「まずいな…」
荒廃した学園都市の第7学区一角に追い込まれた上条が息絶え絶えに呟いた。
体には無数の傷があり、あちこちで出血している。
だがまだ生きている。
この状況下ではまさに奇跡と言える。
御坂達と別れてからの数か月間、まだ残っているであろう学生達を逃がすために戦い続けてたからだ。
体には無数の傷があり、あちこちで出血している。
だがまだ生きている。
この状況下ではまさに奇跡と言える。
御坂達と別れてからの数か月間、まだ残っているであろう学生達を逃がすために戦い続けてたからだ。
「そうか…あれからもう何か月も経っているのか……うっ…!」
(くそっ!骨を何本かやっちまったか?にしても一方通行のやつ無事かな…)
基本的に一方通行と行動を共にしていたのだが、一度包囲されて絶体絶命という時があった。
魔術やら超能力がひっきりなしに飛び交う中、無我夢中で包囲網を突破している内にはぐれてしまったのだ。
集まろうにも連絡手段がない。
魔術やら超能力がひっきりなしに飛び交う中、無我夢中で包囲網を突破している内にはぐれてしまったのだ。
集まろうにも連絡手段がない。
と、ふいに視界がぼやけた。
(まだ倒れるわけには…、あの約束まだ守れてないだろ!しっかりしろ俺…)
気力を振り絞ってなんとか自らを奮い立たせる。
(にしてもいったいいつまで続くんだこの戦い…早く終わらせなくちゃな)
同じ頃
第23学区の空港のロビー
第23学区の空港のロビー
「ぐわあああああああ」
断末魔の叫び声を上げ一人また一人倒れた。
最後まで残った研究者は目の前の光景が信じられなかった。
先ほどまでは絶対的優位に立っていたのに今は逆に追いつめられているからだ。
床には泡をふいて気絶している仲間があちらこちらに転がっている。
最後まで残った研究者は目の前の光景が信じられなかった。
先ほどまでは絶対的優位に立っていたのに今は逆に追いつめられているからだ。
床には泡をふいて気絶している仲間があちらこちらに転がっている。
(そんな馬鹿な!対策はしっかりしてきたはずだぞ!!なぜキャパシティーダウンが効かない!?)
「知りたいか?キャパシティーダウンってのは所詮音でしかない。なら話は簡単でよォ、その音の疎密波を反射しちまえば俺には届かないってわけだァ」
「だとしてもここまで早く解析されるものじゃ…」
「オマエ、誰を敵に回してんのか理解は追いついてんのかァ?」
「はっ…やめ、たすk」
「とりあえず死体決定だクソ野郎」
「だとしてもここまで早く解析されるものじゃ…」
「オマエ、誰を敵に回してんのか理解は追いついてんのかァ?」
「はっ…やめ、たすk」
「とりあえず死体決定だクソ野郎」
1分後、誰もいなくなったロビーには動かなくなった人間が一人増え、静けさが戻った。
同じ頃
第10学区の広場
第10学区の広場
「はあああああああああ!」
「七閃!!」
「七閃!!」
もう何人倒したことか。いくら倒しても、敵の数が減ることはない。むしろ増えているのではないか。
このままではジリ貧だと判断した神裂は、天草式に一度引くと伝えた。
このままではジリ貧だと判断した神裂は、天草式に一度引くと伝えた。
「キリがありません。ここは一旦引きましょう!」
「今のプリエステスの言葉を全員聞いてたのよな!1、2、3の合図で逃げるぞ!」
「「「「「「了解!!!」」」」」」
「行くぞ……1、2の3。今だ!」
「今のプリエステスの言葉を全員聞いてたのよな!1、2、3の合図で逃げるぞ!」
「「「「「「了解!!!」」」」」」
「行くぞ……1、2の3。今だ!」
突如彼らの周りをまばゆい光が包み込んだ。ようやく目が慣れてきたころには、人っ子一人もいなかった。
今までの場所から10km離れた場所にやってきた天草式はようやく一息つくことができた。
「プリエステス、どうしますか?」
「この状況からするとこれ以上戦うのは無理そうですね…」
「仲間が何人か怪我を負いましたからね…」
「この状況からするとこれ以上戦うのは無理そうですね…」
「仲間が何人か怪我を負いましたからね…」
元々天草式を含めたイギリス清教の援軍は、本来なら今いる人数の2倍はいたはずだった。それがこの1カ月の戦いで半分が怪我などでイギリスへ戻ったのだ。
一向に減らないどころか、ますます勢力を増している敵の前になす術はなく、こちらの負傷者が増えるばかりだった。
一向に減らないどころか、ますます勢力を増している敵の前になす術はなく、こちらの負傷者が増えるばかりだった。
「待ってください!そしたらあの人はどうするんですか!!」
「あの人を見捨てるなんてそんなことはできません!私一人でもあの人を助けに行きます!!」
「いい加減にしろ、五和!ちゃんと現実を見ろ!お前さん一人で何ができる!」
「だけど建宮さん、このままじゃあの人が、あの人が…」
「分かってる。いつも我々は上条当麻に助けられっぱなしだったからな。だから今回は我の番だ。」
「絶対上条当麻を助ける!そのためにも今は生き残ることを考えろ!」
「う、うっううううう」
「あの人を見捨てるなんてそんなことはできません!私一人でもあの人を助けに行きます!!」
「いい加減にしろ、五和!ちゃんと現実を見ろ!お前さん一人で何ができる!」
「だけど建宮さん、このままじゃあの人が、あの人が…」
「分かってる。いつも我々は上条当麻に助けられっぱなしだったからな。だから今回は我の番だ。」
「絶対上条当麻を助ける!そのためにも今は生き残ることを考えろ!」
「う、うっううううう」
片想いの少年を助けることさえできない己の未熟さが悔しく、涙を流す少女の嗚咽があたりに響いた。
学園都市ゲート付近
「噂には聞いてたがここまでとはな」
「あの男が守りたがっていた世界を壊させるわけにはいかない。俺様はまだあの男から何か学べるかもしれない」
「別に私は借りを返すだけだ。貸しをつくったままだと気持ち悪いからな。」
「どっちが多く倒せるか勝負しないか?」
「望むところである。良い酒用意しとけよ」
「その賭け、俺も混ぜてくれよ。家だとアイツが全然飲ませてくれなくてさ」
「何か言ったかこのばか野郎。また小屋で三角木馬を味わいたいのか」
「あの男が守りたがっていた世界を壊させるわけにはいかない。俺様はまだあの男から何か学べるかもしれない」
「別に私は借りを返すだけだ。貸しをつくったままだと気持ち悪いからな。」
「どっちが多く倒せるか勝負しないか?」
「望むところである。良い酒用意しとけよ」
「その賭け、俺も混ぜてくれよ。家だとアイツが全然飲ませてくれなくてさ」
「何か言ったかこのばか野郎。また小屋で三角木馬を味わいたいのか」
あらゆる点で異なる7人が集う。たった1人の少年のために。
「上条当麻はまだ見つからないのか!」
「はい、全力で探しているのですが…」
「言い訳はいい。何が何でも探し出せ!」
「お前、あの男を見つけたら、どうするつもりだ?」
「殺すに決まってるだr…誰だ!?」
「はい、全力で探しているのですが…」
「言い訳はいい。何が何でも探し出せ!」
「お前、あの男を見つけたら、どうするつもりだ?」
「殺すに決まってるだr…誰だ!?」
振り向くと、肩から3本目の腕を召喚させてるやつがいた。
「俺か?俺様は右方のフィアンマ」
「右方のフィアンマ…アイツか!!なぜ生きている?なぜここにいる?」
「決まってんだろ。あの男の力になりにきた。ここにいるやつら全員そうだぜ」
「な…?」
「左から前方のヴェント、後方のアックア、バードウェイ、オッレルス、シルビア、騎士団長」
「なかなか豪華なメンバーがそろったろ。国も思想も異なるやつらがあの男のために集結したんだ。」
「そんな男を殺させるわけにはいかない」
「右方のフィアンマ…アイツか!!なぜ生きている?なぜここにいる?」
「決まってんだろ。あの男の力になりにきた。ここにいるやつら全員そうだぜ」
「な…?」
「左から前方のヴェント、後方のアックア、バードウェイ、オッレルス、シルビア、騎士団長」
「なかなか豪華なメンバーがそろったろ。国も思想も異なるやつらがあの男のために集結したんだ。」
「そんな男を殺させるわけにはいかない」
学園都市外のある街
「御坂さん、帰りにカラオケ行かない?男子も来るよ!」
「えーっと…ごめん、今回はパス」
「そうなの?残念ー。御坂さん男子に結構人気あるんだよ?」
「転校してきて、まだ半年なのにもう告白された回数が3桁に突入したって噂もあるよね」
「なのに御坂さん、全部断っちゃって。ねえねえ誰か他に好きな人でもいるの?」
「うん、いるよ。今もあのなかで戦っているの。アイツが帰ってくるまで私何年でも、何十年でも待つって約束したの」
「御坂さん…その人帰ってくるといいね」
「うん…」
「えーっと…ごめん、今回はパス」
「そうなの?残念ー。御坂さん男子に結構人気あるんだよ?」
「転校してきて、まだ半年なのにもう告白された回数が3桁に突入したって噂もあるよね」
「なのに御坂さん、全部断っちゃって。ねえねえ誰か他に好きな人でもいるの?」
「うん、いるよ。今もあのなかで戦っているの。アイツが帰ってくるまで私何年でも、何十年でも待つって約束したの」
「御坂さん…その人帰ってくるといいね」
「うん…」
第13学区
「あァ?なんだアレ?」
「おーおーおー。久しぶりだな一方通行、ハワイでの一件ぶりか?」
「そう言うてめぇはバードウェイ。何しに来やがったァ」
「別にお前らの敵じゃない。少なくとも今回はな…」
「あの少年を助けるために来たのである」
「?あァヒーローのことか」
「状況はどうなんだ?」
「最悪だぜェ。いくら倒しても減らない。ジリ貧だなァ。お前らが来たところで戦力になるのか?」
「言っとくがこいつら私以上の化け物揃いだぞ。お前も瞬殺されるぞ」
「チッ、絶対ヒーローを助け出せ」
「もちろん、そのために来たのだからな」
「おーおーおー。久しぶりだな一方通行、ハワイでの一件ぶりか?」
「そう言うてめぇはバードウェイ。何しに来やがったァ」
「別にお前らの敵じゃない。少なくとも今回はな…」
「あの少年を助けるために来たのである」
「?あァヒーローのことか」
「状況はどうなんだ?」
「最悪だぜェ。いくら倒しても減らない。ジリ貧だなァ。お前らが来たところで戦力になるのか?」
「言っとくがこいつら私以上の化け物揃いだぞ。お前も瞬殺されるぞ」
「チッ、絶対ヒーローを助け出せ」
「もちろん、そのために来たのだからな」
ザッ
「そこにいるのは誰ですか!?」
「!!お前ら天草式ではないか」
「騎士団長!?後方のアックア、オッレルス…」
「何なんですかこのメンバーは…」
「お前らと同じだよ。上条当麻はそっちにいないのか?」
「捜索はしているのですが、未だに…」
「んじゃあ、敵さんを倒しつつ、アイツを探すとしますか。」
「!!お前ら天草式ではないか」
「騎士団長!?後方のアックア、オッレルス…」
「何なんですかこのメンバーは…」
「お前らと同じだよ。上条当麻はそっちにいないのか?」
「捜索はしているのですが、未だに…」
「んじゃあ、敵さんを倒しつつ、アイツを探すとしますか。」
「おい!!ここにいるぞ!!」
「聖人とかいるぞ!こいつらを倒せば報酬たんまりもらえるぞ!」
「見つかりましたね…ここは私が!」
「私が行くよ。そのほうが簡単で早いだろ」
「なんだ、このくそ女!気持ちわりい装飾品身に付けやがって」
「まずはこの女からぶっ殺せ!」
「そう思った時点でお前の負けだよ」
「なにほざいて…んd」
「聖人とかいるぞ!こいつらを倒せば報酬たんまりもらえるぞ!」
「見つかりましたね…ここは私が!」
「私が行くよ。そのほうが簡単で早いだろ」
「なんだ、このくそ女!気持ちわりい装飾品身に付けやがって」
「まずはこの女からぶっ殺せ!」
「そう思った時点でお前の負けだよ」
「なにほざいて…んd」
男は倒れ、昏睡状態に陥った。
「はい終了。とっととこんなつまらない芝居幕引くぞ」
第7学区
上条は今走っている。敵の魔の手から逃れるために。
止まればそこで終わり。
先ほどからカラフルな閃光やらが飛んでくる。
止まればそこで終わり。
先ほどからカラフルな閃光やらが飛んでくる。
(そういや、昔こんなことあったな。追ってくるのは美琴だったけど)
(こんなところで死んじまったら、俺を追いかけまわしてた美琴に申し訳ないだろ!)
(こんなところで死んじまったら、俺を追いかけまわしてた美琴に申し訳ないだろ!)
上条は向きを変えて、敵の方へ走って行った。
「お前らの攻撃なんかアイツに比べれば大したことないんだよおお!」
飛んでくる閃光を効率よく打ち消し、上条は敵を殴り倒す。
ふと辺りを見渡せば、美琴に本気の電撃を受けたあの鉄橋まで来ていた。
(この鉄橋にはいろいろ思い出があるんだよな…会いたいな美琴)
感傷に浸っていたら、肩に激痛が走った。
「だーから、言ったのに。こいつにはこういう銃が一番効果的なんだって」
「上条当麻、お前はもう逃げられない…ここでおとなしく死んどけ」
「上条当麻、お前はもう逃げられない…ここでおとなしく死んどけ」
どこから現れたのか、銃を手にしている10人の傭兵が上条の周りを取り囲んでいる。
(万事休すか、俺はここで死ぬのか…)
学園都市外 とある街
喫茶店
喫茶店
「はっ!アイツ今!」
「どうなさいましたの、お姉さま?」
「アイツが今危ない!なんか感じたの!」
「気のせいではないんですか、御坂さん?」
「ううん、間違いない。アイツ今死にかけてる…」
「どうなさいましたの、お姉さま?」
「アイツが今危ない!なんか感じたの!」
「気のせいではないんですか、御坂さん?」
「ううん、間違いない。アイツ今死にかけてる…」
prrrr
「はい、御坂です」
『あっ、短髪?今なんかとうまが危ないような気がして…』
「アンタも感じた!?」
『うん、占いをしてたら、急に皿が全部割れたんだよ』
「…」
『ねえ短髪、何かできないかなとうまのために』
「私たちがあそこに行ったってアイツの足手まといになるだけ…私たちにできるのはアイツが…当麻が無事に帰ってくることを祈るだけなの」
『分かったんだよ。私はシスターなんだからとうまの無事を祈るんだよ』
『あっ、短髪?今なんかとうまが危ないような気がして…』
「アンタも感じた!?」
『うん、占いをしてたら、急に皿が全部割れたんだよ』
「…」
『ねえ短髪、何かできないかなとうまのために』
「私たちがあそこに行ったってアイツの足手まといになるだけ…私たちにできるのはアイツが…当麻が無事に帰ってくることを祈るだけなの」
『分かったんだよ。私はシスターなんだからとうまの無事を祈るんだよ』
会話が終わり、美琴は電話を切った。
(当麻、お願いだから無事に帰ってきて…)
黒子、佐天、初春はただその姿を眺めることしかできなかった。