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雨
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雨 05/03/26
自転車で快走している最中に突然雨が降ってきた。
そもそも天気予報に興味を持たない理由は「雨が降るか降らないか」「傘を持ってゆくべきかどうか」を断定せず、降水確率などとぬかして誤魔化す態度が気に喰わないからだ。断定すれば予想を外した際に抗議が殺到するであろうし、それを根拠に玉虫色の予想へと進化してゆくわけで、「降水確率100%でも一ミリ降れば予想的中」「降水確率10%で100ミリ降っても予想的中」という占い師の如き処方が許せないから天気予報は大抵無視する。
無視した結果、外出時に雨が降っていない限り傘を持たないという単純な行動原理に支配される。すると急な雨に対して「なんで突然雨降るねん!」と怒り狂うことになる。街中を歩いている場合ならばどこかしら雨宿りの場所が見つかるものだが、自転車で遠出をしようと企み堤防沿いに数時間走り続けて、所用を達した帰りの道で急な雨に襲われると何もかもが嫌になる。
川沿いだから高低差がなく見晴らしも良いのでまさに快走と呼べる。交差する道路は滅多にないので体力を消耗する急制動急発進が少なくて済む。発動機の付いている車両は一切進入禁止であるから事故の心配はまずない。
そこに雨が降ってくるだけで川沿いの長所は全て短所に変化する。高低差がないので路面が均一に雨水を浮かべて重くなる。見晴らしが良すぎて雨宿りをする場所がない。交差する道路が滅多にないのですなわち逃道が封じられている。車両は通行禁止なので雨宿りが可能なバス停さえない。ただずぶ濡れになって泣きながら走り続けることしか許されていないのだ。
古本屋を巡って買い漁った数冊の辞書が濡れてしまうことの悲しさが泣いている理由であるが、止みもせず雨宿りも出来ない以上ともかく走り続けるしかない。これが国道沿いの道を選んでいたら、重い荷物を背負っての急制動急発進に苦しんでいただろう。しかし雨が降ってきたら休める場所など幾らでもあったろう。飲食店がなくても歩道橋の下で休憩出来たろう。
途中でやっと交差する道路があったから喜んで曲がり、初めて通る道で見た事もない町に進入する不安を押し潰し、血走った眼で雨宿り可能な場所を探す。町とは基本的に駅があり、その周辺に繁華街があり、その周辺に住宅地がある。住宅地の中を通る道路は狭く、歩道など飾り以下の役割であって、歩道の中央に佇立する電柱が自転車の通行を拒否しているので雨の中を前後車に挟まれて車道を走っていると対向車は容赦なく水飛沫を浴びせてくる。
やがて少し拡い国道に出て、相変わらず降り続ける雨を逃れる飲食店に遭遇しないまま歩道橋があったので疲れ果てて休憩する。歩道橋には地名表示板が設置されており、それによると繁華街には入らない道を通って次の町へと続く道を走ってきたらしい。つまり知らず知らず町を迂回しながら道に迷ったというわけだ。休憩していると雨脚は更に激しくなってゆく。
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