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連絡手段
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匿名ユーザー
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連絡手段 04/10/06
携帯電話の普及にメール機能が付与された結果、連絡する回数が、近い人とはより多く遠い人とはより少なくなる傾向にある。
近い人とは同様に携帯電話にメール機能を持っていたりパソコンでメールを利用する間柄のことで、遠い人とは携帯電話を持っていなかったり常設電話さえ普段日常的に使わない者を相手にする場合は電話を掛ける必要がある。
常設の加入電話と携帯電話の普及により、電話が一家に一台から一人に一台となり、迅速かつ的確な連絡が可能となったが、一家に一台以前の時代から重用されていた電報の持つ機能が失われようとしている。今では慶弔事に特化しているが非常の緊急連絡手段として確かに時代を担っていた。電報の衰退は片仮名に固執したことも原因のひとつであるが、一般加入電話の普及に伴って次第に利用が減少し、電電公社の殿様商売に嫌気が差していたところに郵政省のレタックスが殴り込んできた。最早敗勢は必至であり、巻き返すべく台紙に凝ったり音が鳴ったりの高級感で包み込み記念品としての立場を選ぶことで今のところ衰亡を免れている。
携帯電話のメール機能が意味するところは手紙の代替であり、生活の速度が増すにつれて比重が移動している。元来手紙と電話の間に位置した電報に代わるのがメール機能であり、今の電報機能である記念品としての位置が今度は手紙になりつつある。電話の位置はあまり変わらないが、元の手紙の位置に対応する現在の手段は模索中であるのか手紙のままなのか不明だが、もしかするとパソコンを用いるメールがその立場に臨むかもしれない。ある何かが衰退する際にその価値は一時的に下がるが、相対的に重要度は増す。そして希少価値としていずれ盛り返す時期がくる。それは世代交代を反映した郷愁や強引な復権もあるが、過ぎた時代の息吹を懐かしみ触れたくなるのは擽ったい娯楽だ。
そして重要度が増すとはつまり手書きの手紙が古色蒼然たる形式に則りしたためられていた場合に、通常の連絡手段とは違った印象を与えることを意味しており、それは携帯電話やメールでは得られない充満が送り手と受け手の双方に残る。それは上の世代への媚ではなくて上の世代に対する礼儀でもあるのだ。
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LAST UPDATED 2025-11-08 01:45:04 (Sat)
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