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ウォトカ
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匿名ユーザー
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ウォトカ 04/07/27
トマトジュースを嫌いな人がいる。
それは別に構わない事であり、こちらも無理矢理飲ませようとはしないし飲むべきだと語ることもない。ただ、飲む時にウスターソースやタバスコを投入することを告げると身震いと後退りが散見される。そんなに変なものではない。液体サラダと思えばソースは普通だろう。液体ピザの具と思えばタバスコは普通だろう。
トマトジュースにウォトカを混ぜるとブラディメアリというカクテルになる。ウォトカの代わりにジンを使えばブラディサムとなる。これらはそのままでもよいが、通常は「塩・胡椒・ウスターソース・タバスコ」を好みで投入する。トマトジュースには既に塩が入っているが、更に重ねる場合がある。
トマトジュースそのままであればノンアルコールカクテルとしてヴァージンメアリと呼ばれる。それでもただのトマトジュースを飲むのは味気ないからタバスコを振るのだ。実際ウスターソースを全体の色が変わらない程度の少量とタバスコ二・三滴で風味が鋭く尖ったものになり、「健康的」という雰囲気からいきなり「隠家葉巻紫煙ブルース」に変化する。トマトジュースだけをただ飲んでいるとすぐに喉が焼けてくるが、ソースとタバスコが入ってあればほぼ際限なく飲めるのだ。そこにウォトカが入ってあれば頼もしい。
ただしウォトカの酔いは突然くるもので、調子よく飲んでいて意識も通常、呂律も全開、所作に淀みがない状態からさて便所でも行こうかと立った瞬間くらくらする。立っても今度は膝が爆笑していて「よよよよよ」と踊る羽目になる。もう少し頑張って飲むと腰が抜けて立てなくなり、一本空けてしまおうと決意した場合、気付けば夜も明けている。いつの段階で突っ伏したかを覚えておらず、卓には気合で開けてしまったボトルが佇立し、しかしグラスには最後の一杯分が並々と注がれたまま、灰皿には火を点けて一喫して放置され長さはそのままで灰と化した煙草、残っていたトマトジュースが倒れて流血の惨事に見え、軋む頭を出来るだけ揺らさないよう洗面所へ行くと蹴り飛ばされたチューリップの如き寝癖と対面する。そして思うのだ。「今から最後の一杯を迎えて目を覚まそうか」
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