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赤い
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匿名ユーザー
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赤い 04/03/15
七味唐辛子とは、和食に欠かすことの出来ない香辛料として認知されている。
確かに瓶でありながら落としても割れない容器は褒賞に値する。赤い蓋を回して白い中蓋を外し、銀紙を剥がして中蓋を閉めると中央の穴から適度に怒りを掻き立てる勢いの無さで出てくるわけだ。
ここに大衆食堂があったと仮定する。うどんもラーメンも品書きにはあるが、麺類を頼むには危険度の高いと思われるあたりの食堂だ。しかしそこで勇気を振り絞ってラーメンを注文したとする。どれほど待たされてもじっと我慢して待ち、やがて運ばれてきたラーメンに胡椒を振掛ける。胡椒の容器といえば大抵上蓋が跳ね上げ式になっているから問題はない。続いて自動的に辣油に手が伸びるわけだが、辣油とは駄菓子屋の色ジュースの如き毒々しい赤色をしている。瓶の形が角ばっていても、自動的に伸びる手に認識力はない。目の前にあるのがラーメンなのに、「赤い瓶=唐辛子サイズ瓶=蓋を回して開ける」と頭の回路は繋がる。
辣油の蓋も跳ね上げ式になっているし、何よりもべたついているから間違える筈は無いと考えたくなるのだが、間違えている意識が無いのだから辣油の上蓋をくるくる回しぱかりと外して入れようとする瞬間「あ。違うて」と考えながらも辣油はラーメンにととととと注ぎ込まれる。必死に手首を返しても瓶には三分の一程しか残っていない。あれほど赤かった瓶は透き通っている。
仕方が無いからあまり掻き回さないよう気を配りつつ食べることにしても、麺とは汁の中で絡まっているのであって、一部をさりげなく引き抜いただけでも赤い膜が広がる。これがもし胡椒だったなら汁に染み込むより早く掬い取って被害を防ぐことが出来るし、爪楊枝だったなら何も心配することは無かった。辣油とは液体であって、残念ながら処方はない。
ライスを追加注文すれば状況は好転するのだと、その時に思いつくべきだった。
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