと聞いて調べにきたんですけど、暗くて…あ、兼田さん、懐中電灯なんて借りれます?」
そう空がいうと、兼田は「ちょっと待ってろ」と言って倉庫から懐中電灯を二つ持ってきてくれた。
「助かります、ありがとうございます。で、どうします?」
「とりあえず、…懐中電灯は二つだから探索は任せていいか?
俺らは兼田さんから聞ける話はきいておくよ。」
祠堂の言葉に登也がいうと、空と祠堂は懐中電灯で照らしながら和風庭園内を手分けしてくまなく探索し始めた。
「なぁ先輩達、コレみたのかな?」
「んー、なんか言ってたっけ?しかしホント…不気味だなぁ…」
二人は木の根元の桜を見つけるとどことなく気分の悪さを感じながら呟いた後、池の中を覗いてみたり木の上を眺めてみたり…徹底的に調べるが、他には特に変わったところは見つからなかった。
◆◇
登也と禅次郎は兼田の傍に残り、少しでも情報を聞き出そうとする。
「他の人から兼田さんがこの霧について知ってると聞いたのですが…よかったら詳しく教えていただけませんか?」
「ん?ああ、だが俺が知ってることなんてたかが知れてるぞ?」
「…なんでも構わないんです。
この霧で魔素を感じなくなったんですが、他にも何か影響があるのか…と、
以前に霧が発生した時の状況とか、理由とか…霧の消し方が分かれば一番なんですが。」
禅次郎が補足するように具体的な疑問をあげていくと、兼田がうーんと顎元に触れながら小さくうなっていたが最後の言葉に「ああ」と小さく漏らす。
「それなら、問題ねぇ。もうじき…晴れるだろうよ。
さっき思い出したんだが、前に見たのは10年前の夏だった。
あの桜の木の下でモヤモヤと影みたいに霧が揺らいでたんだ。
その時は一応教師に報告したが月がてっぺんから降りる頃にはきえてたんだ。
…あの時と同じなら恐らく自然に消えるだろう。」
「自然に…ですか。」
少し不安は残るものの、他に術のない禅次郎はただ呟き、空を眺めるだけだった。
雨と霧で月の影すら見えない空を……
禅次郎は栄養ドリンクを飲んで体力が全快した!
最終更新:2015年07月15日 16:43