とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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時はさらに経ち、学校が終わったとある高校では土御門狩りが始まっていた。


「なんでカミやんやアクセラより全然少ないのに俺を追ってくるんだにゃ!!」


土御門はさっきの休み時間のときに貰ったチョコの事によってほとんどの男性陣から追われているのだった。
ちなみに月夜が助けないのかと言うと、土御門が自分と舞花以外にチョコを貰った事にそうという嫉妬しているので助ける気が無く、トライアングルカップルと一緒に先にシステムスキャンをする常盤台中学に向かってしまったのだ。


「土御門!!いつの間にそんなフラグを立てたんや!!」


そして、土御門狩りを先導するのはもちろん青ピである。


「そんな事聞かれても俺は知らないにゃ!!」
「知らないわけ無いねん。現にチョコを貰っているやから白状せいや!!」


「不幸にゃ!!」


その近くで土御門狩りを見ている上条、アクセラはというと…


「「土御門、がん(ン)ばれよ。」」


二人は普通なら自分達が狩られる筈なのに、土御門が月夜と舞花以外に貰うアクシデントが起きたおかげで助かっていた。


「自分は関係無いからって感じで言うんじゃないにゃ!!」
「「だって俺達は関係無いもん(ン)♪」」


「誰か助けてくれにゃ!!」


もちろんそんな事を言って助けてくれる人なんている分けなかった。



「つーちみーかどー」
「ヒィッ!!月夜ー!!本当に許してー!!」


むしろ増えていた。


「……俺たちは何も見てないよな?」
「……アァ、俺たちはなーンも見ちゃいねェ」
「ったく、お前らひどくねぇか?見てみぬふりって……どこがヒーローだよどこが悪党だよ!!」
「「ヒーロー(悪党)は女には手を上げないん(ン)だよ」」
「うそつけ!!お前ら許せないやつなら老若男女となぐるじゃねぇか!!」
「「黙秘権を使わせてもらう」」
「………ったくお前らってやつは…」


こんなやつらを憧れていたと思ったらなんだか自分まで情けなくなり肩をすくめる浜面
だがそんな浜面を見て二人はニヤリと笑う。


「チョコを七個も隠し持ってるやつに言われたくねェ」
「なっ!?なぜそれを!!」
「見ちまったんだよ……お前の下駄箱にチョコが入っているのを……な!!」
「頼む~~!!皆には言わないでくれ!!頼む、このとーり!!」
「……あいつらの恐ろしさは俺たちがよくわかってるから安心しろ。ちょっと遊んだだけだ」
「マジでありがとうございます。」





 その頃、月夜、トライアングルカップル、小萌、木山のシステムスキャン組は教師二人が車ということもあり常盤台中学に着いていた。
 車から降りてまず真夜がしたこと、それは土御門の心配だった。


「土御門のやつ大丈夫かな? 怪我してないといいんだけどなぁ……」
「井ノ原君は人が好すぎだよ。あんなやつに掛ける情なんて持つだけ無駄なんだから」
「だがこのままという訳にもいかんだろうな。白雪、お前の能力が発揮されるのは土御門が居る時だ。意地を張らずに許してやれ」
「木山先生がそう言うなら……。でも元春は学校ですよ? 一体誰が迎えに行くんですか?」


 真夜と木山のお陰で何とか土御門を許す気になったが、ここに居ない彼をどうやって連れて来るのかが問題に。
 しかし木山は余裕を崩さず、真夜の肩をポンと叩く。


「俺ですか?」
「一番心配していたのは君だ。それに白雪の氷の翼は目立つし、私と月詠先生はこれからあちらの先生方と話があるから車は出せん」
「……分かりました。もし土御門がまだ襲われてたらどうします?」
「その時は土御門ちゃんの状況次第、つまり現場の判断に任せます。仮に戦うことになっても真夜ちゃんは気にせずやっちゃって下さいねー♪ 先生のお墨付きです!」


 土御門のお迎えを任された真夜だが、出来れば戦うとかはしたくないので狩りはもう終って欲しいと思っていたりする(土御門が無事な方向で)。
 出発前の準備体操を終えた真夜に木山が最後に能力についての最終確認をする。


「真夜、最大数値はどれくらいだ?」
「そうですね……400です。肉体耐久力と筋力200ずつでいきますか?」
「いや、いつも通り肉体耐久力、筋力、自然治癒力、動体視力、反射神経に等分で行け。80ずつは初めてか?」
「全部をそこまで上げたことは無いですけど、システムスキャン前の最終調整と思ってやってみます」


 木山に言われた通り、真夜は精神を集中させ、頭にイメージした数値をそれぞれに振り分け、強化を済ませる。
 そして自分達の通う高校に体を向けると、土御門救出ミッションへ向かう為に駆け出すとあっという間に見えなくなった。


「ね、ねぇ、今、い、井ノ原君、有り得ない速度で走って行ったよね……?」
「まあ知らない奴が見たら最初は驚くだろうな。現に俺達もそうだったし。けどな白雪、あれが今の真夜の能力者としての姿だぞ」
「でもあそこまでコントロール出来るようになるまで苦労してたけどね。私も真昼ちゃんも能力をモノにするの苦労したけど、真夜君の苦労は私達以上だったし」


 やけに余裕な親友の赤音、それに真昼を見た月夜は自分のシステムスキャン以上に三人のシステムスキャンが楽しみになっていた。
 この日以来、学園都市に『昼間からもの凄い速度と力強さで跳んだり走ったりする人影』が少しの間だけ噂になることに。



その頃、土御門は相変わらず逃げていた。


「不幸にゃ!!」


追われて二度目の不幸だを使っていた


「本当に誰か助けてくれごふっ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」


土御門はいきなり腹を誰かに抱えられ驚いていた。
また、土御門狩りをしていた男性陣もいきなり土御門が消えたのに驚いていた。
そして土御門はそのまま常盤台中学まで運ばれた。


「一体誰が俺をこんなところまで、って井ノ原!!なんで俺を運んだのにゃ?」


土御門を抱えていたのは真夜だった。


「おいおいお前は忘れてたのかよ。今日は白雪のシステムスキャンをするのにお前が必要だったから連れて来たんだよ。」
「あ、みんなに追われてたからすかっり忘れてたぜよ。それと助かったぜよ。」
「まあ、そんなことは良いからみんなと合流するぞ。」


土御門と真夜は白雪達と合流するためにシステムスキャンの検査場所に向かった。





 土御門が真夜に助けられたのを当麻、一方通行、浜面は遠くから眺めていた。
 この主人公トリオ、友達の土御門が青ピ率いる『嫉妬ファミリー』に追いかけられる様子を楽しんでいたのだ。


「な、なあアクセラ。今、土御門助けたのって井ノ原弟……だよな」
「ああ……。なンか常盤台の方から跳ンで来たなァって思ったらアイツがすげェスピードで土御門を掻っ攫ったよなァ」
「アイツ、いつの間にあんな風に動けるようになってたんだよ……」


 遠目で見ていたからこそ主人公トリオは真夜の動きを把握出来たのだ。
 ここでようやく当麻は自分達の置かれた状況について嫌なことを理解してしまう。


「なあ二人とも。青ピ達は土御門に嫉妬してアイツを狩ろうとしてたよな? その狩りの対象が居なくなったら次はどうすると思う?」
「どうってそりゃあ決まってるだろ。他の狩りのターゲットを狩るだろうな……ってまさか!」
「てめェは状況把握が遅ェんだよ。間違いなく俺と上条が狙われるから浜面、てめェはどっか行ってろ」
「何言ってんだよアクセラ。俺だってお前らのダチなんだぜ? ダチが困ってんだ、助けねぇわけにはいかねぇだろ」


 青ピ達『嫉妬ファミリー』の狩りの対象になった主人公トリオ、熱い友情の繋がりに感動したらしく『友情のスクラム』を組み始める。
 その空気を破る無粋者こと青ピの開戦の合図がなされることに。


「カミやん、アクやん、浜やんはモテ男や! バレンタインにモテまくる奴は許したらアカン! 粛清したるんや!」
「上条、一方通行、浜面、必ず病院送りにしてやんぜ!!!」×嫉妬ファミリー


 こうして狩りの対象を土御門から主人公トリオに変更し、本命を狩るという意味でここからが青ピ達『嫉妬ファミリー』の始まりになるのだった。
 ちなみに浜面も狩りの対象に入ってる理由、それは彼らの一人が浜面の下駄箱にチョコが入ってるのを見たからに他ならない。



上条と一方通行は能力があるから戦闘に出れるものの、浜面はどう戦うのだろう?
何をバカな事を言ってるんだ。浜面は仮にも、スキルアウトのリーダーを任せられた人間なのである。
しかも上条と殴りあった時に最初は押していたのだ(最後は一発でやられたが)。
な・の・で、このチームをくんでしまうと、



結果的にワンサイドゲームになる。



浜面のすることは簡単だ。まず掃除ロッカーを押し倒しそこから箒を取り出す。
こういう物の扱いは自分たちがよく知っている。なので的確に一人一人しとめていく事ができるのだ。


一方こちらは一方通行、相変わらずワンサイドゲームである。
だがクラスメートたちは軽症ですませる。これが悪党の美学だ。


上条はというと殴るだけである。だが上条の右ストレートをなめてはいけない。
上条の右ストレートはステイルの巨体をトンボのように殴り飛ばし、さらには40kmから50kmの大剣を右腕だけで真正面から受け止めた男である。
上条の体はもはや一般高校生の身体能力をはるかに超えているだろう。上条はその力を最大限に使い向かってくる『嫉妬ファミリー』をなぎ倒す。


ここで一つ伝えておこう。上条勢力の暗黙のルール『やるときは徹底的に』だ。
新学期、新入生たちにいきなり襲われるのだがそれはまた別の話である。



「すぅ、すぅ……」


 その頃の柵川中学、佐天しかいない教室で初春は気持ち良さそうに眠っていた。
 まあ、明け方までチョコを作っていたのでその疲れが一気に出てしまったということで仕方が無いが。


「ホント飾利って真面目だよねー、お世話になってる人達にまで手作りなんてさ。しっかし気持ち良さそうに寝ちゃって、うりうり♪」
「んうっ……やぁんっ」
「え? 今の寝言だよね? 何で妙に色っぽいの?」


 寝ている初春のほっぺたをツンツンと突いた初春の反応が彼女らしからぬものだったことに、ちょっと驚きの意味でドキッとした佐天。
 そこに校内の見回りをしていた神裂が入ってくる。


「佐天、まだ学校に残っていたんですか? 土曜日だからといってそのように気を緩ませるのは」
「神裂さん、しーっ。飾利が寝てるんですから」
「そ、それは失礼しました。……それにしても飾利の寝顔はいつ見てもいいものですね♪」


 校内の見回りを一時中断して、初春の前の席に座った神裂は優しげな表情で彼女の髪をそっと撫でる。


「えへへ……くすぐったいですよぉ」
「寝てるにも関わらずちゃんとした反応を返してくれる飾利、本当に可愛いですね。そうは思いませんか? 佐天」
「(なんか可愛いのポイントがずれてるような気がするけど……)そうですね。でもどうします? そろそろ起こさないとまずいんじゃないですか?」
「その必要はありません。飾利の好きなようにさせ、飾利を好きなように愛でる。それがお姉ちゃんというものですから」


 大真面目にお姉ちゃん論を語る神裂に、佐天は彼女の性格を考えて妙な引っかかりを感じた。
 今までの初春に対するコミュニケーション、それらを踏まえて佐天が神裂に尋ねようとしたその時だった。


「かーざーりーっ♪ あんまり遅いから教室まで迎えに来たぞうぉっ!!」


 教室のドアを勢い良く、しかも大声で初春を呼んだのはシェリーだが、すかさず反応した神裂が近くにあった机を彼女目掛けて投げ飛ばす。
 しかしシェリーも戦闘能力は高いので投げて来た机を見事に回避する、手に抱えた初春へのチョコを守るように。


「てめぇ神裂! 何しやがる! もし当たったら……ああ、そうゆうことか」
「こうゆう時だけ理解が早くて助かります、シェリー。飾利が起きなくて幸いでした。この子のこんな幸せそうな寝顔を壊さずに済んで」
「ああ、まったくだ。悪かったな騒いじまってさ。勝負は飾利が起きるまでお預けだな。今はこの子の寝顔を楽しむとしようじゃないか♪」
「同感です」


 こんな時だけ息がピッタリ合う神裂とシェリー、初春が起きるまで彼女の寝顔を眺めつつもほっぺたをつついたり、髪を撫で始めるのだった。


(飾利を起こすのは忍びないし、神裂さんとシェリーさんをこのままにはしておけないし……。仕方ない、最愛に相談しよう)


 佐天は三人からひとまず離れると、合流する予定だった絹旗に連絡を取ることに。


「もしもし最愛? 今まだ学校なんだけどさ、すぐに出られそうに無いんだ。悪いけど当麻兄さんと美琴姉さんの分のチョコ、渡してくれないかな?」
『そうなんですか! まあ、幸いにもお兄ちゃんとお姉ちゃんに渡すチョコは私が超持ってますけど……。私もいつになるのか超分からない状況なんですよ』
「それってどうゆうこと? もしかして何か」
『おーい絹旗。なーにやってんだー? 次はあそこ行くぞー』
『はっ、はいっ! ゴメンなさい涙子! 二人のチョコは超必ず渡しますから!』


 慌てて電話を切った絹旗を不思議に思った佐天だが、その前に聞こえてきた声に聞き覚えがあることの方が不思議だった。
 その声のことを考えながら教室に戻った佐天は寝ている初春をいじってる神裂とシェリーに触発されて、自分も二人に交じっていじり始めるのだった。





 こちらは先ほど佐天と電話で話していた絹旗サイド、面子は絹旗、打ち止め、レッサー、そしてキャーリサの四名。


「いやー、学園都市ってのは中々愉快な所だなー♪ 観光のし甲斐があるってーもんだ」


 現在、絹旗達はキャーリサの思いつきで学園都市巡りをさせられており、今は第一五学区でショッピング中である。



「あのーキャーリサさん、私達庶民的な服を超買うのですか?」
「別に私達はそんな事気にしなーいから、普通の服もよく買いに行くもんでねー。」
「そうなのですか。なら超良いんですけど。」


絹旗は以外に一般人と変わらないんだなっと思っていた。


「ねえねえ、次はあそこに行こうってミサカはミサカは指を刺して言ってみたり。」
「じゃあ、あそこに行きましょうか。」


四人は打ち止めが指を刺したところに行く事にした。





その頃、常盤台中学ではものすごくざわついていた。


「ねえ黒子、一体何の騒ぎなの?」
「私も分かりませんわ。一体何が始まりますの?」


美琴と黒子が寮に帰ろうとした時、他の生徒がなんかざわついていたので気になっていた。


「あら、御坂さんと白井さんではないですか。」
「おや、泡浮さんと湾内さんではないですか。」


美琴と黒子のところに泡浮と湾内が近づいてきたのだ。


「やぱっり他の生徒はざわついていますね。」
「え、泡浮さん達はこのざわついている理由を知ってるの?」


「先月あたりから知ってましたわ。だって今日、月夜お姉さまが再度システムスキャンをする予定だったので。」
「そうだったの!?全然知らなかったわ。」


「ところでなんで先月から知ってましたの?」
「御坂さんは別のテーブルにいたから知らなかったのでしょうけど、あの時土御門さんに電話があってその時の話が月夜お姉さまが再度システムスキャンをする電話だったのですよ。」


「あの時そっちのテーブルではそんな話があったの。」
「で、お二人は月夜お姉さまのシステムスキャンを見に行きませんか?」


「私は別に良いけど、黒子はどうする?」
「○○様とのデートが短くなりますけど、白雪さんのシステムスキャンを見たいので私も行きますわ。」
「じゃあ、システムスキャンをする場所に行きましょうか。」


という事で美琴と黒子は月夜のシステムスキャンを見に行く事にした。



そして数分後、土御門達が白雪達と合流しており、まずは白雪がシステムスキャンのするプールにいた。


「ねえ元春、なんでこんなに人が集まっているの?」
「それは多分、前回のシステムスキャンの事で月夜が常盤台の生徒の中で有名になったからじゃないかにゃ?」


「そうなのかな。それだと私緊張しちゃうよ!」
「ま、それでもがんばるしかないにゃ。」


とりあえず土御門は月夜を元気つけた。
その頃、土白の隣にいる先生達はというと…


「そういえば統括理事会の人が来ませんね。」
「さっき、統括理事会の方から遅れるって電話が来たらしいな。」


「そうなのですか。じゃあ待っているしかありませんね。」
「それしかないな。とりあえず最終調整でもやらせておくか。」


木山は月夜、トライアングルカップルに最終調整をするように言いに行った。





その頃、学校の屋上から見ている美琴、黒子、泡浮、湾内はと言うと…


「あら、今回は白雪さんだけじゃないんですね。」
「そうらしいね。にしてもなんで前回、白雪さんはあれでレベル4だったのだろう?」


「確かにそうですわね。どう見てもあれはどう見てもレベル5だったはずなのに。一体何がいけなかったのでしょうか?」
「「う~ん…」」


二人が考えていたら、泡浮と湾内が話しに入ってきた。


「にしても、とても見えやすい場所に取れましたね。」
「確かにここは屋上からプールを見た時に一番見れる場所だからね。」


そう、四人は屋上からプールを見る時に一番良い場所に居るのだ。


「でも、まだ始まりませんね。」
「誰かを待っている感じですわね。」


「あ、そんな事を言ってたら校門前に車が止まりましたよ。」
「ってあの車って…」


「「「「と、統括理事会の車じゃないの(ではありませんの)(ではないですか)!!?」」」」


四人は統括理事会の車だと分かるとものすごく驚いていた。





 こちらはプール、周囲からの視線に呆れているのは真昼だった。


「うっわぁ、殆どの奴ら、白雪にしか興味持ってねぇぞ。ただの憧れ、ガチのラブ、二つが合わさった感情しか持ってねぇし」
「なあ井ノ原姉、お前さんのその『感情のベクトル』ってどんな風に見えてるぜよ?」
「あ? 色だよ、色。後は見えるベクトルの大きさだな。それで大抵のことは分かるぞ。ちなみに色の種類はだな」


 ここからは真昼の見える『感情のベクトル』についての説明に入るが、まず基本的にはベクトルの色で見分ける。
 好意や憧れはオレンジ、友情や信頼は水色、敵意や憎悪は黒、愛情や恋慕はピンク、悲しみや不安は青、怒りや闘志は赤、以上の6種類。
 ちなみに細かい分別は真昼本人の感性でしか理解出来ない領分なのであえて説明はしない、というか不可能。


「けど俺が見えるのはそいつが相手に対して一番考えたり思ったりしてる感情だけだ。恋人同士ならお互いにピンクのベクトルが向き合ってるとかな」
「何かすっげー便利だにゃー。それなら相手が浮気してるとか一発で分かるってことぜよ?」
「……その場合、きっついぞ。仲良さそうなカップルの片方しかピンクのベクトル向けてねぇんだからな」
「確かにそれはきっついにゃー……。そういやあ、それで嘘とか見分けるのって出来るのかにゃー?」
「嘘の見分け方はまた別だな。相手が話してる時にベクトルが相手を向いていたら本当、相手を向いていなかったら嘘って感じだ」


 真昼の『感情のベクトル』+αの説明は以上であるが、今後彼女の見えるものが増えたり変わったりするかもしれないが今はこんな感じである。
 月夜は真昼と土御門が会話、しかも楽しそうにしているのに怒ってはいなかった、意外にも。


「珍しいね月夜ちゃん。土御門君が真昼ちゃんと話してもやきもち焼かないなんて」
「あのね赤音ちゃん。私、誰彼構わずやきもち焼いてるわけじゃないよ? 恋人がいる女の子だったら平気だから」


 じゃあそれ以外はやきもち焼くんだ、というツッコミは親友として入れなかった赤音であった。
 そこへ能力の調整を一足終えた真夜が合流するが、その顔はどこか浮かない感じだ。


「どうかした? 真夜君。何だかさっきから落ち着かない感じだけど」
「今になって常盤台で男の俺がシステムスキャンって場違いにも程があるなって思えてきてさ。俺に対する視線が痛くて痛くて……」


 真夜に向けられる視線だが、先ほど土御門を抱えて連れて来た時、派手に跳んできたことが原因だとは気付いていなかった。
 そんな真夜にアドバイスを送ったのは、常盤台でのシステムスキャン慣れしている月夜だった。


「井ノ原くん、そんなその他大勢の視線なんて気にすることないよ。いつもの感じでいれば大丈夫だから、ね?」
「ありがと白雪さん。まあ、あの子が居ないだけマシなのかもな。居たら絶対にシステムスキャンどころじゃないし」
「井ノ原くんにもそうゆう子が居るんだ、実は私もなんだよ。二人とも、慕ってくれるのは嬉しいんだけど、それが最近度を越え始めてるというか……」


 月夜と真夜はそれぞれに常盤台に居る困った知り合いを思い浮かべることに。
 しかし月夜は知らない、その二人が屋上に居て自分のシステムスキャンが始まった時にペースを乱してくれることを。


「おにょれ井ノ原弟め、月夜と楽しげに話しやがって……!」
「心配すんな土御門。白雪が真夜に向けてる感情はオレンジ、真夜が白雪に向けてる感情は水色だ」
「水色って友情とかだよね? 男の子が女の子に対して友情……何か変な感じだね」


 真昼から教えられたベクトルの色に安心した土御門だが、真夜に対する印象は天然以外湧かなかった。
 そんな時、ここにも統括理事会の一人が常盤台に到着したとの報が入る。



「みなさん統括理事会の人が来ましたので準備をしておいてください。」
「「「「と、統括理事会の人が来るって聞いてないんだけど!!」」」」


月夜、トライアングルカップルは統括理事会が来るって聞いてなかったので驚いていた。


「なんで普通のシステムスキャンなのに統括理事会の人が来るんだ!!」
「だって、システムスキャンを再度することになった理由が統括理事会からの命令だったものですから。」


「そんな平然と言われても困るんだけど!!あと土御門、なんでそんな平然としているんだ!!」
「ひょっとして元春は知ってたの!?」


真昼、月夜の疑問に土御門は答えた。


「まあ、俺も小萌先生からの電話で知ったんだけどごふっ!?」
「元春なんでそんな大事な事を私に言わなかったの!?さらに緊張してきたじゃない!!」


土御門は月夜にそんな大事も事を言わなかったので月夜に殴られた。


「言ったとしてもどうせ今と同じくらい緊張すると思ったから言わなかっただけにゃ。」
「そうだとしても言って欲しかったよ!!」


「分かった、分かったから。今度そういう大事な事は言うからその右手を握らないでにゃ!!」
「今度からちゃんと私に言ってよね。」


そう言うと月夜は右手を握るのをやめた。
そんな事を言ってたら統括理事会の人がプールのところまでやって来た。


「えっと、あなたが統括理事会の方ですね。」
「はい、貝積継敏と言います。」


統括理事会からやってきたのは貝積継敏だった。



(やっぱり、俺が説得した親船最中とかが来るわけ無いにゃ。)


土御門は自分が説得した統括理事会の人が来てくれると良いなと思っていたが、そううまくいくわけも無かった。
そんなこんなで自己紹介が終わり、本題に入る事になった。


「それじゃまず白雪ちゃんからシステムスキャンを行いますので準備してください。」
「ど、どうしよう元春。前回よりも人も増えてるし、統括理事会の人も居るからさっきからずっと緊張しているんだけど。」


白雪は今のこの状況がすごいので緊張がやわらぐどころか逆に緊張してきたのだ。


「とりあえず落ち着くために深呼吸するぜよ。」


土御門が深呼吸するように言ったので月夜は4、5回深呼吸をした。


「よし、少しは落ち着いたかにゃ?」
「さっきよりは落ち着いたよ。よし、何とかなりそうだよ。」
「じゃあがんばるぜよ。」


そう言うと、月夜はプール台の上に立った。
そして月夜は再度深呼吸をするのだった。


「すぅーはぁーすぅーはぁーよしいくぞ!!」


そして、やっと月夜のシステムスキャンが始まるのだった。

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