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ダイアル

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ダイアル 04/01/21

  古い電話に対する郷愁は尽きないようだ。

  「じーころころ」と数字円盤を回す型の古い電話は今となっては珍しい。あの円盤を「ダイヤル」と呼び、電話を掛ける事を「ダイヤルを回す」「ダイヤルする」と表現した時代がかつてあり、その時代を反映した幾多の名曲が生まれそして今、それらの曲は内容がいつの時代にも通ずる普遍性を持っていながらも「ダイヤル」の一語があるせいで懐古の対象となってしまう。

  0を回す時に感じる遠回りの歯痒さ、1を回す時の短さからくる焦りに似た喜び、ダイヤルを回して戻る時のどこか緊張を秘めたふうに思えるもどかしい速度、いつか見た映画の真似をして鉛筆の尻で回してみた時の気恥ずかしさ、あれらはもう過去の物となってしまったのだろうか。

  ところで「ダイヤル」とは何だろう。そもそも「ダイヤル」か「ダイアル」か。日記を「ダイアリィ」と呼ぶがこれは如何なる関係なのか。気になるから調べる。大修館ジーニアス大英和、研究社大新英和、小学館ランダムハウスをあたった。

  結論から言うと「ダイヤル」は「dial」で実は「ダイアル」であった。語源は中世ラテン語で「dialis・毎日の」から来ている。「ダイアリィ」はこの流れを汲む正統の後継的言葉だ。また「dial」は日本語でこそ一般的にほぼ電話を指しているが、英語ではもっと広く指針盤・文字盤のことを指す。電話の回す数字盤が指針盤に似ているからダイアルと呼ばれるのは当然の話でもある。「金庫のダイアル」とは日本語でも使い、それが僅かに本来の意味の名残でもある。更に英語では「dial」を日時計や鉱山用コンパスにも使う。テレビの「チャンネル」とは日本語の感覚から理解すればあの電源と音量調整を兼ねた「つまみ」を連想するわけだが、英語ではこれを「dial」となる。また俗語で「人の顔を指す」ともある。

  「ダイアル・イン」は和製語で、実際は「dialect line」となる。どこかの保険屋の登場で馴染みやすくなっているだろう表現である。腕時計の文字盤は「the dial of(on) a wristwatch」であるし、「spin (目的人)'s dials」は米の俗語で「(目的人を)興奮させる・刺激する」となるらしい。これは「ネジを巻く」よりも「ツボを突く」の方が相応しいかと思われる。しかしこの言い回しに至る発想の根本が同じであることは、なんだか楽しいと思いませんか。
 
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