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耳掻
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匿名ユーザー
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耳掻 04/12/09
実は重度の耳掻依存症である。
綿棒とは痒さを和らげる効果があっても耳糞を掻き出すようには設計されていない為、重度の耳掻依存症である人間は匙状の竹耳掻を欲する。確かに綿棒は耳の中の産毛を捻り切る機能を備えてはいるが、匙で耳糞を掻き出す快感を知る者からすれば次善以下の下策である。匙になっている耳掻がどうしても必要だ。
しかしながら耳掻とはよくよく行方不明になるもので、普段の何でもない時には迷わず待機している癖に必要とする瞬間は何処かにお隠れ遊ばしておられる。「耳が痒い。今すぐ耳掻が欲しい」と思ってしまった以上、いくら小指を付き立てても満たされず、爪楊枝の頭を恐る恐る突っ込んで掻いてみても根本的な解決には至らず更に痒みは増す。
新品の竹耳掻は匙の角度が急であり不用意に使うと出血の可能性があるので、包装を解いてまずするべきは匙の角度を寝かせることである。何かに押し付けてゆっくり角度を調整すればよいのだが、気が急いている場合は噛んで強引に好みの角度を作る。しかし急激に曲げると薄い竹はあえなく疲労して望んでもいない「角度自在耳掻」と化す。耳糞を掻き出したと思ったら匙である筈の部分が単なる箆に成り果てている。これは角度を決めてライターあたりで炙って焼きを入れればよいのだが、少しでも焦がしてしまうと諦めてそのまま燃やす。
鞘のついた金属製の耳掻は角度の調整が難しい上に痛いのであって、観光地の土産屋で一度買って失敗すれば以降見向きもしない。また観光地の耳掻は悪戯として誰のものとも知れぬ耳糞がごっそり張り付いたまま放置されている場合があるので手を出すべきではない。封印包装されているものが安心だ。
しかし耳掻の喜びは耳糞を掻き出すところにはなく、実は耳の中で立てられる音が最大の理由となっている。がさごそと聞こえる日常生活では有り得ない響きが何故か病み付きになる。毎日穿っておれば耳糞はほとんど出ないから不燃感が残るわけだが、それでも耳掻を差し込む角度を変えると思いがけないほど奥まで入り、鼓膜を擽ることで集中力を鍛錬するようになる。
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LAST UPDATED 2025-11-08 02:34:33 (Sat)
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