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カンニング
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匿名ユーザー
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カンニング 05/03/20
カンニングについて。
御存知の通り試験突破技術として認識されているものだ。cunningの本来の意味は「狡猾な」という形容的用法が主であり、英語では「cheatingチーティング」と呼ぶ。
「東京都大学の人々」というどたばた小説短編集の表題作はカンニングを扱った珍しい小説で在学中に読んだのだが、その内容の面白さから映画化されたものの壮絶なこけ方で今も語り草となっている。この原作にはカンニング技術が色々載っている上、実に面白いから読むことを薦める。小説嫌いの人でもこれは楽しめる。
大学の大講堂試験では楽だったが、英文読解ゼミの単位を落としてしまう。卒業論文はゼミで提出することになっていたのだが、三年次の授業選択の時期に資料を読んでいたところ、何故かゼミは必修ではないことに気付いてしまった。単位の管理はコンピュータが導入されていたから数だけ合わせれば問題なかろうとの読みは的中し、卒業論文を書かずに大学を卒業してしまった。ここでもカンニングは関係がなかった。
第二外国語として選択した必修の中国語はチャイ語と呼ばれており、聴取試験と記述試験を組み合わせた語学力向上には効果のある試験であったが、語学力向上には余り興味のない学生一同は様々に秘術を凝らす。とはいえ頭のよくない大学であるから試験内容が難しくても老師は「ここが出る」と事前に教えてくれる。それをただ暗記すればよいのである。暗記するだけでも多少の効果があると老師は知っているのである。しかし学生は暗記さえも面倒でカンニングに走るのである。結果腕の内側にびっしり書き込み隙を見て掻きながら引き写そうと目論む奴、弦の太い伊達眼鏡に書き込んで眼を擦りながら確認しよう動きを練習している奴、小紙片を忍ばせる奴も当然居る。試験直前にそれぞれの方法を自慢していたが、至って普通の学生の姿である。
手前も暗記はせずに多少の策を弄した。「何を書いた?」と問われたのだが、カンニングするかどうかではなく、することを前提に内容を問うあたりは俺もお前も当然共犯者という意識が伺われた。試験は時間通りに始まるのであって、その為に老師は休憩時間中に姿を見せる筈なので注意深く「俺はせん」と答えておいた。予想通り早めに老師が来て、慌てる学生を無視して出席番号順に席を割り当てる。これで机に書いていた奴は全滅となり、後方の席に当たった奴には幸運が行く。手前は前から二番目の席だった。
席順の決定したここからが勝負であった。残る時間は五分もない。前から二列目という不運な席ではあったが暗記していないので勝負をかけるしかない。手前は最後の追込と見えるような猛烈な勢いで試験に出るあたりを薄い紙に書き続けた。この薄い紙は複写伝票と同じ仕組みであり、書いた字は無事机に転写された。再履修はこうして乗り切ったのだ。
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