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お守り

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お守り 04/02/20

  誰しも財布には緊急用に一枚のお札を人により桁は違っても入れていることと思う。

  しかしそれは何故か必ずどうでもよい時に使ってしまって本当に必要な瞬間には「ない!ない!ここにいつも入れているのに」と慌てることになる。緊急時であれば既に舞い上がっているわけだから恐慌は進む。何かよい方法はないか。

  あったのだ。歴としたお札でありながら、使わない。いや使えない。違う。使えるが使う気にならない。

  ある支払いの状況でお札を出そうとして少しばかり草臥れていたから、長辺と平行に折って真っ直ぐに見せようとし、しかし向こうは少し手間取りこちらはその札を持ったまま待たされることになった。短辺と平行の折り目を折って弄んでいて、さてそろそろと考えたところで多少の格好をつけて両手でそれぞれの端を持ってぴんと張った。

  「び」

  しばしその場で凍りついた手前は、見なかった振りをして一度俯き顔を上げる相手を視界に捉えながらさてどうしようかと考えていた。相手はこう言う。

  「あ、破れたお札は銀行で換えてくれますよ」

  それくらい知っとるわい。その言葉は「まさかその破れた札で払おうとか云わんよな?ん?」との牽制を含んだ雰囲気を押し出してきたことは凄く判る。同時にOL進化論のネタで「そうですか。じゃお願いしますぅ」と「銀行で」の言葉を言ったばかりに破れたお札を置き去りにされた店員の姿が浮かんだ。

  結局別の札を出して払ったが、この真っ二つに引き裂かれたお札は、当然自動販売機では使えない。裏をセロファンテープで止めて素知らぬ顔で放流すれば何も問題はないが、しかしこのお札は、紛れもない現金でありながら使えないことがすなわち切札としてのお守りになり得るわけだ。

  破れていたら人生が急転する別種のお守りもあるが、そのお守りを使わずに乗り切り、問題がなければ運がよい。お守りなどというものは使わずにいてこそ幸せが約束されるものだ。

  ※その後「古い人々が印刷されている旧札もお守りとして利用出来るではないか」との知恵を貰った。
 
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