第三章
「冷静に考えれば……なんで御坂は」
原点に戻った。
御坂はあれでも義理堅い奴で理由ぐらいは言ってきそうなモノだ。
上条は病院のベッドで、一人考えていた。
よく思い出すと、別れを切り出された前日。
少し元気がなく、常盤台を転校して柵川中学に転入したいと言って相談を受けた。
理由は教えてくれなかったが、常盤台でイジメられているのかと心配した。
御坂はあれでも義理堅い奴で理由ぐらいは言ってきそうなモノだ。
上条は病院のベッドで、一人考えていた。
よく思い出すと、別れを切り出された前日。
少し元気がなく、常盤台を転校して柵川中学に転入したいと言って相談を受けた。
理由は教えてくれなかったが、常盤台でイジメられているのかと心配した。
「何故転校したいなんて……」
理由を知るのは白井黒子か。
話を聞きたいと言って、点滴を無理矢理外して2階から飛び降りた。
しかし病院着じゃ目立つので、上条は財布の残金を確認してリサイクルショップへ向かった。
話を聞きたいと言って、点滴を無理矢理外して2階から飛び降りた。
しかし病院着じゃ目立つので、上条は財布の残金を確認してリサイクルショップへ向かった。
*
「誰ですの」
黒子は電話先の者に確認をとったが、返事はない。
切ろうかとした時、若い女の声が電話先から聞こえてきた。
切ろうかとした時、若い女の声が電話先から聞こえてきた。
『白井黒子か。私はレイヴィニア=バードウェイ。一つだけ相談があった。
第三位……御坂美琴と上条当麻の話だ』
第三位……御坂美琴と上条当麻の話だ』
黒子は携帯電話を握りしめて次の言葉を待った。
『結論だけ言おう。状況は最悪だ。
量産能力者計画の種でしかなかった捨て駒の第三位がここに来て世界の重要人物にピックアップ。
世界をも左右する上条当麻の制御の鍵は第三位、御坂美琴だよ。
それこそ『メインプラン』とやらに入っている第一位とは比べ物にならないほどのな。
知ってるか、上条当麻は病院を抜けだしたぞ。
白井黒子。この世界を守れるのはお前だけだぞ。
一言だけで言う。『上条当麻と御坂美琴を会わせるな。世界が終わるぞ』」
量産能力者計画の種でしかなかった捨て駒の第三位がここに来て世界の重要人物にピックアップ。
世界をも左右する上条当麻の制御の鍵は第三位、御坂美琴だよ。
それこそ『メインプラン』とやらに入っている第一位とは比べ物にならないほどのな。
知ってるか、上条当麻は病院を抜けだしたぞ。
白井黒子。この世界を守れるのはお前だけだぞ。
一言だけで言う。『上条当麻と御坂美琴を会わせるな。世界が終わるぞ』」
*
同時刻、上条は鉄橋にて御坂美琴と対峙していた。
リサイクルショップで買った500円相当の古着を着集め、適当にズボンとパーカーを買ってそのまま着ていた。
対する御坂はというと、数十万もする制服を着こなしていた。
ここで対峙するのは半年ぶりだ。
リサイクルショップで買った500円相当の古着を着集め、適当にズボンとパーカーを買ってそのまま着ていた。
対する御坂はというと、数十万もする制服を着こなしていた。
ここで対峙するのは半年ぶりだ。
「御坂、なんで……」
「ごめんね、あの世でまた『愛し合おう』」
「ごめんね、あの世でまた『愛し合おう』」
その瞬間、音速を超える弾丸を上条を貫いた。
処理速度云々なんて問題じゃなかった。
反応できなかった。右手だったモノの肉片はコンクリートに散らばり、噴水のように血液が噴射している。
二発目、御坂はゲームセンターのコインではなく、適当に拾った鉄の塊。
そう、車という名の弾丸を指で弾く動作もなく音速の三倍で発射した。
コイン一枚でビルをも貫くその威力を車で再現し、そしてたった1人の無能力者に向けられ発射された。
しかし、車はペシャンコになって、そしてオカルトとも言える現象を起こして車は消えた。
上条の左手に書かれた妙な陣。
処理速度云々なんて問題じゃなかった。
反応できなかった。右手だったモノの肉片はコンクリートに散らばり、噴水のように血液が噴射している。
二発目、御坂はゲームセンターのコインではなく、適当に拾った鉄の塊。
そう、車という名の弾丸を指で弾く動作もなく音速の三倍で発射した。
コイン一枚でビルをも貫くその威力を車で再現し、そしてたった1人の無能力者に向けられ発射された。
しかし、車はペシャンコになって、そしてオカルトとも言える現象を起こして車は消えた。
上条の左手に書かれた妙な陣。
「これが、魔術だ」
当然、その報いは受ける。
血管や内蔵を破裂された上条は眼球を破壊して、右足がもげて、腎臓が潰れて。
そんな中でも彼は叫ぶこと無く、ニッコリと微笑んだまま、御坂に近付いて行く。
血管や内蔵を破裂された上条は眼球を破壊して、右足がもげて、腎臓が潰れて。
そんな中でも彼は叫ぶこと無く、ニッコリと微笑んだまま、御坂に近付いて行く。
「……クッ!」
御坂は電撃を浴びせた。ハズだった。
しかし再び魔法陣が光りだすと誘電力場の様に電撃が逸れて、上条の内臓が潰れていく。
これが魔術。
量子論で組み込まれた能力とは違う、才能の無いモノの為の異能。
しかし再び魔法陣が光りだすと誘電力場の様に電撃が逸れて、上条の内臓が潰れていく。
これが魔術。
量子論で組み込まれた能力とは違う、才能の無いモノの為の異能。
「これは『グランスカランの兵器』。耐最強対策の魔術。さっきのは『威力相殺陣』。威力を減らすための魔術」
御坂の目的には適っていた。
それはもうすぐ達成される。
何もしなくても電気を浴びせるだけで勝手に。
しかし目的を完遂できない。
これが『愛』であり『情』だ。
不覚にも彼女は思ってしまった。
願いがひとつ叶うなら、どうか彼の近くで、側で温もりを、和らぎを感じたい。
あの公園の景色の中で、二人で夢見たあの未来を思い浮かべて。
しかし、それはもう叶わない望み。
それはもうすぐ達成される。
何もしなくても電気を浴びせるだけで勝手に。
しかし目的を完遂できない。
これが『愛』であり『情』だ。
不覚にも彼女は思ってしまった。
願いがひとつ叶うなら、どうか彼の近くで、側で温もりを、和らぎを感じたい。
あの公園の景色の中で、二人で夢見たあの未来を思い浮かべて。
しかし、それはもう叶わない望み。
「……私ね。親を人質に取られてるの。実際にそうではなくていつでも殺せるぞって。
『上条当麻を殺せば、親を殺さない』なんて事言われて、最初は報復に行こうと思ってけどママが怪我をしたらしいの。
だから、本気なんだって。私はアンタを殺して親を守る。保身に走った私を憎んでくれもいい。哀れんでもいい。
悪口なら、あの世で幾らでも聞くから」
「御坂……」
『上条当麻を殺せば、親を殺さない』なんて事言われて、最初は報復に行こうと思ってけどママが怪我をしたらしいの。
だから、本気なんだって。私はアンタを殺して親を守る。保身に走った私を憎んでくれもいい。哀れんでもいい。
悪口なら、あの世で幾らでも聞くから」
「御坂……」
御坂はコインを指の上で弾いて、音速の三倍で射出した。
しかし、そのコインは上条に届くことは無かった。
無意識上で、コインを曲げて上条を生かした。
それが甘い証拠。殺すと宣言したはずなのに。殺せない。
しかし、そのコインは上条に届くことは無かった。
無意識上で、コインを曲げて上条を生かした。
それが甘い証拠。殺すと宣言したはずなのに。殺せない。
「御坂、俺はお前のこと愛してるからな。だから、俺に任せろ」
「……っ!」
「……っ!」
御坂はヘタリを座り込んだ。
妹達の時に助けてもらった。
でも、今回ばかりは泣き叫んで飛んできたヒーローを殺すヒロインとなった。
殺せなかった。
上条当麻は立ち上がる。そして座り込んだ御坂を見て言った。
妹達の時に助けてもらった。
でも、今回ばかりは泣き叫んで飛んできたヒーローを殺すヒロインとなった。
殺せなかった。
上条当麻は立ち上がる。そして座り込んだ御坂を見て言った。
「絶対、諦めない」
愛することを教えてくれた彼はもういない。
愛することを教えてくれた彼女はもういない。
この痛みは、忘れない。
この痛みは、忘れない。
俺と君、過ごした意味がいま、心に灯る。
私と君、過ごした意味がいま。心に灯る。
愛することを教えてくれた彼女はもういない。
この痛みは、忘れない。
この痛みは、忘れない。
俺と君、過ごした意味がいま、心に灯る。
私と君、過ごした意味がいま。心に灯る。
――次の季節を超えたその先に、春は見えるから
俺は歩き出すんだ。君と誓った『一生かけて守ってやるから』という言葉だけを抱いて……
私は歩き出すんだ。君と誓った『一生かけて愛して応援する』という言葉だけを抱いて……
私は歩き出すんだ。君と誓った『一生かけて愛して応援する』という言葉だけを抱いて……
「世界が動き出したか。さて、幻想殺しを失った上条当麻はどうなるか」
*
「はたまた、超電磁砲を手に入れた上条当麻はどうするか」
上条当麻は動き出した。
御坂美琴を守り通すという約束だけを胸に秘めて。
御坂美琴を守り通すという約束だけを胸に秘めて。