とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part08

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匿名ユーザー

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 初春や白井と合流した美琴達は佐天の部屋にいる。
 クリスマスツリーの飾り付けも終え、夕食の料理をテーブルに並べていく。
 キッチンでは初春が最後のポテトサラダを盛り付けている。他3人は席について初春待ちだ。
「ところでお姉様はどのようなものをプレゼントに?」
「アンタねぇ、それ言ったら楽しみがなくなるでしょうが」
 美琴は呆れたように溜息をつく。
「そうですよ、白井さん。きっと物凄く素晴らしいプレゼントを用意してくれてますよ。ね、美琴さん?」
「あははは。そんなに期待されると渡しにくいんだけど……」
(さっきはあんなに照れながら呼んできたのに)
 美琴は佐天の適応力に驚きつつ、その期待の満ちた目線から逃げるように顔を背ける。
 その背けた視界には、両手でポテトサラダが山盛りにされた皿を持つ初春が入る。
「あ、れ?」
 美琴は驚いたような顔で初春を見ている。さらに盛られたポテトサラダが『残ったジャガイモを全部使いましたよ』なんていうくらいの大量だからではない。
 初春の顔が青ざめていたからだ。まるで怖いものを見たかのように。バイオリンを教えて貰っているところを見られたときのように。
 美琴はゆっくりと初春の目線をたどる。白井のいるであろう空間には、壮絶な顔の空間移動能力者がいた。
「お、お姉様?」
「どうしたのよ、黒子?」
「いつからなのですか……」
「な、なにが?」
 じとーっとした目で白井は美琴の顔を覗き込む。
「いつの間に上条さんから佐天さんにお乗換えに?」
「なにを勘違いしてんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 美琴はその右手を真っ直ぐと突き出し、白井の顔面へと突き刺す。うげ、と言い残して白井は後ろにバタンと倒れる。
「なにがあったんですか、御坂さん?」
 初春は持っていたポテトサラダをテーブルにドンと置く。
 美琴が白井に鉄槌を下すのはよく見る光景である。スルーしても良いのだが、今回は違った。いつもは『からかう側』の佐天が顔を赤くしているのだ。
 上条の告白シーンを除いたときに佐天が思っていたより乙女であることを知ったので、美琴の惚気話で盛り上がったのだろうと思ったのだが。
「いやね、私が当麻から涙子に乗り換えたんじゃないか、って話で」
「…………佐天さん」
「どしたの、初春?」
 目を丸くしたままの初春に佐天は首を傾げる。
「いつから御坂さんに乗り換えたんですかっ!」
「だから乗り換えてないって!っていうか、誰から乗り換えたっていうのよ」
「私から!花が無くても好きって言ってくれたじゃないですか!」
 準備は出来たのに、パーティが開かれるのにはまだ時間がかかりそうだ。





 『必要悪の教会』のパーティが英国式教会では、名目上クリスマスパーティと銘打った宴会が繰り広げられている。
 参加者の殆どが天草式のメンバーであり、上条的には『ぶっちゃけわざわざ集まる意味あんのか?』と思えるようなものであった。
 上条は周りを確認する。さっきまで隣にいた筈のインデックスは『食べ物がいっぱいあるんだよ』と言って走って行った。
 料理の置いてあるテーブルは今頃戦場となっているであろう。確認したくもない。
 と言っても、教会の至るところで色んな人が盛り上がっていて、酒池肉林状態になりつつある。
「あー、みんな好きなのね、お祭りごと」
 イギリスでの集団晩餐のときのように、1人取り残され気味の上条は食事するのも諦める。
「あ、もしもし………か、上条、さん」
「うん?」
 後ろから声をかけられ振り返る。そこにいたのは――
「うおぉっ!?せ、精霊さんっっ!」
「そ、そんなに驚かなくてもっ」
 あわわわわと口をぱくぱくさせる大精霊がいた。
「どう、ですか?」
 『大精霊』と化した五和は、その場をくるりと回ってみせる。
 チラメイドという名のはずであるが、チラどころではなく刺激は強い。
 胸元は大きく開いているというか見えまくっているし、スカートも短い。なおかつ上下セパレートによるへそ出しである。
「なんつーか、思ってたよりエロいな」
 上条はできるだけ見ないように努力するも、どうしても目線がよからぬところにいってしまう。
(思ってたよりも、でかい!)
 何がでかいと思ったのは上条にしか分からない。
「私の部下をそんな目で見ないでください、上条当麻」
 後ろから声が飛んでくる。神裂火織のものだ。
 上条の脳裏に堕天使が降臨する。数時間前にもフラッシュバックして悩まされた堕天使にモノ申すべく、勢いよく振り返る。
「神裂!テメェまでエロい格好してんじゃねぇ!―――って、あれ?」
 神裂はいつも通りの恰好であった。
「んなっ!?人聞きの悪い!どこがエロだというのですか」
「うううっせぇ!その姿も十分エロいと言ってるんです。あー、もう堕天使エロメイドかと思って焦りましたよ」
 上条は神裂の『相変わらずのエロさ』に半分安堵し、『いつも以上のエロさ』出なかったことに半分残念に思う。
「か、上条当麻、何を残念そうな顔をしてるんですか!今すぐ外に出なさいっ。その記憶を吹き飛ばしてあげましょう」
「神裂さん、殺す気ですか?」
 腰に付けた『七天七刀』を手に持つと、聖人の腕力をいかんなく発揮して上条の襟元を掴みあげる。
「ちょっと待てって、神裂!悪かった!エロメイド姿のお前を想像した上条さんが悪かったです!許してぇぇっ」
「黙りなさい!!なに、以前のように傷だらけにはしません。『唯閃』は一撃必殺ですから」
「うわぁぁっ、マジで殺す気ですよ、この人!い、五和さん、見てないで助けてください!」
「え、あ、女教皇様!待ってくださぁぁぁいっ」
 その後、教会の外では大精霊と聖人の戦いがあったとかなかったとか。





 パーティも終わりの時刻を迎え、美琴は1人で歩いている。
 あれから佐天との仲を問い詰められ、上条との一件の話になって、初春の事も名前で呼ぶようになって。
 ようやくパーティが始まったかと思えば、メインのプレゼント交換では大騒ぎであった。
 というのも、初春に渡ったプレゼントが美琴も見ていたあの紐パンだったのだ。
 犯人は白井で、本人いわく『お姉様に渡ることを望んでいましたのに』だそうだ。
 当然、初春は『酷いと思いませんか、るるる涙子さん?』と言っていたが、佐天に『ごめん、私もそれにしようかと思ったよ。もちろん、飾利用に!』なんて言うのだ。
 『実は私も』なんてカミングアウトなんて出来るわけもなく、少し後ろめたい気持ちで初春を慰めることになり。
 そんな初春の頭を撫でたら白井が暴走を始めるわ、佐天が羨むわで正直、疲れるものだった。
 ちなみに、美琴の貰ったプレゼントは初春からのブランケットだった。
 話を戻そう。
 美琴は1人で歩いている。初春は佐天の家に泊まるらしいが、普通なら白井と共に寮に戻るべきところだ。
 美琴の目指す先は、上条の寮。
 結局は全員に吐かされた上条との一件の解決するべく、美琴は単身で乗り込もうとしていたのだった。
 十字教のパーティが何時に終わるかは分からなかったが、美琴は上条が帰ってくるまで待つつもりであった。
 決心の揺れないうちに聞いておきたかった。疑念が膨らまないうちに話して欲しかった。
 どこか思いつめたような表情で歩いていると、天の悪戯なのか、見知ったツンツン頭と白いシスターの後姿を発見する。
 美琴はぷらぷらと歩いている2人の方に駆けていくと、大きく叫ぶ。
「待ちなさい、当麻、インデックス!」
 振り返る。上条はギョっとした顔で。インデックスは友達を見つけたような人懐っこい顔で。
「あ、みことー。メリークリスマスなんだよ」
「メリークリスマス、インデックス。その様子だとパーティは楽しかったみたいね」
 七面鳥がおいしかったんだよ、とじゃれてくるインデックスを撫でながら、美琴はバツの悪そうな上条に目をやる。
「何か用かよ」
 上条は目線を合わせずにぶっきらぼうに問いかける。
「別にアンタに用はないわ。私はインデックスに話があってきたの」
 美琴は驚いている上条に構わず、インデックスの手を取る。
 上条からは恐らく『本当の理由』を聞き出せないであろう。ならば、隣の同居人に聞いてみよう、というわけだ。
「わたしに、話?」
「そ。ちょっと付き合いなさい」
「むむむ。その様子からみると重要な話なんだね。わかった」
 インデックスは頷くと、美琴の手を握り返す。
「とうまは先に帰ってて」
「ど、どういうことだよ美琴」
「後で全部話すから、先に帰ってて。お願い」
 美琴はそう言い残すとインデックスの手を引いて行った。
 上条にはそんな美琴を呼びとめることも、その背中に声をかけることさえ出来なかった。
(あんな目されたら、なんも言えねぇじゃねぇか)
 恐らくは明日の件であろう。上条は配慮の足りなかった自分を責める。美琴にあんな顔をさせてしまった自分自身を。





 どれくらいそうしていただろうか。
 上条はふと我に返ると時計を見る。すでに帰って来てから1時間は経っていた。
 言われた通り寮まで帰ってきた後、ベッドで横になりながら考え込んでいた。自分と美琴の関係について。
(俺はアイツの事を、全然わかってねぇんだよな)
 上条は悩む。美琴の心を分かってやれない事に苦悩する。
(泣かせねぇとか守るとか言いながら、あんなに悩ませといてよ)
 あれから2人とも帰ってくる様子はない。連絡すら来ない。
 何も教えられずに待つことがこんなに辛いなんて、と上条は思う。
「情けねぇな」
 上条の言葉は静かな部屋の壁に吸い込まれるように消えた。
 こんこん。
 静かにしていなかったら気付かないくらいの小さな音で、扉がノックされる。
 上条は自分でも驚くくらいの速度で跳ね起きると玄関に向かうと、遠慮がちに扉が開き、俯いた美琴が入ってくる。
 美琴1人。インデックスの姿はない。
 上条がその事を聞こうとした瞬間、ポケットに入れっぱなしだった携帯が震える。
 インデックスからのメール。『きょうはきょうかいでとまるから、ふたりでゆっくりはなしあってほしいんだよ』
 まだ変換もできない稚拙なメールであったが、文面異常に伝わるものがあった。
「………とりあえず、上がれよ」
「うん」
 さっき別れた時のぎこちない空気のまま部屋の中に移動する。
「なんか飲むか?」
「ううん。いいから、こっち来て」
 キッチンに向かおうとする上条に、美琴は座るよう促す。
 初めて来たときのように、ガラステーブルに向かい合う。
「話があるの」
「俺にもある。お前に確認したいことが。でも、先に話しちまってくれ。全部聞いてからにする」
 上条は真っ直ぐに美琴を見つめる。
 じゃぁ、と呟いて美琴は小さく息を吐いて続ける。
「どうして、黙ってたの?」
「…………な、なんの話だよ」
「明日と、今日の話よ」
 キッとした目で真っ直ぐと見据えてくる美琴に、上条は目線を合わさられない。
「明日の事は確かに言ってねぇけど、今日の事は教会に行ってるって言っただろ」
「それだけじゃないでしょ。今更、何を隠そうとしてるのよ?全部、インデックスが話してくれたわよ」
 上条は顔をしかめ、下唇を噛む。
「もう1度聞くわ。どうして?インデックスが明日の朝で帰っちゃう事黙ってたの?」





「………それは」
「私の顔を見て話して」
 美琴は上条の両頬に手を当て、無理矢理に顔を向けさせる。上条は抵抗を試みるも、美琴の目は本気だった。
(言うしか、ないよな)
 上条は小さく笑うと両頬に当てられている美琴の手をとる。美琴が少し驚いた顔をするが構わずに、話を始める。
「インデックスから帰るって話を聞いたのは、昨日の夜。お前に告白の返事をして、部屋まで帰ってきた後のことだ」
 上条が帰ってきた後、ベッドの上にいたインデックスが涙ながらに話してくれたのだった。
 実は以前から決まっていたこと、上条が悩んでいる間は言いたくなかったこと、分かれる前に上条に想いを告げたかったこと。
「お前に黙ってたのは………なんていうかな」
「遠慮してってわけ?」
「まぁ、そんなところかな」
 上条はバツが悪そうに答える。何かを隠してる、美琴は考える。上条は本心を言いたがらない。
「嘘、ね」
「は?」
「嘘。アンタは私に遠慮したのかもしれないけど。家族であるインデックスとの問題に、私が首を突っ込むのを良しとしなかった。そうでしょ?」
「………」
 上条は答えられない。美琴の言ったことが、寸分違わず自分の本心だったから。
(お見通しか)
 上条は諦めたように肩をすくめてみせる。これから先も苦労しそうだな、と思いながら。
「そうだよ。俺はインデックスを家族だと思ってる。だから―――」
 上条が全て言いきる前に、その言葉は中断された。美琴の右手が、上条の頬をはったから。
「アンタはっ!人の話には首を突っ込んでくるのにっ、なんで自分のときは話してくれないのよ」
「………美琴」
「私と『妹達』のときは無理矢理にでも入ってきたでしょう?」
 美琴は泣いていた。そのことが上条の心に響く。赤くなった左頬よりも。
「それに、私は……インデックスの友達なの!親友なの!どうして、別れの一言もなしにサヨナラさせるつもりだったの?」
「………」
「今日だって、インデックスや、他の子達、英国に帰っちゃう人とのお別れ会だったんでしょ?」
「……ああ」
 名目上は『クリスマスパーティ』であったが、その本質はお別れ会であった。
 神裂をはじめとした、天草式とステイル、それにインデックスは本格的に英国付になる。
 第3次世界大戦の終結を迎えたことで魔術師の抗争も沈静化した現状では、イギリス清教が学園都市で仕事をすることもないだろう。
 必然的に、会う機会は減る。『遊び』には来れるものの、そうそう来れるものではない。
 だから、お別れ会として盛大にパーティをすることになったのだった。
「でも、お前の知らない人間ばっかりだし。流石に、連れて行けねぇだろ」
「分かってるわよ、そんなの。じゃぁ、なんで明日も会えないっていうのよ?」
「インデックスを見送って、その気持ちのままお前に会うのが失礼だと思ったからだ。沈んだまま、クリスマスなんて楽しくねぇだろ」
「なんで1人で見送りする前提なのよ。私も、連れてけって言ってんの。2人で見送ればいいんでしょうが」
 美琴は上条の胸に右手を叩きつける。力のこもらない弱々しいものだった。
「2人で分かち合ったら、悲しみもちょっとは和らぐでしょうが……なんで、全部…1人で、抱えようとすんのよ」
 上条に思いのたけを全てぶつけた美琴の声は涙で消えそうだった。
「ごめん、美琴」
 上条は目の前で泣きじゃくる美琴を抱きしめる。自分の足りないところを埋めるかのように。





「落ち着いたか?」
「……うん」
 上条は美琴が落ち着くまで優しく抱きしめていた。目を泣き腫らした美琴が頷く。
「そうだよな、なんで考えなかったんだろうな」
「アンタは、視界が狭すぎんのよ。サイじゃないんだから、偶には周りも見なさい」
 私も人の事言えないけどね、と美琴は続ける。
「ほんとうに、お前はすごいよ」
「すごくなんてないわ」
 美琴は上条に抱きしめられたまま身をよじり、その胸に頬を寄せる。
「インデックスの見送りなんて言いながら、明日当麻と一緒に居れることを喜んでる。そんなズルイ人間なの、私も」
「…………」
 美琴の言葉を否定するように、上条は美琴を抱きしめる腕に力を込める。腕の中にいる美琴の良い香りが、上条の心を癒す。
「美琴………」
「なに?」
 美琴は上条の顔を見上げる。目線は合わせてくれないが、上条の顔は優しげだった。
「ほんと、悪かった。さんきゅーな」
 上条は照れくさそうに、にやっと笑う。美琴が想う上条らしい笑顔で。
「ねぇ、悪いと思うならさ。お願い聞いてくれる?」
「あぁ、いいですとも。愛しの美琴たんに迷惑をかけてしまいました上条当麻になんでもおっしゃってくださいませ」
 上条は鼻をふふんとならすと、美琴の耳元で何でも言ってみろと囁く。
 耳元で囁かれた事で顔を真っ赤にしてドキドキと動揺している美琴は、大きく息を吸うとニヤリと悪戯っぽい笑顔を浮かべる。
 上条はそんな笑顔に違和感を覚える。
(あれ……もしかして俺、地雷踏みました?)
 だがもう後の祭り。口から出てしまった言葉を打ち消す能力は上条にはない。
「今日1日、私の言う通りにしなさい」
「分かったよ、どうせアレだろ?お前が寮に帰るまでだろ。たいして時間ねぇぞ?」
 上条は少なくとも大覇星祭のときのような事にはならないだろう、と安堵する。
「何言ってんのよ。今日は、泊まっていくわよ?」
「はぁ?なに言って―――」
「言う通りにするのよね」
「そうですね、すいませんでした」
 上条が抵抗の意志をみせた瞬間、美琴は右手をビリビリと帯電させるとテレビに向けていた。
 『家電が順番に死ぬけど、いいのかな?』と暗、いや明らかに示している美琴に、上条は無条件降伏を飲んだ。
「なんだよ、明日の朝までは付き合えってことか?」
 上条は美琴に回していた腕を離すと、美琴が不満げな顔をしているのも無視してその場に寝転がった。
「そうやって何でも勝手に判断しちゃうのは当麻の悪い癖ね」
 美琴は携帯を開くと上条の目の前にズイと出す。いつの間に撮ったのか、待受けが上条の寝顔になっているのはツッコミ待ちなのだろうか。
「美琴サン?なんなんでせうか、この写真は?」
「私がマンガ読んでる横で寝てたから撮ったのよ。それ以来ずっとこれが待受け」
(と、いうことはですよ)
 上条は顔を赤くしている美琴を見つめて思い出す。そもそも、美琴が上条宅に来るきっかけとなったのが月曜に出るマンガ雑誌だった。
 何かにつけて家に来たがる美琴が、そのマンガ雑誌を読んでる横で上条が寝ていた事はある。どうやらその時に撮られたらしい。
(ということは、アレか。何かにつけて俺の部屋に来たがったのは、俺に会うためか)
 上条はマンガを言い訳にやって来る美琴を思い出してみる。あの時は正直、鬱陶しいくらいだったが本心を分かった上で考えると非常に可愛い行動に見える。
「なぁ、美琴………お前、思ってたより可愛いやつだよな」
「んなっ!?」
「あ、外見は前から可愛いと思ってたんだけどよ。こんな写真待受けにしたり、マンガ口実に俺の部屋に来たり……」
「ととと当然何を言い出すのよ、このばかっ!」
 上条は腹筋を使って起き上がると、美琴は耳まで真っ赤にして煙でも出そうな美琴の頭を撫でる。
「こんな可愛い美琴たんをスルーしていたなんて。上条さんは昔の自分を殴ってやりたいですよ」
「ふふふ、ふにゃぁぁぁ」
 右手で撫でられているので漏電することはないものの、全身の力が抜けた美琴は体重を上条に預けてしなだれかかる。
 上条はそんな美琴の行動が『甘えて来てる』と勘違いしたのか、その頭を優しく撫で続けるのだった。


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