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双三「うーん…」

ハンターである双三思永は困惑した顔をした。
聞きに来い、と言ったがまさか5人も来るとは思わなかったのだ。

双三「とりあえず、右の子から順に聞いていこうか」

双三が右から順に見ていく。
蛇姫神紗咲良、六角屋灼、寒河江由加、藤八沙耶、そして瀬名波那智の順だ。

紗咲良の質問はシンプルだった。
栄命島について。
双三は困ったように悩んだ後、一つ質問をした。

双三「君は、君達は栄命島についてどこまで知っている?…ただの海底に沈んだ島、だと思うかい?」

全員、ほとんど無知な状態に近かったため、ここは誰一人として知っている情報を出す者はいなかった。
当然だ、と言うように頷くと、双三は語り始めた。

双三「なぜ沈んだのかは、ハッキリとはしていない。
ただ僕が知る噂では、邪神を復活させて滅ぼされた、強欲な島民に神が怒り遣いを送り島を沈めた、巨大な魔物が島を襲い沈んだ、とたくさんの説がある。
どれも正しくないかもしれないけどね。
僕も島について詳しいと言われてるが、実際は遺跡の中には少ししか入ってないんだ。
それもそうだろう?深海の中、既にハンターを引退した僕には潜り続ける術がない。だから伝承とかそっちについて詳しいだけで、実際に中のことはわからないんだ。
すまないが、それを調査するのも君達の今回の調査の一環なんだと思う。
次の子達の質問は?」

灼と由加の質問は、島について色々聞きたいこともあったが、他のメンバーもいるので余り時間は取れそうにない。
聞きたいことを絞り、二人は尋ねた。それぞれ、依頼の事についてだ。

双三「まずは六角屋君…だったね。君の質問だが、揺らぎの炎は僕はもちろん、村の誰も詳細は知らないと思う。
だが、文献の一つにこんな言葉があった。『島が沈む前、揺らぎの炎を手に持ち運ぶ島民が~』ってね。
つまり、推測に過ぎないが揺らぎの炎は手で持ち運べるもの、と考えている。
そして、揺らぎの炎は魔物でも魔導具でもない、“そういったモノ”というのは、過去の文献から推測できるね」

邪神についても聞こうとした灼だったが、次の由加が彼に質問をかけたので、黙っていることにした。

双三「寒河江君は行方不明者を探すのかい?
やめておいた方がいい、自分で言うのもなんだが、ハンターである僕が数年かけて探しても見つからなかったんだ。
おそらく、見つけ出しても既に命は無いだろう。…だがそれで納得するようなハンターなんていないだろうし、情報くらいなら教えてあげよう。
まず、一番最近の行方不明者は3年前に浜辺で起きた失踪事件だね。田中まゆみ、18歳の女の子だ。
他にも、村の資料に載っている限り、少なくとも過去数百年の間で4名の人間が失踪している。
阿久津由恵、虹原奥子、多江吉見、長良涼の4名だ。
共通点は女ということだけで、年齢も職業も、村の人間だったり観光客だったり様々な人間が失踪しているらしい。
過去4件の失踪事件は解決しており、いずれも邪神を崇拝するカルト教団の存在があったとされる。
ただここ数十年の間ではこの1件の失踪事件だけで、関係性があるのかどうかは不明だ。
僕が知っているところは、このくらいかな…」

他にも質問を投げかけようとしたが、灼と同じく後に控える二人の手前、由加は更なる質問を諦めた。
続けて、沙耶の質問は漣島と栄命島との関係性について。

双三「特にこれ、といった関係はなかったようだね。もっとも、栄命島が沈んで数百年経つし、文献には『交友関係はあったが』としか書かれていないため、よくわからないんだ。
ただ、栄命島の出身の人の子孫なら漣島にいる。その人を紹介してあげよう」

双三はメモに場所と名前を書く。
『番場佑(ばんばたすく)』という名前の隣に、この村はずれと村長の家の間にある位置の家の地図だ。

双三「ここの番場さんに聞いてみるといい。もしかしたら、古い文献とかが今でもあるかもしれない。
海底遺跡の調査は、他の子にも言ったように少しだけ入っただけなんだ。その奥は重く硬い扉で閉められていて、一人じゃとてもじゃないけど開かないから諦めてたんだよ。
あと、その菅野さんって人は知らないな。僕がハンターの時は、そこまで関わりなかった人物だし、そういったことは現在もハンターをやっている者に聞くのが一番いいだろうね」

続けて間髪入れずに那智の質問にも答え、一息つくために缶コーヒーを飲む。
他にも缶コーヒーをだし、貴方達に配ろうと思った時、家の入口から慌てた声が聞こえてきた。
ガタイがよく肌黒の大男で、息を整へ双三へと説明する。

漁師風の男「大変だ!双三さん、健の彼女がいなくなっちまった!」
双三「なにっ…!?そこらへんを散歩してる、とかではないのかい?」
漁師風の男「俺もそう思ったんだけどよ、どうも変なんだよ!健が家の鍵を渡したはずなのに、鍵もかけずに出歩くかねぇ?」
双三「うーん、最近の若い子なら、そういうこともあるかもしれないが…。わかった、僕の方でも調べて見るから、筧さんは仕事に戻ってください」
漁師風の男「お、おう!頼んだぜ!」

筧と呼ばれた漁師風の男が去った後、やれやれとため息をついて双三は出かける支度を整える。

双三「彼は筧利通(かけいとしみち)さんと言って、気のいい漁師さんなんだが物事を大きくいう性格でね…。
おそらくその消えた子は、集落を見て回ってるんだと思うけど…とにかく万が一という事もあるし、僕はこれから村を回ってみるよ。すまないが、話はここまでだね。また何かあったら、しばらくしてからまた来てくれたまえ」

黒のコートを来て、双三は村はずれの家から出て行った。


寒河江由加:HP550/MP150/OP10/状態:普通/依頼P:50
瀬名波那智:HP560/MP140/OP10/状態:普通/依頼P:50
藤八沙耶:HP500/MP150/OP10/状態:普通/依頼P:50
蛇姫神紗咲良:HP1100/MP100/OP10/状態:普通/依頼P:50
六角屋灼:HP500/MP150/OP10/状態:普通/依頼P:50

依頼P内わけ:
別チームが依頼達成(100p÷2=50)
合計:50p


最終更新:2014年12月31日 00:51