とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part04

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想定外の邂逅[二つの世界]


一月 某日

~学生寮の一室~ 

「今日も上条さんの日常が始まりますよっと」

冬休みも終わり今日から新学期だった。
始業式に間に合うよう余裕をもって早起きし、朝食の準備に取り掛かる。
ご飯、目玉焼き、簡素なサラダ、味噌汁を用意しているうちに居候が目を覚ましたようだ。

「おはよう。とうま」

「おはよう。インデックス」

いつものように自分の分と彼女の分を用意する。その比、1対3。
しかも上条は育ち盛りの男子高校生だ。一方、この銀髪碧眼シスターはどうみても12,3才の女の子にしか見えない。
見慣れている光景とは言え、ついため息が出るのはおかしくないはずだ。おかしくないよね?
それでも幸せそうにご飯を頬張る彼女を見てつい疑問が出てしまう。

「…なあ。インデックス」

「なにかな?とうま」

「旅行先で美味いものたくさん喰ったんだろ?こんなもんで良いのか?」

「それはやっぱり、あっちのほうが断然おいしかったかもっ」

居候の遠慮の無い言い方に閉口せざるをえない。

「でも、とうまと食べるご飯がわたしには一番幸せなんだよっ」

「俺は調味料かよ…」

人間扱いされてないことにゲンナリしつつ、塩か胡椒か該当しそうなソレを検索していると、向かいに座るインデックスがなにやら黒いオーラを纏い始めた。

「とーぅまぁぁー」

「インデックスさん?」

「とうまはいつだってとうまなのはわかってるけど…」

「ひっ」

ゆらりと残像を生み出しながら立ちあがる禁書目録。ビビる上条。

「乙女ノ幻想を粉砕シた罪ハ重いかモ……」

牙が鈍く光る。

「とうまノ頭蓋をカミクダイテ…望ミ通り…専用ノすぱいすニしテ…」

ヒタリ、ヒタリと距離を詰めて、ホラー映画もかくやと言わんばかりのインデックス。
今の彼女が出演したらきっと女優としてなにか賞が貰えるだろう。
ならば上条は哀れな犠牲者か、それともそれに打ち勝つことができるのか。
一般的にホラー映画は概して最終的には襲われる側が生き残るのだ。

「アゲルンダヨォォォオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!」

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーッ!!」

しかしそれは海外の風潮であり、日本のソレはだいたい悲しい最後を迎えてしまうものである。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「かみやんはいつも通りだにゃー」

始業式だったので特に授業もなく昼過ぎの時間帯。
既にHRも終わり帰宅時間であるのにもかかわらず、上条は机にうつ伏せてぐったりのご様子。
友人の言葉通り、あの後はいつものように不幸が待ち受けていた。
インデックスに時間さえも喰われてしまい、遅刻しないように急いだ。
犬を蹴っ飛ばし、側溝に落ち、不良に絡まれ、追いかけられながら、それでも走ったのだ。
生まれる時代が違えば伝説として人々に語り継がれ、教科書に載っていただろう。
やっとの思いで教室に辿り着き、扉を開ける上条。
物語ならそこには親友がいて、偉そうな王様がいて、そして王様はこう言っただろう。

「―わしの負けじゃ―」と

実際にはそこには級友がいて、偉大なる先生様がいて、そして先生様はこう言ったのだ。

「―かみじょうちゃん。遅刻です―」 と

そんな不幸を相手に仁義なきワンサイドゲーム繰り広げて、上条は体力と精神力を使い果たしていた。
しかしいつまでもぐったりしているわけにはいかない。
今日の日程はインデックスに伝えてあるので、家に戻り昼食を作る必要がある。
冷蔵庫の備蓄食料がずいぶんと減っていたことを今朝確認したので、買い出しに行かないといけない。
近所一帯のスーパー安売りセール日程に思考を巡らせていると、なにやら周りが騒々しいことに上条は気付いた。

「どうしたんだ。土御門?」

デルタフォースの義妹兼メイド専門、土御門 元春に問いかける。

「わからないにゃー。でも校門辺りが騒がしいぜよ」

校門で?不思議に思い教室の窓から見ようとして…
そこで先に帰ったはずの青髪ピアスの少年が慌ただしく戻ってきた。

「たいへんやでーーっ!!」

デルタフォースのジェネラリスト、青ピ(本名不明)が叫ぶ。
この慌てぶりからして、そんなに大きな出来事でもあったのか。

「どうしたんだにゃー」

「どうしたもこうしたもあらへんでっ!」

「とにかく落ち着くにゃー」

一拍置いて青ピは続ける。

「校門のところに…」

「「校門のところに?」」

「常盤台中学の女の子が…」

[常盤台中学]のくだりを聞いて、上条の不幸センサーが反応。
まさか冬休みのほとんどを振り回し、消費させたあの災害が来ているだと?
額に流れる汗を拭い、そして周囲の視線が集まっていることに気が付いた。
デルタフォース最後の一人。一級フラグ建築士、上条当麻へと。

「「かぁ~みぃ~やぁ~ん~」」

命の危険を感じて鞄をつかみ教室を退散。

「逃げたぞー!追えー!!」

背後から追討命令が聞こえる。
振り返るとまだ教室に残っていた暇人どもが追手になっていた。
彼らはこんなことに力を費やす前に自らの青春を謳歌すべきだと上条は思う。

『ぴんぽんぱんぽーん』

『被疑者上条当麻は校門のフラグ回収を目的に現在逃走中。至急応援求む。繰り返す』

どうやら放送室を乗っ取ったらしい。
この高校はいろんな意味で大丈夫なのだろうか?

『なお捕縛対象は被害者も加え二名。捕縛次第連行、二名の供述を記録し明日の上条裁判に備えることとする』

「(絶対に捕まるわけにはいかねえっ!)」

今まで開かれた数々の裁判に背筋が寒くなる。
あれは決して裁判では無い。裁判という名を冠した拷問だ。
しかも対象が二名である。捕まってしまえば今の彼女がなにを言うか想像も出来ない。

「くそっ!不幸だぁぁーーー!!」



「御坂っ!!」

美琴は校門に寄りかかり、びっくりした目でこちらを見ている。
背後で土煙りをあげながら向かってくる追討者たちの存在にも驚いているようだ。

「当麻!?どうしたの!?」

「事情は後だ!今は逃げるぞ!」

彼女の手を強引に掴み走る。

「ちょっと!?いきなりなんなのよっ!?」

「いいから!!」

美琴の手を引き懸命に走る上条。
戸惑いながらも赤い顔でテレテレしている美琴。

そんな二人を見て追手の士気が上がったのは言うまでもない。


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~いつもの公園~

追手を巻くために奔走して1時間。
二人はいつもの公園に来ていた。
走り回って喉が渇いたので自販機で飲み物を購入する。

美琴のために《椰子の実サイダー》を。
上条も同じものを買うが出てきたものは…《殺る気一発!リポナミンD》
Dの後ろに小さくeathと書いてあるが気のせいと信じたい。
具体的に何が誰をどうするのかを製作者に問い詰めたくなる、そんな商品だった。

「はあぁっ…不幸だ」

朝から続く不幸ラッシュにため息をついて今日何度言ったかわからない口癖が出る。
その言葉に美琴はわずかに反応を見せたが、先に事の次第を説明してもらうことにしたらしい。

「それで?なんだったの?」

「本気で言ってんのかよ…」

上条の高校は無名だ。それに比べ美琴の中学は学園都市で五指に入る名門。

「そんなお嬢様がウチの高校で誰かを待ってるのは変だろ」

「…でもそれがなんで当麻に繋がるの?」

ベンチに座る元凶に缶ジュースを渡し、隣に座って説明を続ける。

「夏休みにあっただろ?恋人ごっこが…」

「なるほど」

夏休みの最終日、上条と美琴は恋人ごっこをした。
それには事情があってお互いにそれを能動的に行ったわけではない。
美琴は海原光貴という青年からの誘いを無碍に断り切れず、たまたま通り掛かった上条に恋人役を演じてもらうために無茶な行動をした。
その光景を多くの人が目撃しており、そこには上条の高校に通う学生も含まれている。
そんなこともあり、上条は常盤台の女の子にフラグを立てたと認識されていた。

「それで美琴はどうしたんだよ」

「メールしたわよ。あと電話も」

美琴に目的を尋ねるが、連絡をしてくれたそうだ。
しかし携帯を探すも見つからない。そういえば持ってきたっけ?

「部屋に忘れちまった…」

「そんなことだろうと思ったわ」

「で?用件は?上条さんはこれから重大な使命があるんですが…」

「今日は鶏肉ブロック100グラム99円。卵も10個入り1パック128円ね、1人1個限定だけど。あと醤油もちょっと安いのよね。さしずめお昼は親子丼?」

「なぜそれを!」

それは近所一帯の安売りセールに思考を巡らせ、標的に選んだ商品だ。
しかも主食に考えていたメニューまで……なぜわかるのだろう?

「加えて、あっちのドラッグストアじゃ日替わりセールで台所用洗剤、ボックスティッシュがお買い得ね」

「そこまでは知らなかった!と上条は驚愕します」

「妹の真似しても気持ち悪いだけよ」

「結局、美琴せんせーはなにがしたいんでせうか?」

意図が掴めない。でも嫌な予感がする。

「お昼御飯作ってあげる」

「げ…」

「どうしたの?当麻」

「(まずい)」

部屋には獰猛な獣が棲んでいるのだ。連れて行くわけにはいかない。
ましていつかの地下街でのやり取りから想像するに、二人の遭遇が危険なのは明白である。

「男の一人暮らしじゃ大変でしょ?それを労ってあげるんだから感謝しなさい」

「いえ、あそこは男子寮でして…女の子を連れていくのは…」

「舞夏は義兄を訪ねているのに?」

「うぐっ」

「それとも……見られたくないものがあるの?とうま?」

とうま、と呼ばれ汗が噴き出る。
同じ響きでもこのニュアンスのときの美琴は非常に危険だ。
そのことは冬休みで思う存分味わっている。
手元に携帯電話が無いためインデックスを避難させることが出来ない。
あの腹ペコ目録は今も上条(昼ごはん)を待っているだろう。
ならばハングリンデックスが偶然、出かけている奇跡を信じるしかないのか。

「わかった。わかったから…」

「色々とガサ入れが必要なのかしら?当麻の部屋は」

「そのネタを引っ張るの止めてくれ。ほら買い物に行かないと」

この雰囲気は本当に精神衛生上よろしくない。
上条は話を逸らしてベンチから立ち上がり促す。

「そうね。でも…」

美琴も続いて立ちあがった、ゆらり、と。……ゆらり?

「その前にやること済まさないと」

「…はい?」

「罰ゲーム。《約束》破ったでしょ?」

その台詞に顔が青白くなるのがわかった。

「ちょっと待てっ!まだ…言って…な…い」

「言ったわよ。私の前で『不幸だ』って」

言ったかもしれない…

「校門前の『御坂』は許してあげる」

あんな状況じゃあね、と付け加えて上条は選択を迫られた。

「さて。どっちがいいの?」

なにやら美琴はポケットをまさぐりコインをジャラジャラ言わせている。

「う…ぁっ」

徐々に距離は詰められていく。
今まで繰り返されてきた罰ゲームという名の虐待のせいか、足が震えて動けない。

「とうまはコレがいいの?」

フルフル

「嫌なの?」

コクコク

「じゃあこっちかしら?」

下から覗き込むようにして見つめられた。
目が……逸らせない。
そのまま美琴の両腕が上条の首にまわされ、完全に退路が絶たれる。
そしてそれはいつか夢に見た光景。

「どっちも…っふむーーーっ!!」

「とう…んん…とう…ま…ぁ…」

苦し紛れに出た言葉が彼女の唇によって塞がれた。
それからたっぷり10分間、上条の唇は蹂躙されてしまう。


上条当麻と御坂美琴は付き合っているわけではない。
上条は犯罪者になってないし、彼から手を出したことは皆無だ。
変わったのは御坂美琴。初詣の一件から彼女の変化は著しい。
それ以前と比べると電撃を飛ばさなくなった代わりに、彼女は過剰なスキンシップを取ってくる。
初詣が終わった後も美琴からの呼び出しは続いた。
外せない予定が無い限り、デートやら何やらで上条は美琴に振り回される。
上条も嫌ではない。むしろ楽しいとさえ言える時間を過ごしていた。
心配していた何かに悩む素振りもなく、屈託のない笑顔を上条に向けてくれる。

―わからない―と思う。

そのスキンシップの意味が、彼女が向けてくる笑顔の意味が、解らないわけじゃない。
だが、彼女は“そう”なら“そう”と言葉にする性格だ。
実際にその言葉を聞いたことはない。

では上条は?
美琴は好感が持てる人物だ。
そして繰り返される彼女との時間に、自分が惹かれつつある事にも自覚がある。
けれど“その”感情を彼女へ向ける事に抵抗があるのは事実。
それは決して道徳や倫理から成るものではない。
一度だけ、自分から“そういう風に”触れてみようと考えたことがあった。

しかし

体が強張る。 ――サワルナ――と

心が警告する。 ――ヤメロ――と

そんなこともあって彼からその行為を取ることは無い。否、出来ない。
そして、今日も罰ゲームに甘えて上条当麻は堕落する。



「不公平だっ!」

「なにが?」

「《約束》がだっ!」

上条は不満を爆発させるように言った。
内容は別段難しいものではない。

御坂美琴を名前で呼ぶこと。  これはいい。
御坂美琴の前で「不幸だ」と言わないこと。  これもまだ我慢する。

以上の記述を破った場合、違反一回に付き――

超電磁砲10発または10分間上条当麻の人権は全て御坂美琴に移る。←これが明らかにおかしい。

「なにこの不平等条約!?陸奥を!小村を呼べーっ!」

「文句あるの?とうま?」

とうま、と呼ばれ抵抗できなくなる。
おかしい。どうしてこうなった。

「そもそも公衆の面前で乙女を泣かせたことに罪悪感が湧かないのかしら?」

それを出されると上条は何も言えない。

「ま。いつか教えてあげる」

「?」

「行きましょ。お昼のタイムセールに間に合わないわよ?」

________________________________________________________________________________

二人は買い物を終えて、上条の住むマンションの前まで辿り着く。
それぞれの関心は異なっているせいか、互いのテンションに落差が生じている。
美琴は何が珍しいのか、辺りを見回している。恋慕う男性の部屋を訪れるだから無理もないかもしれない。
要するに落ち着かない。挙動不審、興味津々。

「ここに住んでるんだ…」

「…」

「さっきから様子が変よ?」

「いえ…なんでも…ありません…ヨ?」

そして処刑場へ赴くかのような上条。
女の子が家で手料理を振舞ってくれることは嬉しいイベントであるはずなのに、嬉しくない。
インデックスが出かけているという奇跡に縋りたくても、彼は奇跡という単語には程遠い人間だ。
きっと磔にされて言葉と言う鋭利なモノで引き裂かれてしまうのか。
要するに落ち着けない。挙動不審、悔苦深々。

「それにこの量……明らかにおかしいわよね?」

「上条さんは育ち盛りなものでして…ハハハ…」

二人が提げているスーパーの袋の量は多い。
まるでこれから男性が4、5人集まって鍋を囲みそうな勢いだ。
もしそうなら上条は諸手を挙げて喜んだだろう。しかし悲しいかな現実は違う。

「これ以上の追及は勘弁してあげる」

「ありがとう!美琴たんっ!」

「たん言うなっ!それに部屋に着けばわかることでしょ?」

「…」

部屋の前まで辿り着き、鍵を取り出し差し込もうとするが上手く入らない。
上条がガタガタ震えているせいだ。

「(今日が上条さんの命日になるんでしょうか…)」

きらめく八重歯、ほとばしる雷光、荒れ果てる部屋が果てしなくカタストロフィー。
そこまで想像して、背後に佇む美琴の不信感が増大していることに気付き、覚悟を決める。

「ええい、ナントカを喰らわば皿まっぶふぉあっ!?」

鍵を開け、ドアを開こうとした瞬間――――上条はドアに衝突した。
不意の衝撃で尻もちをついてしまい、へたり込む。

「とうま!おそいかもっ!?もうわたしのおなかは……え?」

どうやらインデックスが中からドアを開けたせいらしい。
上条にさっさと昼食を作らせようとして……視界に入った異物を感知する。

「なんでっ!?なんで短髪がここにいるのっ!?」

「……当麻の様子が変なわけだわ」

「とうま、説明してほしいかもっ!」

予想通り?の展開に身を竦めてしまう憐れな上条さん。
きらめく八重歯、ほとばしる……………あらっ?

「とーォうまァァああああああああッ!!」

「痛い痛い痛い痛い痛いイタイですインデックスさぁーんーーーーーーーーーッ!!」

捕食される寸前に生じた違和感はインデックスよって霧散してしまった。

「わたしが苦しんでいるときにとうまはっ!とうまはぁぁああーーッ!!」

上条は勘違いをしている。
ナントカを喰らわば~、と言ったが彼は食べる側ではない。

「いつもほかの女の子といちゃいちゃしてぇぇえええーーーーッ!!」

彼は常に食べられる側なのだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


廊下で騒ぐのもアレなので部屋に入ってもらうことにした。
食材と調理器具を準備し調理に取り掛かろうとするも、私が作るんだから当麻は引っ込んでなさい、とのこと。
今は美琴が台所でテキパキ動いている。
常盤台のお嬢様に料理ができるのか不安だったが、彼女の淀みの無い動きから察するにそれはないらしい。
さすが常盤台。それとも美琴が凄いのか。
最初は縄張りを守るようにして侵入者(美琴)に敵意を向けていた番犬(インデックス)だったが、今は台所から運ばれる香りにおとなしくなっている。

「それで?なんで短髪はここにいるのかな?」

「コイツには世話になった事は前に言ったわよね?そのお礼よ」

調理しながら美琴はインデックスの質問に答えた。

「短髪に料理が出来るの?」

「判定は後にして頂戴」

「むむ。でもおいしそうな匂いがするんだよ」

「ありがと」

そんなやりとりを聞きながら上条は美琴を見やる。
天草式の女性、五和が料理をしてくれたときもそうだったが、女の子の料理風景は良いものだ。
エプロン姿で料理してくれる、女の子。普段の快活の様相からは想像したことがなかった。
これが“ギャップ萌”と言うヤツか?
“萌え”ではない……と思う。ただあるのは温かな気持ち。

「(なんか…良いよな…)」

五和の時と同じようになにかしようと思うが、どうしてか気が進まない。
美琴から目が離せない。ポーっとしてしまう。ずっと見ていたい―――そう、思う。
それは感謝の念か、それとも……

「…とうま?」

その声が彼を現実に戻す。

「どうしたの?」

銀髪シスターは、ちょっとへんかも、と怪訝な顔をしている。
なんでもねえよ、と、ごまかして上条は

願わくば、この時間が奇人変人どもに壊されませんように――と祈っていた。


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