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小田原駅

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小田原駅 03/05/10

  小田原駅の改札が高架になっていた。

  あの汚いタイルとコンクリ張りの地下道は、今では懐かしい国鉄の匂いがしてとても気に入っていた駅だった。

  少し前、小田原駅で降りたときに地下通路に下りるべき階段がなく、エスカレータで上に運ばれる際、ここ一年ずっと工事中だったことを思い出し、なるほどと納得して上に着くと輝くフロア。あまりにも新しく、そしてどこにでもあるような没個性的な改札口を見てこう思った。

   「もう小田原駅でキセル出来んようになってもうた」

  まあ、それもあるのだが、とにかく悲しうございました。どこの駅でも階段・ホーム・改札すべて画一的で似通っているのは恐らくはじめて訪れた者でも動けるようにと考えてのことなのだろうか。工事の請負業者に簿外費を問いただしてみたい気もする。

  古いままのホームに輝く階段とエスカレータが突き刺さった醜悪な光景はよくあることだが小田原駅に限っては悲しすぎる。

  それぞれの駅の立地条件により、仕方なく組み合わされた雑々多々な楽しい駅が、それらの駅の温もりと歴史が、その駅独特の魅力であるのににも関わらずこの改築。確か多目的エレベータは既にあったはずだ。理由にはならんぞ。

  確かに汚かった。不便だった。エスカレータはなく、新幹線は特急券代金を払ったうえで一番奥のホームまで歩かされる構造だった。小田急の改札は中にあった。地下通路には土産物屋が並んでいた。平階の改札機と地下道を繋げる為に不思議な勾配があった。沢山電灯があったのに何故か明るいとは思えなかった。夏は暑く冬は寒い地下通路だった。そして手前はその地下通路が大好きだった。何度も歩き、何度も通り抜け、いつも国鉄の雰囲気を感じていた。

  湊町駅が終着駅式から通過式になった時以来の衝撃だった。ただ地下道から高架に切り替えただけなのに小田原駅はその魅力をほとんど失ってしまった。

  綺麗になりましたか。便利になりましたか。掃除が楽になりましたか。監視カメラをつけましたか。キセルが減りましたか。よかったですね。引き換えに失ったものの大きさを知るのはどれほど先のことになるのでしょうか。あの小田原駅の改札までの地下通路、国鉄の匂いを感じることは出来なくなった。いつか必ず懐かしむことになるし、既に落ち込んでいる人間がここにいる。

 
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