とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part08

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第8話『壮大なるビンゴ大戦』


「御坂ー?どうしたんだ?」

 またまた再び場面を戻してとあるホテルの一室、2人の男女は相変わらずソファに座っていた。
 だが少女の様子がおかしい。
 美琴は不思議そうにこちらを眺めてくる上条の隣で俯き、ぷるぷると体を震わせていた。

 (だ、だだ、抱きしめてもらってたなんて……と、とんでもないことしてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!)

 恥ずかしさで顔が真っ赤なのと嬉しすぎてにやけが治まらないのでとてもじゃないが上条と顔を合わせられない。
 上条はそんな美琴を見ていろんな意味で心配していた。

「……お前大丈夫か?」
「大丈夫…だと思う………ていうかここで気絶したから一旦記憶途切れるんだけど…」
「ここってどこまで?」
「………」

 美琴は考えた、どう説明する?

(どこまでっていったら『アンタに抱きしめられたとこまでよ』って答えればいいんだけど………言えるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!)

 純情な美琴にはレベルが高過ぎる。
 じゃあどうするか、美琴が依然顔を伏せながら必死に考えていると上条が

「あ、もしかして俺に抱きしめられたとこまで?」
「ッッッ!!??!?」

 まさかの大正解、普段上条は別に勘がいいわけじゃないのにこの時はなぜか無駄に冴え渡っていた。

「……その反応からすると図星なんだな。」
「…………うっさいバカ……」

 美琴は力ない小さな声でそう言うしかできなかった。

「ま、あれは……不可抗力だ……」
「わかってるわよそれくらい……でもアンタものすごい勢いで飛びついて来たわよね。結構びっくりしたんだから。」
「ははっ……なんならもう1回抱きしめてやろうか?」
「え」

 美琴には今上条からありえない言葉が耳に入ってきた。それは普段の鈍感な上条が言うはずがない言葉。
 美琴は勢いよく顔を上げた。

「ちょ、アンタッ!い、い、い、今、今!!今な、なんてッッッ!!??!?」
「今?だから抱きしめてやろうかって言ったんだぞ?」
「なぁ……」

 ストレートに返され固まる美琴。
 だが上条は全く気にせずに右手をゆっくりと美琴の肩に手を回した。

「え、えっ!?何しようっていうの!?ウソ!アンタ冗談でしょ!?」
「上条さんは冗談もウソも言わないんですよー?それとも嫌なんですか?さっき寝てた時はあんなに抱きついてきたのに。」
「そ、それは……」

 反論できない美琴に上条はゆっくり接近する。
 だがゆっくりといっても所詮はソファでのこと。美琴と上条の距離は10秒も経たないうちに0に等しくなる。

「うぁ、あの、ちょ……」
「んー?どうした御坂?ほら……」

 上条の右手に力が入った。
 美琴にはわかる、このままこの右手で上条のほうへ引き寄せられればそれで抱きしめられたことになる。
 だが――――――

「~~~~~~~ッッッッッッッ!!!!!無理!!やっぱ無理!!!」
「うおっ!危ねっ!!いきなり何すんだよ御坂!」

 美琴は両手で思いっきり上条を突き飛ばした。
 突き飛ばされた上条は美琴から手が離れ、ソファから落ちそうになっていた。

「い、い、いきなり何すんだよじゃないでしょ!!私がアンタに対して何すんのよって言いたいわよ!!!」
「せっかく抱きしめてやろうと思ったのに……素直じゃねーなー。」
「な、な、な、何言って……」

 上条は美琴から離れてため息をつき、美琴は顔を真っ赤に染めソファから立ち上がり部屋をうろつき始める。
 明らかに今の上条はおかしい。

(な、何がどうなってんのよ!!やっぱりこれ夢じゃないの?あんなに女の子は倒れてたし……コイツの様子はおかしいし……でもこの感じはどう考えても夢じゃないわよね………あーもうわかんない!!何がどうなってんのか全然わかんないっ!!!)

 こんなかんじで頭を抱えながらいろいろ考え、悩み部屋中を歩き回っていた。
 そんな美琴に上条が声をかける。

「おーい、もうしないから戻ってこいよ。そんで続き思い出せって。」
「……思い出すってさっきも言ったけど私気絶したからしばらく記憶ないんだけど…」
「あ、そっか。よし上条さんにまかせなさい。御坂が起きたとこまで教えてあげよう。……だから戻ってこい。」
「…ほ、ほんとに何もしない?約束する?」
「ああ、約束する。何もしないから座れって。」
「じゃ、じゃあ……座ろっか…な……」

 美琴はまだ半分警戒しながらも、上条の言うことを信じて再びソファに座る。
 だが今日の上条はやはりいつもと違った。

「ッ!!ちょっとアンタね…私が座った途端に肩に手を回すな!抱きしめようとすんな!!この変態!スケベ!!女たらし!!!」
「いてっ!!殴るな!!痛いから!!上条さんが悪かったから殴るのも電撃も止めて!!お願いしますもうしませんから!!!」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 上条が美琴を抱きしめてから数分後、会場内の修復のためビンゴは一時中断していた。
 そりゃあの一国の軍隊と戦えるようなメンバーが暴れ回ったのだから修復も必要だ。
 上条も制服が破れたので舞台裏に用意してあった予備の制服に着替え、靴はどこかへいってしまったので見つかるまでスリッパを履くことにした。

 そして今、女子たちは『上条当麻に頬にキスしてもらえる権利』をゲットするため一刻も早くビンゴしたいという思いから殺気立っている。
 だからまたあんな戦争的なことが起きてはたまったもんじゃないのでカードの奪い合いは禁止となった。


 で、修復の時間は当然暇になるわけだが、そこは土御門が機転をきかせた。

土御門「えーと修復は20分ほどで終わるからそれまでこれ見ててほしいんだにゃー。」

 土御門は舞台裏の音響係に合図を送る。
 すると会場は暗くなりプレゼントタイムの際に使用された大きなスクリーンに何か文字が映し出された。
 それを土御門と同じく舞台にいる上条が読んでみる。

上条「何々……『上条当麻の生活』…………っておい!なんだこれ!!」

 素早く土御門に突っ込んだ。
 プレゼントタイムに続きまたしても上条は何も知らされていなかったのだ。
 土御門にこの映像がどういった内容なのか聞こうとしたところで映像が始まった。

 まずスクリーンに映されたのは上条の部屋、ナレーションと共に玄関から入ってリビング、バスルームやトイレなど部屋の隅々まで映された。
 どうやら上条がいない間に土御門が勝手に侵入して撮影したらしい。

上条「な………」

 上条は空いた口が塞がらなかった。

 一通り上条の部屋が映された後、場面は切り替わり普段学校で生活している上条が映し出された。
 そして普段の上条の生活に女子陣は大盛り上がり、先ほどまでの殺気がウソのように消え去っていた。

オルソラ「上条さんはあのような生活をしているのでございますね。」

フロリス「へー、学校ってのも何か面白そうね。」

五和「学校の人が羨ましい……」

 彼女たちは実に興味深そうだったが上条はプライバシー保護のために映像を止めようと右往左往した。
 しかし結局は無駄、映像が止まることはなかった。

 その後は不幸な場面、見知らぬ人に親切な場面、その親切によって新たなフラグを建てる場面などが次々に放映された。まさにプライバシーの侵害だ。
 だが映像が流されることは上条にとって良いこともあった。

婚后「御坂さんの言う通りの立派な殿方じゃありませんか。先ほどのような悪い印象は全くありませんわね。」

固法「ひょっとして誰かを殴るっていうのもこの映像みたいに誰かを助けるためだったのかもね。」

佐天「なるほど!その可能性高いですね!!」

 これは美琴の友人たちを例にしたが、このような声が会場内のいたるところから聞こえてくる。

 つまりどういうことかというと、この映像には上条がいろんな人に親切にしている姿が結構多く、同級生と楽しそうに雑談する様子なども映っていた。
 そのため『女性を殴る』というイメージとはかけ離れた様子だったためかなり誤解が解けたというわけだ。

 まあそんなかんじでみなが鑑賞していると、急に映像が途切れ会場内には再び電気がついた。

土御門「会場も直ったことだし映像はここまでぜよ。もしもっと見たいって場合はパーティ終了後にこの階のロビーで販売するからぜひ買ってくれだにゃー。」

上条「売るな!!」

 上条は叫んだ。だがたぶん絶対必ず売られることになるだろう。そして女の子達の中には買う子もいるに違いない。

 皆が映像に夢中になっている間にすっかり会場は元通り、それぞれが自分の席へと戻っていった。

土御門「それじゃビンゴ大会を再開したいと思うんだにゃー。ほら上やん早く。」

 ビンゴは無事再開、土御門に急かされ上条は再開してから1つめの玉を引き、番号をコールする。

上条「46番でーす……」

 上条のテンションは上がらない。そりゃあれだけ自分の私生活を暴露された後なのだから上がるはずがない。
 すると上条のテンションの代わりに1本の手が挙がった。

神裂「!!び、ビンゴ!ビンゴしました!!」

 ビンゴしたのは天草式十字清教の女教皇、神裂火織。2ビンゴをたった9回の番号コールでビンゴするとはさすがの強運だ。
 挙がった手は拳が握られガッツポーズをしているみたいになっている。
 まあビンゴも質問タイムと同じスイッチ制度なので手を挙げる必要はないのだが。

 神裂が手を挙げたことで五和を含む他の天草式十字清教の面々は『しまった……』っとうなだれている。
 特に五和の落ち込みっぷりはハンパない。

 そして土御門に前に出て来てくれと言われたので神裂は足早に舞台前にやって来た。

土御門「それではねーちん!景品を一つ選んでくれぃ!!」

神裂「……あ、その……」

土御門「どうしたんだにゃー?早く選ぶぜよ?」

 神裂は中々景品を選ばない、ものすごく迷っていた。
 何を選択するのか、会場内の女子達にも緊張が走る。
 そして1分ほど迷いに迷った後、ついに決断を下した。

神裂「じゃ、じゃあ……」

土御門「じゃあ?」

神裂「………そ、その、洗濯機の、洗剤を……」

 神裂には上条に人前でキスしてもらおうなんて度胸はなかった。

 景品をゲットしたにもかかわらずなんだか落ち込んだような様子を見せる神裂、それと正反対にガッツポーズなどして喜ぶ会場内の女子陣。
 上条にはその理由がわからず不思議そうに舞台上から眺めていた。

上条「コレどーいうこと?」

土御門「上やん、鈍感なのもいい加減にしとけよ。」

 そして……

シェリー「アンタもてっきり例の権利ねらいだと思ってたんだけど洗剤でよかったのか?」

神裂「うるさいですよ……こうなったらもう飲むしかないですね…」

 神裂はやけ酒にはしったとか。


  ◇


黒子「抱きしめてもらえる権利にキスしてもらえる権利とは……舞夏のお義兄様は以外とろくでもない男のようですわね。」

 白井黒子は紅茶を片手にため息をついた。
 最初のビンゴ大会には医務室にいたため不参加だったが気絶した美琴にぬいぐるみをプレゼントするために今回は参加している。
 だが黒子が座っている席にいるメンバーは佐天や初春ではない。
 そのメンバーとは

19090号「くぅ……まだ5つしかあいていません、とミサカは自分の運の悪さを呪います。」

13357号「このミサカは10つあいていますが全部ばらばらです、とミサカはビンゴが遠いことに嘆きます。」

番外「あんたら運悪いね~。ミサカなんかほら、2つもリーチがあるよん☆」

御坂妹「あなただけには絶対負けませんよ、とミサカは堂々と宣言します。」

10039号「25番こい!とミサカはあの方に向けて必死に祈ります。」

黒子「…………ここは天国ですわ。」

 『妹達(シスターズ)』だ。
 なぜ黒子がこのテーブルにいるのかというと、先ほど黒子はビンゴに参加するため舞台前の途中参加の人のためにカードを渡すテーブルへカードを取りに行った。
 その帰り道にお手洗いからこの席に戻ろうと歩いている13357号を偶然見かけ、美琴と勘違いしてここに移動してきたのだ。
 今ではすっかり場になじみ、美琴LOVEの黒子にとってここは憩いの場だった。

黒子(しかし…妹さんまで類人猿の毒牙にかかってしまわないようにわたくしが守らなければなりませんわね。そのためにもどうやって抹殺するか…)

 黒子は相変わらずだ。
 そしてまた番号がコールされた。

番外「あーダメだ!もうちょっとなんだけどなー。」

御坂妹「お、ありました、とミサカは喜びを露にします。」

13357号「ミサカはダメですね……白井さんはどうですか?とミサカは尋ねます。」

黒子「え?わ、わたくしですの?わたくしは……ん、ありましたわ。」

 どうやって上条を抹殺するかなどと物騒なことを考えていたため少し動揺してしまった。
 動揺を隠すために慌てて話題を変える。

黒子「それにしてもみさなん真剣ですわね、何かほしいものでもあるのですの?」

 黒子のその質問を聞き妹達は一斉に黒子のほうを向いた。
 そして声を合わせ

妹達「「「「あの方にキスしてもらう権利です、とミサカは少し頬を紅くしつつ質問に答えます。」

番外「あ、ミサカもね。まあ口はさすがに無理だけど頬ならいいかと思ってさ。」

 19090号の声は少し小さかったが何を言ったのかくらいわかる。
 そしてそれを聞いた黒子は以外にも笑顔だった。

黒子「へ~そうですの、全員上条さんにキスしてもらう権利とは……少し驚きましたわ。」

 とか上っ面では言っているが内心ヤバかった。

黒子(類人猿殺す!!!!!!お姉様だけでなく妹さん達にまで手を出すとは……殺す!!そしてお姉様と妹さん達を守るんですの!!!!!!!!!)

番外「??なんか悪寒が……」

御坂妹「み、ミサカもです、とミサカは謎の感覚に恐怖を覚えます。」

 そして舞台上では…

上条「!?」

土御門「上やん?どうかしたか?」

上条「よくわかんねえけどなんか身の危険を感じる……」


 ◇ ◇ ◇


 その後は特に目立った問題もなくビンゴは続けられた。

軍覇「はっはー!!特攻服ゲーット!!!やはり根性だ!!!」

 削板軍覇はちゃんと自力でビンゴして特攻服をゲットし、

浜面「お、俺のビンゴカード……」

麦野「浜面ごっくろ~う♪これで1年はシャケ弁に困らないわねっ!」

 浜面はビンゴしたカードを奪い取られ麦野が大量のシャケ弁をゲットしたり、

一方「ほらよォ、しゃーねェからもらってきてやったぜェ。」

打ち「!!ほんとにもらってきてくれるなんて……ミサカはミサカは嬉しさのあまりアナタに飛びついてみたりーっ!!!」

 一方通行がぬいぐるみをほしいと言ったりとまあ普通だ。

 だがまだ例の権利をほしがっている者、またその協力者は誰1人としてビンゴしていない。
 そのせいか空気がぴりぴりしているような気がする。いや、気がするのではく実際にしている。

 そして11回目のコールで、あの男がスイッチを押した。

???「これでいいんだろ?ちゃんと2列穴が開いたのだけど。」

 そう言ってカードを持って舞台前に現れたのはタバコを吸っている赤髪の大男。

土御門「どれどれ……はい!OKぜよ!それではお目当ての景品を言ってくれだにゃー!!」

???「そんなの決まっているだろ?僕がほしいのはあのタバコさ。」

 そうイギリス清教の不良神父、ステイル=マグヌスだ。
 どうやらこのコールでビンゴしたのはステイル1人だけらしい。

上条「やっぱり……ステイルはまあタバコだよな……」

土御門「はい、ステイルはこの『タバコ500カートン』をゲットだ「ちょっと待つのですよーっ!!!!!」にゃー……?」

 土御門の台詞を女性の大声が遮った。
 上条にはその声に聞き覚えがある。

上条「なあ土御門、今の声はもしかして……?」

土御門「ああ間違いない。」

小萌「な、なんであなたがタバコをゲットしちゃうんですかー!!」

上&土「「やっぱり……」」

 その声のする方向を見ると、学園都市の7不思議とも言われる子ども先生こと月詠小萌が立ち上がっていた。

小萌「上条ちゃん?その人にタバコをゲットする権利はないのです!」

上条「え?いやそんなこと言ってもビンゴのルールですから……」

小萌「そうじゃなくて、まだ未成年じゃないですか!!14歳なのですよ!!」

上&土「「あ……」」

 上条もすっかり忘れていた、ステイルはこう見えてまだ14歳、上条より年下で年齢的には美琴と同じ中学生なのだということを。
 会場内からはざわざわと驚きの声が聞こえてきた。
 魔術サイドの人間は別に驚いていないが科学サイドはハンパなく驚いている。

上条(そりゃどう見ても20歳こえてるやつを14歳って言われたらびっくりするわな。)

 だがそんなことを言われた程度で諦めるステイルではない。
 14歳という年齢をバラされたにもかかわらず新しいタバコを取り出し、火をつけ吸い始める。

ステイル「ふぅー……そんなこと言ってもね……ゲームのルールには従わなくてはならないわけだし…というかあなたがこのタバコがほしいだけじゃないんですか?」

小萌「う……ってそんなことはないのですよー!!」

上条「今『うっ』って一瞬つまったよな。」

土御門「ああ、注意がウソってことはないけどタバコがほしいってのもウソじゃないぜよ。」

 そんなわけで結局ステイルがタバコをゲット、小萌先生は全然納得していなかった。


 ◇ ◇ ◇


黄泉川「私はそこのお酒をもらいたいじゃん!」

海原「じゃあボクはそこのぬいぐるみをお願いします。」

アックア「そこに置いてある本を頂戴したいのである。」

ワシリーサ「それ!それだって!!そこのアニメキャラのコスチューム頂戴!え?なんでこれがほしいのかって?そんなの私の愛する部下に着せるために決まってるじゃないっ!」

闇咲「縄を頂戴したい。」

オリアナ「えーと……キスの権利、って言いたいとこだけど今回は空気をよんでそのいろいろときわどい服にするわ。」

ヴェント「とっととそこのピアスをよこしな。」

吹寄「……健康食品をお願い。……土御門、その顔は何?その『本当にそれでいいのか』っていうような顔止めてくれる?私は別に例の権利なんていらないわよ?」

絹旗「もちろん映画の無料権です!さあ早く、超下さい!!」

芳川「何かこう……日常的に楽できるものない?」

 こんなかんじで順調に進み、盛り上がりを増すビンゴ大会。
 参加者が次々とビンゴしていく中、ついに『上条当麻に頬にキスしてもらえる権利』狙いの人がビンゴした。

???「ビンゴしましたーっ!!!!!とミサカはあまりの嬉しさに大声をだします!!」

上条「このしゃべり方は……」

 このような珍しい話し方をするのは1人、いや9969人しかいない。まあ『しか』というのもおかしな話だが。
 ネックレスをした美琴そっくりな少女、御坂妹(10032号)が舞台前へと足を進める。
 同じテーブルにいた他の3人の妹達はものすごく悔しそうだ。

土御門「はい!またビンゴがでたぜよ!」

御坂妹「ふっふっふ……これでお姉様との差が埋ま「待ってください!!」る……」

 御坂妹の言葉を遮り舞台前に姿を現したのは

上条「ん?五和もビンゴしたのか。」

 御坂妹と同じく上条に想いを寄せる少女、五和。
 本当は五和ではなく建宮がビンゴしたのだが約束通りカードをもらったのだ。

 御坂妹は五和が例の権利狙いだと気づき、2人の間では火花がちっている。
 しかしそれを知らない上条は

上条「で、2人は何がほしいんだ?もしかしてかぶってる?」

 暢気なものである。
 するとさらに

番外「ミサカもビンゴしったよ~ん☆」

インデックス「私もなんだよ!」

姫神「うん、私も…」

フロリス「私もビンゴしたわ。」

アニェーゼ「同じくビンゴしやがりましたよ。」

結標「私もよ。」

レッサー「ビンゴしましたよー!!」

オルソラ「ええ、ビンゴしたのでございますよ。」

雲川「ビンゴしたのだけど。」

キャーリサ「私もビンゴしたし。」

 なぜかこのコールでビンゴした者が続出。
 しかもこのメンツ、例の権利狙いの者が大多数だ。
 偶然ではあるがまるで誰かが仕組んだようにも思える。

上条「…おお…一回のコールでこんなにビンゴするものなのか……で、みんなは何がほしいんだ?」

 するとビンゴした面々は黙り込んでお互い牽制しだした。
 ピリピリとした空気が場に流れている。
 そんな中1人にやにやとしていた番外個体が

番外「そんなの頬にキスしてもらう権利に決まってるんだけど☆」

その他女子「ッッッ!!??!?」

 そして番外個体は舞台真ん中に設置してる階段を上り舞台上に足を進める。
 この階段、キスの権利を獲得した人が舞台に上がるため、わざわざ設置したのだ。

 舞台上に上がってくる番外個体を見て上条は動揺する。

上条「……え~と…それはどういう意味でせうか?」

番外「どういう意味も意味なんて1つしかないと思うんだけど?ほら!他のビンゴしたメンバーは別の景品目当てらしいからさ!早くミサカに「ちょっと待つんだよ!!」……」

インデックス「わ、私も同じでキスしてもらう権利なんだよ!!」

五和「あ、わわわ私も!私もです!!」

 番外個体に遅れをとってはいけないとばかりにインデックスと五和が慌てて舞台上へと続く。
 さらに

レッサー「私も同じなんですよー!!」

雲川「ま、私もだけど。」

オルソラ「もちろん私もその権利がほしいのでございますよ。」

姫神「………私も…」

結標「同じくよ。」

御坂妹「当然じゃないですか、とミサカは舞台上へ足を進めます。」

フロリス「え、えっと……ああもう私もよ!!」

 インデックスと五和の後に7人も続いた。
 そしてもう一人、この人はというと……

キャーリサ「んー……じゃー私もキスしてもらう権利にするし。」

上条「………はぁ!?」

 まさかの展開、王女であるキャーリサも参戦を表明したのだ。
 彼女は続ける。

キャーリサ「『カーテナ・セカンド』の欠片は騎士団長がもー取り返したし、面白そうだから私も参戦するの。問題はないだろう?」

 正直大有りなのだが、こうなってしまっては言うことを素直に聞くキャーリサではない。
 上条も土御門も何も言えなかった。

 こうして11人が舞台に上がる中、

土御門「ん?そこのお嬢さんはどうするのかにゃー?」

アニェーゼ「え、えと……」

 アニェーゼだけは顔を赤くしたまま舞台前から動かず、土御門の問いかけに対してもはっきりと答えを出さない。
 神裂と同じように悩んでいるようだった。
 そして数十秒後

アニェーゼ「私は……その…お食事券でいいです…」

 アニェーゼ脱落、せっかく自力でビンゴしてここに来たのに神裂と同じでいざとなるとキスしてもらうことは恥ずかしすぎた。
 アニェーゼはお食事券を片手に自分の席へと戻って行き、それを見届けた上条は再び女の子達に視線を戻す。

上条「で……残ったみんなはマジでその……例の権利狙いなわけ?」

 舞台上の女子たちは皆うなずく。もう迷いなどないようだ。
 そんな女子たちに上条は戸惑い、驚愕の表情を見せる。。

上条(こ、これは一体……!?なんでみんな上条さんにキスをしてもらいたいんでせう…?)

 目の前の女の子達はみな真剣な表情、上条にはなぜこんな状況が生まれたのか全く理解できない。
 しかしこのようなハーレムの状況に会場からは冷やかしの声や応援の声も上がっていることに上条は気づいた。
 五和応援派の天草式十字淒教の声は特に大きい。

 そんなみんなの様子を見た上条は鈍感さを発揮した、いやしてしまった。

上条(ああ…みんなパーティで騒ぎたいからノリでキスしてって言ってるのか…)

 やはり上条は上条だ。


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