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貴族

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貴族 03/06/25

  貴族に美男美女が多いのは何故か。

  貴族として、またそれに類する立場の者として相手をじっくり選べるぐらい配偶者候補が殺到してくるならば、外見でもなるべく優れた人を選ぶだろうし、そういうことを幾世代も繰り返せば遺伝子の作用で美男美女が多く産出するのは至極当然の結果と言える。

  もとより貴族でない場合、しかし何かの後ろめたい事情を駆使したり権力闘争に打ち勝って貴族的立場への仲間入りを果たしたと自分達だけで思っている一家の場合、どうしても素養が足りず、立居振舞いもぎこちないことだろう。そして残念ながら彼らはまだ平民の顔をしているわけだが、落魄せず、しぶとく生存競争に勝ち残りつつ世代を重ねていくうちに、家柄や財産目当てに見目麗しき者がその容貌に似合わぬ下心を持って近付き、取り入り、やがて一族に組み込まれると、その遺伝子が作用して次代は少しレベルが上がる。そうこうしていると本物の貴族との接点が生まれ、間に子も生まれ、数代後には重ねた年月の中で身に付いた優雅な所作で武装した美男美女の家系となるのだ。

  また落胤と呼ばれる高貴な御方の隠し子も頻繁に出現するわけだが、貴族にとって恋愛は一種の仕事であり、上流階級の縁戚関係の複雑さは広瀬隆の「赤い盾」を読めば頭がくらくらしてくるが、普段周囲に美男美女がいるわけであり、外見に限って言えば目は相当肥えている筈だ。従って見るに耐えない者を相手にすることはなく、浮気であろうとゆきずりであろうとその相手はそれなりに整った顔立ちをしているだろうし、生まれた子もまたその血を引くわけであり、やはり美男美女の家系はその評判を落とすことなく、受け継がれることだろう。

  上流階級の人間にとって政略か財産目的以外でわざわざ「美男美女ではない者」を配偶者に迎える理由はないのであって、「心に惹かれた」などと口走って見目汚い者を伴侶とするならば、ただちに縁を切られて上流階級の人間ではなくなってしまうので、これもやはり美男美女の家系は守られる。これを許せば貴族と平民の区別がつかなくなるので周囲は必死で反対するであろうし、それを押し切って上流階級を捨ててまで一緒になるならば、石屋の引越、幸せになることだろう。

  混血が美を生むことは古来言われつづけていることである。トルコ、ブラジルそして東欧は美女の産地して名高い。にも関わらず、あの人種の坩堝であるアメリカに美女多しとの評判が立たないことは、立居振舞いというものが人柄ではなく外面に帰属することを間接的に証明している。であるからただの造形的な美しさだけでは不足のあることがわかるだろう。貴族は貴族の雰囲気を身に纏う必要があるのだ。

  そして大抵は長い時間に洗われた遺伝子が活躍して美男美女を生産するわけだが、それでも、政略結婚、財産目的、よく理解できない愛、隔隔隔隔隔世遺伝によって信じられない例外が出現することもある。そしてこちらの場合、遺伝子は相当手強いと考えられるので百年の不作は免れまい。振り出しに戻ってしまうわけだ。
 
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