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とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫
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とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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とある最高の五月二日【バースデー】 前編




「5月2日は何の日?」と聞かれてたら、あなたは何と答えるだろうか。
大抵の人は、「ゴールデンウィークの前の日」と答えるだろう。
何しろその日は、特にこれといった行事やイベントのない、いわゆる『平日』なのだから。

故に『何とか』進級し、晴れて高校2年生となった上条当麻も、
目の前の中学2年生、佐天涙子から出された同じ問いに、頭を捻っていた。

「あーっと確か…交通(こう=5 つう=2)広告の日だったっけか?」
「……あってるけど、違います」
「じゃあ……レオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなった日?」
「それもあってますけど、違います!」
「あっ! 分かった! ホグワーツ防衛隊の最後の戦いが―――」
「だから違いますってばっ!! いや、それも勿論そうなんですけど!
 もっと大切な日があるじゃないですか!!!」
「そう言われましてもですね……」

さっきからこの調子だ。あっているけど違うとは一体何ぞやである。
上条も観念して、大人しく白旗を上げる。
この手のクイズは、何の取っ掛かりも無ければ永遠に当たる事はないのだ。

「降参降参。で、結局何の日な訳でせうか?」

あっさりと降参する上条に、佐天は頭に怒りマークを出しながら答える。

「もう!! 御坂さんの誕生日ですよ! 何で思い出せないんですかっ!」
「えっ!? あっ、そうなのか? いや、思い出せないも何も、そもそも知らなかったんですが……」
「はい!? えっ…じゃあ、御坂さんから何も聞いてないんですか!?」
「ああ。美琴とはそういう話した事なかったし」

佐天はがっくりと肩を落とした。
「何やっとんじゃ御坂さん【あのひと】は!」、と。

「ま、まぁ知らなかったんなら仕方ないですね。けど、たった今上条さんは知っちゃった訳なんですから、
 何かプレゼント的な物を買った方がいいんじゃないですか?」
「まぁ…そりゃそうだな。美琴にはかなり世話になったし……」

そう。上条は美琴に大きな『借り』があるのだ。
先程、上条は『何とか』進級したと説明したが、これは美琴の協力があってこそだったのだ。
唯でさえ上条の成績は下から数えた方が早い。にも関わらず、無断欠席で出席日数も足りない。
必然的に、補習に費やす時間も足りなかったのである。
だが担任の小萌先生は、それでも生徒を見捨てるようなマネはしない。
愛する教え子を、見す見す留年などさせたくはなかったのだ。
そこで考えた上条への救済措置【あいのムチ】が、ありえない程の量の宿題だった。
春休みが終わるまでに完了させれば、ギリギリ進級できると小萌先生に言われたのだが、
正直、終わらせられる未来【ビジョン】が全く見えない状態だった。
そこで上条は、「宿題を手伝ってくれ」と美琴に泣きついた【ヘルプした】訳だ。
相手が超名門中学のお嬢様と言えど、年下に勉強を教わるのは我ながらどうかとも思ったらしいが、
プライド<<<<<越えられない壁<<<<<進級なのだから仕方ない。
そもそも留年なんかしたら、プライドもクソもないだろう。

とまぁ、そういった経緯があった訳で、
上条自身も「今度ちゃんとお礼しなくちゃな」と思っていた所だったりする。
そんな矢先の誕生日【ろうほう】だ。渡りに船とはこの事である。

「じゃあプレゼント買いに行くから、佐天もついてきてくれないか?」
「へっ? あたしもですか?」
「一応、女子の意見も聞きたいし。ほら変な物渡して、微妙な空気になったら嫌だろ?」
「う~ん……上条さんからのプレゼントだったら、何を渡されても喜ぶと思いますけどね……
 まっ、いいか。あたしもお店とか見て回るの好きですし」
「そういや、佐天はもうプレゼント買ったのか?」
「あっ、はい。あたしはもう―――」

そんな会話をしながら、上条と佐天は一緒に駅へと歩き出す。
そしてそんな二人の姿を、偶然見てしまった人物が一人。

「……あ…あの馬鹿…と……佐天…さん…? えっえっ…? な、な、何…で…?」

面倒な事が起こりそうである。



ここは第13学区にある大型ファンシーショップ。
さすが幼稚園や小学校の多い学区だけあって、お子様向けのグッズは種類が豊富だ。
そんな場所に、場違いな大人が三名入店している。
上条と佐天、それとその二名の様子が気になり、こっそり後を追ってきた謎の人物(仮)だ。
上条と佐天の二人は、美琴の趣味に合わせてこの店を選んだ訳だが、
正直、かなり恥ずかしい思いをしていた。

「いやーまぁ、何つーか……俺今、すっげぇ帰りたい。それも全力で」
「まままま! お気持ちは分かりますが、ここは御坂さんの為なんですから。
 プレゼントを買うまでは【もうちょっとだけ】頑張りましょうよ」

そんな二人の様子とは逆に、謎の人物(笑)は目をキラッキラさせていた。
この者にとって、ここは天国に一番近い場所らしい。
思わず、じっくりと店の中を見て周りたくなるような衝動に駆られてくる。
が、すぐにハッと思い直し、頭をブンブンと振る。
今はそれどころじゃないのだから、と。あの馬鹿が佐天さんに手を出さないか見張らないと、と。
べ、べつに気になる訳じゃないんだからねっ!? も、もし…もしもよ!?
二人がつ…つつつ、付き合ってたとしても! わ、わ、私には全然関係ないんだからっ!!!
あ、ああ、あくまでも念の為よ念の為!!!、と。
そんな事を思いながら、謎の人物(美)は二人の監視【ストーキング】を続行する。



上条と佐天が店の中をウロウロと歩いていると、あるコーナーが目に止まり、その場で足も止める。
店の中心部にでかでかと設置【オススメ】してあるそのコーナーは、正に緑一色であった。

「ラブリーミトン、ゲコ太コーナー……」

看板に書かれたその文字を、ボソリと読み上げる上条。

「やっぱ美琴ならコレかねぇ……」

と言いながら上条は物色を始めるが、すかさず佐天が口を挟む。

「いや、それは地雷だと思いますよ。
 相手がコレクションしてる物を選ぶと、すでに相手が持っているって可能性がありますから」
「でも逆に言えば、美琴が持ってないヤツっ買ってったら、100パー喜ばれるって事だろ?」
「それはまぁ…そうですけど」

そう結論づけ、上条は再び物色する。すると、ある物が目に入る。

「ヘアピン…?」

そう、ゲコ太のヘアピンだ。上条はそれを手にとって、佐天に確認をとってみた。

「なぁ、美琴っていつもヘアピンしてっけど、コレはあったっけ?」
「あっ、いえ! それは見た事ないですね」
「んじゃこれで決定な」

意外なほどにアッサリと決まった。

美琴は箱を開けずに棚に飾っておくタイプのコレクターではない。
携帯電話や財布を見れば分かるように、好きな物はガンガン使っていくタイプのコレクターだ。
(とは言っても、絆創膏のような消耗品はさすがにもったいなくて使うのを躊躇ってしまうらしいが)
そんな美琴がこのヘアピンをつけていないという事は、やはり持っていないという事だろう。

上条は早くこの店から出たいからなのか、即断即決でそれをレジへと持って行く。
急いでいた為値段は見ていなかった(「ヘアピンなんてみんな安いだろ」と高を括っていたせいもあり)
ので、レジのお姉さんの「11,800円になります」の一言に、目ん玉が飛び出す程驚いていた。
それでも普段美琴がつけているヘアピンに比べれば、8,200円も安いのだが。



ずっと後ろからつけていた人物は、今までの二人の様子を見て、一つの結論に至った。
二人一緒にお出かけして、二人で仲良く買い物をして、二人で楽しそうにおしゃべりして……
認めたくなくとも、これはもう『アレ』しかない。

(これって…やっぱり…どう…考えても………デ…デー…ト……だよ…ね……)

身体中から力が抜け落ちる。その者はその場で、ただただ呆然と立ち尽くしていた。



そんな事とはつゆ知らず、二人は暢気に会話をしている。

「絶対高いだろ! ヘアピンだぞヘアピン! しかも子供用の!」
「まぁまぁ。店員さんに聞いたら、コレこの店限定だったみたいですし。御坂さんも喜びますよ」
「でもなぁ……ん?」

するとどこからか、「ぐすっ……ひぐっ……えっぐ……」と、泣き声が聞こえてきた。
耳を澄ませ、泣き声のする方に歩いていく。
迷子の女の子でもいるのかな?、と思っていたのだが、
二人はそこで意外すぎる人物を見つけたのだった。

「み、美琴!!?」「み、御坂さん!!?」

何故かそこには、美琴がいた。しかも何故か泣いている。

「あえっ…? ご、ごれ…は……ひぐっ……違゛う…の………お、おめ、おめ゛でどうの涙…だがら゛……
 アンダ…と……佐天゛ざん…が……ぐすっ……付゛ぎ合って…る…なら゛……友゛達゛ど…じで……
 えぐっ……二゛人゛を゛……祝゛福゛…じな゛ぐぢゃ…い゛げ……な゛い゛……がら゛……だがら゛……」

あまりの唐突な出来事に、二人の頭の上で疑問符がグルグルと回る。
まず、何故美琴がここにいるのか。次に、何故泣いているのか。
そして最後に、この子は一体何を訳の分からん事を言っているのか。

「え…えっと、御坂さん?
 一応言っときますけど、あたしと上条さんは別に付き合っている訳じゃありませんよ?」
「だがら゛…わ゛だじも゛……………ふぁえ?」

佐天の一言に、美琴は素っ頓狂な返事をする。

「で…でもだって……さっき二人で…買い物…とか……」
「いやだから、買い物に付き合ってもらってただけだっつの。
 ……あ、『付き合ってる』って、そういう意味の『付き合ってる』だったのか?」
「いや、話の流れ的に違うと思いますけど」
「えっ!!? じゃじゃ、じゃあ本当に二人は付き合ってないの!!?」
「「だから、ない(です)って」」

微妙な間が空く。何とも気まずい。

「こ、こほん! だだ、だったら最初からそう言いなさいよね!
 アンタはいっつも紛らわしいんだから!!」
「『言いなさいよね』って! そもそも俺は、お前がここにいるなんて初めて知―――
 っと、そうだよ。何で美琴がここにいるんだ?」
「べ、べべべ別に何でだっていいでしょ!!? た、たまたまよ! たまたま!!」

美琴のその態度を見て、佐天はピコーンと閃く。

「あ~! なっるほど~!
 つまり御坂さんは、あたしと上条さんの事が気になってついてきもがっ!!?」

美琴は慌てて佐天の口を塞いだ。

「? 何か言いかけなかったか?」
「な、ななな何でもないわよね~、佐天さん!?」
「んがんぐっ!」

キョトン顔する上条の気をそらせる為、美琴は話題を変える。

「そ、そういえばアンタが持ってるその袋! な、何が入ってる訳!?」
「ああ、これか」

上条の右手には、可愛くラッピングされた小袋がある。
上条は一瞬だけ悩み、まぁいいかとそれを美琴に差し出した。

「これ、お前のだよ。今度誕生日なんだろ? そのプレゼントって事で」

それはもう無造作だった。サプライズの欠片もなく、しかもまだ誕生日ですらないのにだ。
佐天も思いっきりそうツッコんだ。口は塞がれているから心の中で。
しかし、そんな渡し方にも関わらず、美琴は顔を真っ赤にして、

「え…あ、その……あり…がと………」

と嬉しさ前回で受け取る。もうこの人は、上条が相手ならば何をされてもいいんじゃなかろうか。
佐天も思いっきりそうツッコんだ。口は塞がれているから心の中で。

「あ、あの……開けても…いい…?」
「ああ、いいよ」

美琴はその小袋を、優しく開けていく。(ちなみにこの時両手を使った為、ようやく佐天は解放された)
おそらく、袋もリボンも取っておくつもりなのだろう。
そして中からゲコ太のヘアピンを取り出すと、

「か、かか、可っ愛いいいぃぃぃぃぃ!!!」

テンションがMAXになった。
「上条からのプレゼント」と「自分の持っていないゲコ太グッズ」というダブルの感激で、
何か変なスイッチが押されたらしい。



ともあれ、これだけ喜んでもらえたなら上条としても万々歳だ。
だが、この時上条は、ふとこうも思っていた。

(…あれだけ宿題を手伝ってくれた【せわになった】のに、
 プレゼントを渡すだけで本当にいいのかな……)

そう。冒頭で説明したように、上条が進級できたのは美琴の力が大きい。
物を渡して、「はい、これが感謝の気持ちね」で終わるのは、さすがに如何なものだろうか。
上条は少し考え、考え、そして考え、ある事を閃いた。
しかしそれは、美琴と佐天を固まらせるには、十分過ぎる程の破壊力を持っていたのだった。

「…なぁ、美琴。実はもう一つプレゼントがあるんだ」
「えっ!? ナニナニ!?」
「…え!!?」

一番驚いたのは佐天だった。何しろ彼女は、上条と一緒に買い物をしていたのだ。
しかし、あのヘアピン以外に買った物は無かったはずだ。それは間違いない。
不思議に思う佐天だが、次の瞬間に上条の口から飛び出してきたのは、更なる驚愕の言葉だった。

「 ぶ っ ち ゃ け 俺 自 身 が プ レ ゼ ン ト な ん だ け ど な 」
「「……………?」」

意味が分からず、ただただ目をパチクリとさせる美琴と佐天。

「だから、俺がプレゼントだよ。つまりアレだ。
 いつかの罰ゲームみたいに、好きな時に好きに俺を使えるって事。
 あー…分かりやすく言うと、体を売るっつー感じか?
 とにかく、何でも言う事を聞くって事だよ。……ただし、金のかからない事限定だけど………」

説明すればする程、とんでもない事を口走る上条。
それはつまりどういう意味なのか、自分でも分かっているのだろうか。
美琴も脳が追いついていないらしく、ブツブツと上条の言葉を反復している。
さすがの佐天も赤面したまま固まっていたが、美琴よりも先に硬直が解け、
このチャンスをモノにするべく画策する。

「じゃ、じゃあ御坂さんの誕生日当日に、そのプレゼントを使いましょうよ!!!」
「えでもそのひはみんなでわたしのたんじょびぱあてぃいしてくれるんじゃなかたけ?」

美琴の脳はまだ処理しきれていないのか、変な口調で受け答えする。

「いやいや! その日はあたし急用ができる予定なんで!」
「あそなんだでもほかのみんなは?」
「初春も白井さんも春上さんも枝先さんも固法先輩も婚后さんも湾内さんも泡浮さんもその日は全員
 急用ができるはずですから、大丈夫です!」
「あそなんだきゅうようじゃしかたないわよね」
「はい! 仕方ないです! って訳でして、上条さん、その日は頼みますよ!!」
「ああ、うん。俺は全然構わないよ。『好きな時に好きに俺を』って約束だしな」
「ありがとじゃたんじょびはよろしくね」
「こちらこそ、よろしくな。美琴」

こうして、美琴本人は夢現なまま、誕生日に上条とデートする事が決まってしまった。

この日の夜、冷静になって今日の出来事を思い出した美琴はベッドの上で転げ回り、
白井もお姉様から溢れ出すピンク色のオーラに当てられ、美琴とは違った意味で転げ回った。
勿論その後は、騒いだ二人【みこととしらい】に
寮監からのキツいおしおきが待っていた事は言うまでもない。



そして、運命の誕生日【デート】が始まる-――








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