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雷 04/07/01

  雷は電気であり、その威力は洒落にならないものであることは周知されている。

  音速とは約340m毎秒だから、雷光から一秒でどかんと聞こえたら約340m先に落ちたと考えられる。つまり光と音の差が十五秒あれば5km先、十秒で3.4km先となる。とは言うものの音が聞こえている段階で既に近いのであって、数えて三秒以内ならば極めて近く、もし屋外に居たならば何らかの退避行動を取るべきである。雷への対処法をぼんやり知っているに過ぎないだけか殆ど知らない場合は、一年間の雷による死者約三十人枠の中に候補として残ることが許される。それが嫌なら知っておこうか。

  高く尖った物は危険である。
  小屋の軒下は危険である。
  大樹の幹近くは危険である。
  枝や葉からも最低2m以上離れよ。
  長靴やゴム合羽のような絶縁体質で身体を覆うことは意味がない。
  金属を身に付けていても落雷し易いわけではない。

  車の中は安全だ。車そのものが金属の塊であるが、万が一直撃してもアースから地中に流れるので心配ない。アースを引き摺っていない車については知らない。雷の発生が少ない地域で生産された輸入車が雷に対して免疫があるのかどうかも気になるが、車の下に潜り込むのは危険極まりない。なお日本では走行中の車に落雷した事例は報告されていないという。雷が直撃してガソリンに引火し爆発したらどうするのかという恐怖に耐えることが明日に繋がる。

  そして鉄筋の建物の中は安全であるということだ。雷がその建物に落ちても鉄筋を伝って地中に流れるので、建物の陰にいるより中の方が遥かに安全なのだ。その際、電気は物質の中よりも外側を伝い、これは「表皮効果」と呼ばれるのだが、この瞬間近くに居ると飛び電とは呼ばないが飛び火の感覚で撃たれる可能性がある。雷撃を受けた小屋や建物の軒下で雨宿りをしていたら痺れるから、建物の中に入る。また例えば山小屋で乾燥した床が地面から高いと少しだけ安心したくなる。床がなく土間である場合、ことに床が水で浸されている場合は危険であるからビールケースの上にでも乗っかって天気予報を確認しなかった己の迂闊さを呪っておればよい。

  拓けた場所ならばスルメの如く伏せる。また雷が近いならば雨も近かった筈で、傘を持っていたと仮定するならば、傘を少し離した地点に突刺して立て、即席の避雷針として作用することを祈る手段もある。ゴルフ場ならばクラブをやはり芝に突き立てて、クラブの高さより身体を低く保つことで僅かながら安全度が上昇するかもしれない。その際クラブに対して「君はこれまで勝手に池や砂場を狙ったりして常に私を苦しめてきた。真っ直ぐ飛んだ時に限ってチョロとはどういうわけか。たまには為になることをしたまえ。いいか。今の君は避雷針なのだ」と諄々言い聞かせることで復讐心から発生するささやかな満足を得ることが出来る。

  「臍を隠せ」は、単に腹を冷やすことのないようにとする説や、うつ伏せになって姿勢を低くすることで雷撃を逃れる為とする説がある。しかし臍を取られるという言葉が匂わせるのは、昔の人は出臍が多かったのだろうなという漠然とした想像である。
 
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