とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part09

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二学期最初の日こぼれ話



美琴「ほへぇ。なんだかんだ言って、とうとう原作6巻まで来ちゃったわね」
上条「まあな。途中からスゲエ危なくなって、最近は作者が二人っぽくなっちゃってるけどな」
??「私的には結構フォローしてもらえるから今の合作形式の方が嬉しいかも」
上条「ってオイ! 紹介前に話に入ってくるなよインデックス!?」
禁書「言ってる意味が分かんないだよとうま。私は最初からここにいるように言われたもん」
美琴「はぁ……アンタ(上条)、ちゃんと台本読んどきなさいよ。
   このちっこいのは一回ゲストで呼ばれてんだから今さら『ゲスト扱い』する意味ないじゃない。
   前回の佐天さんも紹介前に入ってたでしょうが」
上条「え? 御坂も知ってたの? 知らなかったの俺だけ?」
美琴「と言うか、今回のゲスト紹介のためには、最初からこの子に居てもらった方が都合がいいのよ。
   だって、一番の友達って話だし。てことで、ゲスト呼び込みよろしく」
禁書「分かったんだよ。じゃあ、自己紹介も兼ねて入ってきて」
??「はーい」
上条「ん? 何、その緊張感のない間延びした挨拶。声は確かにあいつなんだけど……あれ?」
??「いつもニコニコ、あなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラト、もとい、風斬氷華です☆」
上条「ちょっと待てええええええええええええええええええええ!!」
風斬「あの……何か……?」
上条「え? ああ……いや、一瞬、何かいつもの風斬じゃなかった気がしてな……
   けど、その控え目でちょっとおどおどしたところはいつもの風斬……
   って、何その黒を基調にした市松模様のエプロンドレス!?」
美琴「画像でお見せできないのが残念ね」
禁書「でも結構似合ってるかも」
風斬「そ、そうかな……? 少し恥ずかしいんだけど……」
上条「いや、突っ込もうよ二人とも!? ここは突っ込みどころでしょ!? 中の人ネタかよって!!」
美琴「前回、『世界よ、これが日本のクトゥルーだ』とか言って伏線張ってましたが何か?」
上条「うぉい! そんなのありかよ!?」
風斬「という訳で、よろしくお願いします。御坂美琴さん」
美琴「あっ! ど、どうもご丁寧に…こちらこそよろしくお願いします。
   にしても……(胸チラッ)まさに『ちっちゃくないよ!』…よね……」
禁書「ふふん! そんな事を気にしてるから、短髪はいつまで経っても短髪なんだよ!
美琴「アンタだって、スペックは私と大して変わんないでしょうがっ!!!」
禁書「何だとー!? うんこクソババァ!」
美琴「振り返って苦しむのなら…、明日笑うためにどうしますか? 教えてくださいっ!」
上条「なんだなんだ!? 今回は中の人【メタ】ネタ祭りなのか!?
   このままだと俺も、浜面と一緒に漫画家を目指すハメに!?」
風斬「えっと…こんな感じで始まりまーす」



 ――――今の彼女は体中を細いロープで雁字搦めに縛られていた――――
「うわっ、すっかり忘れてた! お前ずっとそのままだったのか!?」
「とうま! 人を置き去りにしておいて最初に出てくる台詞がそれなの!?」


美琴「やっぱりアンタ束縛放置プレイフェチなんじゃない」
上条「待て待て待て待て待て待て待て。その人物評価を全力で否定するのは当然として、
   それよりも確かに二回前にそんなこと言ってたけど、アレも伏線だったの!?」
禁書「うわー……どうりでいつもいつもいつもいつもいつも私を置いてけぼりにするとは思ってたけど、
   そういうことだったんだ……」
上条「か、風斬! 助けてくれ!!」
風斬「ええっと……ぷれいとかふぇちとかってなんですか……?」
美琴「ん? ああ、それはね」
禁書「こういうことなんだよ」
風斬「ふんふん……あー、えっと……大丈夫、そんな上条さんを私は応援してます」
上条「それ風斬の決め台詞じゃないから!? しかもそんな引いた目の哀れんだ笑いで見ないで下さいお願いだから!!」


「とうま。今なら私は怒らないから、素直にロープを解いてごらん?」
「……ホントに? ホントに怒らない?」
 ――――次の瞬間、拘束から解放されたインデックスは迷わず上条へ襲いかかる。
 ――――原始人が巨大な肉にかぶりつくように――――


上条「嘘、よくない! 嘘、つく、泥棒、始まり!」
禁書「嘘なんかついてないんだよ」
上条「また、嘘、ついた! お前、言った! 怒らない、言った! でも、怒った!
   お前、完全、記憶、能力者、なのに、自分、言った事、忘れた、か!」
美琴「てか、何でカタコトなのよ……あっ、もしかして原始人のモノマネ?」
上条「気付いてくれてありがとう。ツッコんでくれなかったら、この後このままの口調で話すところだった」
禁書「ひょうか、なんだか急に寒くなった気がしない?」
風斬「うん……私は寒さを感じないはずなんだけどどうして、かな……?」
上条(orz)


「あーそっか。新学期始まると、お前ずっと留守番になっちまうのか」


美琴「ぎゃ、逆に学校通ってる人とかはチャンスが増える訳よね!?
   通学路とか、ぐ、ぐぐ、偶然!!出会っちゃったりする事もあったりなかったりするし!」
禁書「むぐぅぅ…偶然ってところが無性に引っ掛かるけど、短髪の言う事も事実なんだよ……」
風斬「それで…その『チャンス』とやらは物する事はできたのですか?」
美琴「……………」
風斬「…あの?」
禁書「ひょうか…聞かないであげて……
   短髪の味方をする訳じゃないけど、この点に関しては私も同情せざるを得ないから……」
風斬「あっ……じゃあやっぱり苦労されてるんですね……」
上条(何故だろう…3人の視線が痛い)


「とうま、早く帰ってくる?」
「そうだな、分かった。帰ったら一緒にどっか遊びに行くか?」
 少年の言葉に、インデックスはとても素直な笑みを浮かべた。


美琴「…………」
上条「ちょ、ちょっと御坂さん!? 何やらゴゴゴゴゴゴゴゴって擬音が聞こえてくるんですけど!?」
禁書「へっへーん♪ とうまからのデートのお誘いが羨ましかったんだよね、た・ん・ぱ・つ・☆」
風斬「あ、あの……それは、火に油を注ぐような発言かも…………」
美琴「…………」
上条「うぉい! ゴゴゴゴゴゴって擬音にドゴゴゴゴゴとかドガガガガガとかって擬音が混ざって来てるし!?
   つか、何で俺のこの発言がデートのお誘いなわけ!? 単に遊びに行こうって言ってるだけじゃん!!」
禁書「え゛!?」
風斬「はい!?」
上条「ん? どったの?」
美琴「…………何か今、アンタにとっても親近感が湧いたわ」
禁書「何かな!? その肩にポンと手を置いた上に、同情心たっぷりの笑顔と暖かい眼差しは!?」
上条(何か知らんが、とりあえず御坂の機嫌が直って良かった…………)



「……、あれ? とうま、お昼ごはんは?」
 呟いてから、インデックスの顔がちょっと青ざめた。
 彼女に料理を作るようなスキルはない。スナック菓子の類も、三毛猫が片っ端から袋を破って食い散らかしてしまうため、買い置きはもうない。
「ど、どうしよう。未曾有の大ピンチかも」


風斬「ええっと、女の子としてこれはどうかと」
美琴「んまあ、料理は女の仕事だ、とまでは言わないけど、『無い』というのは
   ちょっとどころじゃないくらいマズイわね」
禁書「短髪はともかくひょうかまで!?」
風斬「だって、料理の出来る女性って男性のポイントが高いんだよ」
禁書「うぐ……!」
上条「ところで、この『みぞゆう』ってどういう意味だ?」
美琴&禁書&風斬「「「はい!?」」」
上条「ん? 俺、何か変なこと言ったか?」
禁書「い、一応聞くけど、ネタだよね? とうま…………」
美琴「まさかと思うけど、年寄りは早く死んだ方がいいとかナチスとか不穏な発言ばかりかまして、
   国内は戦前並みの偏向報道しかしない上に利権を貪っているからジャーナリストの気概が
   まったく無くて、
   世界中からは信用の欠片もないマスゴミが言わないから大騒ぎにならないだけなんだけど、
   世界中からは大ヒンシュク買いまくっている知能皆無のどこぞの国の副首相と同じ間違いをしている、
   なんてことないわよね?」
上条「え? や、やだなぁ~~~もちろんじゃないですかふたりとも。ねたですよねた」
美琴「そ、そう?(何で、視線が明後日を向いているのかを突っ込んじゃいけないわよ!)」
禁書「だよねだよね(何で全部ひらがななのかは聞いちゃいけないんだよ!)」
風斬(こ、怖くて真実は聞けない…………本当は「じゃあ何て読むの?」って
   聞かなきゃいけないのに聞けない…………)


 ――――不意に後ろから、何者かにものすごい速度で追い抜かれた。
 茶色の髪を肩の所まで伸ばした、中学生くらいの女子だ。
半袖のブラウスにサマーセーター、灰色のプリーツスカートというその姿は名門と呼ばれる常盤台中学のものだったが、舞い上がるスカートの端も気にせず下に短パンを穿いてますと言わんばかりの全力疾走ぶりは、完全無欠にお嬢様のイメージからかけ離れている。
「……あー、なんだ。ビリビリか」


風斬「あの……えっちなのはよくないと思います……」
上条「何で!?」
美琴「そりゃー舞い上がるスカートに視線が行ってちゃねー」
上条「いや、普通の反応だよ! 思春期の男の子なら絶対に見ちゃうって!! いや、思春期じゃなくても男なら見ちゃうって!!」
禁書「とうまはとうまでとうまだもん」
上条(ああ……なんだか、お三方の好感度ゲージがどんどん下がっていっていくような……)


 ――――昨夜インデックスが闇咲にさらわれた時に美琴とも会っていたような気もしたが――――
「あれ、何だよ。ひょっとしてお前なんか用事でもあったの?」
「べっ、別に。そういう用があった訳じゃないけど……」


上条「で、結局何だったんだよ」
美琴「だ、だから! 何でもないってば!!」
上条「いやでも、よく思い出したら、あん時顔とか真っ赤にしてたじゃんか」
美琴「お、お、思い出さなくていいわよ!!!」
上条「あっ、ひょっとしてアレか? 俺と海原の事か?」(何故上条がその事を知っているかは、前回参照)
美琴「ちちちち違うからっ!!!!!///」
禁書「……何なのかな? この置いてけぼり感は」
風斬「知らない方の話題が出ると、知ってる人同士は盛り上がっても、
   そうじゃない方はどうすればいいか反応に困るよね……」



「な、何よ。昨日の、こ、恋人ごっこって、そんなに疲れる仕事だった訳?」
「あん? それ一つじゃないんだけどな。他にも昨日は色々あったんでございますよ」
「ん? 他にも? ……アンタ、まさか他の子とも似たような事してたわけ?」
「アホか。あんなこっ恥ずかしいコト平然と頼んでくるヤツなんてお前しかいねーよ」
「な……っ!?」


禁書「ふーん。私にお留守番させといて、とうまは短髪と『恋人』ごっこしてたんだ。
   確か、宿題で頭が疲れたんでちょっと息抜きしてくる、とか言ってたと思うんだけど」
上条「待て待つんだインデックス。言っておくがお前の思っているようなヤマシイことは何一つなくてだな、
   むしろ、疲れが倍増したというか」
風斬「あれ? 何ですか、このスイッチ? って、あ、押しちゃった」
上条「ん?」
美琴「ぶっ///!?」
風斬「ふぇ……! 上条さんと御坂さんが抱き合ったり、お互い食べかけのホットドッグを交換したり、
   目一杯身を寄せ合ったり、手を繋いで町中を走り回ったりしてる映像が映ってますけど……!?」
上条「んなぁぁぁあああああああああ! 何でこんなモノがここに……、
   ハッ! 佐天さんと初春さん、前回、置きっ放しにして帰りやがったなぁぁぁああああああああああ!!」
美琴(……しかも、あの二人のことだから、本来的な意味は違うんだけど慣例的な言葉を使うなら、間違いなく確信犯よね……)
禁書「とうま…………これでも『ヤマシイことは何一つない』って言い張るのかな…………?」
上条「ああ……ええっと、だな…………」


「へ、平然って、そんな訳ないでしょ!
 わ、わたっ、私だってメチャクチャ悩んでそれでも他に打開策がなくて仕方がなくて恥を忍んで頼み込んだって言うのに!!」


美琴「そ、そそそそうよ!! あ、ああ、あくまでさっきのは仕方なくなのよ!!!」
上条「そうそう! 美琴と抱き合ったり、お互い食べかけのホットドッグを交換したり、目一杯身を寄せ合ったり、手を繋いで町中を走り回ったりしたのには、ちゃんとした理由があってだな」
美琴「繰り返さなくていいわよ!!!///」
上条「えっ? いやでも、説明しとかないと変に誤解されちまうし。
   美琴と抱き合ったり、お互い食べかけのホットドッグを交換したりしたのは―――」
美琴「だからいいからっ!!!!!///」
禁書「……ひょうか…もうそろそろ噛み付いてもいいのかな…?」
風斬「えっ? あっ、うん。いいと思うよ」


(ま、個性がありすぎても疲れるだけだろうけど。常盤台とかすごそうだよな)


美琴「そんな事ないわよ。ウチだって普通よ普通」
上条「ホントかぁ~…?」
美琴「普通だってば! 家庭科でペルシャ絨毯のほつれの直し方とか、金絵皿の傷んだ箔の修繕方法等とか習ったり、授業でヴァイオリンとか教わるけど、そんなのどこの学校でもやってる事でしょ?」
上条「えっ……」
風斬「あっ! 私も授業でやってました! 霧ヶ丘女学院に在籍していた時に!」
上条「えっ、えっ……」
禁書「そのくらいは当然かも。ちなみに現存する最古のヴァイオリンは16世紀後半のものなんだけど、
   それ以前にも、北イタリアをはじめヨーロッパ各地で絵画や文献でヴァイオリンが描写されていて、
   実は当時の楽器には魔術的意味合いが込められたうんたらかんたらがなんたらかんたら」
上条(普通じゃねぇ……こいつら絶対普通じゃねぇ! 特に最後の!)


「ふうん。例えば御坂の体から微弱な磁場が漏れてるとかって感じか……」


美琴「そのせいで動物から怖がられちゃうのよね……ペット欲しいな……」
上条「あっ、けど御坂妹が飼ってる(?)黒猫は懐いてるじゃねーか。慣れるモンは慣れるんじゃねぇの?」
美琴「そ、そうかな!?」
禁書「でもスフィンクスは怖がってたんだよ」
美琴「ううぅ……」
風斬「あの…私思ったんですけど……彼の右手があれば電磁波も打ち消せるのでは…?」
上条「まぁそりゃ、一時的にはシャットアウトできるだろうけど、右手離したら元の木阿弥だろ?
   ペット飼うならそれ以外の方法じゃないと。まさか俺が美琴の頭をず~っと触って暮らす訳にもいかんし」
美琴「そっ! そそそれってつまり同棲……ふにゃー///」
上条「って、うおい!! 電磁波だけじゃなく、電流まで垂れ流すな!!」
禁書「…ここまでがワンセットなんだよ……」
風斬「…テンプレって言うんだっけ? こういうの……」



「ってか絶対泣くだろあの先生!! テメェは好きな女の子にいじわるする小学生か!」


上条「好きな子に意地悪するのって、イギリスとかでもあるあるネタなのか?」
禁書「う~ん…あまり聞かないかも。多分シャイな人間性から生まれた、日本独自の文化なんだよ」
風斬「今で言う、『ツンデレ』の先駆けみたいなものなのかな?」
美琴「ホンット、こういう奴いるわよね~! 素直になれずにケンカ吹っ掛けるようなマネしてさ!
   相手からしたら迷惑だし、むしろ嫌われちゃうって分からないのかな!?
   好きなら好きってハッキリ伝えた方が―――」
禁書「……………」
風斬「……………」
美琴「……何よ?」


 教室から追い出されたインデックスはむくれながら廊下を歩いていた。
 彼女の手には二千円札が握られていた。


美琴「に、二千円さ……ぶふっ! 二千円札って、あっは! あははははは!!!」
上条「お前、本当にそれ(笑いの)ツボだな!!」
禁書「むっ! そこはかとなく馬鹿にしてるね? 確かに敬遠されがちだけど、純粋にお金の価値だけ見れば、野口さん二人分なんだよ! うまい棒なら200本(消費税度外視)も買えるんだよ!」
上条「何でもかんでも、うまい棒で計算するのはやめなさい!
   上条さん家のお財布事情丸出しで、わたくしとっても恥ずかしいですのことよ!?
   あと、一回野口さんに謝っておこうか!」
美琴「あはははは! に、二千円って! 二千! ひーっ! ひーっ! お腹痛い!」
上条「そんでまだ笑ってたよこの子!!!」
風斬「……何の話でしたっけ?」


「ありがとう。あなた、名前は?」
「……ん。風斬氷華」


美琴「ううん……相変わらず不思議な縁で食いつないでいくわね……アンタ……」
禁書「ふふん。これが人徳ってやつかも」
上条「しっかし、あの程度の食券販売機くらいは使えないものか?」
禁書「む……だったら、とうまは魔術の基礎とか仕組みとか分かるの? 理屈はそれと同じなんだよ」
上条「そりゃま、そうだが……」
風斬「でも、私はおかげで彼女と出会えましたから嬉しかったかも」
美琴「そういう考え方もあるわけね」


「ケンカのできる友達って、本当はすごく仲がいいの」
「どうして?」
「ケンカができるってことは、ちゃんと仲直りができるの。あの人はケンカしても縁が切れないって信じてるんだと思う」
「ホントに?」
「あなたのために怒ってくれるような人だから、きっと大丈夫」


禁書「ここはアニメの展開にしたんだね。でもまあ、言いたいことは伝わるから良いかも」
上条「俺が来るまでこんな話をしてたのか。良いこと言ってるな風斬」
風斬「いえその……良いこと、って言うか、当たり前のことって言うか……」
禁書「で、短髪はどんな感想を持ったのかな? 私ととうまの間にある信頼関係に……って、どうしたの? 顔真っ赤なんだよ?」
美琴「べ、別に何でもないわよ!!
   だいたい! 日本には昔から『ケンカするほど仲がいい』って諺があるくらいなんだから、これくらい普通よ普通!!」
上条「そういや、俺とお前もしょっちゅうケンカっつうか、言い争うっつうか、やってるよな。
   でも縁が切れない、ってことはやっぱ風斬の言葉にしろ日本古来の諺にしろ、的を得てるってことだよな」
美琴「さらっと何を言ってやがりますかこの馬鹿は!? 私とアンタの縁が切れない、って、そりゃ確かにそうだけど……///」
上条「ん? どしたー? ………って、何このいきなりの寒気!? まるで突然、北極の永久氷壁に閉じ込められた気分!?」
禁書「ふーん……とうまはしょっちゅう短髪とケンカしてるんだー……へー……ほー……」
風斬「あ、あの……やっぱりケンカはよくない、かな……?」



 視線の先には、マンガみたいに着替え中の少女がいた。
 しかも二人分。
「………えーっと、間違えましたーっ!!」


禁書「………///」
風斬「………///」
美琴「ほっほ~う…? アンタやっぱり、こういう事を日常的にやってるんだ。へぇ~…?」
上条「いやいやいやいや!!! ちゃんと読めば分かるでしょ!! 上条さん、悪気は全くありませんでしたよ!!?」
美琴「悪気が無ければ何をしても許されるとでも…?」(バチバチィッ!!!)
上条「怖い! 怖いよ!? ちょっとお二方! 上条さんのピンチですよ!? 黙ってないで、お助けくださいませんか!?」
禁書「…これはとうまがあまりにもとうまだから、然るべき処罰かも……///」
風斬「わ、私もそう思います……///」
上条「あれっ!!? 味方0!!?」


 むぎゅっ、と。
 三毛猫の頭が風斬の大きな胸の間に埋まってしまった。
 今までずっとすすけていた上条は瞬間的に顔を真っ赤にして――――


美琴「……ったわね…」
上条「え? 何て?」
美琴「私のは小さくて悪かったわねって言ったのよ!!!」
上条「何で急にキレてんの!!? あと俺、美琴のサイズに関して、苦言を呈した事ありましたっけ!!?」
美琴「私だって! 私だってねぇ!! あと数年もすれば、ママや番外個体みたいな立派な身体に―――!」
上条「だーっ! 分かった、分かったから!! だからとりあえず落ち着け!!!」
風斬「??? 何の話?」
禁書「私にもよく分からない…けど、何故か他人事じゃない気がするんだよ」


「――――それなのに、それなのに一方その頃上条ちゃんはモテモテ学園生活満喫中ですか!? まったく、そんなにイチャイチャしてると不純異性間交友でしょっぴきますよーっ!」


美琴「モテモテ…イチャイチャ…ねぇ……なるほどねぇ……」
上条「顔が怖い! 顔が怖いよ美琴さん!?」
美琴「一度、本当に警備員にしょっぴかれたら…? 強制わいせつ罪か何かで……」
上条「え、冤罪すぎる!! そんなの身に覚えがな―――」
禁書「無いって…」
風斬「言い切れるんですか…?」
上条「な―――きにしも非ずだけども!! それ全部、故意にやった訳じゃないって何度も説明をだな!!!」
   ていうか何度も謝ったよね!!?」
美琴「ごめんで済んだら警察はいらないって言葉知ってる…?」
上条「それでもボクはやってない!!!」


「――――こうして近づけばお姉様の胸の谷間へと思う存分……うっふっふ。うっふっふっふっふっふ!!」


??「キ・マ・シ・タ・ワー!!! でぇぇぇすのおおおおおぉぉぉぉぉ!」
美琴「はい、次」
上条「えっ…? い、いいのか? 『アレ』放っておいても……」


「とうま。これ何でも頼んじゃっていいの?」
「あー、高いのは禁止な」
 上条は適当に釘を刺したが、しかし大して心配していなかった。何せこのメニューの元ネタは学食や給食である。そうそう高いはずがない。


上条「…………」
美琴「これ絶対、フラグよね」
禁書「これほどまでに分かりやすいのはないかも」
風斬「ふらぐ…………?」



 ――――インデックスはメニューをテーブルの上にパタンと倒すと、上条にも良く分かるように料理の写真の一点を指差す。
「私はこれがいいかも」
「どれどれ」
 上条はインデックスの白く細い指の先を視線で追う。するとそこには、


 常盤台中学給食セット 四〇〇〇〇円。


美琴「へー、ウチの給食もメニューに入ってたんだ」
禁書「とうまは何でもいいって言ったのに、食べさせてくれなかったんだよ。しかも、この時はめにゅーで叩かれたし」
上条「高いの禁止つったろ!」
禁書「全然高くないよ! テーブルに置いたって私の目線よりも下だもん!」
風斬「あの……標高じゃなくて値段の話なんじゃないかと……」
美琴「あれ? この店、出前もやってんじゃん。なら今、私が頼んであげるわ。四人分でいい?」
禁書「ほんと!?」
上条「待て待て待て待て待て待て! 合わせて十六万だぞ!? 一人分でも四万だぞ!? どこにそんなお金がありますか!? 俺はいらん!!」
美琴「分かった。じゃあ三人分ね。あ、もしもし、えっとですね、今、ネットで見てたんですけど、
   そちらの店の『常盤台中学給食セット』を三人前を今から言う場所に持ってきてもらえます?
   あ、支払いってカードでOK?」
上条「ん?」
美琴「大丈夫なんですね、はい。それじゃ支払いの名前は『御坂美琴』で。ええ、この場で払います。はい、よろしくお願いします」
上条「んんん?」
美琴「頼んだわよ。十五分か二十分かかるって」
風斬「えっと、私の分も、ですか?」
美琴「そ。ウチの学校のことを知ってもらういい機会だし、私の奢りでいいわ」
禁書「きゃっほーい! ありがとうなんだよ、短髪!! 感謝感激雨霰かも!!」
風斬「あ、ありがとうございます!!」
上条「えええええ!? そんなのあり!? 奢ってくれたの!?」
美琴「はへ? アンタ『いらない』って言ったじゃない」
上条「う゛……そ、そんな素でキョトンとした顔で言わなくても……」
禁書「ごはん♪ ごはん♪ ごはん♪ ごはん♪ ごはん♪ ごはん♪ ごはん♪」
風斬「(……食べたいなら素直に言っては如何ですか?)」
上条「(……それしかないよな…………)なー、御坂、今から俺の分も、ってのは……ダメ?」
美琴「だ、ダメじゃない……///」


 すとん、と。
 何の前触れもなく、いきなりカーテンが真下に落ちた。


禁書「………///」
風斬「………///」
美琴「ほっほ~う…? アンタやっぱり、こういう事を日常的にやってるんだ。へぇ~…?」
上条「いやいやいやいや!!! ちゃんと読めば分かるでしょ!! 上条さん、今回は全く悪くありませんでしたよ!!?」
美琴「自分に非が無ければ何をしても許されるとでも…?」(バチバチィッ!!!)
上条「そりゃそうでしょうよ!!! ちょっとお二方! 上条さんのピンチですよ!? 黙ってないで、お助けくださいませんか!?」
禁書「…これはとうまがあまりにもとうまだから、然るべき処罰かも……///」
風斬「わ、私もそう思います……///」
上条「何でだよっ!!!」


「アンタ、こんなトコで女の子に押し倒されて、何やってる訳?」


上条「ここ納得がいかないんですけど!」
美琴「何が?」
上条「俺が押し倒した側ならまだ分かるよ!?
   きっと色んな不幸が重なって、上条さんは悪くないけど、
   それでも周りから見たら誤解を受けるんだろうなってのは理解てきなくもねぇよ!!!」
美琴「……とりあえず、2~3ツッコミたい所はあるけど、まぁいいわ。続けて」
上条「けどさ! これは完全に被害者側じゃね!? いや、確かにどっちが加害者とか被害者とかはないんだけど、この時、美琴からすりゃ、俺が押し倒されてるように見えたんだろ!?
   何故に俺が怒られなきゃならんの!?」
禁書「……日頃の行いのせいじゃないかな」
上条「日頃の行いって! 上条さんは普段から、清く正しく美しく、真っ当に人生を歩いてますよ!?」
禁書「…自覚がないのも問題かも」
美琴「てかアンタ! わ、私も…その……お、お、押し倒したじゃない!!! しかも公衆の面前で!!!///」
禁書「なっ!!?」
上条「い、いやそれ、大覇星祭の話だろ!? まだ先じゃねーか! しかもそれにも理由があってだな……」
禁書「……とうま、ちょっと頭貸して欲しいんだよ…」
風斬(本当に普段からそんな事してるんだ……)



「とうま、この品のない女達は一体誰なの。知り合い? どんな関係? ――――」


禁書「…そう言えば、この時の答えをまだ聞いてなかったんだよ。
   命の恩人っていうのは知ってるけど、とうま自身はどう思ってるのかな…?」
上条「俺自身? んー…そうだな……」
美琴(こいつの事だから、どーせ、友達とか妹分とかそんなところでしょ。分かってんだから……そんなの……ぶつぶつ)
上条「(つっても海原との約束もあるしな)あー…守るべき人…とか?」
禁書「!!?」
美琴「ふぇっ!!?///」
風斬「ていうか、品のない女達ってくだりはスルーでいいんですか?」


(あれ? っつか、何でこの人達はこんなにギスギスした空気を放ってるんでせう?)


上条(そして今も)


「(まったくそうですか命の恩人と来ましたか大体怪しいとは思っていたのですけどやはりあの殿方がお姉さまの部屋にやって来た日に何かあったんですのねそれにしてもお姉さまはわたくしには一言も告げなかったくせにあのヤロウには全てを打ち明けたとそういう風に受け取ってよろしいのかしら、うふふ。あらおかしい、うふふふふふ)」
 あまりに平淡過ぎる独り言に風斬の眼鏡がずり落ちた。


美琴「そ、そりゃまあ……あの一件に黒子を巻き込むのはどうかと思うわよ……ねえアンタ?」
上条「ん? まあな。確かに白井は頼りになるかもしれないけど、さすがにアレに巻き込むわけにはいかんよなぁ」
風斬「そうですか? 私だったら友達とか大切な人に置いてけぼりにされる方が辛いと思います。
   それがどんなに危険なことだとしても」
禁書「私もそうなんだよ。だから、いつも、とうまに説教してるんだけど……
   あ、でもこの間、初めて分かってもらえたかも。短髪も一緒に、だったけど」
上条「なるほどなぁ。そういう考え方もあるってわけか」
美琴(まあ……それで私も反省して、この後に起こった学究会絡みの、
   フェブリとジャーニーと布束さんを助けるために黒子たちに協力してもらったわけなんだけどね……)
風斬「あら? なんだかさっきのとは別のスイッチが。あ、また押しちゃった」


「なるほど――大体怪しいと思っていたのですけど、お姉さまはわたくしを差し置いてカミジョーさんに身も心もすべてを曝け出したというわけですわね。ふふっ……ふふふふふふ」
「曝け出してなんかないわよ!!」


上条「うぉぉぉおおおい! アニメ展開はさらになんだか誤解を招くようなこと言われてるんですけど!?」
美琴「てゆうか、これじゃさっきの良い話も台無しじゃん! 私のモノローグに謝りなさいよ!!」
風斬「え? ひょっとして私の所為?」
禁書「で、とうま? 実際はどうなのかな?」
上条「ちょ、ちょっと待て! 言っておくがお前の想像していることは妄想夢想完全フィクションだからね!?」
美琴「そうそう! 『身』も『心』も本当に曝け出してなんていないんだから!!」
風斬(あ、こっちだと私、完全に背景になっちゃってる……
   というか、この面子【禁書、超電磁砲のメインキャラが四人】が揃うと大抵のキャラは埋没しちゃうような……)
??「その割にはわたくしは禁書【原作】の方では出番がないですの……はぁ……」


「っつか、お前達は何でここにいるんだ?」
 ――――「な、何よ! 別に何でも良いでしょうが、何でも!!」
 ――――「……(――――防犯カメラにあなたの姿が映っていたのを発見したから心配になって駆けつけた、とは言えませんわよね。普通なら)


上条「えっ…? じゃあ、俺の事を心配してくれて来てくれたのか…?」
美琴「あっ! ちちち違うから!! こ、ここ、これは黒子が勝手にそう思ってるだけで、
   べべべ別にアンタの事を思ってたとか、そんな事は全然ないんだからっ!!!///」
上条「何だそうなのか…ちょっと残念……」
美琴「残念!!?///」
上条(…あれ? それじゃあ結局、美琴は何でここに来たんだ…?)
禁書(イライライライライライライライラ)
風斬(そわそわおどおどハラハラドキドキ)



「分かった。白井、お前が閉じ込められた人達を脱出させてる間は、俺が時間を稼ぐから、お前はあいつらを外に出してやってくれ」
 上条が言った瞬間、三方から白井と美琴とインデックスの手で同時にどつかれた。
 ――――ただ一人、風斬だけがツッコミを入れようとしたが勇気が足りずに虚空へと手を泳がせていた。


美琴「まあ、ピンポイントで狙われていることが分かっててこんな発言するんだから、どう考えてもツッコミ待ちよね」
上条「いや分かるけどさ! でもいきなり殴ることないんじゃない!? ちゃんとした理由もあったろ!?」
禁書「うん。右手があるから、とうまのセリフは間違いじゃないんだけど、ツッコミを入れざるを得なかったんだよ」
風斬(わ、私だって負けないもん! 必ずこの面子の中でも混ざってやるんだから!)


彼は諸事情あって、美琴の部屋に無断で侵入した事があるのだ。


禁書「……とうま? この一文について詳しく説明して欲しいかも…」
上条「い、いや、これにも色々あってだな!」
美琴「アンタ…本当に私の部屋で、へ、へ、変な事してないんでしょうね!?///」
上条「してないよ!! てか変な事って何だよ!!」
美琴「だ、だだ、だから……それは…その……///」
風斬「変な事……縄跳びとかですか?」
禁書「…え? ひょうか、何で縄跳び?」
風斬「あ、いや…部屋の中で縄跳びをするのは変かなって……ち、違いますか…?」
上条(純だ…)
美琴(純だわ…)
禁書(純なんだよ…)


「――――俺は白井の力じゃ外に出られない。だからここに残ってヤツの相手をするしかねーんだよ」
「じゃあ、私も残る!」
 今度は四方から、上条と美琴と白井と風斬の手がインデックスをどつき回した。引っ込み思案の風斬も勇気を振り絞ってみたらしい。ぎゅっと目を瞑ったまま、しかし的確にインデックスの後頭部へ打撃を加えていた。


風斬(何でだろう? この子には悪いけど、なんだかとっても嬉しい……///)
禁書「ひょうかどうしたの? 何かを成し遂げたような男の顔になってるけど」
美琴「んー。どことなく『輪に入れた喜び』って感じね」
上条「つーか、俺たちの間ってそんなに入り辛いもんか?」
風斬「む、無自覚って怖い……」


上条当麻の半分は優しさでできているのだ。


美琴「『あの』薬さぁ。実際、4分の3くらいはアスピリンで、胃を守ってくれる緩衝制酸剤は4分の1しかないんだって」
上条「何だ? 急にトリビア挟んできたな」
美琴「いや、まぁそれは別にどうでもいいんだけどね。つまり私が何を言いたかったかって言うと、
   アンタの優しさとやらの割合も、その程度なんじゃないかって事よ!」
上条「な、何をう!? 上条さんの優しさは、それこそ天井知らずだと専らの噂ですぞ!?」
美琴「ど~だか! きっと残りの4分の3は鈍感でできてんのよ!!
   おかげでこっちは中途半端に優しくされて、ちょっと期待とかしちゃって―――」
上条「? 期待って…何をだ?」
美琴「あっ!!! いい、いや! ななな何でもないっ!!!///」
禁書「ていうか! あすぴりんって何なのかな!!!」
風斬「ツッコむ所はそこでいいの?」


「しかし、運べるのは二人までか……。そんじゃ、まずはインデックスと風斬を頼む」
「とうま。それはつまりそこの短髪と一緒に残る、と言いたいんだね?」
「……、あー。じゃあ御坂と風斬でいいや」
「ほう。アンタはそこのちっこいのと残りたい、と。ほほう」


上条「どうすりゃいいんだよ! 何て答えれば正解な訳!?」
禁書「とうまが!!」
美琴「アンタが!!」
美琴&禁書「「ハッキリしないのが悪いんでしょ!!?」」
上条「俺のせいですと!!?」
風斬「……、じゃあ、今、改めて、どちらか一人を選ぶとすると?」
上条「ええっ!? 何で!? てか、選ぶって何を基準に!?」
風斬「だから、この時の気持ちになって、です。一応、基準はあったんですよ」
上条「え~? じゃあ……(あっ、今美琴と目が合った)美琴で」
美琴「!!!?///」
禁書「~~~! とうまの馬鹿っ!!!」
風斬(……戦略的に均等に戦力を分けて、さらに相手の狙いを分散せて、そしてお互いがお互いに顔見知りって意味で
   『シェリーさんを相手にしてある意味圧倒した御坂さんとテレポートが作用しない上条さん』、
   『魔術に詳しいのでフォロー可能のあの子とあの子を守れる力を持っている私』って基準があったんだけど、上条さんにそこまでの意識は今あったのかな……?)



「わたくしが一緒にいた方が微調整が効くんですのよ。適当に飛ばしておいて、万が一、誤差の関係でビルの壁にでも突き刺さってこらんなさい。――――」


美琴「『*いしのなかにいる*』、ね」
風斬「あれはトラウマですよね……」
上条「俺も記憶はないけど知識として残ってるから、その恐怖は分かるわ」
禁書「むぅ…科学サイドの話は分からないんだよ」


「うん。あ、今回はとうまが引っ張ってきたんじゃないんだよ。私が先に会ったんだから」
「……今回は、ね。ほほう」


上条「…美琴が『ほほう』って言う時、決まって不穏な空気が流れるのは何故でせうかね…?」
美琴「…さぁ? どうしてかしらね…?」


「うう。心配かも心配かも。あんな所に女の子が置き去りにされているのも心配だけど、
 薄暗闇の中でとうまと女の子を二人きりにさせているのも心配かも」
「……、何でかしら。この一点のみアンタとは友達になれそうな気がするわ」


上条「人をそんなケダモノみたいに!!!」
禁書「間違ってないかも」
美琴「そうね。アンタはケダモノよ」
上条「この一点でのみ急に仲良しに!? 紳士上条さんはそんな女性の敵になるような事は致しません!!」
禁書「紳士は着替えを覗いたりしないんだよ」
美琴「紳士は押し倒したりしないわね」
禁書「紳士は歩く教会【しゅうどうふく】を破って裸にしないんだよ」
美琴「紳士は当たり前のように胸を触ったりしないわね」
上条「どれもこれも不可抗力(?)だ!!!」
美琴「てか裸って何!!? ア、アア、アンタこの子に何した訳!!?」
禁書「と、とうまは短髪の胸を触ったの!!? ホントに!!?」
上条「ああ! 何か知らんけど、余計に混乱状態に!?」
風斬「……でも、そんなケダモノさんに、お二人ともコロッといっちゃったんですよね…?(ボソッ)」
美琴&禁書「「!!!///」」
上条(…あれ? 風斬が何て言ったのか小声で分かんなかったけど、急に二人とも黙っちまった……)


「ん、とうま? とうまなら心配ないよ。とうまは何があっても、絶対に帰ってきてくれるんだから」
 ―――― (しっかし、帰ってきてくれる、ときましたか)
 ―――― (だから、何で、そこで、私が、ショックを受けなきゃいけないのよ?)


上条「? 何かショック受けるような事あったか?」
美琴「なななないないないない!!! これはそういうアレじゃないからっ!!!///」
上条「あ、そう? まぁ、気のせいだったんなら別にいいけど」
美琴「あっ…うん……」
禁書「……短髪…さすがに同情するんだよ……」
風斬「…ここまでくると、逆に感心します……」
上条「……何を?」



「インデックスはこの町の住人じゃない。警備員に見つかれば逮捕されるかもしれないんだ。迂闊に保護を頼むわけにはいかない」
「え……!」
「やっぱ、行くならここしかねえか。くそ、隔壁を開けてくれりゃ簡単に先回りできるのに。何で後手に回らにゃならないんだ」
 上条は床に開いた『穴』の縁にしゃがみ込んで、
「どうやって降りるか…………」
 そんな上条の様子を眺めていた風斬の頭に不意に、あの少女とこの少年と過ごした『楽しい時間』が走馬灯のように駆け巡った。
 それはとても安らかで暖かくて幸せな時間だった。
 この時間をくれた少年と少女に報いたいと真剣に思った。
 そして、風斬氷華は一つ結論を出す。
 それは――――
「待って」
 思わず風斬は呼びとめた。
「本当に、あなた一人で行くんですか?」
「インデックスが危ないんだ」
 上条の真剣極まる言葉を聞いて、風斬は意を決した。
 自分の正体を知ってなお、自分のことを友達だと言って助けれてくれた少年を今度は自分が助ける番だと切実に思った。
 この少年は自分のことを友達だと言ってくれたとは言え、あの少女がそうだとは限らない。
 もしかしたら自分の正体を知ったらあの少女は、怖がって自分から離れていくかもしれない。
 それでも、風斬は『そんなこと』よりも『少女の命を助けること』の方が重要だと思った。
 後から悔むかもしれないが、それでも少女を助けたかった。
「大丈夫、です……あなたが行かなくても助ける方法はあります……」
「どういうことだ?」
 問われて、風斬は全てをふっ切ったような笑顔を浮かべて答えた。


「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」



上条「うわー! 全てが台無しだよ、このセリフ!! って、この行もアニメ展開だな!!」
風斬「え……? 私、変なこと言いました…………?」
禁書「ちょっと、とうま、今のとうまのセリフは無いかも」
美琴「今、この子は『化物の相手は化物がすればいいんです』って、泣きそうでけなげな笑顔で言ったのに、
   どこが台無しなのよ。私、思わずもらい泣きしちゃったわよ」
上条「いやいやいやいやいや! どういう耳してんの二人とも! 合ってんのは最初の『ば』だけじゃん!?」
禁書「とうまの言ってる意味が分かんないんだよ。と言うか、いったい、とうまには何て聞こえたの?」
上条「俺には『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ』って聞こえたんだ」
美琴「うわー、どんな耳してんのよアンタ」
風斬「悲しいです…………」
禁書「とうま、ひょうかが本当にそんなこと言うと思ってる? もしそう思ってるなら私のとうま評を変えなくちゃいけないかも」
上条「何で!? いや本当に俺の耳がおかしいのか!?」



「初めから分かってはいたんですよ……誰でも分かるじゃないですか……化物が正体を見せればどうなるか、なんて……嫌でしたよ私だって……でも仕方ないじゃないですか……助けたかったんだから……」
 涙を落としながら風斬はふらりと立ち上がり、おぼつかない足取りで上条へと向かう。
「何で……失わなくちゃいけないんですか? どうして、怖がられなくちゃいけないんですか……?」
 そのまま、上条の胸に縋り、辛い気持ちを抑えきれなくなった。
 口にしてしまったことが彼女にとっては不幸だった。
「私は! 私はただ、大切な友達が傷つけられるのが耐えきれなかったから! だから、立ち上がっただけなのに! ずっと一緒に居たかった! きっと仲良くなれるって思ってた! でも……無理に決まってるじゃないですか!!」
 涙ながらに吐き出して。
 上条は全てを受け入れるように聞いてやって、
「怖がられても嫌われても! 見殺しになんてできるはずがないでしょ!!」
 ただ、その右手の所為で慰めることはできなかった。
 いや、上条は分かっていた。
 慰める必要なんてないってことを。
 彼女の悲しみを癒すのは自分ではないということを。 


美琴(まあ……さすがにこんな状態のこの子だと、あいつの胸で泣いてるからったって腹は立たないわね……)
禁書「ここはアニメ展開だけど、ひょうか、これはさすがにちょっとムッときたかも」
風斬「え? 何で?」
禁書「何で、私がひょうかのことを嫌わなくちゃいけないんだよ?
   確かに、初めて、ひょうかの『力』を見たときはびっくりしたけど、でも別にこれくらい大したことないし、
   そもそも、化物っていうのは『心』がない存在を指すんだよ。
   心を通わすことができれば、人か人じゃないかってことも問題じゃないもん」
風斬「そ、そうなの?」
上条「まあな。この学園都市ってところはそんなところだ。御坂だって『人間』の枠外にいる化物的な存在なんだぜ」
美琴「ちょっと! それ褒めてないし!!」
上条「そうは言っても、これを人間業とは言わないんじゃね?」
美琴「はい?」


「――――私の知り合いに手ぇ出してんじゃないわよ、クソ豚が!!」
 瞬間、超電磁砲と呼ばれる一撃が、解き放たれた。音速の三倍もの速度で加速されたコインは空気摩擦で赤熱化し、オレンジ色のレーザーと化して『塔』に突き刺さった。あまりの衝撃に『塔』は一瞬で折れて、繋がっていた『頭部』も巻き込んで粉々に吹き飛んでしまう。
 ゴガッ!! という轟音は、一瞬遅れてやってくるほどだった。
 もうもうと立ち込める粉塵のスクリーンは、しかし直後に凪いだ烈風に吹き飛ばされた。
 超電磁砲に押し出された空気の余波だ。


禁書「……」
風斬「……」
美琴「ええっと、ええっと……」
上条「んで、『レベル4』の感想」



(す、すごい……)
 白井は引き続き辺りを警戒しながらも、心の大半は別の事柄に奪われていた。
(余波が生み出した烈風だけで、すでに並みの風力使いを凌駕していますわ。一体どこまで底なしになれば気が済むのでございますの、お姉さまってば!)


禁書「ほへぇ。短髪って凄いんだね。ゴーレムを粉砕しちゃうなんてそう簡単にできないんだよ。
   アレは基本、周りにある『鉱物』を取り込んで何度も再生しちゃう魔術が生み出した兵器だもん」
上条「な。風斬でも止められなかった相手をお前ってば、打ち砕いてるんだぜ」
美琴「べ、別にいいじゃない! 悪いことじゃないでしょ!! 大体、この時のこいつは囮だったし本体じゃないんだから止められて当然よ!!」
風斬「でも、それを言ったら上条さんも……」
上条「ん?」
美琴「は?」


 ――――その黒い影は一瞬で投げ槍のように追い抜いた。
 同時、ゴーレムのもう一つの拳が発射された。
 少年は躊躇わない。戸惑わない。そして臆しない。それがただ一つの切り札であるがごとく、彼は右の拳を岩にように固く握りしめると、

 ゴドン!! と、二つの拳が激突した。

 少年の拳から真っ赤な血が噴き出す。
 しかし、それはゴーレムの力によるものではない。単にギザギザの岩肌を思い切り殴ったようなものだ。その砲弾のような一撃は、少年の拳に触れた瞬間に全ての威力を失っていた。
 ――――ゴーレムの全身に亀裂が入り、そしてガラガラと崩れ去った。


禁書「ほへぇ。改めてとうまって凄いんだね。ゴーレムを粉々にしちゃうなんて普通はできないんだよ。
   アレは基本、周りにある『鉱物』を取り込んで何度も再生しちゃう魔術が生み出した兵器だもん」
美琴「相変わらず規格外れのさらにその外にある力よね、アンタってば」
上条「いや、確かに破壊したけどさ! けど、見た目のド派手さと威力は完全に御坂の方があるし!!」
美琴「いやいや。私の力だとアンタに全戦全敗だから、やっぱアンタの方が化物じみてるってことよ」
上条「いらんわ、そんな人物評価!!」
風斬(にっこり)
上条「どうした風斬?」
美琴「何なの? 私たちの肩に手を置いて」
風斬「化物の相手は化物がすればいいんです」
上条「って、うぉい! それなんて自虐ギャグ!?」
美琴「今、この場で、そのセリフを使われると、なんか全力で否定したくなるんですけど!?」
禁書(……今回のひょうかはどことなく小悪魔っぽかったかも)


「ほら見てくださいよ。今回俺って入院とかしてないじゃないですか。うわすげーな俺――――」


上条「えっへん」
禁書「威張れる事じゃないんだよ!!!」
上条「いやだって、すごくね? あんだけの戦闘があって軽症だったんだぜ?」
風斬「とりあえず、軽症ではないですよね……」
美琴「そもそも、しょっちゅう入院する方がおかしいのよ!!
   全く、毎度毎度変な事件に突っ込んでって……心配する方の身にもなんなさいよね!!?」
上条「あー…悪かったな。いつも心配させて」
美琴「べ、べべべ別にアンタの事なんか、これっぽっちも心配してないわよっ!!!///」
上条「どっちだよ!!!」



上条「っと、今回はこの辺で終わりか」
美琴「う~ん…今回はアンタと私の絡みが少なかった気がするわ。ま、私が目立つ巻じゃないから仕方ないけど」
風斬「あの…ところで何か忘れてるような気がしませんか?」
上条「そうか? 何だろ……」
禁書「出前!!! 常盤台中学給食セット!!! あれからそろそろ20分経つんだよ!!!」
上条「あー…そういやそうだったな。さすがは完全記憶能力者」
美琴「いや、食い意地張ってるだけじゃないの?」
??「出前、お待ち遠様ですかねー」
風斬「あっ! 噂をすれば、ですよ」
??「えー、4人前で16万円のお会計になりますがねー。異教のクソ猿如きには勿体無いご馳走ですねー」
上条「意外すぎる人が来ちゃったよ!! おかもちと割烹着が死ぬほど似合ってねぇな、そんで!!!」
??「優先する。――――――安さを下位に、味を上位に」
上条「やかましいわ!!!」
美琴「じゃ、料理も来たことだし、食べながらお開きとしますか」
禁書「いっただっきまーモグモグバクバク!!!」
風斬「いただきます。……あれ? 召し上がらないんですか?」
上条「あはは…不幸だ……俺の箸だけ無いや………」
禁書「というか、あの出前持ちだとわざとかも。もしゃもしゃもしゃもしゃ」
上条「喰いながら喋るんじゃない! それとお前! ぜっんぜん、俺を憐れんでないし!
   つか、俺じゃなくて御馳走にしか目が行ってないじゃん!? こっち見ろよ!!」
風斬「でも、あの子の気持ちも分かりますよ。だって、とっても美味しいですものコレ」
美琴「!!! し、仕方ないわね。ど、どど、どうしてもっていうなら、私が食べさせてあげてもいいわよ…?」
上条「ホントか! そりゃ助かる!」
美琴「じゃ、じゃじゃじゃあ!! く、く、口を開けて…?///」
上条「おう。……あ~~~ん」
禁書「モギュモギュ…ふぉぉぉぉうぅぅぅわぁぁぁぁぁ(とぉぉぉぉうぅぅぅまぁぁぁぁぁ)!!!!!」
上条「うおおおおい!!! 口に食い物入れたまま頭かじるんじゃねええええぇぇぇぇ!!!!!」
風斬「えっと……最後に無理やり上琴描写をねじ込むのも、こぼれ話の伝統なんですかね…?
   という訳で、今回のお話はここまでです。次回もまたお会いしましょう。さようならー」









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