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生卵
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匿名ユーザー
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生卵 04/09/09
コロンブスが立てたことになっている生卵は元来ブルネレスキの逸話だが、あの場合卵の尻を少し潰して無理矢理に立たせている。
当然凹凸のない平面状に純粋な生卵を尖った先を真上に向けて、尻を割らずに立てる方法がある。
バーテンダはシェイカ振りの練習をする時、シェイカの中に角張った氷をひとつ放り込み、かちかちかちかち振り、見事な球体の氷で出てくることを目標にする。全てのバーテンダが出来るわけではないし、必須条件でもないからその気がなければ「そのような練習方法もある」程度の認識だ。しかしシェイカの中に角張った氷を入れて、振るだけで角を落として綺麗な球体にする為には、肘を柔らかく手首の捻りを効かせて程々の力で振らなければならない。強く振ると割れてしまうし弱ければ角が取れても球体にはならない。
そして上手く球体になるような振り方とは、シェイカの中が絶妙の力で掻き廻されている振り方なのであり、すなわちカクテルを造る際の力加減や手首の返し具合の練習となる。しかしながら個人でシェイカを所持していて練習するにしても、氷塊をかちかちかち鳴らすのは非常に喧しい。騒音など気にする必要のない環境にあるならば心ゆくまで手首を傷めておればよいが、集合住宅などで練習するには具合が悪いのだ。
シェイカを持つ基本的な手の形は右手親指と人差指で蓋を抑えて中指薬指小指は本体に沿わせる形、つまりコップなどを鷲掴みにしたところから右手を上にずらして人差指と親指だけで蓋をする気分のような構図で、左手は掌を上に向けて中指を中心に底にあてがい、左手親指だけは右手親指に接近させる。この形で中身がよみ混ざるような振り方を練習するわけだが、中に氷を入れたシェイカでは喧しいし、何も入れなければ練習にはならない。
そこで生卵の登場となる。シェイカそのものは一旦脇に置かれて、生卵を包み込むように持つ。無理矢理シェイカのような持ち方を強行しても稲荷寿司を握る形にしかならないわけだが、生卵を振ることで手首の返し方を静謐なまま練習可能だ。
そして、氷の場合は球体になればよいわけだが、生卵の場合の上手く混ざるような振り方かどうかの判別方法とは「立つかどうか」になる。割る必要などなくて、生卵を上手く振ると、比重の悪戯で白身だけが掻き廻されて、尖った先を上に向けて立てた際に卵の底に黄身が沈む。すると安定して立ってしまうのだ。
尖った先を下にしても当然立つので面白い。暇があって手首の頑丈な方は挑戦してみるとよい。
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LAST UPDATED 2025-11-08 20:28:30 (Sat)
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